Vocaloid of voices   作:rufus

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ども、最近ネトゲにはまって小説を書けなかったRufusです

まさか大晦日に投稿とは…まぁそれだけ暇なんですよ、私

ともかく今回はちょっと場面の切り替わりが早いので読み応えがないと思います

…今までもそうだったけど




第四話 雨の中の決心

星屑。それは満天の夜空に映る星々の集合体。

だが、実際天文学的には星屑と呼ばれるものはないと、以前そういう分野の本を読んで見たのを覚えている。それを天文学的に表すなら「星雲」。おびただしい数の恒星が空に浮き、まるでそこだけが明るく輝いている。望遠鏡を覗き込んでみた星雲はそんな印象だった。

 

そして今、私はそれを操っている。

 

「な…なんだこりゃぁ…」

 

彼がようやく放った第一声がそれなのも無理はない。何せ、彼の目の前…もとい私の周りには、小さな銀河が渦を巻いていた。

 

「ぎ…銀河…?」

 

「いいえ、これは『星屑』よ」

 

「…ほ…『星屑』…ですか…」

 

顔から血の気が引いていくのが、手に掴んだように分かる。どうやらそこにいる『クッキー』とかいう人は、これが彼らにとって何を意味するのか、理解しているらしい。

 

「お、おい『クッキー』!何だよ『星屑』って!」

 

「…た、退却…してください…」

 

「はぁ!?何言ってんだお前!さっきまで自信有り気だったくせに何だよ退却って!」

 

敵が手の前にいるのにも関わらず、言い争いを始めた二人。その様子から、彼らの未熟さが伺えた。恐らく彼らは『UTAU』に新しく入った新人なのだろう。

新人をいち早く実戦投下する…彼女の手下なのは目に見えて分かった。

習うより慣れよと言う言葉があるように、彼女には『経験が全て』という確固たる理念があった。それ故に、彼女の部下でいると何かと苦労すると聞く。

 

「ほらぁ、早く帰ってよぉー。私貴方達を殺したくはないのー」

 

甘ったるい声で敵の退却を促す。ヤンキーとかそこら辺の不良なら、こんな感じで言えばほとんどはその場から立ち去るのだが、彼らは一応「テロ組織」なので

 

「てめぇを殺してから帰ってやらぁ!」

 

そんな簡単に立ち去る訳がなかった。まぁ…当たり前か…。

 

「とっととくたばれぇぇ!!」

 

またしても斬りかかってきた彼…『悪夢』は怒涛を上げながらこちらに走ってきた。

 

「仕方ないなぁ…」

 

やむを得ず、私は手を彼に向けてかざした。すると私の周りで渦を巻いていた『星屑』は一点に集まり、そして直径3mほどの『星』ができた。

それに驚いた『悪夢』は足を止め、頭上に浮かぶ『星』を目を丸くして見ていた。そんな彼を見て私は、何か彼驚いてばかりだなぁ…と少し罪悪感を感じてしまった。

 

「まぁ…帰ってくれます?私達これから用事があるので」

 

彼にそう言い放ったが、驚いている彼は『星』の方に意識が行ってしまい、聞く耳を持たなかった。その代わり、彼の相方のカウボーイくんがこう言ってきた。

 

「…今日は撤退しますが…私達は貴方達のような存在を生かしはしません。これだけは…覚えておいてください」

 

なんと漫画っぽい捨て台詞だこと…。

 

心の中で失笑しながら、私は門の外へ立ち去っていくカウボーイと、放心状態の『悪夢』を見つめていた。

 

♪#♭

 

気付いたら、私は独りだった。

 

帰る家が無くなってしまった私にとって、この寮は『家』だった。だからこそ、私は彼らにそう呼ぶよう言った。そう思うと、彼らが今、帰る家を失うかもしれない状況下に置かれている事に、私は心を痛めた。…ミクちゃんを除いては。

正直、何故今新しい『DIVA』を選出したのか。ここ数年やってこなかったのに、今更選出など、私には理解できなかった。確かに最近『UTAU』の活動が活発になっている。そのために人数を増やす…言い換えれば、被害者を増やすという事になる。

彼らは本気だ。でなければ、私達がこうして武器を持って交戦することはないはずだ。

そんな事、自衛隊とか傭兵とかにやらせておけばいいものを、何故か私達にやらせるというのもいまいち納得がいかない。上が一体何を考えているかなんて知る由もないが。

 

 

だからこそ、私がやらなくちゃならない。

 

強く、なるんだ。

 

母のように。

 

 

「…はぁ…」

 

ため息をつくと幸せが逃げるというらしいが、そんな事言ってられないほど、私は疲れていた。

倒れるようにベットに倒れこむ。そして起き上がり、周りを見渡した。

今朝の襲撃のせいで私の部屋は今しっちゃかめっちゃかである。床には本や雑誌がばらまかれ、布団はなぜか机の上で丸まっている。おまけに『悪夢』さんのコピー達は拳銃を当たり前のように撃ってきたので、壁にはあちらこちらに穴が開いている。

 

そして、私はふとタンスの上を見つめた。よかった…写真は無事みたいだ。

周りは物で散乱してる中、何故かタンスの上に置いてある写真たちは無事だった。

写真は好きだ。思い出を形として残しておける。けど時として心の傷を広げることもある。今タンスの上に置かれている写真たちは、私に後悔と寂しさを与えていた。

家族との写真、友達との写真、芸能仲間との写真。どれも見てるだけでつらくなった。

まるで私に悲しい目を向けるかのように…。

 

コンコン

 

「はぁーい」

 

ドアからノックが聞こえたので、立ち上がってすたすたと歩いていき、ドアを開けた。

そこには何とも複雑な表情のミクちゃんが立っていた。

 

「あ、あの…ルカ姉…」

 

「んー?どうしたのー?」

 

何か言いたげだが敢えて自分から聞かないでおく。言いたい事は分かってるから。

 

「…少しだけ、話聞いてくれないかな…」

 

こんな事言われるのは初めてだった。私は黙って道を開け、ミクちゃんを部屋に入れた。

部屋が散乱しているせいで、どこに身を置けば分からない様子だったが、ベットに丁度良いスペースを見つけそこにちょこんと座った。私もその隣に座った。

 

「どうしたの?話って」

 

「さっき襲ってきた人たちなんだけど…」

 

やはりその話だった。私は黙って話を聞く。

 

「私…怖かった。何もできなかった…。ただ唖然として見てるだけだった…」

 

「…うん」

 

「だから…ルカ姉に謝りたいの…。ルカ姉を盾のようにしてしま…」

 

「謝る必要なんて無いわよ?」

 

彼女の謝罪を、途中で遮った。その言葉にミクちゃんは驚いた顔をしていた。

 

「あんな状況に遭遇するなんて初めての事なんだし、謝る必要なんて無いわよ。それに、貴方達が私を盾にしたんじゃなくて、私が盾になったの。だから別に気にすることじゃないわよ?」

 

「で、でもそれでもしルカ姉が死んじゃったら…」

 

「大丈夫。私は死なないから」

 

それを聞くと、ミクちゃんは顔を下に向け喋らなくなった。彼女が何を考えてるのかは、私には分からない。でも、私の事を心配してくれた。それだけで、私は涙を流しそうになった。

独りだった私は、常に人の温もりを求めていた。けど手に入れては消え、手に入れては消え、それの繰り返しだった。だから、今回3人の『DIVA』がやってきて、私は心底喜んだ。けど、それと同時に悲しんだ。

 

だからこそ、私は強くならなくちゃならない。

 

重い空気の中、俯いたまま彼女は口を開けた。

 

「…私も…戦わなくちゃいけないの?」

 

「戦いたくないなら戦わなくていいわよ、私が守るから」

 

そう言いながら、私は彼女の頭を撫でた。

今だ数時間前の出来事に、彼女は怯え、震えていた。

 

私もかつてそうだった。彼らの襲撃に怯え、震え、泣いていた。

大丈夫。私もそうだったから。そう声をかけたかったけど、できなかった。

 

なぜなら、彼女に雨が降ってたから。

 

♬♩#

 

「あれー?ルカ姉とミク姉はー?」

 

リビングをどたばたと走り回る黄色い閃光。あっちこっち見回るその姿は、彼女が天真爛漫である事を表していた。

一方俺は無言でゲームとにらめっこしていた。当然、彼女の問いかけに答えるつもりはない。

 

「レーンー、聞いてるのー?」

 

そんな大きい声出してたら嫌でも聞こえるわ…。

 

そんな嫌味を頭の中で言ってみたが、実際に声に出す事は無かった。

しばらく一緒に住んでみて分かったが、彼女は意外と傷つきやすい。冗談半分で言ったことを、真に受け止めてしまう。その為、周りにいる俺たちはそれなりに気を遣っていた。

最も、今返事をしないのはただ面倒くさいだけなのだが。

 

「…聞こえてる」

 

「なら返事してよー。んでルカ姉とミクn…」

 

「知らない」

 

言い終わる前に言い放つ。ゲームに集中しているこっちの身としては、これ以上話しかけられると集中できなくなる。今、俺のやっているゲームは、最初のステージの山場を向かえていた。こんな肝心な時に邪魔されるなど持っても他だ。兎に角、俺は無視を続けた。

それに嫌気がさしたのか、リンはふてくされた表情でどこかに行ってしまった。ゲームでもしてればいいのに…。

すると、それとすれ違うように二階からミク姉とルカ姉が現れた。

 

「…どこ行ってたん?」

 

彼女らはやってくるなり、俺は尋ねた。

 

「あー…うん、私の部屋でちょっと…ね」

 

ルカ姉はあからさまに言葉を濁していた。そう言った後、目線がミク姉の方に向いたので、何となく状況を理解した。これ以上聞かなかった。泣いてたし。

 

「…ところでリンちゃんは?」

 

「ルカ姉達探しに行ってどっか行った」

 

「そっかー…。これから出かけようと思ったのになぁ…」

 

「どこ行くん?」

 

「あ、レン君も一緒だよ?」

 

意外だった。ここでの生活になってから、出かけた事など無かった。第一、こんな金髪の人が町をうろちょろするなど周りの目が気になって気になってしょうがない。それに歌手デビューする身としては、この格好での外出を極力避けるようにと言われていた。

そんな大変な状況なのに出かけるとなると…行く場所は決まったようなものだ。

ルカ姉はそう言った後、目線を俺からミク姉に向けた。

 

「…ミクちゃん、落ち着いた?」

 

「うん…」

 

鼻をすすりながら小声でそう言った。どうやら俺の思っていた以上に大泣きしていたようだ。理由は聞かなくとも分かっていた。俺にも罪悪感と己の無力さにむかついていた。でも今の自分ではどうしようもないもどかしさに、いつの間にか、それらの感情は消えていた。

でも、ミク姉は違った。彼女は自分の失敗を悔やみ、いつまでも胸の内に秘めるという、ネガティブな癖があった。これもこの一週間住んで分かったことである。その事について俺はどうと思うことは無い。それに彼女にそんな癖がついたのも、何か事情があるように思えた。だから尚、余計な詮索はしないしそれに対し嫌悪感を感じないようにする…自分の中でそう決めた。

 

そして俺は決心した。

 

俺は一人の男として、みんなを守る。

 

だから俺は強くなくちゃならない。

 

ルカ姉のように。

 

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