クズなフータロー君と恋に溺れる五つ子の日常   作:やマッチ

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アニメがいきなり作画レベル上がってて笑った。最初からそれでやってくれれば……一花さんの夏祭りシーンだけ円盤で修正してくれないかな。



第十二話 : 五つ子の姉妹達は、それぞれの想いを胸に試験に臨む。

 

 普段は騒がしい校内もその日は静けさに包まれていた。そう、今日は期末試験の日。教室で席に座る生徒達は一心不乱に手を動かし、その様子を監督官である教師が見守っている。

 

 そんな中、中野一花は真剣な表情で目の前の問題を解いていた。一時間目は英語の時間。一花にとっては、決して得意とはいえない科目。

 

(絶対に負けられない。そもそもこんな勝負、する方がおかしいんだよ。皆、フータローくんのこと、何にも分かってないんだから)

 

 半年前であれば、さっぱり分からず既に諦めていた問題、もう寝ていた時間。でも今は理解できる、解くことができる。全部、彼に教えられたから。それこそが彼と育んできた絆の証である。

 

(彼は忙しいんだから、迷惑かけちゃ駄目なの。だから私が勝って、フータローくんの負担を少しでも軽くしてあげなきゃ…………それに、フータローくんの期待に応える為にも、ね)

 

一花が思いだすのは、数日前に交わした彼とのやり取り。

 

 

『一花、あまり無理しなくていいからな。普通にしてれば赤点は回避できるんだ。お前はただでさえ、仕事で忙しいんだから、これ以上睡眠時間削って勉強する必要なんか……』

『大丈夫だよ、フータローくん。私、やればできる子なんだから。流石に全教科トップは無理だけど、二、三教科に絞って勉強すれば十分狙えるよ』

『…………一花』

『それに負けたくないの………特に二乃には絶対に』

『…………一花、これ使ってくれ』

『え、何、これ?』

『英語のテスト対策をまとめた資料だ。これで勉強すれば、英語はかなりの点を取れる筈だ』

『ふ、フータローくん!…………これ、私の為に用意してくれたの?…………もしかして、今日疲れた表情してるのって、これを夜遅くまで作ってたから!?』

『皆には内緒だぞ?……一花だけの特別なものだ』

『う、うん!嬉しい、私、絶対に負けないから!』

『ああ、期待してるよ、一花』

 

 

(フータローくんがわざわざ、私の為だけに用意してくれたんだもん。絶対に無駄にはさせないよ……………そう、私は彼の『特別』なんだから)

 

一花はすらすらと問題を解く。やっぱりフータローくんは凄い。フータローくんからもらった資料で、テスト問題がほぼカバーできている。これなら、英語が得意な二乃にも勝てる。

 

(私が得意な数学とフータローくんが用意してくれた資料のおかげで英語のトップは狙える。二科目でもいけるだろうけど、万が一を考えて、過半数とるのがベストだね。なら、狙い目は一番トップの難易度低そうな四葉が得意な国語……これで三科目トップだから、私の勝ちだよ)

 

勝利を確信する一花。と、そこでふと気づいた。私が勝った場合、プレゼントはどうなるのだろう、と。

 

(……そういえば私がトップだったら、どうなるんだろう…………フータローくんからのプレゼントなんて………………も、もしかして、指輪とか!?)

 

思い付いた考えに、問題を解く手が止まる。

 

(も、もう、駄目だよフータローくん。私達、まだ学生だし、未成年だし。それにまだ私、フータローくんを養えるくらいお金稼いでないんだから、まだ早いよ………………あ、でもとりあえず婚約したことにして、隠しておけばいいのかな?………………フフフ)

 

 試験後の幸せな未来予想図を想像し、ニヤける一花。だから気がつかなかった。監督官である英語の教師が、突然ニヤけだした一花を怪訝な様子で見ていたことを。

 

 

 

 

    ○

 

 

 

 

 中野二乃は真剣な表情で目の前の問題を解いていた。二時間目は社会。二乃にとっては、決して得意とはいえない科目。たが、今回は違う。

 

二乃が思いだすのは、数日前に交わした彼とのやり取り。

 

 

『二乃、これ使ってくれ』

『え、これって……』

『社会のテスト対策をまとめた資料だ。これで勉強すれば、社会はかなりの点数を取れる筈だ』

『ふ、フー君……もしかして、これ、私の為にわざわざ用意してくれたの? だからそんなに眠たそうな表情しているの?』

『社会は三玖の得意教科だ、前回は八十点近くとってる。それを超えるのは正直厳しいが、お前は頑張ればできる子だ。五つ子の中で一番意思が強いのは二乃、お前だ。お前なら三玖に勝てる……それに、二乃はアルバイト仲間だからな。特別、頑張って欲しい気持ちはある』

『う、うん、わかったわ!……ありがとう、私、絶対に一番取るから!!』

『ああ、期待してるよ、二乃』

 

 

(ふふふ、私だけだなんて、『特別』だなんて……フー君ったら!……もしかしてフー君、もう私のこと好きなんじゃないかしら?……でなきゃ、わざわざあんな資料作らないわよね?)

 

 二乃はすらすらと問題を解く。やっぱりフー君は凄い。フー君からもらった資料で、テスト問題がほぼカバーできている。これなら、社会が得意な三玖にも勝てる。

 

(私が得意な英語とフーくんが用意してくれた資料のおかげで社会のトップは狙える。二科目でもいけるでしょうけど、万が一を考えて、過半数とるのがベストね。なら、狙い目は一番トップの難易度低そうな四葉が得意な国語……これで三科目トップだから、私の勝ちよ)

 

勝利を確信する二乃。と、そこでふと気づいた。私が勝った場合、プレゼントはどうなるのだろう、と。

 

(……そういえば私がトップだったら、フー君、プレゼント何くれるのかしら……………も、もしかして、ホントにキスとか!?)

 

思い付いた考えに、二乃の問題を解く手が止まる。

 

(も、もう、駄目よフー君。私達、まだ付き合ってないんだし…………あ、でも、もうすぐクリスマスイヴだから、その日にデートして告白して付き合えばいいんじゃないかしら………………フフフ)

 

 試験後の幸せな未来予想図を想像し、ニヤける二乃。だから気がつかなかった。監督官である社会の教師が、突然ニヤけだした二乃を怪訝な様子で見ていたことを。

 

 

 

 

    ○

 

 

 

 

 中野三玖は真剣な表情で目の前の問題を解いていた。三時間目は数学。三玖にとっては、決して得意とはいえない科目。たが、今回は違う。

 

三玖が思いだすのは、数日前に交わした彼とのやり取り。

 

 

『三玖、これを使ってくれ』

『フータロー、何、これ?』

『数学のテスト対策をまとめた資料だ。これで勉強すれば、数学はかなりの点を取れる筈だ』

『ふ、フータロー!?…………これ、私の為に用意してくれたの?…………もしかして、今日疲れた表情してるのって、これを夜遅くまで作ってたから!?』

『皆には内緒だぞ?…………まあ、三玖はお弁当作ってもらったからな。お礼というか、三玖だけの特別なものだ』

『う、うん、ありがとう! 私、絶対に負けないから!』

『ああ、期待してるよ、三玖』

 

 

(フータローがわざわざ、私の為だけに用意してくれた特別なものだから……絶対に無駄にはさせない)

 

 三玖はすらすらと問題を解く。やっぱりフータローは凄い。フータローからもらった資料で、テスト問題がほぼカバーできている。これなら、数学が得意な一花にも勝てる。

 

(私が得意な社会とフータローが用意してくれた資料のおかげで数学のトップは狙える。二科目でもいけると思うけど、万が一を考えて、過半数とるのがベスト。なら、狙い目は一番トップの難易度低そうな四葉が得意な国語……これで三科目トップだから、私の勝ち)

 

 勝利を確信し、思わず顔が綻ぶ三玖。だから気がつかなかった。監督官である数学の教師が、突然笑顔で問題を解きだした三玖を怪訝な様子で見ていたことを。

 

 

 

    ○

 

 

 

 中野五月は目を白黒させながら、目の前の問題を解いていた。四時間目は理科。五月にとっては、一番得意といえる科目。だが今回は違う。

 

五月が思い返すのは、朝のやり取り。

 

 今日に限って時計のアラームが何故か鳴らなかったのだ。そのせいで時間ギリギリに起き、慌てて身支度を整え、朝食を食べようとしたものの、テーブルには何も食べ物はなかった。

 

愕然とした様子の五月に、二乃が声をかける。

 

『朝から勉強していて朝食を作り忘れたから、食べたかったら、各自コンビニで何か買って食べなさい』と。

 

 慌ててコンビニに向かおうとするも、既に時間的にそんな余裕はなくなっていた。そして何も食べないまま、今に至っている。

 

(この時間さえ乗りきれば、お昼休みです。そうすれば、何とかなります…け…ど………………も、もう限界です………………お、お腹が空きましたぁ~)

 

 あまりの空腹感に顔がひきつる五月。だから気がつかなかった。監督官である理科の教師が、突然変な顔で問題を解きだした五月を怪訝な様子で見ていたことを。

 

 

 

    ○

 

 

 

 中野四葉は真剣な表情で目の前の問題を解いていた。五時間目は国語。四葉にとって、一番得意な科目。

 

(うーん、この問題難しいなぁ…………全然分からないよ…………よし、迷った時は、四番目を選ぶ、と)

 

 四葉は問題から四番目の選択肢を選び、回答用紙に記入する。その後の問題も全て同じ。分かる問題は間違いがないか丁寧に見直し、分からない問題は、迷った場合は、四番目。それが彼女のやり方、彼女の生き方である。

 

 監督官である国語教師は教室を見渡す。誰もが皆、真剣な表情で問題を解いている。静寂につつまれたクラス、空間。何もおかしなところはない。

 

今日もこのクラスは平穏、平和である。

 

 

 

 

    ○

 

 

 

 テストが終わって数日後の放課後、姉妹達は風太郎と二乃のバイト先であるケーキ屋『revival』に集まっていた。

 

 それぞれが手に持つのは、今日返ってきたテスト用紙。結果が書かれたその紙を持ちながら、彼女達は自信満々な笑みを浮かべる。誰も負けたとは考えていない、そんな表情。

 

「じゃあ、せーので出そっか」

「いいわよ」

「……わかった」

「はい!」

「わかりました」

「…………何か、当事者である俺の存在が忘れられてる気がするな 」

 

意気込む五つ子達を尻目に、風太郎は一つ溜息を吐く。

 

 

「「「「「せーの!」」」」」

 

 

 彼女達は一斉にテスト用紙を取り出した。その瞬間、様々な点数が書かれた紙が、テーブルを埋め尽くす。

 

 

「っ!?」

「嘘!?」

「……え」

「あ」

「そ、そんな」

「……へぇ」

 

 

 その光景を見て、彼女達は一様に驚きの声を上げた。隣で見ていた風太郎もまた驚く。予想もしなかった光景。予想もしなかった勝者。

 

 

勝負の結果は──

 





~試験後の職員室~

英語教師「いやー、私のクラスの中野が、急にニヤニヤしながら問題を解き始めたから驚きましたよ」
社会教師「そういえば、私のクラスの中野もニヤニヤしてたな」
数学教師「私のクラスもです。急に笑顔になってました」
理科教師「私のクラスの中野は、顔ひきつってましたよ」

英語・社会・数学・理科教師「ま、まさか……五つ子のテレパシー能力!!??」

国語「うちのクラスは平和だなー」


冗談です。ごめんなさい。
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