Vocaloid of voices   作:rufus

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遅れてすんませんでした、Rufusです

この小説に早くもお気に入り登録されました!ありがとうございます!

元々はにじファンからここに持ってきて
折角だから初めから全部書き直そって事になったのですが

まさかこんなに早くお気に入り登録がされるなんて…

にじファンの時では有り得なかったですね、嬉しい限りです

相変わらずこの小説はマイペースに投稿していきますが
気長に待ってくれたらありがたいです

では展開グチャグチャな本編どぞ


第一話 双子と黒と迷子

「おっはよー!!」

 

唐突にリビングに響く大声。その傍迷惑極まりない挨拶に、すぐさま横から突っ込みが飛んできた。

 

「うるせぇなぁ…。もう少し周りの事に気遣ったらどうなんだ?」

 

「挨拶は元気なのが一番だよっ。おっはよー!!」

 

「うるせぇ!!耳元で叫ぶなぁ!!」

 

朝から大声で怒鳴り合う2人。私にとってはすごく微笑ましい光景だ。何せロリとショタがじゃれ合っていr…

 

「あ、ミク姉おはよー」

 

「え?あ、うん、おはよー」

 

私に笑顔で挨拶する彼女。その傍らで

 

「…何で俺の時より声小せぇんだよ…」

 

と呟いている彼。この2人も、当然「DIVA」に選出された人達だ。

 

 

先日、この豪邸へと足を踏み入れた私を待っていたのは、内装は質素だが結構広いリビングと、瓜二つの男女だった。彼らの名前は、鏡治鈴と鏡上蓮。こんなにも似ているのに彼らは双子では無いらしい。おまけに2人とも同じ13歳というのだから尚更だ。

初めはやはりお互い初対面。見ず知らずの人といきなり同居だし、私達3人には距離感があった。だが一緒に生活する内に自然と打ち解け、いつの間にか友達、いや家族の様に接するようになった。

そして、私達をそこまでの仲にしてくれたのがルカ姉だ。

彼女は私達と打ち解け合う為に、兎に角話しかけてきた。現在春休み中の彼女は、4月になるまで家にいるらしい。それを利用して、私達と打ち解けようと兎に角話しかけてきて、それはもううざったいほど話しかけてきて、おまけに4人で遊園地にも行った。そしてルカ姉にも、「ルカさん」じゃなく「ルカ姉」と自然に呼ぶようになり、有名人だからという偏見は無くなった。今では皆「家族」だ。

 

それはいいのだが、私にとって問題なのは、この居住施設の広大さである。私が今いるのは人が生活する施設、通称「家」。これを名付けたのはルカ姉で、私達が「寮」と呼ぶと少し寂しげな顔をするので全員共通にした。部屋の数はというと、それはもう多いのである。実際この家の中で迷子にはなりたくないので、正確に部屋の数を数えた事はない。

おまけにこの家には「無くても生活できるだろ」と誰もが思うモノがある。例えばプール。確かに家の中にプールがあれば、お金を使ってプールに行く事は無くなるし、自分達の家だから着替え中におそ(ry

けど使うのは基本的に夏の間だけ。よほどの泳ぎ好きじゃなきゃ、家の中にプールを作ったってあまり意味は無いだろう。……温水プールにならなければの話だが。

他にも男女別での大浴場にトレーニングルーム、40を超える個室等兎に角色々ある。ルカ姉は家の構造を隅から隅まで把握してるらしいが、私は全て把握するまで5年掛かるだろう。

 

そんな家の玄関の正面にあるリビングに、私達は朝から談笑していた。

 

「そいえばまだルカ姉起きてこないねー」

 

リンちゃんのその一声で、周りにルカ姉がいない事に気付く。すぐそこに見えるキッチンにも、いつもならあるはずのルカ姉の姿がない。

 

「あれ……いつもなら起きてるのに…」

 

現在7時半。いつもならダイニングテーブルには、私達4人分の食事が用意されていて、その一郭にルカ姉の姿がある…いつもなら。

もし寝ているのなると、私達はルカ姉の部屋は知らないので、起きてくるまで待つしかない。たまたま今日は音楽のレッスンとかは無いのだが、問題なのはルカ姉が起きてくるまで空腹を凌げるかと言う事だ。

 

……大袈裟とか言わないのっ。

 

「そーだっ!」

 

突然リンちゃんが閃きの声を上げた。

 

そして、彼女はとんでもない事を言ってきた。

 

「この家探検しよー!」

 

「いやだぁぁぁああっ!!」

 

私の脳裏に浮かぶのは、自分の家で迷子になる情けない自分。第一方向音痴の私がこの家を探検しようなど自殺行為。もしかしたら1日中この家をさまようかもしれない。

 

……大袈裟とか言わないのっ。

 

「俺達がいるんだから平気だろ」

 

「そーだよ。暇なんだし探検しよー」

 

「うぅ…」

 

「ほら、手握ってあげる!」

 

躊躇している私の手を、不意にリンちゃんが握ってきた。

その手はとても温かく、そして…懐かしかった。

 

 

『ほら、手握ってやるよ』

 

 

いつしか見た、兄の面影。

 

暗い夜道を2人で歩いた、遠い記憶。

 

 

リンちゃんに手を握られた私は、少しだけ過去を思い出した。モノレールから海を見た時と同じように。

いつも傍に居てくれた兄。いつしか私は、彼を異性と見るようになった。

許されない恋なのは分かっていた。そしてそれを彼に打ち明ける事も、出来なかった。当時の私は変化を恐れた。これを彼に言ったら、兄は私から離れてしまうのではないか?それだけは嫌だった。

 

「……ミク姉…?」

 

リンちゃんの一声で、私は我に返った。首を振り、過去を振り払う。

私は過去を捨てる為にここに来た。過去は振り返らない。絶対。

 

「あ、ごめんごめん。少しボーッとしてたわ…」

 

過去については語りたくないので適当に誤魔化す。実際まだ眠いし、もう少し寝ていたい。

しかし、その願いはそう簡単に叶うものでは無かった。

 

「そっかー。じゃあ探検にしゅっぱーつ!」

 

「え、ちょ…そんなに腕引っ張らないでぇ!痛いからぁ!」

 

リンちゃんに腕を引っ張られ、言われるがまま始まった朝の探検ごっこ。

一体どうなっちゃうのぉ…。

 

♪♬♩

 

「ここどこぉ…」

 

迷子になりました。

 

「だからやめようって言ったのにぃ…」

 

「本当にリンは後先考えずに行動するよな…」

 

「え、私が悪いん!?」

 

「「悪い」」

 

リンちゃんに冷ややかな目線が送られ、それに対し廊下の隅っこで体育座りしてるリンちゃん。今の一言は彼女にとって結構大きいダメージだったらしい。

そして何やら「ずーん」という効果音が、リンちゃんの頭上に現れた。

 

「私だって分かってるよぉ…それくらいぃ…」

 

「ま、まぁそんな気を落とすな、な?」

 

「………………うん」

 

あ、まずい。これかなりやばい。

 

リンちゃんは普段はとても明るい。どんな事でも元気だし、いつでも笑顔を絶やさない。

だがそれの真逆の状態が、彼女には存在する。それを私達は「ずーんモード」と呼んでいる。名前の由来は……彼女を見てもらえれば一目で分かる。

「ずーんモード」の発動条件はたった1つ。自分が失敗して他人に迷惑を掛けた時だ。

リンちゃんの性格はとても明るく活発的だが、その代わり物事を起こす時に周りが見えなくなり、自分だけどんどん突き進む癖がある。酷く言えば自己中、マイルドに言えばせっかちな訳である。そしてそれに失敗するのが大抵のオチ。

おまけに失敗すると物凄い落ち込むので、周りにいる私達が一番困るのである。

 

そして今私達はそれに困っている。

 

「取り敢えず、落ち込む前に早くリビングに戻ろ?」

 

「…………うん」

 

彼女のこの態度を治すには、彼女が寝て忘れるしか方法がない。

そして現在午前7時45分。夜になるまで半日以上時間がある。…どうしよぅ…。

 

取り敢えず、アイコンタクトで合図した私とレンくんは、ずーんモードのリンちゃんと共にリビングへ向かった。

 

♪♩♯

 

「ここだぁ!!………違うぅ……」

 

「ここだっ!!……ちげぇのかよ……」

 

目の前に映る扉という扉を開け、ルカ姉の部屋を探す私とレンくん。しかしさっきから空き部屋の扉しか開けていない。

 

「くそぉ…ルカ姉の部屋はどこなんだー…」

 

「………」

 

相変わらず目線を下に落とし、暗すぎるオーラを放つリンちゃん。心配になった私は、彼女の手を握ってあげたが、機嫌を治す気配もない。

 

そう思ってた時だった。

 

 

パァン……

 

 

「…ん?何の音…?」

 

家の中で木霊する、何かが破裂したような音。その不可解な音に、私とレンくんは首を傾げた。

 

けどリンちゃんは違った。

 

「…この音……まさか…」

 

「あ、ちょリンちゃん!!」

 

突如リンちゃんは、うなだれた首を上げ走り出した。まるで何かに取り付かれたかのように。

リンちゃんを追いかける為、私とレンくんも走り出した。

 

走ってる最中、あの破裂音が何度も繰り返された。それは徐々にそれは大きくなった。まるで何かのタイムリミットのように。何故リンちゃんが破裂音に反応したかは分からないし、それ以前にこの音が何の音かすら、私には分からない。けど何か嫌な予感だけはしていた。

今、この家で何かが起きている。そんな気がした。

 

「……ここだ……」

 

リンちゃんがそう言い立ち止まった。その先には、朝の日差しに照らされた扉があった。そんな穏やかな情景とは裏腹に、扉の向こうから聞こえる破裂音は余りにも不気味だった。

 

パァン!!

 

破裂音は、まさにすぐそこで起こっていた。しかしそれ以前に疑問だったのは、物音が酷い事だった。その音を聞くだけだと、部屋の中で誰かが暴れているかのようだった。

しかし、そう考えるとその合間に聞こえる破裂音は一体何なのか、という結論に至ってしまう。

 

「……開けてみる?」

 

真実を知るには、目の前にある部屋に入らなければならない。だが私は、聞こえてくる騒音と身体中を走る悪寒に、一歩踏み出すのを邪魔されている。

 

「なら俺が行く…」

 

怖がりながらも、一歩踏み出したレンくん。

しかし、ようやく絞り出したその勇気も、次の一瞬で水の泡となった。

 

 

バァン!!

 

 

唐突に扉が開き放たれた。

そして、その向こう側にいたのは、ピンク色の髪をなびかせるルカ姉と…

 

 

拳銃を持った、黒尽くめの男だった。

 

 

「…貴様等何者だっ!?」

 

いやそれこっちの台詞…。

 

「…まぁいい。殺せばいいだけだ」

 

そう言い、静かに銃口をこちらへ向けた黒尽くめの片方。突然の出来事に動けない私達に向け、彼は嘲笑うかの様ににやけた。

引き金を引こうとする男。私は覚悟した。こんな所で死ぬなんて、未練しか残らないが、今まで体験したことのない危機に、私はただ目を閉じ痛みをこらえる準備をするしか無かった。

 

「させるかぁ!!」

 

死ぬと思ってた。破裂音が聞こえてくると思ってた。けど聞こえてきたのは、ルカ姉の怒鳴り声だった。

ルカ姉は蛇の様な動きで敵の前に現れ、拳銃を持つ右手を掴み、敵に背を向けた。

次の瞬間、敵は中腰になったルカ姉の頭上を通り、部屋から投げ飛ばされた。

 

「て、てめぇ!!」

 

部屋の奥に居たのか、姿が見えないもう1人の男の声が聞こえた。それに反応したルカ姉は部屋の奥へ身体を向け、私達の視界から消えた。

その男も拳銃を持っているのか、部屋から再び銃声が聞こえた。しかし、何かが床に激突した音が突如響き渡った。その音の残響が残る中、もう銃声も激しい物音もしなくなっていた。

一瞬の沈黙の後、部屋の中から足音が聞こえてきた。その音はどっちの人のモノか、視界に映らない以上私達には分からなかった。誰もが最悪の事態を予想した。そして私達も…。

 

けどまたしても予想とは違っていた。

 

「ふぅ…。みんな驚かせてごめんねー」

 

無傷のルカ姉が笑顔で私達にそう言った。

 

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