超時空要塞マクロス ガールズ&ヴァルキリー   作:ノザ鬼

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始まり

 

 その年…。

 

 地球人類は初めて異星人と接触した。

 

 そして、異星人ゼントラーディという名の巨人の軍隊と宇宙戦争に突入し、地球は滅亡の危機に瀕した。

 

 

 戦争終結。

 

 

 新統合政府が樹立され、地球人類と異星人ゼントラーディは共存の道を歩み始める。

 

 その後、地球統合政府は種の存続を主眼に置き、人類移住計画を立案。

 そして、多くの超長距離移民船団が銀河の中心へと向かい旅だって行った。

 

 

 この物語は宇宙を旅する船団の一つ、『BW(Big−Wash)船団』で、起きた小さな奇跡から始まる。

 

 

 

 現在。

 

 宇宙に散らばる各マクロス船団は、数々の試練を乗り越え平穏を迎えていた。

 

 それは、人類にとって喜ばしい事であった。

 

 しかし…。

 

 その為に、戦闘機であるヴァルキリー乗りのになるパイロット候補生が激減した。

 

 この事を危惧した統合参謀本部は、各船団に通達を出した。

 

 それは…。

 

 各船団の高等学校に、

『ヴァルキリー部』

を設立するというものだった。

 

 

 ここ船団の巨大な居住艦にあるBW学園も多分に漏れず設立されたヴァルキリー部。

 

 ちなみに、その居住艦であるBW(Big-Wash)は、全長は約八千メートルをも超える全船団の随一の超巨大なサイズであった。

 しかし、そこに住む者にはあまり知られていなかった。いや、どうでもよかったのだ。

 

 

 

 ある事情から、この船団に引っ越して来た少女。名を[アマノ カケル(天野 飛翔)]と言う。

 

 彼女は引っ込み思案で、中々クラスに馴染めずにいた。

 

 

 転校から一週間。

 

 放課後。

 

 突如、現れた生徒会長を始めとする執行部の人達。

 不思議な事に、全員女生徒だった。

 

 そして、生徒会長と名乗る女生徒が、

「アマノさん。この学園ではクラブ活動は必須です。」

 告げた。

 

 驚くカケルを尻目に、

「クラブ選択の希望が出されなかったので、生徒会でクラブを決定しました。」

 

「そ、そんな…。」

 語尾が小さくなったのは、カケル本人が忘れていたからである。

 

「ついてらっしゃい。」

 生徒会長の発する殺気…。いや、気迫に逆らえず

「はぃ…。」

 従うカケル。

 

 

 学園の喧騒を抜け、たどり着いたのは、忘れ去られた場所。

 

 そこは、森を抜けた先。

 

 学園の一角。他に来る生徒の姿は無い静かな場所。

 

「ここが今日から貴女の部室です。」

 指差された先は…。

 

「倉庫?」

 それは、巨大な二枚の扉に見合う大きさの建物。

 

「いえ。」

 短く否定。

「格納庫です。」

 

「格納庫…。」

 全体に目をやりながら繰り返す。(でも、格納庫が部室って…。)

 疑問。

 

 

「中へ。」

 促(うなが)され、大扉に付けられた人間用の小さな入口から入る。

 

 

 臭。

 

 扉が開けられた時から、微かに臭っていた。

 それが、扉を潜ると鼻を刺す。

 

「カビ臭い…。」

 その場の皆を代表する形でカケルの口が臭の正体を言った。

 

 

「こっちです。」

 生徒会長は、奥へと進み他の生徒も続く。

 

「あっ。はぃ。」

 遅れカケルも追う。

 

 

 不意に足を止め、

「これです。」

 生徒会長が示したのは、埃の山。

 正確には、埃避けのシートが掛けられた小型のバス程ほもの。それに埃が積っていた。

 

 

 躊躇(ためら)い。

 

 シートの端を掴んだ生徒会長、

「お約束で、シートをバサリとやろうかと思いましたが…。」

 間を取り、

「埃塗れになりそなので…。」

 そっと捲った。

 

 驚き。

 

「こ、これは!?」

 見開かれた目が、そこに見たものの異質さをものが立っていた。

「飛行機?」

 

 捲ったシートを慎重にずらし、

「いえ…。」

 中の物を見え易く、

「ヴァルキリーです。」

 説明した。

 

 マクロス船団に乗る者…。

 

 いや…。人類ならしらない者は居ない程の、その名前が意味する物。

 

「ヴァルキリー…。」

 無意識に繰り返したカケル。

 

「旧式ですが、直せば十分使えるはずです。」

 その言葉の意味が判らず呆けるカケル。

 

 生徒会長が、

「アマノさん。」

 声を、

「聞いてますか?」

 掛けた。

 

「あっ。」

 なんとか、

「はい。」

 我をとりもどす。

 

 カケルの目を凝視し、

「統合参謀本部からの通達で、各高等学校に【ヴァルキリー部】の設立が義務化されまさた。」

 説明を、

「我が学園も多分に漏れず…。」

 続け、

「設立となり…。」

 カケルの両肩に両手を乗せ、

「部員一号として、あなたが選ばれました。」

 『グッ!』と力が込められた。

 

「えっ!」

 驚きに、続き、

「私…。」

 両肩に乗せられた手に込められた力が増し、

「…。」

 抗議と反論を抑え込んだ。

「はぃ……。」

 返事の語尾は小さくなり空気に溶ける。

 それ程、有無を言わせない力があった。

 

「でも…。」

 俯いたまま、

「私、一人じゃぁ…。」

 せめてもの抗議。

 

「それ…。」

 生徒会長の返事を食う。

 

「なんだよ。」

 迷惑そうに、

「こんな所に呼び出してよ。」

 

 自然と視線が声の主へ向いたカケル。

 

「あら。遅かったですね。」

 嫌味ともとれる生徒会長の相手を見ないままの返答。

 

「いえ、時間通りですわ。」

 ロングヘアの黒髪が目立つ女性が答えた。その上、黒縁の眼鏡を掛けている。

 

(この組み合わせは、セットなのだろうか?)

 カケルの素朴な疑問。

 二人組の事か、それとも黒髪のロングの黒縁の眼鏡の事か…。

 

「そうだぜ。」

 もう一人が、生徒会長の返事を食った方の声の主のようだ。

「時間通りだ。」

 両手を頭の後ろで組んだ女性が、不満そうであった。

 

「そうですか。」

 悪びれもせず、

「このお二人と、三人で『ヴァルキリー部』ですよ。アマノさん。」

 

「えっ!?」

 黒髪の女生徒。

 

「はっ!?」

 こっちはショートカットに癖っ毛の明るい茶髪の女生徒。

 

「聞いておりませんが…。」

 丁寧な口調は、黒髪の女生徒の特徴。

 

「そんなの聞いてねえよ…。」

 粗野な口調は、茶髪の女生徒の特徴。

 

「こちらは、転校生の【アマノ カケル】さん。」

 抗議を聞かず紹介した。

 

「アマノさん…。」

 差し出した右手は、ショートカットの茶髪の女生徒へ向けられ、

「こちらは【ダイチ リクノ(大地 陸乃】さん。」

 

 続き、向けられた右手は、ロングヘアの黒髪の女生徒へ向けられ、

「こちらは【ミヅキ ヒョウカ(水月 氷花】さん。」

 

「は…ぁ…。」

 声と言うよりは、どう答えて良いか判らず、ただカケルの喉から出た音。

 

 新たに登場した二人は、値踏みする視線をカケルに絡み付けた。

 

「ってか、なんて俺がヴァルキリー部なんだよ。」

 リクノが、思い出したかのように生徒会長に噛み付いた。

 

「そうですね…。」

 考えていると言った台詞だが、目の奥は愉しそうに、

「色々と、詮索しないから…。」

 右の人差し指で、顎を触りながら、

「それでどうでしょう?」

 目と口が笑い、

「リクノさん。」

 ゆっくりと名前を呼んだ。

 

「ちぃ。」

 吐き捨て、

「わあったよ。」

 返事にした。

 

「そうそう。ヒョウカさんは、お祖父様に聞いてますわよ…。」

 語尾はゆっくりと、

「ねえ。」

 時間をかけた。

 

「はぁ…。」

 ため息を返事とし、

「ここに行くようにとは言われましたが…」

 諦めの表情を、

「こう言う事でしたか…。」

 浮かべた。

 

「三人で仲良く…。」

 時間をかけ三人に視線を送り、

「ヴァルキリー部をお願いしますね。」

 笑う生徒会長。

 

 お願いされた三人は、固まった。

 

「では、ごきげんよう。」

 そう言い残すが早いか、入って来た扉へ向かう。

 その後ろを他の生徒会のメンバーが続く。

 

 それが、まるで何かの行列だと思ったカケル。

 

 

 扉の真下、

「あっ…。」

 潜る直前。

 

 振り返り、

「何か、ありましたら生徒会室まで。」

 笑顔の生徒会長。

 

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