fgo/cosmos in the lostbelt 黙示録の銀星   作:虚無の魔術師

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タイトルを変更させて貰いました。詳しくは目次を見てもらえると助かります。


異聞帯の場所はヨーロッパ、詳しく言うとフランスです。


第十節 計画

「──────なるほど、君たちの異聞帯(ロストベルト)は安定しているか。それを聞けて安心したよ」

 

何時もの報告をする七人のクリプターたち。かつては八人だったが、一人はいない。理由は伝えるまでもなかった。

 

 

『今、カルデアを追い込んでる途中だ。しつこく逃げてるだろうが、いずれ捕まえられる。安心せずにいかせてもらう』

 

シュヴァリオンの報告に他の全員が様々な反応を見せる。カドックは俯き、ベリルとペペロンチーノは興味深そうに笑みを浮かべ(一人は怪しいと思うものだが)、ヒナコはどうでも良さそうに本に目を向け、デイビッドは相変わらず平然としており、リーダーのキリシュタリアは感慨深そうにしていた。

 

 

「因みに君の異聞帯(ロストベルト)に使者を送ろうと思うが、構わないだろうか?」

 

『同じ仲間のよしみで本気の忠告だ。────止めといた方がいい。その使者って神霊カイニスだろ。王様とバッタリ遭遇して消しちゃった、とかあったらお前に詫びが出来ない』

 

 

シュヴァリオンはそう言うが言外に告げているのだ、自分の異聞帯の王は負けないと。

 

その発言に嬉しそうに微笑むキリシュタリアにベリルがおちょくるように北欧で死んだオフェリアの話を吹っ掛けてきた。

 

「そうだな。多少失望してるよ。彼女の能力を過大評価してしまった』

 

『ッ!』

 

「北欧は争いのない異聞帯だった。それを治めらなかったとは………」

 

『もういい、止めろ!!』

 

気付いた時、シュヴァリオンはそう怒鳴った。ホログラムの腕が机に叩きつけられ、ダンッッ!!と音が通信越しに響く。映像越しにシュヴァリオンがこの場の全員を睨みつける。

 

 

『──死んだ奴の事を何時までも言ってどうする。俺たちには俺たちのやることがあるはずだ、違うか?』

 

「………確かにその通りだ。すまない」

 

スッと目を伏せたキリシュタリアの謝罪を受け、激情に駆られていたシュヴァリオンが落ち着き始める。自身のした事を理解し、彼は静かに席に着いた。

 

 

『確かに俺も少し荒れてた。だが、オフェリアは死に、北欧は敗れた、それが事実だ。過去の事象に文句をつける程、お前らには時間と余裕はないだろ』

 

『ハハッ!お優しいことだねぇ、友情ってやつか?可愛らしいもんだ!』

 

『よし決めた。異聞帯同士殺しあっていいなら、まずテメェから潰す。総戦力でやるつもりだから覚悟しとけ』

 

煽るベリルにシュヴァリオンはさらっとそう吐き捨てる。無表情を張り付けた顔には微かに怒りが漏れ出していた。

 

一触即発の状況にキリシュタリアが声を掛けようとしたと同時に『とりあえず』とシュヴァリオンは重ねる。

 

 

『カルデアに関しては俺が片付けておく。キリシュタリア、お前は自分の事に集中しとけ。まあ、もし俺が負けたらその時は頼むぜ』

 

そう言い、シュヴァリオンは通信を切る。彼に続くように芥 ヒナコも通信を閉じ、数分後に報告会は終了を迎えた。

 

 

 

はぁ、と頭を掻きむしり、シュヴァリオンは通信用の机と椅子から離れた。

 

 

「お話終わりました?随分ご機嫌ななめのようですけど」

 

息をつく間もなく、スタスタと入ってきた女性がそうシュヴァリオンに声を掛けた。その人物に目を向けたシュヴァリオンは顔を歪め、強く奥歯を噛んだ。

 

 

「…………テメェか、コヤンスカヤ。自由に動いていいって言ったよな、俺は」

 

「ええ、その通りですシュヴァリオン様。だからこそ、私は自由に動かせてもらっていますので、お構い無く~♪」

 

 

露骨な不快感を隠そうとせず、シュヴァリオンは舌打ちを吐き捨てる。その様子を見たコヤンスカヤは普通にしていた。

 

彼はコヤンスカヤが嫌いだった。その傍迷惑さとその性格故に。心底嫌だったが、この異聞帯(ロストベルト)に入れたくないと思うくらいに。

 

 

あぁ、そういえば と陰険な笑みと共にコヤンスカヤは彼の心を抉るような発言をした。

 

「貴方オフェリアさんの友達でしたっけ?だからクリプターの皆さんに彼女の事を話されて苛立ったんでしょう?顔色も変えずに淡々としてたことに」

 

「…………………」ビキッ

 

 

「ベリルさんも言ってましたが、本当に優しいですよねぇ。あの変人のお子───」

 

煽るようなコヤンスカヤの言葉を遮るように、ダァンッ! と銃声が響く。無表情に徹したシュヴァリオンが懐から引き抜いた拳銃を撃った音だった。「そうだ」と撃鉄を倒し、リボルバーを回転させる。

 

煙を吹く銃口を向け、立て続けに言葉を紡いだ。

 

「お前を『槍』の素体にしてやろうか。その方がこれ以上無駄に効率をあげる必要もないし、何より俺の心も痛まない。素晴らしい案だな」

 

「……………その『槍』って何です?この異聞帯(ロストベルト)で何かよく分からないことをしてるのは知ってますが」

 

「『聖書神生』」

 

 

 

 

「ルシファーが俺と契約した理由、キリシュタリアにすら隠してる、この異聞帯(ロストベルト)で起こす大規模な計画だ」

 

「────なるほど、そうですか。では貴方が最近人間たちを集めているのも、それが理由ですか?」

 

「………最近、か」

 

その話を聞いたコヤンスカヤは大したことないと思いながらも、質問した。

 

そんな彼女にシュヴァリオンは顔を見ようとせずに口を開く。

 

「一億五千七百五万千二百六」

 

「……………?それは、どういう」

 

 

「今までその計画の為に注ぎ込まれた人間の数だ」

 

あまりの数と事実に残虐非道と言われるコヤンスカヤですら、言葉を失う。そして、ジト目でシュヴァリオンを見やり、ボソッと呟く。

 

「………私は人間とか嫌いですけど、流石にそれはどうかと思います」

 

「安心しろ、畜生のクソヤロウだという自覚はある。そうまでして俺とルシファーにはやらなきゃならないことがある。

 

 

 

話をすれば、どうやら終わったみたいだな」

 

 

何処か遠くの方角に顔を向けたシュヴァリオンは察したように呟くと、コヤンスカヤに適当に言葉をかける。

 

 

「早くバレないように帰っとけ。アイツがすぐに帰ってきたら、問答無用で消し飛ばされかねないから」

 

「えぇ………そこまでやります?………いや、やりますね。あの王様私が見てきた中でもダントツの神嫌いですから、私とか同じ空間にいるだけで不愉快とか言われて殺されかねませんし」

 

 

それでは失礼。そう言い、そそくさと何処かへと向かっていくコヤンスカヤを見送り、溜まりに溜まったストレス故にかため息と共に椅子に座り込む。

 

 

そして、

 

 

「何をしてる?出てくるなら来いよ」

 

誰もいなくなった空間に呼び掛けた。無論、返事が返ってくる筈がない。

 

代わりに、物音を立てずに『彼女』は現れた。

 

 

 

異星の巫女と言われていた謎の存在。『異星の神』に従う者。キリシュタリアを含むクリプターの全員が彼女の正体を知らない生命体。

 

否、たった一人を除けば。

 

「─────」

 

「………そんなこと、俺に聞くなよ」

 

聞こえない筈の巫女の声に呆れたように答える。誰にも、異星の神の使者であるコヤンスカヤたちにも理解できないその声を、シュヴァリオンは確かに聞いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天使。

 

それは神の道具である御使い。神を信仰する人々を魔法とも魔術とも言えない力、奇跡を使う感情のない存在。本質的には北欧のワルキューレと似ている、最も同じように設計されているのかよく分からないのだが。

 

その中に、一人の天使がいた。

彼は天使たちの長であった、誰よりも父である神に従い、誰よりも天使たちに憧れられ、誰よりも誇り高く、誰よりも正義に徹し────誰よりも人を愛していた。

 

かつては、自分たちのような力を持たず数十年で死ぬような短命な生き物という合理的な判断があったのだが、それは変わっていった。

 

だが、その在り方を見た彼は人を心から愛するようになっていった。

 

 

 

 

 

 

 

「…………………大したことないのだな、女神も」

 

巨大な大穴となった女神ティアマトの拠点を見下ろし、堕天使の王は深い息を吐いた。

 

 

ルシファーの放った破壊の一撃を受け、女神ティアマトの霊基は消失した。近くにいた木偶人形は生き延びたかもしれないが、興味の無いことだと断じたルシファーは後ろを向き、高速の勢いで移動する。

 

そして、『それら』が目に見える所まで近づくとピタリと動きを止め、辺りを確認した。

 

そして、邪悪そうに微笑む。

 

「フム、あとはこれだけだな」

 

バサッ!と、ルシファーの背中の翼が大きく広げられる。天輪のような円を中心に広がる黒い翼、先の部分が別れ解離していく。育っていく樹の枝のように、細かく。

 

「─────さぁ、始めるとしよう」

 

 

何百にも分裂した闇の刃は折れ曲がりながら、地上に殺到する。正確には、何も知らずに一時期の平和を謳歌している人々の集落に。

 

 

 

 

 

 

 

 

立夏とマシュが目的の集落に着いた時、そこはもう手遅れだった。

 

「………全滅です、生存者は誰一人もいません」

 

静かにシャドウ・ボーダーへの報告を済ませたマシュはその集落に目を向ける。

 

住人と思われる人々が逃げるような姿勢のまま氷漬けにされ、武装している人は体を何かで斬られたような傷をつけた状態で凍っていた。

 

 

「酷い…………子供や老人、赤ん坊まで」

 

凄惨とは言えない地獄に立夏は戦慄する。今まで多くの惨劇を見てきた彼だが、何時見ても慣れるわけがなかった。

 

 

『二人の報告と映像を確認した結果、少しだけ分かったことがある』

 

 

『全員が同じ状態で死んでいる。それだけではなく、激しい戦闘の跡は少しもない。何より、武器を持っている者がいる以上、それくらいは出来る時間があった。つまり、相手はたった一人。だが、これほどの事を出来る存在は──やはりサーヴァントだろう』

 

 

 

 

『えぇい、決まっている!英雄シグルドと我々が出会わないように、口封じをしたのだ!それ以外、このような真似をする理由はないだろう!?』

 

『確かにそう考えるのは妥当だろう。だが、おかしいと思わないかな?』

 

的を射たと思うゴルドルフ新所長の発言に、ホームズは肯定しながらも疑問を示した。

 

『対面して分かったが、シュヴァリオンは魔術師として冷酷に行動している。それなら調べに来た我々を住人ごと殲滅すれば効率がいい。なのに、何故そうしなかった?』

 

その意見を聞き、立夏は深く考え始めた。

 

………つまり、自分たちの排除だけが目的ではない………他に別の事項がある。この異聞帯(ロストベルト)を終わらせようとする自分たち、カルデアをも軽視するほどの目的が────

 

 

『あーっ、取り込み中だと思うけど失礼。割と緊急事態だ!』

 

そんな考えを遮るかのような叫びが通信に響いてくる。シャドウ・ボーダーを操縦するダ・ヴィンチのものだった。そんな彼女は衝撃的な事実を言葉にした。

 

 

『サーヴァントの反応………いや違う。膨大な魔力反応!?とてつもないくらいに大きい、聖杯並みだ!三つくらいは確認できる!その二つが同じ場所にいる─────不味い!彼らが、解放軍が何者かに襲撃を受けてる!』

 

 

 

 

 

 

 

 

炎に呑み込まれた拠点を横目に、ジャック総長は敵の前に立っていた。剣の束を強く握り、相対する人物を睨む。

 

 

穏やかな微笑みを浮かべる女性。だが、彼女こそがこの地獄を作り出した者だった。

 

 

──あれは格上の存在だ、自分のような英霊では勝てない。

 

冷静に指摘する心に従うように体が震えている。上位の存在への恐怖。人間なら押し潰されかねないモノ。

 

それを理解しながら、自らを叱咤するように彼は吼えた。

 

「総員!!住人の避難を最優先!だが精鋭たちは残り、私に続け────奴を止める!!」

 

 

「「「「「ハッ!!」」」」」

 

 

多くの兵士たちが避難の援助に迎い、その場に残った五人がセイバーに従い、『烈火』のランサーを囲むように並ぶ。

 

 

「宝具発動!『立ち上がれ、聖騎士たち(アルカナス・テンプル・ナイツ)』」

 

そう叫んだセイバーが長剣を空に向けて掲げる。同じように五人が剣を構える。

 

直後彼らが光に包まれ、その姿を変化させた。バケツのような冑、赤色の十字が記された盾と長剣、軽めの鎧を着込んだ中世騎士に。

 

 

「…………勇敢ですね、なんて愛おしいのでしょう」

 

物静かに、女性は感心したようにそう呟いた。大槍を握る手に力を入れ、誰に向けるものか分からない声量で更に続ける。

 

「でも燃やしてしまいます。それがマスターから与えられた、第三の騎士の使命ですから」

 

片目から、蒼の炎が吹き出る。彼女が今まで放ち、今この世界を燃やし続ける深紅の炎とは真逆の炎が。

 

全てを灰燼と化す煉獄を前に、騎士団長は聖騎士たちを連れ─────疾駆した。

 

 

 

 

 

「…………」

 

ライダーは弓を構え、目の前の敵を睨んでいた。

 

 

相対するのは、圧倒的な軍団。

 

複数の装備を身に纏い、横に並ぶ巨大な戦象たち。その中で、一際大きい象の上に男は立っていた。

 

両腕を組み彼女を見下ろすその姿は傲岸不遜と言えるような態度を見せている。

 

 

「ハ、ハハハハハッ!多勢に無勢とはこの事だ!だが、貴様は違うな女戦士よ!」

 

ライダーは油断をせずに、男の話を聞いていた。少しでも隙があれば何時でも狙えるように。

 

だが、相手である敵のライダーは腕を組み此方を見下ろすだけ。あまりにも隙がありすぎるその姿にライダーは警戒を消しきることはなかった。

 

相手も同じ、なのだから。

 

「我輩も貴様のような強き戦士と出会うことは奇跡の賜物だ。どうだ?我輩と共に、忌々しい大国に一泡吹かせてみたくはないか?」

 

 

その発言は、些細なものだった。敵にとっては純粋に仲間につけたいと思っただけなのかもしれない。納得できるものだ、彼女のいた時代も似たようなものだから。

 

だが、それは彼女にとって嘗められていると思うには充分だった。

 

「我が名はヒッポリュテ!戦神アレスとアルテミスの巫女たるオトレーレの間に生まれし子。誇り高きアマゾネスの戦士長、貴様のような者に従うつもりはない!!」

 

その場の勢いで、自らの真名を明かしたライダー、ヒッポリュテに敵のライダーは固まっていた。やってしまったと後悔するヒッポリュテだったが、

 

 

「──ガハハハッ!偉大なる神々の時代を生きた戦士、その長、つまり先輩か!ならば先程の発言は全て謝罪しよう!そして、我輩も名乗らねば恥であるな!?あるだろう!!」

 

男は戦象の頭に脚を掛け、高笑いに続く勢いで捲し立てる。相手の返事も聞こうとしない様子で男は大声で自分の真名を名乗った。

 

 

 

「我輩はハンニバル、ハンニバル・バルカ!第二の騎士、『雷光』の名を与えられた者!大国ローマを打ち倒す大将軍であるッ!!」

 

 

ハンニバル・バルカ。カルタゴの将軍であり、最強とされていたローマ帝国を圧倒し、破滅の一歩まで追い込んだカルタゴの司令官。歴代の中でもローマ史上最強の敵。

 

 

 

 

 

「それで、もう一つの反応は何処ですか!?」

 

『君たちのいる集落からだ!その集落を襲ったサーヴァントはまだ移動してない、待ってたんだ!立夏くんたちがそこに来るのを───』

 

「その通り、貴様らを待っていた」

 

声が重なった途端、ブツッ!!と通信が切れる。気付いた時、周りは銀氷に包まれていた。つんざくような風が雪と氷を連れ、その場を変化させていく。

 

 

絶対零度を越える世界に、一人の騎士が立っていた。

 

 

藍色の長剣を右手に、同じく藍色の盾を左手に所持し、彼は静かに歩みを進める。その身から発される、ただならぬ冷気と重い覇気を肌に感じ、立夏とマシュは後ずさった。

 

 

思い出したのだ、かつてカルデアを氷漬けにした皇女の冷気を。だが、今受けた冷気は彼女のとは別格。その場にいる植物が朽ち果て、近くに住み着いていた生き物たちが動く間もなく生き絶える。全ての生命を死滅させ、空気すらも凍えさせる死の冷気。

 

 

 

ふと、騎士の鎧の隙間に光が籠る。直後、駆動音と共に兜が二つに割れ、鎧の中へと仕舞い込まれる。

 

見覚えのある金髪を揺らし、二人を前にした騎士は翡翠色の眼を開き、堂々と自らの正体を口にした。

 

 

「我が名はアーサー・ペンドラゴン。『氷結』と『勝利』を冠する者。そして、貴様らカルデアを殲滅する為に派遣された第一の騎士だ」




三騎士


『烈火』のランサー 真名 不明

権能:『灼熱業火』

効果、自身を含む範囲内に魔術の加護を無効化する炎を発生させる。その他の効果はまだ未判明。


『雷光』のライダー 真名 ハンニバル・バルカ

権能:『極雷神光』

効果、不明。


『氷結』のセイバー 真名 アーサー・ペンドラゴン

権能:『絶対凍結』

効果、零度から絶対零度までの冷気を操ることが出来る。


ゲームでは、1ターンずつ発動。自身に防御&通常ダウン付与の通常攻撃付与、相手にBuster、Arts、Quickをダウン。

番外編の内容

  • カルデアでの生存編(ストーリー)
  • ↑上記と同じ(サーヴァントとの日常)
  • アポクリファ編
  • プリズマイリヤ編
  • 何でもいい、作者の好きなのでいいよ。
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