fgo/cosmos in the lostbelt 黙示録の銀星   作:虚無の魔術師

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まずは皆様に謝罪をさせていただきます。


前回からの投稿期間が数ヶ月も空いてしまい、申し訳ありませんでした!!

これからは少しずつでも投稿していくので、どうかよろしくお願いします!!



後評価や感想を送ってくれると嬉し(調子乗るな)


第十二節 騎士と騎士

辺りを、炎が焼き尽くす。赤い炎が全てを破壊して。煉獄というべき世界の中央で二つの影があった。

 

一つはこの地獄を生み出した『烈火』のランサー。

 

 

そして一つは、彼女により胴体を貫かれたセイバーのサーヴァント、ジャック・ド・モレー。

 

 

 

「総長ォォォォォーーーーーーッ!!!」

 

宝具により生み出された聖騎士、彼の下で戦っていた解放軍の戦士たちが絶叫した。

 

怒りが思考の中で激しく炸裂する。限界だ、今この場の全員で飛び掛かりそうになる。が、誰もしなかった。

 

ある事に、意識が向いたのだ。

 

 

「────あぁ、困ります」

 

彼女の手にする槍が抜けなかった。自身の力を少し込めても、槍はびくともしない。

 

それは、大槍と彼女の手首を掴む手があったからだ。

 

 

「…………霊核を破壊された?霊基を砕かれた?普通のサーヴァントなら消滅する、だと?」

 

震える声が聞こえた。声は槍で貫いた男のものだった。血を吐きながら、ジャック総長は口を開く。

 

「だから、どうした」

 

「………」

 

「そんなもの、言い訳にしかならない。私の知る英雄たちは!そんな道理で朽ちるほど凡庸ではないのだ!!」

 

瀕死でありながら、ジャック総長はまだ折れてない。

 

ランサーは無言で力強く槍を引っ張る。胸元から槍が抜け、大量の血が噴き出す。

 

 

彼女は追撃をしない。そのまま跳躍し、ジャック総長なから距離を取ったのだ。それを視認した総長はニヤリと笑い、ランサーを睨み付けた。

 

「貴殿の真名も理解したぞ───戦乙女(ブリュンヒルデ)

 

「…………」

 

『烈火』のランサーは首を向けた。だが、ギチギチと首だけを動かすという不気味な動作をする姿に恐怖すら覚える。

 

否定をしない、沈黙を貫いていた。

 

その沈黙こそが、肯定を示していた。胸に開けられた穴を気にせず、立ち上がったジャック総長は強く奥歯を噛み締める。

 

言いたい事は、まだあったのだ。

 

「だが、理解できないところがある。その炎だ!」

 

「────」

 

「人の身、いやサーヴァントであろうと殺せる力を持つ炎。それが貴殿のものだとは思えない…………その身に宿す炎は何のものだ!!?」

 

彼女は、それにも答えない。ピッ! と矛先の血を払いながら、ジャック総長と相対する。

 

気のせいか、辺りを焼き尽くす炎が形を変える。その形を、聖騎士たちは──────いや誰よりも、ジャック総長は見たことがあった。

 

自らが信じてきた宗教に記されてた高位の存在と、その炎に覆われたランサーが重なったように見えた。

 

 

 

 

 

かつてギリシャいた当時、名高い大英雄によって殺されたアマゾネスの戦士長 ヒッポリュテ。

 

彼女は圧倒的な戦力差を前に、拳を握り締める。

 

 

敵はサーヴァント、今まで多くの人々を苦しめてきた元凶に従う者。

 

 

 

「クハハ!!休みはこれで終わりだ────やれ」

 

 

三十もの象から複数の砲撃が放たれる。激しい弾幕を避けながら、ヒッポリュテは弓に三本の矢をつがえ、砲弾をぶち抜く。

 

致命傷となる砲撃だけを迎撃し、他全ての弾幕はその身で受けることにした。

 

「ハッ!勘の鋭いな、これならどうだ?」

 

指を鳴らす音と同時に戦象たちの一部がヒッポリュテの視界から消える。消滅させた、と思った途端彼女の目の前に巨大な砲弾が炸裂する。

 

 

「我輩の宝具、『轟け、雷光の装甲象(サーティーズ・ロッカー)』を貴様に突破できるか?いや、不可能だがな!!」

 

爆発の煙から飛び出したヒッポリュテはすぐさま矢をハンニバルに向けて放った。しかし、ハンニバルは笑いながらそれを雷を纏った拳で掴み、握り潰した。

 

 

戦象の数が減ったと同時に砲撃の威力と速度が上がった。ヒッポリュテは戦いの中で推測する。

 

更にまた砲撃が響く。ヒッポリュテは先程と同じようにならないように回避する。

 

「………?」

 

そこで違和感に気付く。威力と速度が、さっきの砲撃よりも弱まってる事に。普通なら気付くことが出来ないが、ヒッポリュテは目にした。

 

 

 

全方位から放たれた砲弾の数々を。そこで、自らの失点を理解する。回避した直後、それなのに沢山の砲弾を避けきることなど不可能だ。

 

そこで彼女は振り上げた拳を自身の体に叩きつけた。ドバンッ!!と大砲のような勢いで彼女は地面に激突する。

 

激痛に顔を歪めながら、彼女は周りを見渡す。そこでようやく、無数の弾幕の理由を読めた。

 

 

 

彼女を中点として、戦象たちは円を描いていたのだ。僅かな距離を置いて、ヒッポリュテを囲むように。消滅していた筈の戦象たちもいた。

 

「包囲殲滅戦、我輩の得意とする戦術さ!最も、敵は貴様一人だけだがな!!」

 

…………そういうことか。

憶測だが、ヒッポリュテは何が起きたのかを考える。最初、数体の戦象たちを消したのは他の戦象たちのスペックを高める為だと思っていた。

 

 

間違いではない、一つを除けば。

消したのは彼女を仕留める為ではあるが、戦象たちを強くするだけではない。

 

ヒッポリュテを戦象たちに囲ませて、集中放火をしようとしていたのだ。

 

 

「こんなものでは、我が第2の宝具の使用は出来んな!だが我輩は信じてるさ!お前という英雄は、我輩に挑むべき資格の持つ英雄だと!!」

 

ハンニバルは笑い、脚をズドン! と叩きつける。象たちの咆哮が木霊し、激しい不協和音を轟かせる。

 

ヒッポリュテが動き出す直後、無数の砲撃が炸裂した。

 

 

 

 

 

『氷結』の騎士 アーサーと外套の騎士 ロジェロがぶつかり合う。剣戟と共に、身を貫くような冷気と翡翠の粒子が辺りに散る。

 

 

「フン」

 

距離を置いたアーサーの剣から蒼い光が輝く。宝具発動の予兆、膨大な魔力を収束している証拠。

 

 

「『防御破りの光魔剣《ベルサリダ》』!!」

 

しかし、ロジェロは翡翠色に煌めく魔剣を振るう。一瞬にして放たれる極光を切り裂き、その奥のアーサーの鎧を光の斬撃が掠る。

 

直後、淡い光が散ると同時に傷の場所の鎧が消失した。

 

「…………なるほど、流石はセイバーを名乗るだけはある。見事、と素直に称賛しよう」

 

冷静な言葉とは裏腹に顔を歪ませ、アーサーは氷の剣を突き立てようと向ける。マントをアーサーに投げ飛ばし、反撃に移ろうとするロジェロ。

 

「が、残念だな。狙いが読めてる」

 

結局、『氷結』のセイバー アーサーの方が上手(うわて)と言えた。

 

藍色の大盾を横に構え、先端をロジェロの顔面に叩き込む。勢いよく顔を殴られたロジェロの体は宙に舞い、吹き飛ばされた。

 

 

「流石は最優のクラスを授かるだけではある。宝具を使用すらしてないのに、私を追い詰めるとは」

 

アーサーはそう呟き、彼が名乗ったロジェロという名を思い出す。記憶上に一致する名前があったのだ。

 

 

確か、凡人類史にてあった歴史、フランス地にいた王に支えた騎士たち、名をシュルルマーニュ十二勇士。

 

 

彼等の敵として現れ、とある女騎士と恋仲に落ち、その後亡くなったという不運の騎士。

 

 

何と言う偶然だ、とアーサーは思う。(マスター)がいれば、心から面白がっただろう。

 

しかし、あの十二勇士と渡り合った騎士だ。パスも無しに自分と渡り合うその実力は見逃せない。

 

 

「だからこそ、危険と判断した。芽は排除しておくに足ると、マスターから言われているからな」

 

今までと同じような動作をする。長剣から膨大な青が魔力となって収束する。

 

今度は避けることさせない、一撃で終わらせる。

 

 

「───『氷華纏いし──」

 

「それで連続何発かな?」

 

魔力の奔流が放たれそうな直前、顔を上げたロジェロはあっさりとそう言った。まるでダメージなど無かった、というように。

 

 

「────ッ!?」

 

予測できなかった事に戸惑いを見せ、詠唱が止まる。しかし、アーサーはすぐさま魔力を込める。至近距離からの一撃、避けられる筈がないし即死は免れない。

 

そう思い勝ち誇った矢先、

 

 

 

ガクンッ!と藍色の剣から光が消失した。

 

 

「───な、にっ!?」

 

驚愕の声をあげるアーサーにも変化が生じる。目に見えて膝をついたのだ。氷で出来たと思われる半透明な鎧が少しずつ分解されていく。

 

「馬鹿なッ!?魔力はまだ充分にある筈………それなのに、何が……………ッ!」

 

「俺は騎士道を誇ってるんでね、分かりやすくタネを教えようか」

 

クルクルと光の剣を回しながら、ロジェロは前髪を弄る。嘗められたと思えそうな態度にアーサーは歯噛みするしかない。

 

 

自分がミスを犯した事を悟ったから、ロジェロの口から語れる言葉に反論することが出来なかった。

 

「オーバーヒート、それがアンタの気にかけてなかった失態だ」

 

オーバーヒート、その単語に立夏とマシュはすぐに気付いた。

 

「あまりにも熱すぎることを言うらしいけど、サーヴァントだってそれくらいなるんじゃないか?普通の魔術師なら即死くらいの魔力をポンポン連続で撃てばさぁ………、

 

 

 

容量(霊基)がどうなるかな?」

 

それが、アーサーに起きた異変の正体だった。あまりにも大量の魔力を消費した。それ自体は問題ではない。だが、連続で消費したことにより霊基にダメージが入ったのだ。

 

 

「どれだけ強力なサーヴァントでも、そんなのに耐えきれないよな?」

 

「き、貴様ァ…………!」

 

地面に剣を突き刺し此方を睨む騎士が、殺意の声を吐く。必死に立ち上がろうとするが、身体の限界が近いのか、上手く動けない。

 

 

 

ピシッ!

 

顔を覆った騎士の頬からそんな音と共に純白の破片が零れ落ちる。

 

色白い肌の奥に────もう一つの肌が見えた。

 

「───え?」

 

「肌が………」

 

その事にマシュと立夏は驚き、目を見開く。ロジェロはそれを見るや否や、顔をしかめる。

 

悠然としていた青年騎士が見せるにしてはあまりにも、怒りを含んだ色があったのだ。

 

「………なるほど、そうことか」

 

剣をついたアーサーが起き上がる。いや、最早アーサーではないのかもしれない。しかし、それを確かめる方法はない。

 

騎士の姿を操っていた謎の存在。彼は大量の魔力を放出しながら、藍色の聖剣を向けた。

 

 

「貴様ごときに話すのならここで朽ちるのを選ぶ。勿論、貴様らもろともだ」

 

冷気に似た魔力をその身から溢れさせる『氷結』の騎士。しかし、それでは崩壊が促進されるだけだった。そして、崩壊が頬全を包み込み、新たな肌を露出させていく。

 

 

 

 

『────三騎士に告ぐ』

 

その途中で、この場にいた三騎士が反応した。

 

 

 

 

「─────マスター?」

 

 

『烈火』のランサーが上空を見上げる。体を覆う炎と妄執の熱から解放された彼女は槍をも下ろす。

 

直後、カチリと。

 

無機質な、感情を表さない瞳に切り替わる。それを見た聖騎士たちはゾッとした。その姿が、まるで人形のように見えたから。

 

そして、彼女の姿が消え去る。青い粒子のように分解されて。

 

 

 

 

「───チッ、潮時か。もう少し楽しめたのにな」

 

 

『雷光』のライダー、ハンニバルが舌打ちをする。戦象たちを後ろへと下げ、不満そうに空を見上げた。

 

しかし、目を反らし視線をヒッポリュテに向ける。彼女に指を差し、興奮しきった様子で告げる。

 

「戦士長!貴様の実力は興味がある!死ぬなよ!?我輩の配下として誘いたいからな!!」

 

それだけ言うとハンニバルは背を向ける。それらの発言が、捨て台詞のようになっているが、彼は気にしないだろう。

 

その体が粒子へと分解され、巨大な象たちと共に姿を消した。

 

 

「……………クッ」

 

悔しそうに歯噛みし、ヒッポリュテは地面を殴り付ける。ビシビシッと大きな亀裂が出来るが、ヒッポリュテは何も言わない。何も言うことが、出来なかった。

 

 

 

 

 

「マスター?……………了解」

 

 

『氷結』のセイバー、アーサーはそれだけ言って、動きを止めた。ただならぬ魔力の放出を停止させ、あらぬ声に耳を傾けていたのだ。

 

隙を付くことなど出来ない、もし動けばだらんと下げられた剣を使って襲い掛かってくるだろう。

 

警戒している三人を他所にアーサーは溜め息を漏らす。クルリと後ろを向け、歩みを進めた。

 

誰が見ても、撤退するとしか思えない行動だった。

 

それを見咎めたかのようにロジェロは呆れたように嘯く。

 

「撤退するのか?さっきまで偉そうに気取ってたのに」

 

「抜かせ、三流サーヴァント。主の命令を優先するが私の役目だ。

 

 

 

それに、この外装(・・・・)も棄てなければならないようだしな」

 

 

ボロボロと崩れる顔に意識を向けたアーサーは盾を地面に起き、下げたフェイスマスクで隠した。崩壊が、目元までいくかという程だった。

 

 

刹那、アーサーの姿は跡形もなく消え去った。この場に激しい静寂が数秒間続いた。

 

 

 

 

 

 

『劣火』のランサーが姿を消すと同時に、ジャック総長はそのまま地面に倒れ込んだ。気力が尽きた、とそれだけ聞いていたら他の人間は思うだろう。しかしそれよりもタチが悪い。

 

何故なら、胴体を貫いた炎の槍により心臓を含む肉が抉られたから。サーヴァントにとっても重要な霊基も、それによって破壊されていたのだ。

 

 

「───総長!起きてください総長!」

 

駆け寄ってきた五人が必死に呼び掛ける。ジャック総長の宝具により、それぞれの聖騎士としての姿をした男女。彼が選抜した解放軍のエリートたち。

 

ジャック総長は弱りきった声音で、彼等に聞いた。

 

「………敵は、どうした?」

 

「撤退しました!貴方のお陰です、総長!早く此方へ、一刻も早く避難を。そして休んでください!」

 

「それは………無理だな」

 

部下たちの手を払い、ジャック総長は上半身だけを上げる。大きく空いた胸の穴から血が出る事はない、既に傷口を焼き払われたから。

 

 

「私は………ここで、死ぬ。それは、覆らない」

 

「何を言うのですか総長!」

 

「貴方は我々解放軍の指導者です!貴方には迷える人々を救済するという使命があるのではないのですか!?」

 

女性の声、渋い男の声がジャックの鼓膜を叩く。もう何も見えない、視界がぼやけていたのだ。

 

彼等の言葉に、総長は困ったように笑う。敗者は倒れるのが運命、出来ることは限られてる。

 

私はそれをするだけだ、と総長は己の決意を固める。

 

 

「──私の宝具、その姿は………私が消えても、受け継がれる。…………最後のマスター、藤丸立夏への助力してくれ」

 

 

 

 

「さらばだ、運命に抗う人間たちよ」

 

震える手で、十字を示す。目を開ききった聖騎士たちに向けて、死に体の総長は最後の言葉を遺した。

 

 

「天上で………同胞たちと共に、見守っているぞ」

 

 

 

ジャック・ド・モレー、この解放軍を指揮したセイバーのサーヴァント。

 

消えぬ炎にその身を焼かれながら、彼の聖騎士は願っていた。叶わぬ願いだとしても、必死に祈っていた。

 

 

────父よ、どうか彼等に奇跡が在らんことを。

 

この世界の救済の為に。悲劇で苦しむ人々の為に。そして不条理な運命に抗ってきた、これらかも抗う事だろうカルデアとそのマスターたちに。

 

皮肉にも、彼の死に様は────伝承とそっくりだった。火刑に処された生前の最後と。違うことがあるとすれば一つ。

 

 

彼の願いが、自分達を陥れた者たちへの憎悪の呪いではなく、今もなお戦おうとする者たちへの祝福の祈りだったのだから。

 

 

 

 

 

 

 

空高く浮かぶ居城、その最新部。

 

 

工房と思わしき部屋の中でシュヴァリオンは道具の一つを手に取っていた。机に置かれた特別な材質で出来たと思われる剣。それを前に空いた片腕で近くの棒を動かす。

 

真上にあった機械の一部、噴射口から放たれた炎が剣を熱し始める。青色という凄まじい高温のそれは剣の色を煌々とした赤へと変えていく。

 

手を離して火を止め、熱を帯びた剣を空気で冷やす。

 

 

「────『氷結』又の名を勝利の騎士、『雷光』又の名を戦争の騎士、『烈火』又の名を天秤、飢餓の騎士」

 

 

アーサー、ハンニバル、ブリュンヒルデ。彼が従えるサーヴァントたちの別の呼称。しかし、彼からすればそれ自体鼻で笑う案件だろう。それだけの英霊だからという理由で、三騎士と名乗らせた訳ではないのだから

 

 

もう一つのレバーを動かし、機械が白い煙を吐いて、剣を凍えさせた。鉄のハンマーを手で回しながら、シュヴァリオンは呆れたように呟いた。

 

 

「聖書に記された神の騎士、後一人足りないのが困った話だ。…………まぁ、補充すればいいことか」

 

自身の口からの言葉についつい笑ってしまう。サーヴァントの召喚は色々と魔力を使うので遠慮はしたいと思っている。当たりが出るかも分からない、ガチャみたいなものだ、触媒も無しに強力なサーヴァントを呼べるとは思えない。

 

 

「カルデアも利用は出来るが、シャーロック・ホームズがいるのは厄介だ。俺の『計画』に気付く可能性がある、早めに消しておくべきか?」

 

冷気が収まり、完全に冷えた剣の窪みに宝玉を設置する。その宝玉に向かってハンマーを叩きつける。カァン!と音がなり、宝玉が更に嵌め込まれたと同時に剣に閃光のラインが走る。

 

そんな彼の独り言と思わしき言葉に答える声が、一つあった。

 

 

 

『自己演算────完了、サーヴァント 《シャーロック・ホームズ》が「プラン」に気付く可能性は、95.4%───確率は高いです。気付かれる事を想定した「プラン」に移りますか?』

 

「お前に任せる。もしホームズが気付いた場合、『プラン』を別に乗り換えられるか?」

 

『最低でも、これからのルートの一部は妨害不可領域です。ここで処理をすれば、深刻な損害(バグ)が発生する可能性が』

 

声の主は、エイワス。

機械的な女性の声音がスラスラと難しい言葉を口にしていく。シュヴァリオンはそれを聞き流すのではなく、内容だけを読み取った。

 

ハンマーから手を離し、真上の機械を操り複数のアームを動かす。自動的に進められている作業を確認し、そのまま工房の部屋から立ち去った。

 

 

無機質に作られた廊下を歩きながら、彼は『エイワス』に質問する。

 

「今から各プランの確認に移る………空想樹は?」

 

『今の所、最高度の隠蔽、適度のエネルギーが供給されてます。覚醒までの養分も保存中』

 

「霊脈と他のサーヴァント」

 

『全て三騎士とルシファー様、リリス様を筆頭に排除しました。逃したサーヴァントの数名がカルデアと接触を図ろうと────』

 

「残念だが、もう図ったみたいだな………『神機兵』」

 

原点系統(プロトシリーズ)の調整・改良を施した事により、強化されたシリーズ、新世代型も装甲は完成しました。後はシステムを組み換えれば実戦に投入できます』

 

「そうか、最後は主要プラン『聖書神生』」

 

『本プランに必要なエネルギーは基本的に順調。後必要なものは、神との同調と思われます。………実行しますか?』

 

いや、まだ待てと口にするとそれ以上は声が響かなくなった。自らの仕事に取り組み始めたのだが、理解したと同時にシュヴァリオンは特別な部屋に入り、足を止める。

 

 

「─────後少しだな」

 

言葉と共に、懐のコートからあるものを取り出す。鎖の先についた、赤、青、白、黒、そして金という五つ色をした鍵の付いたペンダント。

 

 

「力をくれ、お前ら」

 

ギュッと五つの鍵を握ると、自然と力が湧いてくる。これがあったからこそ、シュヴァリオンはここまでやってこれた。

 

そして、これからも進み続ける。

 

 

視線の先には、巨大な球体があった。太い金具で空中に固定され、長いホースのようなものが複数も嵌め込まれている。

 

 

ドクン…………ドクン…………と心臓のように胎動する球体。中に、胎児が眠っているかのように振動する。

 

 

………中にいるのは、赤ん坊などと比べられないな、とシュヴァリオンは困ったように笑う。そのまま視線を横へと向ける。

 

様々な装置の横に、プレートが貼られている。記されてあるのは、単語だった。

 

この部屋の名前ではない、ではあの球体の呼称か………その中にいる存在の名かもしれない。

 

そこには、こうあった。

 

 

 

 

 

──────Yahweh、“ヤハウェ”と。




この小説を評価してくださった、バリトンむふぁささま、疾風の雪さま、マグロォさま、rareさま、むらさき君さま、黒川エレンさま、MinorNoviceさま、ぼるてるさま、ポチ&タマさま、栗鼠科さま、ハーフシャフトさま。

そしてお気に入りしていただいてる、

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この小説をここまでの方が愛読してくれるという事実に、感謝と喜びしかありません。


これからもこの小説は努力して進めていくので、是非ともよろしくお願いします。

番外編の内容

  • カルデアでの生存編(ストーリー)
  • ↑上記と同じ(サーヴァントとの日常)
  • アポクリファ編
  • プリズマイリヤ編
  • 何でもいい、作者の好きなのでいいよ。

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