機体チェックは進む。
「にしてもよ…。」
リクノが、
「何で、古いヴァルキリーなんだ。」
疑問を、
「最新型にすればよ、修理なんて面倒な事しなくてすむのによ。」
いえ、愚痴を言った。
「私も、その事については疑問に思いましたので。」
ヒョウカが賛同し、
「問い合わせしてみました。」
カケルとリクノの顔は、
『もう、ヒョウカが何しても驚かない。』
決意していた。
「なんでも…。」
ため、
「初代マクロス艦の時の【フロンティアスピリット】を思い出せ。」
表情が、
「だそうです。」
呆れ、
「なので、他の船団のヴァルキリー部の機体も同時期のものだとか…。」
目を瞑り、首を左右に振った。
「あれか…。」
その言葉に何かを、
「部活に最新型の機体は勿体無い。」
腕組み、
「そういう事だな。」
呆れたリクノ。
「えっ。」
驚き、
「そうなんですか…。」
語尾が小さくなるカケル。
「そこまでは…。」
考え、
「最近は訓練用に初期ヴァルキリーを使うようですし…。」
右の人差し指で顎を突き、首を長くして傾げるヒョウカ。
「?」
今一つ理解出来ないといった表情で、
「何で訓練に初期のヴァルキリー使うんですか?」
聞いたカケル。
「うーん…。」
言葉を選び、
「最新型は【賢い】からかな。」
答えたヒョウカ。
「【賢い】か…。」
繰り返し、
「ぴったりの言葉だ。」
頷きながらリクノ。
「【賢い】ですか…。」
またも理解不能といった表情のカケル。
「パイロットの判断と技量で行われていた部分をヴァルキリーが肩代わりする…。」
考え、
「割合が多くなってる…。」
間を取り、
「かな?」
答えとしたヒョウカ。
「良い答えだと思うよ。」
褒め、
「純粋にパイロットの腕だけじゃなくなってるって事だ。」
同意したリクノ。
「えーっ。」
驚き、
「それって、なんだか狡(ずる)いです。」
戸惑いに似た表情のカケル。
「でも…。」
ヒョウカは真剣な表情で、
「限界に近付き…。」
間を取り、
「そこを超えた時…。」
口調が重くなり、
「さらなる高みへと行けるのは最新型の【賢い】サポートがあればかもでも。」
ヒョウカの台詞に、
「なんだか、」
感じ、
「リアリティーある台詞ですね…。」
固唾を飲むカケル。
「そうだなぁ…。」
考え、
「確かに、【賢い】サポートがあればパイロットに余裕が出来るか…。」
意見したリクノ。
「それは、ヴァルキリーに限った事ではないですよ。」
笑顔を、
「私達が普段使いしている車だってそうですし…。」
カケルに向けるヒョウカ。
「あっ…。」
納得の声を上げたカケル。
「そう考えると…。」
間を取り、
「初期のヴァルキリーで訓練でパイロット技量の底上げは悪くないって事か…。」
考え、
「統合参謀本部も考えてるか…。」
自らの考えを否定したリクノ。
「さあ…。」
更に否定し、
「案外。部活に最新型は勿体無いかもですよ。」
笑うヒョウカ。
「だな。」
笑うリクノ。
「えっと…。」
二人の顔を交互に、
「どっちなんですか?」
見て反応に困るカケル。
それが、ヒョウカとリクノを更に笑わせた。
一段落。
「続けましょう。」
ヒョウカの促しに二人が頷く。
人工的な日は沈む。
帰る時間も近付いた頃。
「終わりましょうか。」
ヒョウカが二人に。
「ほい。」
軽くリクノ。
「はーい。」
明るくカケル。
二人は道具を片付け、タブレットに向かうヒョウカの元へ。
その真剣な表情に、
「何か?」
思わずカケルが、
「ありました?」
声にした。
「先程、気が付いたのですが…。」
ヒョウカはタブレットから視線は離さず、
「このヴァルキリーに付けられた番号を見付けたので。」
電子音が知らせる、
「検索してみました。」
結果を。
「へー。」
リクノも興味津々で、
「誰が使ってた機体かもだな。」
乗ってきた。
「えっと…。」
表示された文字を目で追い、
「パイロット『ITIJOU HIKARU』で登録されてますね。」
読み上げたヒョウカ。
「その名前…。」
記憶の検索に入るリクノ、
「聞いた事ある様な…。」
続け、
「無い様な…。」
思い出そうとする。
「私も…。」
カケルも脳内検索で、
「聞いた事が、ある様な…。」
眉間にシワが、
「無い様な…。」
寄る。
二人が思い出そうと頑張っている横で、タブレットを操作するヒョウカ。
そこに映し出された結果を、目で読み、
「初代マクロス艦で活躍したパイロット…。」
内容を要約し、
「ゼントラーディ軍との最終戦争を終結に導いた歌姫と噂になった人物…。」
口にしたヒョウカ。
「それだ!」
思い出すリクノ。
「あっ!」
思い出したカケル。
「そんな人が使っていた機体が…。」
ヴァルキリーに目をやり、
「何故、ここに…。」
疑問を口にしたヒョウカ。
「そうですね…。」
同じくヴァルキリーに目をやり、
「何かあるのでしょうか?」
疑問を口にしたカケル。
「それに…。」
続け、
「パイロットが【ヒカル】と…。」
視線を移し、
「【カケル】だなんて、名前まで似ている…。」
じっと見つめるヒョウカ。
「いやー。」
軽く、
「考え過ぎだろう。」
口に、
「偶然。偶然。」
出したリクノ。
「この世の中には必然はあっても、偶然は無い…。」
重い口調の、
「って説もありますよ。」
ヒョウカ。
その言葉に、何か作為的なものを感じずにはいられなくなるカケルとリクノ。
そして、沈黙が訪れる。
それを、
「考え過ぎですね。」
ヒョウカの一言が打ち破った。
「ハハハ。」
乾いた笑いで流すカケル。
「そ、そうだな…。」
取り敢えずの同意で流したリクノ。
「帰りましょうか。」
流れそのものを変えたヒョウカ。