最近過去の話を見ていると話の展開がめちゃくちゃで
心底驚いてます
なのでちょいちょいリメイクするかもしれません、まだ全然進んでないのに
全面コンクリートの部屋。地下にあるため窓は無く、電気をつけていてもどこか陰気な雰囲気が辺りに漂っていた。またその部屋にある家具諸々も、どれもこれも暗い感じの色ばかり。今目の前にある布団だって真っ黒だ。ここにいるだけでネガティブになってしまいそう。
その中で一人ぼーっとしていた俺は、今日の作戦を振り返っていた。
作戦は微妙な形で終わった。
巡音ルカの乱入、初音ミクの真の力量、そして「あいつ」の存在。度重なる突発的現象のせいで、円滑に進むはずだった奇襲作戦はいとも簡単に崩れ去った。
そしてこの作戦の真の目的は「新人の育成」。数多くいる新人の中で筋がありそうな二人…「悪夢」と「クッキー」を実戦にて育てるというもの。実際の戦場というものを肌で感じてもらうために、本来ならば海外遠征に参加させるところを、今回の作戦に参加させるためここに残させた。
だがしかし、我々は間違っていた。
いや、侮っていた。彼らを。
新しく入ってきた内の三人…鏡音リン、鏡音レン、そして初音ミク。彼らは我々の予想の遙か上をいく力を持っていた。まず鏡音レン。奴はルコと戦っていたようだ。基本的にルコの優勢だったがトドメを刺すところでルカに妨害されたようだ。
しかしルコは「あんな奴に『欲望』を使わせるなんて…」と今まで見た事無いほど悔しがっていた。つまりルコと対等に戦えるという事。今後の伸びしろを考えると脅威になりかねない。
次に鏡音リン。奴は新人二人と戦っていた。俺もその時の様子は見ていたが…まさかあれほどまでとは…。
奴は敵が二人というハンデがありながらも、難なく二人を撃退した。正直言って俺でも勝てるかどうか分からない。「番凩」でも「カンタレラ」でも「悪徳のジャッジメント」でも、だ。
そう考えると今にでも殺してしまいたいところなのだが、逆に事を急かすと失敗するというものだ。ここは一旦安静にするのがいいのかもしれない。「あの作戦」間近に控えているのだし。
…最後に初音ミクだ。奴は…言わずとも分かるだろう。
あいつの「デフォルト」はとんでもないモノだ。とても適う気がしない。
おまけに、奴の潜在能力も計り知れない。「メルト」とか言ったあのBSIPカードからして…奴はBSIPカードの扱いに長けているような気がする。奴は緑のスライムのようなモノを浮かばせ操っていたが、俺達の攻撃に対する対処があまりに素早く適切だった。とても新人とは思えない扱いだった。
次の作戦、上手くいくだろうか?
そうして考えてみると、我々がいくら数で勝っていても、ほとんど無意味なんじゃないのか。
400人くらい人を増やしたところで、ルカに勝てるはずがないのにさらに敵が増えてしまっては、彼らを無駄死にさせる事になる。まぁ奴の事だから誰も殺しはしないだろうが。
コンコン
色々思い悩んでいると、不意にノックが鳴った。
「入りますよ」
そう言って自分の部屋かのようにのこのこと入ってきたのは、ウタだった。
俺は彼女が俺の部屋に入ってくるのを見て、目を丸くした。
「…何ですか、そんな面食らった顔をして」
「いや…お前が人の部屋にのこのこと入るなんて聞いたこと無いからさ…」
「失礼な妄想ですね。私だって、その程度の事は普通にします」
そう言いながら、彼女はテーブルの側にあったイスをベットの側まで引きずり、手持ちの資料を膝に置いて座った。
しかし、他の人がこれを見ても驚くし、この話を誰かにしても絶対に信じてもらえない。
理由は簡単。彼女が、謎だからだ。
ルカが世間に対して個人情報に関して何も話さないのと同じように、彼女も周りに対してプライベートは何にも話さない。好きな食べ物や好きなファッション、はたまた年齢すらみんな知らない。全てが謎なのだ。
だから周りが次々と、何も根拠のない彼女の都市伝説を作り上げている。何ともくだらない話だ。
話を戻そう。
ただ、気になるのは何故俺の部屋に入ってきたのか。その理由について問おうとしたところ、向こうが先に口を開いた。
「…怪我をしているので私からちょっとした連絡を伝えに来ただけです」
いつもは冷静沈着で、戦闘になるとどんなに残酷な手でも澄ました顔でやっているというのに、こんな気遣いをしてくるなんて。
だが俺はその必要はないと言う。
「そんな大した怪我でもないのに、そこまでしてもらう必要は無いぞ?」
「少しでも動いて傷がまた開いたら困ります…。それに貴方に聞きたい事も、ありましたし」
「聞きたいこと…?」
「…先に連絡を伝えますね」
「あ、あぁ…」
何となく誤魔化された俺は、彼女の言う連絡に聞き耳を立てた。
まず、「あの作戦」の詳しい日程が決まった。
8月13日。午後2時決行、だそうだ。
しかしその日まで後4ヶ月もある。その間の活動はというと、「DIVA」への襲撃は禁止。主に武器の調達や訓練など、作戦への準備を行うらしい。現にもう行っているが。
そしてもう一つ言われたのが、この後重役達を集め集会を行うらしい。
主催者はなんと「master」だという。時間までまだあるので、それまで安静にしていろ、との事。
「…だからそんな大した傷ではないと…」
「貴方は重要な戦力です。そう簡単に倒れてもらっては困ります」
表情のない声で気圧されると、さすがに反抗する気もなくなる。俺は彼女の好意に甘えることにした。
話が一段落したところで、俺は本題へ切り出すことにした。
「…で聞きたい事って一体なんだ?」
それを言った瞬間、無表情なのに彼女の表情が変わったような気がした。それも険しく。
さらに一心に俺を見つめてきた。目にも表情がなく、彼女が何を考えてるのか流石の俺でも分からなかった。
「今回の奇襲作戦についてです」
…やはりか。
心を読めないとはいえ、予想はしていた。むしろこちらから言う手間が省けた。
俺は少し深刻そうな顔をして、重い口を開いた。
「…正直、ヤバいぞ、あいつら。結果はお前も知ってるだろうが、実際この目で見ると…とてもじゃないが準備なんて言ってるほど時間がない。事は…一刻を争うぞ」
それを聞いた彼女は、少しだけ眉をひそめた。
「そんな事くらい、私だって重々承知です。ですがこれは『master』の下した命令で、決定事項なのです。今更変えるなど、できません」
「けどなぁ…もしあいつらが今よりも強くなって、おまけに人数が増えて、俺達しか太刀打ちできなくなっちゃわざわざ準備なんて言ってた事が全部水の泡になるぞ?」
真剣な目つきでウタを睨む。これには悩んでいるようで、「うぅん…」と唸り考え込んでしまった。
俺はそこにさらに追い打ちをかける。
「…後新しい『DIVA』の姿も見た。二人いたが、どちらも女で片方は…百合里財閥の令嬢だぞ」
「…何ですって?」
途端に考え込んでいた顔が起き上がる。彼女でも、この事には驚いたようだ。
「やはり…貴方の言う通り、事を急がせる必要がありそうですね」
そう言うと彼女は立ち上がり、手持ちの資料の中から一枚の紙を取り出した。
そして紙の表を俺に見せつけた。そこには文字の行列がずらっと並ぶ中、一枚の写真があった。ウタは後ろからその写真を指さした。
「…この人ですよね?」
「あぁ…そいつだ。百合里財閥の令嬢は」
その写真には、二人の幼い少女が並んで笑顔でピースをしている様子が写っている。
左側にいるのが、さっきから言っている百合里財閥の令嬢、百合里イアだ。
だが俺が気になったのは、右側にいるのが巡音ルカだということだった。
「…なんでルカがその写真に写っているんだよ」
「二人は幼い頃から仲がよかったそうです。まぁ過去に会ったことがあるのも不思議ではないですけどね」
確かにそうかもしれないが、それを教えてくれないのは少し遺憾に思った。
それを教えてくれれば、イアを人質に取って少しは優勢に持っていけたのかもしれないのに。
「…まぁ…いい事を聞きました。貴方に聞きに来て正解でしたね」
「そりゃどうも…」
正直、他の奴に当時の事を聞いてもまともに答える人などいないだろう。
「とりあえず、この後3:00から会議があるので、出席お願いします」
「…了解した」
そう言うと彼女は資料を素早く取り、足早に去っていった。恐らく会議の連絡を皆に伝える為だろう。相変わらず忙しい奴だ。あいつがせかせかと業務をこなすようになったのは、ここ最近の話だ。きっと下っ端達が海外遠征でいなくなった為だろう。言ってくれれば手伝うのに…。
それ以前のウタは、いつも射撃場に籠もり、ひたすら銃を撃っていた。ハンドガンやライフル、ショットガンにグレネードなど、様々な銃を日々撃ち続け、その腕前はライフルを得意とするルコを上回る。
だが彼女はその銃達を、実戦では一切使っていないという。その理由について彼女は
「銃を使うのは、私じゃなくても別にいいではありませんか」
といった。自分の存在価値はもっと他のところにある、という事だろうか。
彼女と話している時、俺は虚空を掴んでいるような感覚に陥る。いくら彼女の心理を読もうとしても、いずれも推測で終わる。普通ならば始めは推測でも、挙動を見ていると段々とわかってくるもの。だが彼女は何をしても分からない。挙動がおかしなもの、ということではない。動きだけ見れば平々凡々なのだ。何のおかしなところもない。だが何も無さすぎて、心理が全く読めないのだ。
ただでさえ無表情なのにやること為すこと全て「無表情」なのだ。騙し合いの心理ゲームならどれだけ強いだろうか。
再び静寂に包まれたこの部屋。俺はベッドからリモコンを操作し、見たくもないテレビを見始めた。
♩♯♪
午後3:00。会議開始時刻。
俺は久々にこの「会議と呼べない会議」に参加した。
前回の会議の内容は、今日やった奇襲作戦について。珍しくテトが仕切ったとか。
俺とメイコは別に用事があった為、その会議には参加できなかった。
だが、今回の会議は全員が揃っている。
「…全員いますね」
「珍しくみんな揃いましたねー。雪でもふr」
「黙れ貞子」
「……………口を閉じろ」
「……黙りなさい、貞子」
「な、何でですかぁ!?それに私は『さだこ』じゃなくて『ていこ』です!」
開口一番、健音をいじるのはお決まり。俺はいつも通り聞き流す。
「……うるさい、貞子」
「りっちゃん…私は正しいことを言っただk「うるさい」「黙れ」「静かにしてください」
とうとう心が折れたようで、机に突っ伏してしまった。
こうなるのも日常茶飯事。周りは特に気にすることなく、いつも空いている席が埋まるのを待っていた。
だが3時は過ぎている。疑問に思ったルコが静寂の中口を開いた。
「…ホントに来るのか?ウタさんよぉ…」
「来ます」
「…嘘なんじゃねぇの?」
「来ます」
正直俺も半信半疑だった。今まで姿すら見せなかったくせに、どうして今なのか?いや、それ以前にここに来るのか?ウタが怪しい、という事ではないが、彼女の言っていることはイマイチ信憑性に欠けていた。
勿論、そう思っているのは俺だけではない。
「………………来ると思えない」
珍しく、天音が自分から口を開く。
「いいえ、絶対に来ます」
しかし、ウタはその意見を真っ向から否定する。
すると呆れたかのような顔をしたルコが、しびれを切らしてこう言った。
「来るって100%言えるその根拠は一体なんだ?」
その通りだ。今まで来たこともない人が今になって来るという、その根拠が分からない。
ルコが放った質問には、ここにいる全員が賛同しているようだ。顔を見るに。
ウタはそれに対して、体勢も表情も変えず、冷静にうい言った。
「正体を明かしてくれたからです」
「…それだけか?」
あまりに拍子抜けた答えに、思わず口が滑った。
だが彼女は
「はい、それだけです」
と怒りも何も覚えずに、淡々と述べた。
それを聞くと、皆少し呆れたような顔をした。無論俺も呆れた。
たかがそんな理由で、今まで顔を出さなかった奴の言うことを信じるようになるとは…。もはや目の前にいるウタがウタでないような気さえしていた。
それを案じたのか、ルコがさっきとは違う口調で口を開けた。
「…お前一体どうしたんだ?最近様子がおかしいぞ?何かあったか?」
「いきなり何ですか…私はいつもと変わりはありませんが」
「ホントかよ…」
その心配する気持ちには少し納得できた。確かに最近の彼女の言動は、過去の彼女からして考えられないモノだった。俺は彼女とはそんなに親しくはないが、親しい仲であるルコがあんなに心配するのであれば、よほどの変わり様と伺える。
ルコもルコで他人の心配をするところを見たのは初めてで、そっちもそっちでどうしたんだ?と問いたくなるが、ルコをそんなにさせるほど、ウタの変わり様は今と過去でかなりの差がある、という事だ。
ウタとルコが言い合っている中、第三者が割って入る。
「そんなにあーだこーだ言っても何もなんないよルコちゃん」
唐突に口を開いたのはテトだった。
「…けどよぉ…」
「それだけウーちゃんが次の作戦に関して意欲的って事なんじゃないの?別に重傷を負ったわけじゃないんだし、心配しなくても大丈夫だよ」
…それを本人の前で言う話なのか?
「そう…だな…分かった、そうするわ」
テトに説得されたルコは、少しは納得がいかない顔をしつつもテトの意見に従った。
そして、再び静かに最後の出席者を待つ事にした。
「話は終わったか?」
不意に男の声がした。声の元に注目すると、さっきまで空いていた席が埋まっていた。
何だようやく来たのか…………って
「「「うぉわぁぁあ!?」」」