Vocaloid of voices   作:rufus

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やればできたよ!

はいRufusです

無事に十話書けました

てかようやく10話か…

その内超高速で投稿しまくる日が来るかも知れません


第十話 加速

俺は久々に青い空を見た。

いや、青いと言っても今日は雲が多く、青空がその間からちらほら覗いてるだけだった。

それでも青いと思ったのは、俺が最後に見た空が、赤かったからだ。

その時よりは青い。それだけで俺の心は安らいだ。

 

モノレールがやってきた。たくさんの人混みの中、流れるようにそのモノレールへ乗車した。

概に座る場所は全て埋まっていたので、俺は立つのを強制された。ここまで歩いてきた俺の足はもはや限界に近かく、正直ここで座らないと目的地まで持たない気がした。

しかし、当然ながら次の駅までまだしばらくある。少なくともそこまでは待たなければならない。

 

座りてぇ…。

 

♪♩♪

 

何が起こったのか分からない。

さっきまで体育館中にいた生徒が、今周りを見渡すと7,8人。2000人をも超える人が消えてしまった。

 

「…ふぇ?何これ…?」

 

校長先生の話が長すぎたので、疲れて寝ていたらさっき言った通り。見事に人が消えている。

寝てる時、どたばたと人の歩く音が聞こえた…ような気がしたが、何がどうなったのかよく分からない。

 

…いや、私達は今襲われているんだ。

 

遠くてよく見えなかったが、残っている生徒みんな見慣れた顔だった。

そしてステージと玄関側には、武装した4人の人。

 

「UTAU」だ。

 

みんなも状況を把握したらしく、4人が私の元へ集まってきた。

 

「ど、どうなってんのぉー…?」

 

どうやらリンちゃんは何が起こったのか訳が分からないようで、おびえた様子で首を傾げた。

見かねたレンくんが丁寧にこの状況を教え始めた。

 

「リンお前寝てただろ…。校長先生の話が終わった後、武装した4人組が押し掛けてしたんだ。そして『DIVA』以外はここから立ち去れ、でなければ殺すって言ってな、んでこうなった」

 

「「「へぇー…」」」

 

「あんたら三人寝てたのかよ…」

 

はっ、つい声がぁ。

 

「いやぁーだってあんなに話が長いと流石に…ねぇ?」

 

「そうですよぉ…むしろ寝てない方がおかしいです…」

 

「そー!レンはおかしーんだよーw」

 

「いや誰かおかしいんだ…って伏せろぉ!!」

 

パァン!

 

和やかな空気を一瞬でぶち壊す、一つの銃声。それは後方から響いた。

咄嗟にしゃがんだ私達。向こうがわざとやったかもしれないが、弾丸は誰にも当たらなかったようだ。

 

「…このような状況で談笑とは…。あなた方、死にたいんですか?」

 

そして拳銃をこちらに向けた男は、冷たい口調でそう言い放った。

グミちゃんとイアちゃんは初めて会うが、他三人はこの声には聞き覚えがあった。あの特徴的なテンガロンハット…。あいつは…!

 

「…マドレーヌ!」

 

「違います!」

 

「ティラミス!」

 

「全然違いますから!私の名前は…」

 

「ブリオッシュ!」

 

「ちがーう!!」

 

名前をことごとく間違えられる無惨な男。見てるだけで悲しくなってきた。私も間違えたんだけどね…。

あるぇー?何だったっけなぁ…。確かお菓子の名前だと思ったんだけど…。

 

「クッキーですクッキー!」

 

あぁ、そうだそれだ。昨日三時のおやつで食べたわ。

 

「…ごほん。あなた方、改めて聞きますが自分達が置かれている状況、お分かりですか?」

 

そうだ、私達は襲われてるんだ。

今、私達はピンチである。こっちには戦闘をまともにできない人が二人。私達は二人を守りながら、四人に立ち向かわなければならない。

そして、ルカ姉がいない。

あの二人に襲撃された時も追い払ったのはルカ姉だった。あの頃よりは成長してるとは思うけど、私達は実質本番は初めて。おまけにこの不利な状況である。苦しい戦いを強いられる事になるだろう。

 

「…やるしかないみたいだね」

 

覚悟を決めた。

私は懐からBSIPカードを取り出した。曲は「メルト」。

続いて黄色い二人も、BSIPカードを取り出し、戦闘態勢を取った。

向こうもその気になったと察し、武器を構え始めた。

 

 

だが誰も動かなくなった。

 

まるでスローモーションにでもなったかのように、時が遅く進んでいるようだった。

 

互いに睨み合い、一歩も動かない両者。

 

そして━━━

 

「…うおおぉぉぉぉ!!」

 

その雄叫びを合図に戦いの火蓋は切って落とされ…

 

 

ガシャン

 

走り出そうとした私達を止めたのは、不可解な音。何かをプレスしたような、誰もが聞いても騒音としか聞こえない、そんな音。誰も動いていないのに、そんな音がする事自体おかしかった。しかもそれは何度も続いた。

天井からだった。その音がする度、上から塵のようなものが降ってきた。電灯も大きく揺れ、今にも落ちそうだった。

よく見てみると、何かが刺さっていた。それも沢山。とても鋭利な槍状のモノで、それらは不思議にも青白く輝いていた。

 

そんな得体の知れないモノに見とれていた、次の瞬間異変が起きた。

 

 

轟音と共に、天井が落ちてきたのだ。

 

 

「きゃぁぁ!?」

 

悲鳴を上げながら、瓦礫の下敷きにならないよう逃げる。けどさっきまで天井に刺さっていた青白い槍は、その瓦礫の中にはなかった。

代わりにあるモノが落ちてきた。

 

いや人だ。

 

「…どこのどいつよ。私の『家族』を殺そうとしてる奴はぁ!!」

 

 

…ルカ姉?

 

***

 

「…気付いたら誰もいなかった…と」

 

「申し訳ございません…」

 

誰もいなくなったこの部屋。ある要注意人物を幽閉していた部屋だ。しかし、その人物の姿は無く、おまけにそいつは徘徊していた隊員が数人殺したという。明らかな脱走だった。

主戦力が不在の今、統括するのは私。ここは後方支援隊隊長、健音テイとして、適切な措置を命じなければならない。

 

「…取りあえず、彼の足取りを調べてください。後死体は処理の人達に任せるよう言っといてください」

 

「了解しました!」

 

最近新しく入った彼は、威勢良く返事をし、部屋を飛びだしていった。

静まり返る部屋。私は何となく、この部屋を物色し始めた。

ベッド、机、椅子、テレビ。部屋は主人から逃げられても、そのままな何も変えずにいた。

机の上には本が数冊、乱雑に置かれていた。ページの角がすり減っている事から、相当読み込んだと思われる。本の題名は「幾千の星」。著者は…巡音ルカだ。

 

本当に彼女は何でもやる。著名人にやらせれば何やっても売れる、肩書き詐欺、と言われる事があるが、そんなの通用しない。彼女は何やっても完璧なのだ。実際この本も1000万部売れたとかどうとか…。まるで、才色兼備という言葉は彼女の為にある、とでも言うかのようだ。

確か…この本は恋愛の話だったと思う。理不尽な理由で引き裂かれた男女が、再び再会しハッピーエンドを向かえる…そんな話だっただろうか。

 

本を手に取るが、すぐに置いてしまった。私は読書はあまり好きではない。ましてやその本が敵の大将によって書かれているとならば、尚更読む気は失せる。私はまた部屋の物色をし始めた。

…とはいったものの、面白そうなモノは他に見当たらなかった。少し気は引けるが机の中を探ってみよう。どうせ奴はここには戻ってこないのだ。何したって平気だろう。

一番上の棚を開けてみた。すると、そこには数枚の写真があった。

どの写真にも奴が写っている、と思っていたがほとんどが巡音ルカを写していた。どうやら撮っているのが奴のようだ。おまけに背景にはモアイ像やら、ピラミッドやら、グランドキャニオンやら世界各国の有名な場所ばっかだった。となるとこれは旅行の時に撮った写真だろう。そしてどの写真も巡音ルカが、今の様子からは想像できないほど満面の笑みで写っていた。

しかし、不気味な写真が一枚だけあった。

それはどこかの庭園で撮られた写真だった。三人の人物が写っている。奴が左に、巡音ルカが右に、そしてもう一人が真ん中に写っていた。肩を組んでとても楽しそうだった。しかし、真ん中に写っている人が誰だか分からなかった。私がその人知らないから、という事ではない。

 

その人の顔が、黒く塗りつぶされていたのだ。

 

体型からして男だと言うことは分かったが、顔だけ黒く塗りつぶされていた。

怖くなった私は他の写真も含めて机の中に仕舞った。そして足早にその場を立ち去ろうとした。

あんなホラー映画みたいな事をするなんて、奴もほんとどうかしてる。てかこのままだと私、幽霊か何かに襲われるフラグが…。

急いで部屋から出ようとしたその時、そこには人影が…

 

「あれ?スコッティもここに来てたん?」

 

「うわぁぁぁああ……あ?」

 

部屋を出ようとした私を出迎えたのは、丁度部屋に入ってきた重音テトだった。

 

「び、びっくりしたぁ…。脅かさないでくださいよ…」

 

「いや脅したつもりはちっとも無いんですけど…」

 

取りあえず、私は彼女を部屋の奥へと行かせ、早々に部屋を出ようとした。

その時、

 

パシっ

 

「…ど、どうしました?」

 

不意にテトが私の右腕を掴んできた。

 

「スコッティ…もしかして何か怖い物でも見たの?」

 

すごいニヤニヤしながら聞いてくる。どう見ても何か企んでいる顔だ。

私はなるべく先ほどの怖い出来事を悟られないようにこう言った。

 

「い、いいいや?そーんなことなーいですよー?」

 

「…そっかぁ」

 

よ、よかったぁ…。どうやら信じてくれたようだ。

 

「…怖いモノがあるんだね!よーく分かったよ!」

 

な、なぬぃ!?嘘がバレただとぅ!?

そう言った途端、テトは私を押し退け部屋に入り、部屋中を物色し始めた。

 

「な、何もないですよー?」

 

「……ベッド」

 

…へ?

いきなり彼女は「ベッド」と言った。な、何を言ってるの?

 

「……壁」

 

…うん、壁あるね。

 

「床」

 

…床あるね。

 

「机」

 

「ひぃぃ」

 

「そこだなっ!」

 

な、何ですとぉ!?バレてしまったぁ!

素早い動きで机に近寄るテト。散乱する本を一つ一つ確かめる。何もない事を確認すると、机の周囲にある物々を確かめるように睨んでいる。

 

「…テトさん…?」

 

私のかけた声を無視し、捜索を続けるテト。

どうやら机の周囲には何もないことに気付くと、次に目を付けたのは、机の棚。

そして彼女は一番上の棚を開けた。

 

「ひぃぃ…」

 

恐ろしさの余り、また変な声を出してしまった。情けないです…。

棚を開けた彼女は中にある写真を不思議そうに取り出した。私が恐れているあれも含めて。

 

「…写真?スコッティ、これが怖いの?てかそんな離れてないでこっち来れば…?」

 

私は気付くと廊下と部屋の狭間でテトの様子を陰から見ていた。

 

「そ、その中にある一枚が怖いんです…」

 

「へぇー…」

 

面白そうな顔をしながら写真を一枚一枚確認していく。

そして数秒後、彼女の動いていた手が止まった。

 

「…もしかしてこれ?」

 

「ひぃぃい!」

 

彼女が見せつけてきたのは例の写真。それを見た私はまたしても情けない声を出してしまった。

その様子を見てニヤリと笑った彼女は、じりじりと私との距離を詰めていった。

 

「ほーれ、これが怖いのだろうー?」

 

「ち、近付くなぁぁ…いやぁぁ…」

 

怖くてその場から動けない私。だがあの写真との距離はどんどん近付いていく。

徐々に近付く度怯える私。彼女が一歩踏み出す度口から「ひぃ」と変な声が無意識に漏れていた。

だ、誰か助けてぇ…。

 

「…ぷぷっ、くくくっ、あっはははっ!」

 

突如テトが笑い出した。どうやら今まで笑うをのをこらえていたようで、笑い出すとその場でうずくまり腹を抱えてなお笑い続けた。

 

「あっははっ……ふぅ、笑い疲れたわーw」

 

「ひ、ひどいです!人の怯える様を笑い物にしてぇ…」

 

「ごめんねーwスコッティの怯える姿が面白くて…w」

 

未だに笑いをこらえている。私の怯える様はそんなに面白いモノなんだろうか…?

彼女はふぅ、と一息ついて、さっきと違う真剣な顔へと変わり、口を切った。

 

話題は勿論、のふ不気味な写真の事である。

 

「…にしても、この人誰なんだろうね。奴がルカと通じてるのは分かり切った事だけど…それと関係あるのかなぁ…」

 

「わ、分からないです…。見た感じ男のように思えますが…」

 

そう、奴とルカは浅からぬ関係にあるのは分かっていた。だがその関係の間にいるかのように真ん中に写る彼、か彼女は現時点では全く検討もつかない。

何故その人の顔を黒く塗りつぶしたのか。これと今回の脱走とは関係はあるのだろうか。

しかし、いくら考えても分からない。とりあえず彼女はその写真は保管しておく事にしたようだ。いずれ何らかの手掛かりになるかもしれない。

 

♪♩♭

 

ここだ。

どこか豪邸のように広いこの寮。ここが「DIVA」の住む家となっている場所だ。

しかし人の気配が全くない。何一つ音がしない。

 

ピンポーン

 

チャイムを押してみるが、返事もなく足音もしない。寮にしてはデカい玄関のドアを開けようとするが、無論鍵が掛かっており、中には入れない。

窓を割って入るのもいいが、泥棒と間違われるのも嫌だし、第一人がいないのなら中に入っても意味はない。

仕方ない、また今度にしよう。

 

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