超時空要塞マクロス ガールズ&ヴァルキリー   作:ノザ鬼

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部長

 

 

 シミュレーターでの訓練が続く。

 

 

 そして、ある日。

 

 

 入品。

 

 リストアップしていた部品が届き始める。

 

 シミュレーターと平行して、行われるヴァルキリーの修理。

 

 

 伸びをしながら、

「やっぱ、操縦よりも、ヴァルキリーを直している方が俺は向いてるな。」

 首を左右に『コキコキ』するリクノ。

 

「ハハハ。」

 軽い笑いで答えたカケル。

 

「あら。」

 口調は軽く、

「駄目ですよ、リクノさん。」

 目線は鋭く、

「三人でチームですから。」

 突っ込んだヒョウカ。

 

「わーてるよ。」

 今度は指を『ポキポキ』と、

「言ってみただけだよ。」

 工具を取るリクノ。

 

「そうでしたか。」

 笑顔を向けたヒョウカ。

 

 その笑顔が怖いと感じ、口元が引きつるカケル。

 

 空いていた左手を握り締め、

「今日は切の良いところまでは直すぞ。」

 気合いを入れるリクノ。

 

「ぉーっ。」

 小さく握った右手を上げ賛同するカケル。

 

 握り拳を、

「頑張りましょう。」

 小さく体の前で振るヒョウカ。

 

 

 本格的な修理の始まりである。

 

 

 シミュレーターでの訓練と修理の日々。

 

 暫くすると、少しだけ変化があった。

 

 ヒョウカのシミュレーター参加である。

 二人に課題を出し、自分も訓練を始めた。

 

 

 

 そして…。

 

 迎えた、その日。

 

 右人差し指で、

「終わった…。」

 拭った鼻先が黒くなる、何ともお約束なリクノ。

 

 右手の甲で、

「やったー。」

 拭った額が黒くなる、こちらもお約束のカケル。

 

 右手で、

「やりましたね。」

 作業帽子を取ると長い黒髪が流れ出すヒョウカ。彼女には、お約束の神様は訪れなかった。

 

 

 改めて、見上げる三人に古いヴァルキリーが輝いて見えた。

 

 

 ヴァルキリーを見詰めたまま、

「週末に…。」

 あまりにも呆気なく、

「テスト飛行の予定を入れておきます。」

 あっさりと言ったヒョウカ。

 

「あっ。」

 驚き、

「はぃ。」

 答えるまでに少しの間を要したカケル。

 

「おーっ。」

 こちらも驚き、

「早速か…。」

 だが、

「良いねえ。」

 喜んだリクノ。

 

 

 

 

 迎えたテスト飛行の日。

 

 部室の前に降ろされていた、小さな車。

 

「これは?」

 カケルの質問。

 

「牽引車。」

 答え、

「間違いなく、ヒョウカが手配した。」

 推測…。いえ、確信していたリクノ。

 

 二人に遅れ、

「届いてましたか。」

 現れたヒョウカ。

 

「やっぱり…。」

 驚かないカケル。

 

「やっぱか。」

 答えが合ったとリクノ。

 

「準備しましょう。」

 促し、

「カケルさん。パイロットスーツに着替えてください。」

 指示を出すヒョウカ。

 

 目を丸くし、

「私ですか…。」

 驚くカケル。

 

 笑顔で、

「はい。」

 首を軽く傾げ、

「初フライトは部長から…。」

 笑顔のヒョウカ。

 

 沈黙。

 

 静寂。

 

 そして…。

 

 カケルの、

「えぇぇぇぇぇ!」

 驚き、

「ぶ、部長って…。」

 

「何だ…。」

 割り込む、

「知らなかったのか?」

 リクノ。

 

 カケルが、

『ぷるぷるぷる。』

 音をだし、左右に高速で振った顔は残像を残す。

 

「まあ…。」

 心の中は悪い顔で、

「便宜上って事だろうから。」

 カケルの右肩に手を置く、

「気にするな。」

 リクノ。

 

「そうですわ。」

 表情は笑顔で、

「誰が部長かなんて、」

 カケルの左肩に手を置く、

「些末な事です。」

 ヒョウカ。

 

「え…。」

 困り顔で、

「そんなぁ…。」

 二人の顔を交互に見るカケル。

 

「よし。」

 牽引車に向かうリクノ。

 

「準備しましょう。」

 部室の大扉を開けるヒョウカ。

 

 残されたのは、

「そんなぁ…。」

 立ち尽くすカケル。

 

 

 

 ここは宇宙船。

 

 改めて、思い出す。

 

 牽引車でヴァルキリーを何処へ運ぶのかと思っていたカケル。

 

 その答えが、下だった時の驚き。

 

「あっ…。」

 驚くカケルを他所に、ヴァルキリーが床ごと下り始めた。

「し、下。」

 それだけは言えた。

 

 そう、ヴァルキリーを部室である格納庫からリフトで地下…。いえ、宇宙船の多層構造なら下層の通路へ移す。

 ちなみに、まだ牽引車では動かしていない。ヴァルキリーと繋いだだけ。

 

 三人の部員と一基のヴァルキリー、それに牽引車を乗せたリフトはゆっくりと下層に設けられた専用の通路へと移動する。

 

 ちなみに三人は牽引車にのっている。更に言うと、運転席にはリクノ、カケルとヒョウカは空いているところに適当に座っていた。

 

 

『ガコン!』

 お約束のリフトが止まる音を出す。

 

 

 通路に天井部分に設置されたランプが、手前から先へと順番にオレンジ色に点灯していく。

 

 

『ガコン!』

 字面(じづら)では同じ表記だが、実際の音は少し違う。

 

 平行移動。

 

 リフトがゆっくりと前進を始めた。

 

 

 オレンジの光がカケルの顔を走り去る。

 

 今だ驚くカケルは、

「こんな仕掛けが…。」

 通路の先を、

「あったなんて…。」

 見詰めるばかり。

 

 ヒョウカが解説を、

「この居住艦が作られた当時の物資搬入の通路です。」

 始め、

「多分。これがあったから部室が作られたかと…。」

 推測した。

 

 リクノが、

「そう言う事か…。」

 割り込む。

 

 続け、

「今は、殆ど使われてなかったようで…。」

 解説する、

「直ぐに許可が下りました。」

 ヒョウカ。

 

 納得するリクノ。

 

 通路のスケールに魅入るカケル。

 

 

 三人の下層通路移動の旅は、暫く続いた。

 

 

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