ラブライブ!サンシャイン!!IF:黒澤家の兄がいた物語 作:高月 弾
前回の話はいわば琥珀の存在や関係を簡単に説明するための話なので実質これが1話です。
話の進度はかなり遅いと思ってください。
「私、スクールアイドルをやるよ!!!」
「へ?」
突然の親友の告白に戸惑う渡辺曜。
始業式が無事に終わり先生からの話も終わって、後は帰るだけとなったタイミングで放たれた衝撃の発言。
そんなことを言い始めた高海千歌に対して曜へ戸惑いながらも千歌に対して質問を投げかける。
「ど、どうしたの千歌ちゃん?いきなりスクールアイドルを始めたいだなんて。」
「だってこれを見てよ!!」
そう言いながらスマホを取り出して曜に突きつける。
曜はその画面を見るとそこにはとある映像が流れていた。
それは、とあるスクールアイドルの映像だった。
9人の女子高校生がステージの上で可愛らしい衣装に身を包み、歌って踊るスクールアイドルの姿であった。
もちろんその踊りも素晴らしい物だったがそれよりも曜の気持ちを魅きつけた物が別にあった。
「凄い…いい歌…。」
そう。
その曲その物だった。
まるで曜自身の心に訴えかけてくるかのようなストレートな歌詞だがその音は決して激しくなどなくまるで心を包み込むかのような暖かさに満ちていた。
その輝かしくも暖かな9人の姿に曜は一気に魅かれていった。
「そうだよ!このミュースってスクールアイドルが…【普通の】…同じ女子高校生なのに凄く輝いて見えるでしょ!?だから、私もスクールアイドルになりたい!!」
そんなに真剣に、こんなにも夢中で話す千歌を見て曜は目を丸くする。
それに千歌が【普通】と言っていたことにも何か思い当たることがあったようで、曜は少しだけ考えたてからゆっくりと顔を上げると…
「…わかった!千歌ちゃんが真剣にやりたいんだよね?なら私も手伝うよ!!」
そう言いながら満面の笑みを浮かべながら千歌の希望に対して自分も手伝うと答えた。
すると千歌も満面の笑みを浮かべながら、
「ありがと~!曜ちゃ~ん!!」
そう言いながら曜に向かって抱きついてきた。
驚いて少し声を上げながら倒れそうになるのを何とか踏ん張ると顔を少し赤く染めながら千歌をなだめる。
なだめられたことで少し落ち着いた千歌は曜と少し会話をすると、すぐに学校近くのバス停に向かって走って行った。
土曜日、日曜日と休日を過ごして月曜日…いよいよ入学式当日。
ダイヤと琥珀は始業式の時と同じように、家を同じ時間に出ようとしていた。
それを始業式の時と同じように母とルビィが玄関で見送りをする。
だが今回は以前とは少しだけ違う点がある。
それは、ルビィが高校の…浦の星女学院の制服を着ていることだ。
ダイヤとは違いである黄色のリボンを胸元に身につけていて、より可愛らしい印象になっていた。
そんなルビィの姿を見ると兄も姉も自然と笑みがこぼれてくる。
対するルビィも自身の尊敬する姉であるダイヤと同じ高校に通えることを心より楽しみにしていた。
入学式がある今日はダイヤは早くに学校へと着く必要があり、琥珀は普段からこの時間に出ている。
ルビィは一緒に登校したいと思っていたが、新入生であるが故に早く行く必要がないどころかむしろ少し遅めに登校するように指示がある。
早く行っても新入生は退屈するだけなのだ。
だから、ルビィは今回も2人の見送り役なのである。
「「行ってらっしゃい!!」」
「「行ってきます。」わ。」
互いが元気に挨拶を交わすと2人は登校していき、2人は入学式へ行くための準備を始めた。
今日という日のためにルビィの父も仕事を休んで入学式に参加するようにしていた。
そして、入学式に向けて…と言うよりも、今日という日に向けて準備していた物がもう2人いた。
【ドタンッ!!】
なにやらドタバタと大きな音が聞こえてくる。
その音がどこからきて、誰が出している物かをその家の持ち主達は知っていた。
2階にいる音の原因に対して聞こえるように大きな声でヤジを飛ばす。
「近所迷惑だよ~。シイタケも言ってやって、こんな田舎じゃ無理だって~。」
「バァウ!」
シイタケとはこの家で飼っている大きな犬である。
そう言われたであろう人物はいまだにやめることなく、2階で何かの練習を行っていた。
「曜ちゃん!どう?」
そう言われた曜はスマホに映るとある人物と見比べる。
スマホの中に映し出された人物はまるで引き込まれるような表情をしていた。
そして目の前の千歌を見る。
とてもまねをできているようには思えない。
確かに千歌も充分に可愛らしいのだが、今目の前にあるアイドルの画像と比べるととどう見ても同じには見えない。
が、
「え~っと、多分…できてると思う!」
と答えた。
正直なところ少し適当だ。
それでも千歌は喜んで次のポーズの練習に移ろうとする。
「千歌ちゃん、本当にスクールアイドルやるの?」
曜はそんな千歌に対して疑問を投げかけた。
この質問は千歌は「もちろんだよ!」と答えるとまるで昔からの夢で合ったかのように話し始めた。
そんなキラキラとした笑みを浮かべる千歌を見て、曜は千歌がどのような気持ちでスクールアイドルを始めると言ったのか理解できたような気がした。
そして、次に話したのはスクールアイドルを始めることを前提とした話だった。
「部員は何人いるの?」
千歌はそれを聞くと、曜のすぐ横に座る。
「まだ私だけ。」
落ち着いてそう答えた。
だがそれは沈んだような声ではなく、これから始めることに対して静かに考えをまとめているような、そんな静けさであった。
それからスクールアイドル部を立ち上げることや、これからやることを話し合う。
が、少し話したところでふと曜が今の時間を確認する。
【7:45】
それは学校に間に合うための【最後の】バスが来る時刻を示していた。
「「あぁぁ~~~~~~!!?」」
2人は鞄を持つと走って家を飛び出していく。
玄関を出たところで乗らなければならないバスが家ノ前を通過していった。
2人は目を丸くして、大きな声で叫んでバスに自分達が乗ることを必死に伝えながら走って行った。
バスの中でもスクールアイドルのことで2人で話していた。
千歌がスクールアイドル部の勧誘のためのチラシを作っていてそれを曜に見せたりもしていた。
曜は隠していたが実は、千歌が言葉だけでなく実際にチラシという物だったりを作っていたことに驚いていた。
何とか時間に間に合った千歌達はすぐさまとある準備を始める。
高校での一つの名物とも言える物だ。
それは…
「どうですか~!美術部に入って夢のような世界を描いてみませんか!」
「ソフトボール部です!皆で仲良く楽しくやっていきたい人達は是非ともソフトボール部へ!!」
「水泳部です!!大会で入賞を一緒に目指しましょう!もちろん楽しみたい方も歓迎ですよ!」
そう、部活動の勧誘である。
中学まではこのように生徒達が自主的に勧誘するところを見ることはない。
高校生になって初めて経験する、まさにこれが高校か!とも思えるような最初の…言ってしまえば【行事】である。
そして同時にさらに部活動を盛んにしようと在校生が新学期始まってから初めて活動する部内活動でもある。
必然的に皆がやる気を出して、それぞれの部の良さを叫び合う。
この習慣に新入生は驚くかもしれないが、高校という新しい世界に入ったという実感や、ワクワクを与えられ在校生も新学期の始めから元気を出せるという意味でもこの習慣は素晴らしい物だろう。
そんな中にやけにこじんまりとした部活動が一つだけあった。
「スクールアイドルやりませんか~!!!スクールアイドル!!!」
千歌達だった。
何かの箱の上に立って、メガホンを持ちチラシを片手に勧誘していた。
その横では曜ちゃんがチラシを配りながらその様子を見ていた。
が、チラシを曜から(断り切れずに)受け取る人はいても、千歌から受け取る物は誰もおらずに、ましてや興味を持とうとする者さえもいないようにさえ感じる。
「今をときめく…スクールアイドルでぇ~~す!!!」
いつしか千歌の叫びは悲痛な物へと変わっていた。
途中から曜ちゃんが一肌脱いで千歌とともに呼びかけるが全く人が立ち止まる様子はなく、いつの間にか2人は謎の箱の上に座り込んでしまっていた。
とうとう新入生のほとんどは自分達の教室に入ってしまい、校門付近には千歌と曜の2人だけとなってしまっていた。
さすがにこれ以上は意味がないと、2人は片付けを始めようとするがそんな時、千歌の視線がある人を捉えた。
肩よりも長い、綺麗な茶色の髪を春の暖かい風になびかせながらまるでそこだけキラキラと輝いているかのようにすら感じる美少女の姿を。
隣の可愛らしい赤い髪の女の子と話す姿はまさに絵になると言った物だった。
「美少女…。」
それを見た千歌は、チラシをもってすぐに駆けよっていく。
「スクールアイドルやりませんか!!」
「ずら!?」
すぐさまスクールアイドルの勧誘を始める。
もちろんそんなにいきなり詰め寄られたら驚くがそれと同じように千歌自身も彼女の発した言葉に疑問を抱く。
「ずら?」
はっとした美少女は口を両手で隠す。
そう、気になったのはそのずらという言葉である。
どこかの方言なのだろうが、聞いたことのない言葉に首をかしげる。
がそんな疑問などすぐにどこかへ投げ捨てて、美少女の勧誘へと尽力し始める。
が、勧誘の仕方がどこか怪しい商人が口にしそうな言葉が出ていることにはこの場の誰もが気づかない。
とそんなことを話していると千歌は美少女の後ろに隠れていた女の子の視線がチラシへと向けられていることに気づく。
千歌がチラシを横にずらすと赤い髪の少女も頭を横に動かし、千歌が上下に動かすと赤い髪の少女も同じく上下に頭を動かす。
まるで品定めでもするかのような目でチラシを凝視するその姿は誰がどう見ても興味を持っているようにしか見えなかった。
千歌はもちろんその少女に対して興味があるのかを問いかける。
「ライブとかあるんですか!!」
「ううん、これから始めるところなの。だから貴方みたいな可愛い子ぜひ…!」
そう言いながら千歌は少女の手に触れる。
それが間違いだった。
何かを察したように茶髪の美少女は両手で耳を塞ぐ。
千歌に触れられた少女はみるみる顔を青くしていき、一瞬フリーズする。
千歌はその様子に疑問を抱くがそれを散策するよりも先に…
「ぴぎぃあ゙ぁぁぁあああああああ!!!??」
「!!!?」
悲鳴のような叫び声なような何かが目の前の少女から放たれる。
至近距離にいた千歌は驚いて尻餅をつく。
遠くにいた曜も耳をふさぎながら何事かと、すぐに駆けよってくる。
「ルビィちゃんは究極の人見知りずら。」
花丸が困惑する先輩ふたりに対して一応説明というように呟いた。
顔を真っ赤にしながら悲鳴を上げる目の前の状況に先輩ふたりは何をすればいいのか分からずただただ困惑することしかできずにいた。
その悲鳴が叫び声からおねぇちゃんを呼ぶ声に変わり始めたこと…まぁ周りの誰もが気づけていないのではあるが、そんな時に木の上から誰かが落ちてきた。
【ダンッ!!!】
四人の少女の目の前に落ちてきた少女。
着地こそしていた物の足は相当に痛いであろうことは想像が付く。
そして、追い打ちのように落ちてきた少女の上にさらに鞄が落ちてくる。
入学式の日から…初登校日からこんなことになるとは、あまりにも不幸の連続である。
さすがに不憫に思ったのか千歌は落ちてきた少女に対して心配の声を掛ける。
すると少女は目を見開きこう答えた。
「もしかしてここは…地上?」
「ひぃっ…。」
大丈夫ではなかったようだ。
どうやら足から伝わった衝撃が頭まで伝わり壊れてしまっているようだった。
高校生活の始まりの日だったというのに…あまりにかわいそうである。
「と言うことはあなたたちは…下劣で下等な人間達。」
酷い言われようである。
本格的に心配するのが周りから見たら正しいのかも知れないが、目の前でこんなことをやられた千歌達は困惑するしかない。
その後も訳の分からないことを続けるが、千歌はふと先ほど着地した際の足の痛みがあるのではないかと思い出す。
心配の言葉を掛けながら落下してきた少女の足に触れる。
少女は涙目になりながらも先ほどのような話し方を続ける。
本当に病院へ行った方が良いのではないか?と思っていたが意外なところから落下してきた少女の正体が明かされる。
「善子ちゃん…?善子ちゃん!!!」
「…ずら…まる?」
今回も読んでいただきありがとうございます。
小説はやっていて思うのですが、アニメの1話がこちらでの数話分になるというのは中々辛いですね。
まぁ…語数を増やせばいいわけですが、そんな技術は私にはないので…
今回は千歌達が活動を開始、そして花丸と善子の登場でしたね。
前回のセリフが千歌と曜だと分かりましたかね?
分かりにくいならもっと精進していきます。
次回はいよいよ最初の壁となる人物との遭遇です。
次回【第2話 前途多難だよぉ!】
次回もよろしくお願いします。