本日は長月高校の今年度初の上級生の登校日である。
昨年度最後の試験、学年末テストを基にした上級生のクラス振り分けが発表される日でもある。
クラス分けの結果を伝えている生活指導及び補習担当の教員の遠山修一は頭を痛めていた。
補習担当の都合上、生徒の学力はおおよそ把握しているのだが、一部の生徒がかなり低い点数、具体的には例年のFクラス下位並、則ち学年最低クラスの点数を取っていた。
その中には様々な学力の生徒が含まれており。Aクラス相当の生徒もいた。
そのため今年はクラス構成が歪になっており、Fクラス相当の成績でEクラスに大人数が行っていたり、各クラス上位相当の生徒の中で調子の良かった人物は二つ上のクラスに振り分けられていたりした。特に例年のFクラス上位相当の点数を取っていた生徒は4人がDクラスに振り分けられた。
遠山にはこの事に関しておおよそ予想がついていた、とある生徒が主導して皆で低い点数を取ったと。去年の態度からそのようなものが見え隠れしていた。何か騒ぐことが好きで騒動を起こそうとする、決して反抗的な態度ではなかったが、問題のある態度だった。その関係で遠山はFクラスの担任となる事になった。これ以上問題が起きる前に止めるためだ。
今回の件で指導に問題があるとして給料の査定が下がったりしないだろうか、と胃をキリキリと痛めていると、今回の元凶と思われる生徒がやって来た。去年、学年主席クラスの点数を取っていた生徒だ。
その生徒は十数人程の集団で登校している。同じような学力で固まっているわけではなさそうだ。
「遠山先生!俺のクラスどこ!?今回よく解けた気がするんですよ!点数オーバーフローしてたりしない!?」
問題の生徒がわざとらしい態度で聞いてくる。
遠山は集団でやってきた皆にクラスの振り分けの通知が入った封筒を渡しながら問い詰める。
「それはきっと、お前が一番よくわかっているだろう、加賀。というかお前はこの全員の結果を知っているんだろう、なあ?」
封筒を開けながら加賀はこれまたわざとらしく答える。
「そんなわけないですって!他の人の結果なんてわかるわけないじゃないですか!」
封筒の中に入っていた紙にはクラス分けの結果のみがシンプルに示されていた。その結果を一瞥すると加賀は満足したかのように封筒に紙をしまった。
加賀恭介
Fクラス
「お前ら全員、Fクラスだよ」
怒りを通り越して呆れながら、そう言い放たれた。
「これ以上、変なことをしてくれるなよ」
遠山の心からの嘆願であった。