Vocaloid of voices   作:rufus

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…最近忙しくて毎週更新できないRufusです

そろそろハイペースでやらないといつ終わるか分からないです…

…ともかく皆さんが見てくれたら私頑張ります

そういえばここで本編の説明とかしてないですね

じゃあそれっぽい事言って終わりにしますー


始業式襲撃事件は新たな局面を迎える…!


…だそうです


第十二話 彼と彼女

暗い、暗い、この部屋。

 

その中にある、一つの円柱上の大きなカプセル。

 

水で満たされたそのカプセルには、「彼女」が眠っている。

 

それを見る、一人の女性。

 

悲しげにこう呟く。

 

 

「私なんて、生まれなければよかったのに」

 

 

♫♩♪

 

「はぁぁああ!!」

 

ルカの放った光る矢は真っ直ぐこちらに飛んできた。

俺はそれを刀で防ぐ。

 

「くっ…」

 

予想以上にそれは重かった。何とか弾くが、体力の消耗が尋常ではない。

俺は少し距離を置いた。正直、「星屑ユートピア」に対抗できる手立ては限られている。

ここは一旦距離を置き様子を見よう。

 

「させるかぁ!!」

 

俺に飛んできた矢は再び俺に矛先を向けた、と思うとそこから縄のように細くなった「星屑」が飛び出す。

足に巻かれたが素早く刀で斬る。しかしそれは異様にしつこく、縄からさらに縄が分かれ俺に襲いかかってきた。俺はそれをまた斬った。散り散りに。再生は可能だろうが、どうやらそれで諦めたようで、再生しながら「星屑」達は主人の下へ戻っていった。

 

 

あの「星屑」達はルカの手により、生き物のように自在に変形する。

しかしその正体は、ちっさい星である。詳しく言えば、この星、地球と同じ成分でできている。

発光する原理は知らないが、あの中には地球と同じようにマグマがあり、若干熱を持っている。

そして、彼女の任意で爆発する。

貴方は超新星爆発をご存じだろうか?星には寿命があり、その一生を終える時に爆発する。それが超新星爆発である。奴が言うには「星屑」の爆発はこの超新星爆発を利用したものだという。

…うん。確かにそうだ。自ら光る星々は基本ガスでできていて、そうでない限り超新星爆発は起こらない。だから光っていても地球と同じ成分でできている「星屑」が爆発するのはおかしいのである。

…いや、魔法とかでどうにかなるだろ、とか小説上なんだからそこらへん分かってなくともいいだろ、とかそういう問題じゃn(ry

 

 

ともかく、爆発物がぷかぷか浮かんでいるのではむやみに攻撃できない。ここは曲が終わって「星屑」が消えるまでやり過ごすのが得策のようだ。

しかし、あいつはバカだった。

 

「いけぇ!俺の影共ぉ!!」

 

「悪夢」は自分の影から分身を作り出し、それを操って攻撃する。

また分身は本人の影、つまり容姿は勿論、本人の持っている武器やその他装備をまんまコピーする。

しかし「星屑」を操る今のルカには多勢に無勢。いくら多く影を作ったところで無駄だった。

 

「おらおらおらぁ!!」

 

分身が次々消えていく一方、「悪夢」は次々と分身を繰り出していく。ルカが分身に隠れて見えないが、おそらくバカはずっとこの状態を維持し、曲が終わるまで時間を稼ぐつもりのようだ。

バカのくせによくやるもんだ…。

 

『カイト』

 

不意にヘッドホンから声が聞こえた。声の主はメイコだ。恐らく配布されたトランシーバーでなく、ヘッドホンの無線機能を使っているのだろう。

 

「…何だ?」

 

『どうするの…?ルカが来ちゃったけど…』

 

そうだった。この作戦の総指揮は俺だった。この緊急事態の対処を決めるのも俺。しばらく辺りを見渡す。

俺達6人はルカ、そして今回のターゲットだった5人の「DIVA」を囲っている。5人は現在初音ミクの操る変な物体の中にいて手が出せないが、奴の曲が終わればあの物体も消えるだろう。

だが消えたとしてもルカをどうにかしないと話にならない。さっきも言った通り、一番厄介な「星屑」が消えるまで時間を稼がなければならない。もうじき曲が終わると思うが、どんな手を使うか。

時間稼ぎは影に任せて、他は距離を置く。それが安全に見えた。

 

「…『悪夢』に任せて距離を置け。それからまた作戦を…」

 

 

「birth!!」

 

 

突然俺の体は宙に浮いた。爆風に巻き込まれ、ただ横に吹っ飛んで行った。

飛んでる間、何も見えなかった。ようやく辺りが見えると思った時、体は地面に叩きつけられていた。幸い瓦礫の下には落ちなかったようで、残骸が体に刺さるなんて事はなかった。

起き上がると、辺りは瓦礫まみれ。さっきの爆発のせいなのか、天井にさっきまで空いてなかった穴がぽっかり空き、光が差し込んでいた。そして何より煙がすごく、それこそさっきの爆発の凄さを物語っていた。

 

爆発が起きたのは分かったがあまりに突然の事過ぎて、状況の整理が追いつかない。

とりあえず、注意深く辺りを見渡す。周りをキョロキョロする内、少しずつ状況を理解していった。

まず俺の背後にはステージがあった。さっきいたのは、このだだっ広い体育館の真ん中辺り。そうなると俺はかなりの距離を吹っ飛んでいった事になる。

そうなると、爆発はかなりの広範囲に及んだようだ。高さも奥行きも。

これだけの爆発を起こすには、相当な質量の「星屑」が必要になってくる。一体どこにそんなのを隠していたのだろうか。もしかしたら「悪夢」の影達に隠れて見えなかったのかもしれない。なんだけ結局あいつはバカか…。

傷ついて重くなった体を起こし立ち上がった。相変わらず煙が舞い、数メートル先が見えない。

しかしその煙の中、かすかな光があった。

それと同時に、金属同士がぶつかり合う音が聞こえてきた。どうやら誰かと誰かが戦っているらしい。しかし双方の姿ははっきりせず、どっちがルカなのかが全く分からない。いや、もしかすると俺以外の「UTAU」が互いをルカと思いこみ、戦っているかもしれない。

こういう時に無線は必要になってくるのだが、あいにく配布されたトランシーバーはさっきの爆発で使い物にならなくなった。ヘッドホンにいくら叫んでも返事がない。危機的な状況だった。

 

少しずつ煙が晴れてきた。ようやく剣を交えている二人の影が見えた。

一人は…「ミルキーウェイ」だ。膝まである長い髪は、今この場であいつしかいない。そして槍を使っているのも、あいつしかいない。

もう一人は刀を使っている。恐らく、あの背の高さなら男と思われる。体つきからも男だと伺える。しかし今この場には俺以外あんな奴はいない。「クッキー」も「悪夢」も俺より背が小さく、その前に二人は今日刀は持っていない。

 

 

…ならあいつは一体誰だ?

 

 

♭♬♯

 

そこに着くと、俺は異変に気付いた。

玄関のドアが開けっ放しで、地面には拳銃が落ちていた。これは一体何だ…?

彼女は身の危険を感じた時以外、滅多に拳銃は使わない。そう考えると彼女に何かあったとしか思えない。俺は咄嗟に家へ入った。

 

朝食はテーブルに置いたままで尚且つ食べかけ。朝食を食べてる時に何かに装った誰かが来て、彼女を襲おうとしたのだろう。しかし、警戒深い彼女には適うはずがない。

だがその彼女の姿が無いのが不自然だった。

もし敵を追い払ったなら、その後何事もなかったように朝食を食べるだろう。あいつの事だ、こういう襲撃は日常茶飯事だと思っているだろう。そう考えるとなぜ彼女がここにいないのかが不思議でならなかった。

 

あれこれ考えている間、リビングにあるテレビの音が響いた。まだ朝の時間帯。やっている番組は無論情報番組だった。何気無くテレビを見ていると、テレビ台の棚にある録画用のハードディスクを見つけた。

ここ最近の録画機はもの凄いコンパクトで、且つハードディスクの付け替えが楽である。

それでいて何千、何百TBもの容量が入る。40年前とは比べ物にならないほど、性能は上がっていた。

 

…あれ?

 

録画…録画…そういえば玄関に…。

靴を履かないまま玄関に出た。そして天井を見上げると、そこには小さい穴から覗く、壁に埋め込まれた防犯カメラがあった。そしてそれは真っ直ぐ俺を見ている。

もしここでの出来事をあれが捉えていたら…。

再びリビングにあがる。そしてテレビのリモコンを手に取り、録画と書かれているボタンを押した。するとテレビの画面は録画した番組をリストで映した。そして十字キーの下を連打し、録画した番組を片っ端からチェックした。何種類に分けられたタブもチェックした。

 

「…これか?」

 

あるタブを選択すると、パスワードを求められた。決定キーを押すとキーボード型のインターフェースと矢印が現れた。リモコンを動かすと矢印が動く。どうやらあのテレビゲームと同じ操作方法のようだ。

…あいつが設定しそうな…パスワード…。

リモコンを動かし、文字を入力する。簡単な3文字が画面に現れ、そして決定ボタンを押した。

 

 

『トエト』

 

 

***

 

「ん?何書いてるんだ?」

 

黙々と机と向かい何かを書いている彼女。それを覗こうと、俺は彼女の傍に寄る。しかし彼女は何かが書かれた紙を腕で隠し、顔を赤らめた。ついでに目線も合わせようとしない。

 

「えー見せてよー」

 

「…やだ…」

 

「じゃあ見せたらキスしてあげる!」

 

「……」

 

その誘いにさらに顔を赤らめた彼女は、黙ったまま腕を引いた。そしてその下に隠れた紙が姿を現す。

そこには、二人の幼い男女が描かれていた。男の子は屈託のない笑顔でこちらを見ている。女の子の方は頬っぺたが赤く、照れているようだ。

そして何故か猫の被り物をしている。

 

「ねぇ、なんで猫の帽子かぶってるの?」

 

「…猫被り…」

 

彼女はぼそっとそう言う。しかし、この時の俺は言葉の意味など理解していない。

 

「猫被り?何それ?猫頭にのせるの?」

 

「…お兄ちゃんが言ってた…私、猫被りなんだって…。だから…猫の帽子…」

 

「ふーん、そっかぁ。でもかわいいよ!」

 

その言葉でさらに顔を赤らめる。そしていつも以上に顔を俯かせていた。

 

「ねぇ、その子に名前付けようよ!」

 

唐突に提案する俺。その子はつまり彼女の事なのに、おかしな提案をした。

 

「…これは私だよ?」

 

案の定指摘された。でも俺が見た限り、その子と彼女は何故か違う人のように思えた。性格は似てるけど何かが違う。例えば、その子は彼女のある部分を取り上げたような、そんな感じ。

ともかく、俺はこの子の名前を付ける事にした。

 

「んー…猫ちゃん……そのまんまだなぁ…」

 

その様子を見てた彼女は、納得しない顔のままこの子の名前を考える事にした。

 

「えーっと…えっと…」

 

彼女が何か物事を考える時、何故か「えーっとえーっと」と言う癖がある。学校の授業やテストでも言ってしまうので、度々うるさいと注意されてしまう。本人も直さなきゃと思っているがどうもできないようだ。

まぁ、そういうところが可愛かったりするんだけど。

そんな彼女の癖を見てる内、俺の中に何かが降りた。

 

「…トエト!」

 

「え?」

 

「この子の名前、トエトにしようよ!」

 

「…何でトエトなの…?」

 

困惑した顔をしながら、俺に理由を聞いてきた。

 

「えーっとえーっと言ってて、それがトエトって聞こえたから」

 

「……それだけ?」

 

「うん」

 

それを聞いた途端、彼女は呆れたような顔をした。その時には分からなかったが、今振り返ると何ともいい加減な付け方だったなと思う。

でも彼女は俺の顔を一目見るとにっこりと笑い、『猫被りの少女』の隣に「トエト」と小さく書いた。

 

そして、トエトの隣に新しく彼女の絵が描かれたのは言うまでもない。

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