ラブライブ!サンシャイン!!IF:黒澤家の兄がいた物語   作:高月 弾

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以前の作品が設定紛失により連載できなくなってしまったので心機一転して全くジャンルの違う二次創作をしてみることにしました。
更新は不定期で遅いと思いますがなにとぞよろしくお願いします。


第0話 黒澤家の長男がいた物語

「お兄様!」

 

3歳位の小さな女の子が、長くて綺麗な髪の毛を風になびかせながら走ってくる。

彼女が呼んだ人物は、彼女が走ってくるのを少し先で待っていた。

あたりは春の陽気に包まれていて道の端には綺麗な緑がいっぱいに広がっていた。

草原の中にまるで自分を見せつけるかのように咲くいくつかの花。

それを彼女の髪のように春の暖かい風が優しくなでる。

その風がその先で待つ小さな男の子の短い髪も揺らめかす。

その男の子の元にたどり着く小さな女の子。

身長がほとんど同じであるのを見ると二人は同い年なのだろう。

それどころか2人の顔は酷似していて、瓜二つの存在だった。

 

「走らないでください、【琥珀】お兄様!危ないですわ!」

 

そう言いながら小さな男の子を注意する。

そうすると注意を受けた男の子は、まばゆいくらいの笑顔を浮かべながら答えた。

 

「ごめんなさい、【ダイヤ】お姉様。でも、【ルビィ】の為にも早くお買い物を終わらせなくちゃ!」

 

するとすぐに歩き出そうとする男の子。

するとダイヤお姉様と呼ばれた女の子が慌てて男の子の手を握る。

 

「でも走ってはダメですわ。手をつないで一緒に行きましょう?」

 

そう言いながら、男の子にブレーキをかける。

すると男の子は少し驚いた様子を見せながらも、もう一度あのまばゆい笑顔を見せると、「うん!」と元気の良い返事を返してから2人で歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうこれは、あったかもしれない可能性の物語。

黒澤家の長女【黒澤ダイヤ】にもしも、双子の兄がいたら…

そんなもしもの物語である。

 

 

 

_________________________________________________

 

 

 

 

【ピピピピッ!ピピピピッ!ピピッ…!】

 

暗い部屋に電子音が響き渡る。

その電子音は音を告げる途中で部屋の主によって遮断されてしまう。

音を止めた人物は布団から起き上がると大きく伸びをする。

腰の辺りまで伸びた綺麗で真っ直ぐな黒髪はその女性がどれほど気遣って手入れをしているかが分かる。

伸びをしたあとに窓へと歩いて行きカーテンを開く。

太陽の光が明るくその女性を照らす。

その眩しさに目を僅かに閉じるが大きく深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。

今日という一日の始まりだ。

カーテンを閉じて制服へと着替える。

その手つきはとても手慣れていて女性は数分としないうちに制服へと着替えていた。

そして部屋から出ると隣の部屋の扉へと移動する。

 

【トントン】

 

軽くノックをする。

そしてその部屋の主に朝がやってきたことを伝える。

すると中からはまだ眠たそうな返事が聞こえてくる。

それを確認すると女性はリビングへと歩いて行った。

 

「お母様おはようございます。」

 

そう言うとダイヤの母も笑顔で返事を返した。

そしてその母の正面にいる人物にも視線を向けると同様に挨拶をする。

 

「【お兄様】おはようございます。」

 

それに気づいた【兄】も食べている手を一度止めて顔をダイヤの方へと向ける。

するとどこかダイヤの母に似た笑顔をダイヤに向けると、

 

「おはよう、【ダイヤ姉さん】。」

 

そう答えた。

ダイヤも兄と同じように席に座り並べてあった朝食を食べ始める。

そんな2人の姿を見ながらでも母は【フフッ】と小さく笑う。

当の2人はそんな母がなぜ笑ったのかが分からずに首をかしげる。

 

「ダイヤは何を着ても似合うわね。3年生の制服もよく似合ってるわよ。」

 

そう、今日は新学期が始まってから初の登校日。

ダイヤも琥珀も高校3年生として初めての制服だ。

とはいえ、3年生になったからといって制服が一新されるわけでもなく、珍しいことにダイヤの通う浦の星女学院では学年ごとに決まった色のスカーフをすることになっている。

3年生になったダイヤは2年生の時の赤いスカーフではなく、落ち着きのある青緑のスカーフを身につけていた。

その姿を褒められたダイヤは少し顔を赤らめるもすぐに胸を張る。

 

「当然ですわ!私はこの黒澤家の長女なのですから、何でも着こなして見せますわ!」

 

そのダイヤの得意げな姿に琥珀は驚くこともなくまるでいつものことと言わんばかりにスルーをする。

そんな兄の姿に少しむすっとしたダイヤが琥珀の方へと視線を向けるとじっと見つめてくる。

琥珀はそれに対して少しの間無視していたがやがて無駄であることを理解すると小さなため息をつきながら、

 

「ダイヤ姉さんに落ち着いている色はよく似合ってると思うよ。」

 

そう答えた。

 

「…ため息をついたのは些か気になりますが、まぁ嘘ではなさそうですしよしとしましょう。」

 

そう言うと朝ご飯を再び食べ始める。

すると母は次に琥珀の方へと視線を向けるとこう言い放った。

 

「琥珀は、制服が丁度良い大きさになったから助かったわ~♪」

 

【ブフッ!】

 

それを言い終わると同時に琥珀の隣から何かを吹き出すような音が聞こえてくる。

が、琥珀はそんなことなど最早気にしてなどいなかった。

母の方を睨むと満面に意地の悪い笑みを浮かべながら琥珀の方を見つめていた。

そんな姿に今日早くも2回目のため息をつく琥珀。

 

(家族で女子が多いせいかうちでは男の立場が…特にオレの立場が弱い気がするなぁ…)

 

そう思いながらせめてものささやかな抵抗として

 

「本当はもっと伸びる予定だったのに、お母さんがこれが着れなくなったらまた買えば良いって言ってたのが丁度良かったらしいね。」

 

と嫌みを含めて呟いた。

もちろん母やダイヤにも聞こえるようにだ。

ダイヤは隣でいまだに咳き込んでいるが、母は「そうね~」と呟くと笑みを浮かべたまま食事に戻ってしまった。

ささやかな抵抗さえも意味をなさなかった悔しさを僅かに感じつつもすぐにそれを亡き者にして食べ終わった食器を片付け始めた。

片付け終わったタイミングで誰かがリビングへと入ってきた。

眠そうに片目をこすりながら、ふらふらと歩く赤いツインテールの女の子。

 

「おはよ~……。」

 

まだまだ眠そうなその様子からはまるで小さな子どものような印象を受けるがこれでも今年からダイヤと同じ浦の星女学院に通う新1年生だ。

 

「おはようございます、ルビィ。」

 

「おはよう、ルビィ。」

 

ダイヤと母もその挨拶に対してすぐに挨拶を返す。

琥珀は片付けを終えてすぐであったために挨拶にすぐに気づけずに2人の挨拶が聞こえて初めてルビィの存在に気がつく。

 

「あぁ、ルビィおはよう。早く顔を洗いな。水も痛いほど冷たくなんてないから。」

 

そう言って目を覚まそうと促す。

ルビィは「うゆ~…。」と何かの鳴き声かのような返事をすると洗面台へと歩いて行った。

顔を洗っている最中にも「ピギッ!?」と言った声を上げていたようだ。

 

(我が妹ながらあの鳴き声はいったい誰に似たんだろうか…あぁ、ダイヤ姉さんもたまにあんな鳴き声上げてたっけか。)

 

そう言いながら横目にダイヤを見るが、まるでダイヤはそれを予測していたかのように琥珀のことを睨んでいた。

それに驚いた琥珀はすぐにダイヤから視線を離し、何食わぬ顔で自身の部屋へと戻っていった。

荷物を確認してから、忘れ物がないことを確認すると高校へ行くときに普段から使っているリュックサックを背負うと玄関へと歩いて行く。

玄関へと着くと先ほどリビングで顔を合わせた3人が待っていた。

 

(別にわざわざ待っていなくても良かったのに…姉さんはまだしも、)

 

そう思いながらも「待たせてごめん。」と言いながら小走りで靴に履き替える。

ダイヤと琥珀が靴を履いて玄関へと立っていて、母とルビィはスリッパを履いて家の中に立っていた。

そう、今日は始業式であるため、今年から高校1年生になるルビィはまだ学校が始まってはいないのだ。

本来ならばまだ寝ていて良いはずだが、自身の姉と兄の見送りがしたいと少し早い時間に起きてきたのだ。

そして琥珀はドアノブに手を掛ける。

琥珀が振り返ると同時にダイヤも振り返り、

 

「「行ってきます。」」

 

2人同時にそう言った。

 

「「行ってらっしゃい!!」」

 

ルビィ達も2人よりもより元気に答える。

そんな元気を背中に受け止めながら2人は登校していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく歩くとバス停が見えてくる。

2人の学校はそれぞれ家からそれなりの距離があり、バスで通っているのだ。

そのため最寄りのバス停までは同じなのだが、

 

「でもダイヤ姉さん今日はいつもより早いね。生徒会長の仕事?」

 

そう、2人の高校への距離には大きな差があり、普段2人の出発する時間が一致することは極めて少ないのだ。

そして今日もその珍しい日のうちの一つだった。

そのために琥珀もそれを少し気にしていた。

もちろん、ダイヤが早くに着く理由など今先ほど琥珀が言った生徒会に関することであろうと思っているようだが。

 

「えぇ、その通りですわ。始業式の当日の準備も私達が行いますからね。入学式当日も早めに出ますわよ。」

 

結局返ってきた答えは琥珀の想像通りの物だった。

が、入学式当日のことまでは考えてなかった。

 

(そうか、入学式当日もダイヤ姉さんは早めに出るのか…。ルビィが早めに出るのなら皆で登校ってのもあったかも知れないけど、新入生のルビィが早く行っても暇なだけか。)

 

そう考えて小さな希望が叶わないことに少しへこむ。

そうこうしているうちにバス停へと着いていた。

 

「それでは、お兄様。行ってらっしゃい。」

 

「あぁ、ダイヤ姉さんも行ってらっしゃい。」

 

そう、このバス停でダイヤと琥珀は別れる。

ダイヤの通う高校と琥珀の通う高校では方向が真逆なのだ。

そのために乗るバス停も反対となる。

そのためここで別れることとなるのだ。

互いに手を振りながらダイヤは反対側のバス停へと移動していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

浦の星女学院についたダイヤは教室へは向かわずに真っ先に生徒会室へと向かった。

そこで書類をまとめるとすぐに体育館へと向かっていった。

そこには数人の生徒会員が既に作業を始めていて、会場設営が進んでいた。

ダイヤが挨拶をすると作業をしていた生徒会員達が一斉に挨拶を返してくる。

その様子を見る限りダイヤへの信頼はかなり厚いようにも見える。

すぐに始業式の流れや構造を生徒会のメンバーで確認すると、後からやってくる生徒会のメンバーも含めて最終確認を行っていた。

その中で一人の生徒がダイヤに話しかけてきた。

 

「生徒会長。今日何か良いことでもあったんですか?」

 

その言葉に少し驚いて生徒を見返すダイヤ。

 

「だって生徒会長。今日はなんだか優しい顔してますよ?」

 

「あら、普段はいったいどんな顔をしているのですかね?」

 

「ひぇ…っ。」

 

口がすべったと言わんばかりにすぐに口を手でふさぐが時既に遅し。

ダイヤの冷たい笑顔を向けられて顔を引きつらせることしかできなくなっていた。

 

「全く、優しそうな顔ってなんですか。まるで普段が冷たい人のような言い方じゃありませんこと?」

 

そうため息をつきながら話す生徒会長にその生徒会員は慌てて答える。

 

「そっそんなんじゃありませんよ!?普段のキリッ!とした表情よりもなんとなくやんわりとしていたように見えたので…。」

 

そう言われたダイヤは手鏡を取り出して自身の顔を確認するが、自身の顔に全く違和感等は感じられなかった。

 

「そうですか?私にはどうも普段と違うようには見えませんが…。」

 

「あっと…あくまで雰囲気だったので根拠とかは特に…。」

 

「…そうですか。」

 

そう言うとダイヤは、全ての確認を終えたことを重ねて確認すると自身の教室へと戻っていった。

始業式も何の問題もなく進んでいた。

が、浦の星女学院は他校とは少し違う形の始業式になっていた。

先生の話は校長の話だけであり、ほとんどが生徒会の進行によって進められていく。

つまり、生徒会長のダイヤを中心として、始業式は進んでいったのだ。

…まぁ、ダイヤであれば十二分にやり遂げるので全く心配なのはいらないのだが…

始業式も終わり、教室に戻った生徒達は先生から今後の予定の連絡を受けて今日の学校は終わりとなった。

が、生徒会のメンバーと有志の人達は始業式の片付けと入学式の準備が残っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私、スクールアイドルをやるよ!!」

 

「へ?」




初めての日常系(?)の作品です。
ラブライブ!サンシャイン!!はとても好きなので前々からクロスを作りたいと思ってたのですが色々あってクロスが若干トラウマに…なので、普通にオリ主で作ってみました。
主人公の設定やら特徴は後々説明するか作品の中で分かってくると思うので特別枠などで用意する予定は今のところありません。
今回の作品を見てくださった方々、ありがとうございます!
日常編を書くのが苦手なのでアドバイスや感想をいただけると励みになります。是非ともお願いします。
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