ラブライブ!サンシャイン!!IF:黒澤家の兄がいた物語   作:高月 弾

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大分遅くなりました。
リアルがレポート増えたせいで時間なくなってきました。
そして、基本的に投稿はモチベ依存なのであまり頻度は期待してないで下さい。



第3話 許しませんわ!

「ただいま~。」

 

ドアを開けながら帰宅の挨拶をした。

すると三人の女性の声でお帰りなさい、と聞こえてきた。

3人の声が聞こえてきたと言うことは…

 

(ダイヤ姉さんも帰ってきてるのか。)

 

そんなことを思いながら自身の部屋へと入っていく。

制服から部屋着へと着替えて、明日の準備を済ませる。

そして、机に座ると近くの本の山の一番上の本を取り出す。

それは英語の単語帳だった。

その単語帳には多くの付箋が貼り付けられていて本来よりも厚くなっていた。

今年の3年生である琥珀は受験を控えている、そのために最近はずっと勉強漬けのようになっている。

もちろん今日も自身の決めた量の単語を覚えたり、確認をする。

30分ほど勉強をしていた頃だろうか、小さなため息をつきながら単語帳を閉じる。

 

「ダメだ…今日はやけに集中できないし、やる気も出ない…。」

 

首の後ろを手で押さえながら一旦動作を止める。

一瞬何かを考えると、もう一度小さなため息をつきながら一度部屋の外へと出る。

そして、別の部屋の前にと立つ。

一度ノックをして、部屋の主に入ることへの許可を取る。

すると中からは許可の出る返答が返ってくる。

それを聞いた琥珀はゆっくりと扉を開けた。

 

「お兄さま…どうかなされましたか?」

 

ダイヤは椅子をこちらへと向けて話しかけていた。

どうやらダイヤも勉強をしていたようだ。

それも当たり前である。

ダイヤと琥珀は双子の姉兄(きょうだい)であるためにダイヤもまた受験生なのだ。

が、琥珀はダイヤの物言いが僅かに乱暴であることにすぐに気が付いた。

 

「勉強中だった?ごめん姉さん。ちょっと気晴らしのつもりだったんだけど、邪魔かな?」

 

「いいえ、大丈夫ですわ。私も一度息抜きをと思ってましたので。」

 

そう言いながらペンを置く。

琥珀はそうか、と短く返すとダイヤの側に座った。

すぐ隣同士に座る姉兄(きょうだい)だが、話すタイミングを伺っているのか中々会話が始まらない。

1分ほど静寂が続いた後、ダイヤから話を切り出す。

 

「どうしたのですか?お兄さまがわたくしの部屋に来るなんて珍しいですね。」

 

「あぁ、なんだが勉強が捗らなくてね…。どうも集中できないから少し気分転換にさ。」

 

「…気分転換なら身体を動かせばいいのでは?普段のように。」

 

ダイヤのその返答に琥珀は「まぁ…うん。」と少し曖昧な返答をする。

事実、琥珀は普段勉強の調子が悪かったり、気持ちが切り替わらなかったりしたときは筋トレやランニング、ボールやラケットをいじる等身体を動かして気持ちを切り替えることがほとんどだった。

だからこそ、琥珀があえてダイヤの部屋に入ってきたことは珍しくダイヤにとっても予想外の出来事だった。

もちろんダイヤは琥珀の曖昧な返答にはっきりしてくれ、と伝える。

すると少し考えてからこう答えた。

 

「なんとなくダイヤ姉さんと話したかった。ただの気まぐれだよ。」

 

それを聞いたダイヤは少し不服そうな表情を浮かべるも小さなため息とともに肩の力を少し抜く。

 

「なぁダイヤ姉さん。学校で何かあった?」

 

その一言にダイヤは少し驚く。

目を丸くして琥珀を見つめる。

ダイヤが口を開こうとするがそれを遮るかのように琥珀が話し出す。

 

「だって少し不機嫌そうだよ。何年一緒にいると思ってるのさ、姉さんのことは一番よくわかってるよ。」

 

まるでダイヤの言いたいことが分かっているかのようにそう話した。

実際、ダイヤが話そうとしたことはなぜ分かったのか?と言うことであったためにぐうの音も出なくなる。

それを聞いて諦めたのか再び小さなため息をつくと、ゆっくりと話し始めた。

 

「…今日、入学式があったですわよね?」

 

「うん。」

 

「もちろんその中では部活動の勧誘などもあったのですが…」

 

(あぁ、それはそうだろうね。オレの学校でも…オレもやってたし。)

 

「そんな中で部活動として認証していない…ましてや申請してすらいないような部活動が勧誘をしていたのです。」

 

ダイヤはそう説明しながら頭を抱える。

琥珀でさえ思わず聞き直したくなる。

申請していない?そんな状態で自分達は部活だと言い張って勧誘をしていたのか?と琥珀自身の疑問の山のように築かれていく。

もし本当にそうなのであれば学校にとっては迷惑であることはもちろん、仮にその部活に興味を持った新入生がいればその子達にも迷惑がかかってしまう。

まさかそんなことをする生徒がいるとはさすがに琥珀も驚きを隠せなかった。

 

「それで…わたくしがその部員擬きを生徒会室に呼び出して事情を聞いたのですが…」

 

ここの流れで琥珀はさすがダイヤ姉さんだ、と感心した。

普通の生徒会長とかならばまず注意や警告などから入る者達もいるであろう。

が、ダイヤはその人達の事情から聞くことでその部に対する処分を的確に行おうとしていると感じたからである。

 

「【μ's】のことをミュースと間違えるような素人が、スクールアイドルを始めるなんて…身の程知らずもいいところですわ!!!」

 

この一言でなぜダイヤがこれほどまでに腹を立てているのかを琥珀は理解することが出来た。

ダイヤの口から出てきたμ'sというスクールアイドルの名前。

ダイヤはこう見えても大のスクールアイドル好きであり、その中でも最も好きなのがμ'sなのである。

なぜ、μ'sのことが一番好きなのであるかというと…

 

「あれほどまでに完成されたスクールアイドルを見たことがありませんわ!!なんといっても…!!!」

 

そこから30分近くμ'sの話を語られてしまうことになるとは琥珀は全く考えていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…そして、ついにラブライブ!で優勝を果たし、日本中を熱狂させるようなスクールアイドルにまでなったのです!!それほどまでのスクールアイドルの名前さえも理解していないような人達のスクールアイドルになりたいなどという愚かな戯れ言には全く虫唾が走りますわ!!!」

 

長く続いた熱弁もついに終わりを迎え、どれほどダイヤがスクールアイドルを愛していて、どれほどμ'sに憧れているかは誰が見ても分かるであろう。

 

(ダイヤ姉さんもドハマりすると本当に手がつけられなくなるなぁ。ルビィといいやっぱり姉妹なんだな。…まぁ、オレも例に漏れずに…姉兄【きょうだい】って言うのが分かりやすい)

 

と苦笑いをしながら考えていた。

その後は少し熱くなりすぎているダイヤを、なだめて冷静になるように促す。

ダイヤ自身も熱くなりすぎていていた自覚があったようですぐに冷静さを取り戻した。

 

「スポーツも出来て勉強も出来て、伝統文化に関しても知識も実力もある超優等生なのに、スクールアイドルに関してはヲタクみたいだよな。姉さんって。」

 

それを聞いたダイヤは顔を真っ赤にする。

 

「お…!ヲタクではありませんわ!!心からスクールアイドル、μ'sのことを愛しているだけですわ!!そんなことをいったらお兄さまだって、重度のドラゴンボ◯ルのヲタクじゃありませんこと!!」

 

「そうだな~、ドラゴン◯ールに関してはオレもヲタクだと思うよ。」

 

そうあっさりと答える琥珀に対してダイヤは呆れたように肩を落とすと大きなため息をついた。

そして10秒ほどの空白が二人の間にうまれる。

まるで空気が入れ替わるかのように。

 

「浦の星のスクールアイドルにふさわしいのは【Aqours】しかいないか?」

 

その言葉にダイヤは僅かに肩をふるわせる。

琥珀の言葉は確かにダイヤの耳へと届いているのはダイヤの反応を見ても安易に分かる。

が、ダイヤはその言葉に対して何か言葉を返そうとはしなかった。

琥珀はそこでダイヤの顔を見つめる。

その目には影が差していたが、それとは同時に…いや、それよりも大きな感情が秘められていることはすぐに分かった。

それを確認すると琥珀はゆっくりと立ち上がる。

 

「ありがとうダイヤ姉さん。少し長居しちゃったかも知れないけどいい気分転換になったよ。」

 

「そうですか。ごめんなさい、少し話しすぎましたわ。」

 

「気にする必要ないよ、気分転換になったって言ったっしょ?」

 

そう言いながらダイヤの部屋の扉に手を掛ける。

 

「明日から本格的に学校も始まるし、ルビィのことお願いな?姉さん。」

 

「もちろんですわ。この私にどーんと任せておいてください。」

 

そう微笑みながら答えた。

普段は冷静でクールなイメージのあるダイヤだが家族の前では意外と砕けたところを見せることがある。

今も自身の拳で軽く胸をたたきながら大げさに表現していたりして、琥珀に心配を掛けないように明るく振る舞っているのがその証拠だ。

こういうときのダイヤは基本的に大丈夫だと琥珀は知っていたため、頷いて返事を返すと自身の部屋へと戻っていった。

その後、ダイヤと琥珀は自身の言っていた通りに気分転換が出来たようで勉学に励むことが出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒澤家から少し離れた場所ではふたりの少女が海岸に座っていた。

なぜこんなことになっているのかというと時間を少し遡る。

 

「…はぁ、まずは部員かぁ。それにダイヤさん…生徒会長もどうにかしないと…」

 

そう呟きながら手に持っているポスターを見つめながら歩く千歌。

大きなため息をつきながらとぼとぼ歩いていると、一吹きの風が千歌に襲いかかりポスターを吹き飛ばそうとしてきた。

千歌はポスターを持つ手に力を込めて吹き飛ばされないようにする、それと同時に急な突風に目を閉じる。

風が弱まったのが分かりゆっくりと目を開くと、次の瞬間に風になびく何かが視界に飛び込んできた。

 

(わかめ…?)

 

千歌はそう考えるがそんなはずはなく、よく目をこらすとそれは綺麗な長い濃紅色の髪だった。

そんな髪を持つ、一人の少女が夕日の色に染まる海を真っ直ぐに見つめていた。

その様子があまりにも美しく立ち止まってその光景を見つめてしまう千歌。

が、次の瞬間にも美しいという考えは消し飛んでしまう。

少女は突如として着ていた制服を脱ぎ捨てる。

そして現れたのは美しいボディライン…ではなく競泳用のような水着だった。

なにがとは言わないが期待したわけじゃないですよ…はい。

千歌はもちろんそのいきなりのことに目を丸くして唖然とするがすぐに走り出す。

 

「嘘でしょ…まだ四月だよ!?」

 

パニックになりながらも今まさに海にでも飛び込もうとするかのような少女を止めるべく走って行く。

そんな千歌をよそに少女はかけ声をあげながら海に向かって走って行く。

そしてそのまま海へ飛び込もうとする。

が、寸前のところで千歌が少女に飛びつき取り押さえようとする。

千歌自身ももう頭がパニックになりどんな言葉を少女にかけていたのかは全く覚えていなかった。

だが、その後の少女の言葉だけははっきりと耳に残っていた。

 

「離して!私は…行かなくちゃ行けないの!!!」

 

そう叫びながら変わらず海に飛び込もうとする少女、そしてそれを必死に止める千歌。

その均衡が数秒続いた後、

 

【ズルッ】

 

「「へ?」」

 

千歌の足がすべる。

もちろんいきなり支えを失った両者はそのまま勢いよく海へと墜落していった。

 

海から出てきた二人は近くの浜辺で身体を乾かしていた。

その間に2人とも冷静さを取り戻したようでお互いの話を聞けるようになっていた。

 

「大丈夫?沖縄じゃないんだから…。海に入りたいなら、ダイビングショップだってあるんだよ?」

 

「海の音を…聴きたいの…。」

 

そう呟くように答えた。

消えそうなほど小さい声は意識していなければ海の小さなさざ波の音にさえかき消されてしまいそうなほどだった。

何かを抱えているのであることは千歌にもすぐ分かった。

だからこそ、その事に関しては深く聞き入ろうとはしなかった。

話を変えて無難に出身地の話をしたところ、その女の子は東京と答えた。

その答えを聞いた千歌は目を輝かせる。

 

「じゃあスクールアイドルって知ってる!!」

 

「す、スクールアイドル?」

 

千歌のその豹変ぶりに思わず目を丸くする女の子。

だがその驚く女の子の様子にこれまた目を丸くする千歌。

再び問を投げるが返ってくるのはまるで初めて聞いたかのような復唱だけだった。

そこで千歌はポケットからスマホを取り出して女の子の前に突きつける。

 

「何じゃこりゃ!ってなるよ!!」

 

「何じゃこりゃ?」

 

おそらくこれから女の子に見せようとしているのは、彼女が好きだと言っていたμ'sだろう。

が、普通自分の好きなものを相手に伝えるときにそんな変なセリフを使うだろうか?

それを見せられた女の子も千歌のあまりに不思議なおすすめの仕方についついお世辞などではなく素の反応を見せてしまう。

 

「何というか、【普通】?」

 

「……。」

 

相手の静寂を聞いてから女の子は自分自身が失言をしていたことに気づく。

千歌の様子を見る限りスクールアイドルが好きである可能性はあっても嫌いである可能性は全くないことは分かっていたはずなのにそれに対して【普通】と言う言葉はあまりにも失礼であることは明白だった。

 

「だよね。」

 

「え?」

 

だからこそ次に放たれた千歌(彼女)の言葉を理解することが出来なかった。

その次に聞こえてきたのは千歌(彼女)のそれまでの自身の話だった。

それまで何かに熱中できるわけでもなく、ただただ【普通】の人生を歩んできたのだと。

このままだと普通怪獣チカチーになるとも言っていた。

そんな時にであったのがスクールアイドルだった。

千歌(彼女)自身も初めに見たときは普通だと感じていたらしいが、曲を聴き始めて…彼女たちのスクールアイドルとしてのμ'sを見たときにそのイメージは覆されたようだった。

それからμ'sに火がついた。

気づいたときにはμ'sの全ての曲を聴いていたらしい。

女の子はそんな話を聞いていた。

その中で女の子も、自分が諦めかけていた夢への気持ちを思い出す。

 

(…好き【だった】。あの時の気持ちは今も覚えてる。変わらないはずなのに今は【分からない】。けど…)

 

「私も皆と何かを頑張ってみたいって…輝きたいって!!!」

 

彼女を見つめると、その瞳はどこまでも遠くを見つめて、どこまでも輝いているようにも見えた

その目がこちらへと向いた瞬間女の子は何かを感じ取った。

 

【頑張れ!!!】

 

そう言葉にして伝えられたわけではない。

だが彼女の言葉が、まるで自分の心に直接響いてきたかのような感じがした。

その輝きを秘めた瞳から目を離せなくなっていた。

少しの間、二人の間を静寂という名の音が支配する。

少しして女の子は小さく息をつくと、

 

「…頑張れって言われてる気がした。」

 

そう呟くように答えた。

すると千歌は「えへへ」と笑って見せた。

本当に応援していたのか、それが伝わったことに笑みを浮かべたのか、それとも自分の話で少し元気になった女の子に安心したのか、真意は分からないが笑っていた。

 

「ありがとう。私、もう少し頑張ってみる。」

 

そう言いながら女の子は立ち上がる。

それを見た千歌は先ほどに負けないくらい元気な声で返事をして、満面の笑みでそれに応える。

 

「うん。あ、私は高海千歌!」

 

思い出したかのように自分の名前を名乗ってから少し遠くの方を指さしながら、自身が浦の星女学院の2年生であることを説明する。

 

「じゃあ同い年だ。」

 

その言葉に千歌は少し驚いたように目を丸くする。

 

「私は桜内梨子。高校は…【音ノ木坂学院高校】。」

 

 

 

 

この出会いが千歌の…千歌達の運命を大きく変える出来事になる。

この物語の始まりは千歌がスクールアイドルを始めようとしたこと、だとするならばこの出会いはスクールアイドルへの第一歩とも言うべきであろう。

この出会いから、千歌達の運命はゆっくりと動き始める。

 

 

 

 

 




まだ話す必要ないかも知れませんが、アニメのラブライブ!サンシャイン!!では日常回があまりなかったのでスクフェスを主にして日常回とかはやっていきたいですね。
次回【第4話 転校生を追いかけろ!】
次回もよろしくお願いします。
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