Vocaloid of voices   作:rufus

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うわぁぁああ!!

ほんと遅れましたすんません!!

というわけでご覧ください!!(ぇ


第十六話 再戦

こんなところで死ぬわけにはいかなかった。

こんなところでみんなを死なせるわけにはいかなかった。

 

「ル、ルカ姉!?」

 

私達の未来の為に。

そして、罪の償いの為に。

 

「て、てめえ!まだ生きてやがったのかよ!」

 

「ごめんなさいねぇー。私意外とタフなのよぉ」

 

今の言葉にブチ切れたのか、物凄い形相でこちらに走ってきた。

手には己の「欲望」で作り出した剣がある。彼女の「欲望」を持ってすれば、私なんて瞬殺なのに、それができないのはやはりリスクが高過ぎるのだろうか。

この能力は、ミクが訓練中でやった歌で敵を倒すのと同じようなもの。簡単に言えば、彼女の戦闘スタイルのデフォルト、通常形態という事だ。だが身体的にリスクが高い。「DIVA」にもそのような機能は、ミク以外にもある。当然私にも。

彼女のは自分の「欲望」を具現化するという何ともチートな戦闘スタイルだった。

まぁ、ありえない事も現実に反射できるのだから、それだけリスクが高いのは分かっていた。だがなぜ奴はBSIPカードを使ってこない?そっちの方がリスク無く戦えるはずだ。

もしかしてもう概に使って、再使用待ちなのだろうか?それなら好都合。ある程度時間を稼ぎ、相手が弱ってしたら仕留めよう。

 

私はポケットから一枚、BSIPカードを取り出し、手早くヘッドホンに差し込んだ。

 

「くっ…遅かったか…!」

 

斬りかかる寸前で立ち止まるルコ。相変わらず、顔はまるで鬼のようだった。

セッティングが終わり、私はゆっくり目を開けた。

ルコの表情が、怒りから絶望の混じった困惑に変わった。まぁ無理もない。このBSIPカードも相当強いのだから。

 

 

「嘘つきのメリゴーランド」。星屑の次に手にしたBSIPカード。その効果はシンプル且つチート的。それは「物事を嘘にする」という事。例えば、私が誰かに斬られたとしよう。それを「嘘つきのメリーゴーランド」は嘘、つまり無かったことにできる。

しかし弱点もある。この効果は他人には干渉できない。他人の運命をねじ曲げる物事でなければ、効果を発動することができない。本部によると拡張すれば干渉できるようになるらしいが、それにはやはり自身の体に多大な負担がかかるという。やりすぎると即死、だそうだ。

 

 

まぁそんなチートな効果だから、彼女の顔が青ざめるのも無理はない。

さっきの様子とは打って変わって、彼女は剣を構えたまま動かなくなった。手足は小刻みに震えている。

 

 

…私は絶望を与えるために戦ってるんじゃないのになぁ…。

 

 

「う、うわあああぁぁぁ!!!」

 

それは威勢のいい雄叫びではなかった。聞いての通り、それは悲鳴だった。剣は振りかざされた。私はそれに動じず、ただ彼女を見つめていた。

そして斬られた。

頭から腰まで一刀両断。飛び交う血。彼女の服にも、私の血は付いていた。私はそんな残酷な光景を見ながら、体を赤くして、倒れた。

目は虚ろだった。だが不思議なことに、斬った彼女も目は虚ろだった。口を開け、その場で呆然としている。私の亡骸を見ながら。気付くとじんわり彼女の目から涙が現れた。

そして━━━

 

 

 

 

「…死んだと思った?」

 

私の声を聞いた彼女は我に返った。

彼女の喉には鋭利なナイフ。そして背後に私。自分の亡骸は消え、彼女の服に付いた血も消え、全てが嘘になった。

 

「…」

 

彼女は無表情のまま、その場に立ちすくんだ。抵抗する気もないようだ。

 

けど私は今の状況よりも、さっきの彼女の挙動の方が気になった。

なぜ、殺すべき相手を殺して涙を流すのか。なぜ、彼女の口から悲鳴が聞こえたのか。普通に考えてそれはおかしいことだった。確かにこの「嘘つきのメリーゴーランド」は強力だ。あんな風に取り乱すのも無理はないかも知れない。けどその効果を奴は知っているのに、あんな風になるのは何か違うような気がする。

 

もしかして…彼女は…。

 

 

「はぁっ!!」

 

考え事をしている最中、大人しくしていたルコがいきなり牙を向いた。

どうやら、今考える事では無さそうだ。今は彼女を撃退しなければならない。絶対に、殺さずに。

私の拘束を振り払うと、数メートル後退した。向こうの武器は今は剣。どうやら向こうは、今使っているBSIPカードのせいで慎重になっているようだ。

が、今の私には無力だった。

 

「…遅いよ?」

 

次の瞬間、私は「自分の位置」に嘘をつき、彼女の背後で再び首にナイフを突き出そうとした。

しかし、これは読まれていたようで、向こうは振り返って剣を振りかざした。

 

カキンッ

 

乾いた金属音が鳴る。斬り合いになると、リーチの短い私の方が不利だ。

が、「嘘」はそんなの通用しない。

 

ひゅん

 

「…なっ!?」

 

何かが飛んでいく音がすると思ったら、彼女が手にしていた剣が消えた。

そう。私は「剣がある」ということを嘘にした。他人には干渉できないが、他人の「モノ」ならば干渉は可能だ。寧ろこのカードを使うとなれば、武器を使えなくするのは基本中の基本である。

がしかし、向こうは生み出せる。彼女の手には再び、さっきと同じ剣があった。リスクも高いのに本当よくやる奴だ。それだけ私に対する殺意は本物……なんだろうか…。

 

素早く剣を振るうが、生憎私の体にかすりもしない。そして再び剣は消えた。

すると彼女は一旦引いた、と思いきや手にはライフル。一瞬の速さで標的を捉え、私がライフルに気付いた1秒後には、銃声が鳴り響いた。

 

「うっ…!」

 

鮮血が飛び散る。

反応に遅れた私は、飛んでくる弾丸を「嘘」にする事ができず、左肩に弾丸を浴びた。

服装は「デフォルト」のため、傷口は露出しており、腕を伝ってポタポタと血が地面に落ちていた。右手で左肩を押さえるが、出血は止まらない。

そして、奴は早くも次の弾丸を放った。が、これは間一髪「嘘」にできた。危険を感じた私は走り出す。少しでも照準を狂わせるため、私は奴を中心に円形に沿って走った。だがそれでも容赦無くやってくる銃弾。驚くべき事に、私が逃げる距離、速度を完全に見抜いて撃ってくる。私が「嘘」にしなければ、全て弾丸は私の体のどこかを必ず射抜いていた。

腕が負傷している今は、反撃をすることもできない。「星屑ユートピア」も再使用までまだまだ時間がかかる。ここは、時間を稼ぐことしかできなかった。

 

が、事は急を要していた。

 

♪♩♬

 

「ちっ…」

 

予想外の出来事に、つい舌打ちをした。

ちょっと自販機で飲み物を買ってきて、戻ったら何故か劣勢。奴のどんくささには本当に呆れる。どうしてスパッと事を片付けられないのだろう。

パキパキッと未開封のキャップを開け、中にある麦茶を口に流し込む。あまり麦茶は好きではないのだが、他にあったのがもっと嫌いな炭酸飲料だけだったので、仕方なくこれを買った。お茶は基本的に嫌いだ。独特の苦さというのが自分の中でいまいち納得がいかない。抹茶など論外だ。

そういえば「奴」はよくお茶を好んで飲んでいた。冬でもキンキンに冷やした麦茶を飲むというのは、私には到底理解しがたかった。

 

…そして敵を一切殺さない考え方も、理解できなかった。

 

俺は、あいつにどういう過去があるかは知っている。だが今まであいつらに襲撃されて、存命の危機に何度も陥った。それだというのに奴は懲りずに殺すな、殺すな、と言い続けている。そう言いたい根拠も分かる。が、そんな悠長な事を言ってられるほど余裕は無いことを、何よりあいつが一番よく知っているはず。それなのに奴は…。

 

私は奴のそういう頑固なところが一番嫌いだ。と同時に好きでもあった。

己の信念の貫き通す。奴の固い決心は、俺の心を動かした。

 

だからこそ、今ここにいる。

 

俺は信じられてここに来たんだ。

 

 

『……信じてるから……『━━━』………』

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