みんな幸せになってほしいだけの短編集 作:RoW
『さて、そろそろお別れの時間だね。最後はみんなでこの歌をみんなで歌おう!』
せかいはひーとつにーなるー!
昼下がりにテレビをつけると、毎日『おにいさんといっしょ!』という番組が平日は毎日放送されている。
この番組の顔である歌のお兄さんこと、だいきちお兄さんをセンターに小さな子供達が手を繋いで笑顔で歌っている。
この番組は国営放送の幼児用教育番組で、長年一定の視聴率を保持し続けている番組である。
「こんなにたくさんの人を笑顔にするなんてさすが大吉ねっ!」
「うん、ようやく夢が叶ったんだ。もっと頑張るよ。こころのバンドの曲、提供してくれてありがとう」
歌が終わると同時に、スマホに映していた番組を切り上げた。
この番組の締めの曲は代々お兄さんの変更とともに変わってきた。今代のだいきちお兄さんはアマチュアバンドから曲を提供してもらったのだ。
その提供してしてくれたバンドのリーダーこそ、大吉と今共にいる弦巻こころなのだ。
「ふふっ、大吉は昔から人を笑顔にしたいって言ってたものね!」
この二人は年が少々離れてはいるが幼馴染という関係である。
こころはまだ高校生、大吉はこのようなテレビに出れる年齢、ちなみに、年齢は事務所が非公開にしている。
「うん、こころのおかげだよ」
「違うわ、大吉が自分でがんばったからよ!」
「……僕はこれからもっと多くの子供を笑顔にして行けるように頑張るよ」
ーーこころ様、そろそろご夕食のお時間です。
こころのサポートを影からする黒服さんから、夕食の時間であることが告げられた。
それは昔から、二人がお別れの時間であることを告げる言葉であった。
いつも笑顔であるこころと大吉を少しだけ曇らせてしまう言葉でもあった。
「もうこんな時間か。じゃあまたね、こころ。また今度ね」
「もう帰ってしまうの?夜ご飯も食べていかない?明日はお休みじゃない!」
「えっと、それは僕からはなんとも」
「じゃあ今日は久々のお泊りね!夜中までお話ししましょう!」
浦添大吉という男が子供を笑顔にすることを夢見たのは、弦巻こころという一人の少女がきっかけである。
『どうして暗い顔をしているの?笑っていたほうがずっとずーっと楽しいのに!』
そんな小さな少女の何気ない言葉に当時嫌なことが連鎖していて落ち込んでいた大吉を救った。
そんなことから二人の関係は始まったのだ。
小さな少女と大人しいお兄さんという凸凹な二人だったが、とても仲が良く、
「かゆいところはない?」
「ええ!大吉は頭を洗うのが上手ね」
幼馴染同士に稀にある、一緒にお風呂に入るなんてことをよくしていた。ちなみに弦巻家のお風呂はもはや高級ホテル並みのものであった。
「こころ、もっとそっち空いてるよ?」
「一緒にお風呂に入ってるんだもの。もっと近づきましょうよ」
ロリこころに裸で抱きつかれた思い出は未だに大吉の記憶に鮮明に残っている。
「お祭りって素敵ね!こんなたくさんの人が笑顔なんですもの」
「……すごいのはこころと弦巻なんだけどね」
こころがお祭りに行きたいなんて言い出したのだが、直近に祭りの予定はなかった。ので、弦巻の力をもって、今までい存在しなかった大きな祭りをわずか数日で企画、実行したのである。
「こころはみんなを笑顔にできてすごいね。僕にはできないや」
「どうして?大吉はちゃんと私を笑顔にしているじゃない!」
「大吉は教えるのも上手ね」
「まぁ、中学生の内容くらいならね」
こころが中学生に上がってからも二人の関係は途絶えることはなかった。
「大吉は将来どうするの?」
「僕は音大に行こうと思ってるよ」
この時に大吉は歌のお兄さんを志した。笑顔が素敵な人のそばにいればその人を笑顔にできるような仕事に就きたくなるのもうなづける
「素敵!歌で人を笑顔にするのね」
「うん、こころのおかげで夢を見つけることができた。ありがとう」
「ふふっ、謙虚なのね。でも大吉が自分で見つけたのよ」
「どうしたの?」
「オーディション前に、こころに力をもらいたかったんだ」
大吉の原動力はいつもこころだった。大吉は基本的に自信が持てない人である。でも、こころがいるなら、こころがそばにいてくれたら行動できる。
「うーん、そうね」
「こころに頼るのはこれで最後にするよ」
「ハッピー!ラッキー!スマイル!イェーイ!」
脈絡のあまり感じられないこころの叫び。しかし大吉のようないつもこころと一緒にいる人にとっては日常茶飯事であるし、こころの言わんとしていることがわかってしまう。
「ありがとうこころ」
「どういたしまして!」
音大在学生ながらうたのおにいさんが誕生し、社会現象になるまでの人気を博すのは少し後の話。
そして話は戻って現在。
過去をあまり振り返らないこころと夕飯を食べながら昔話を楽しんだ後、少々問題が発生した。
「一緒にお風呂に入りましょう!」
こころの発言にはいつもみんな驚かされる。黒服さんも驚いているのが大吉の視界の端に映った。
先ほどの昔話にあったように大吉とこころはいっしょにお風呂に入ったことがある。
しかし、現在こころは高校生、大吉も大学生。加えて国営放送の教育番組の顔である。
高校生の女子と一緒にお風呂に入ったことが知れればスキャンダルまちがいなしである。
さらに、二人の体は年相応に成長している。
「えと、こころ?」
「どうしたの?」
「水着とかは?」
「お風呂に入るのに水着がいるの?」
やろうとしていることはとんでもないのにこういうときだけ正論で返してくるこころに大吉は一生勝てる気はしなかった。
「恥ずかしくないの?」
「ほかの男の人なら恥ずかしいかもしれないけれど、大吉だもの!裸を見られたってかまわないわ!それに、前も一緒に裸でお風呂に入ってたじゃない!」
「……その、恋仲でもない年頃の男女が裸で対面するのはどうかと思うよ」
「わかったわ!」
「じゃあ水着をーー」
「恋仲になればいいのね!」
「そっちかー」
こころに長年振り回され続けた大吉でもさすがに驚きを隠せなかった。
一緒にお風呂入るためだけに恋仲になるというのだから。
「今日から私たちは恋人同士よ!」
「いやいや、待とうよこころ」
「どうしたの?まだなにかあるの?」
「あのね、恋人同士っていうのはーー」
「私と恋人は嫌かしら?」
「嫌じゃないよ」
動揺していたとしても大吉は決してこころを悲しませるようなことをしたりしない。
だが同時に幸せになってほしいとも思うから、大吉はこころ言葉にこたえることができない。
「でもね、好き同士、一生この人とって覚悟くらいないと恋人はだめだと思うんだ」
相手がこころでさえなければもっと気軽に恋愛関係を築けたのだろう。しかし弦巻こころと恋仲になるということがどれだけ重いことかを大吉は理解しているし、こころが良しとしてもこころの両親が良しとしないだろう。
「私は大吉とずーっと一緒がいいわ!大吉と一緒だと私も笑顔になれるもの!それに、昔に結婚の約束までしたじゃない!」
「あー、覚えてたんだ」
「もちろんよ!お父様にもずーっと大吉と結婚するって言ってきてたのよ。この前、十六歳になったから正式にお父様から許可をもらったわ!」
もはや大吉に逃げ場などない状態だった。こころにここまで言わせておいて幸せにしない、泣かせてしまうようなことがあれば殺されてしまうだろう。
「わ、分かったよ。じゃあ一緒にお風呂入ろうか」
「ええ!そのあとは一緒に寝るまでベッドでお話ししましょう!」
当然一つのベッドで寝るんだろうなぁと、今のうちから大吉は覚悟を決めておいた。
しかし、直近の敵はお風呂であるーー!
成長したこころの体に苦しめられながらもなんとか乗り切った大吉。寝る準備を済ませ、こころと二人でこころの巨大なベッドに腰かけて話をしていた。
「ねえ、こころ」
「なぁに?」
「本当に僕と結婚するの?僕でいいの?年上なのに、いつもこころに頼ってばかりの僕で」
「変なことを聞くのね。大吉じゃないとだめなのよ。大吉じゃないとハッピーになれないもの」
「こころはいつもかっこよくてかわいくて、まぶしくて。僕のヒーローだよ」
その言葉を聞いて一段と笑顔を輝かせたこころは、こてん、と頭を大吉の肩にもたれかけた。
おずおずと、大吉もこころの肩を抱きよせた。
「ふふっ、どきどきする」
「僕もドキドキする」
どちらからともなく顔を近づけキスをした。
数秒ののちに顔を離す。
お互いに顔は赤かったけれど、太陽のようにまぶしい笑顔だった。
「今度、ハロハピもおにいさんといっしょに出ようと思うの」
「え」
「私たちもみんなを笑顔にしたいの」
数日後、四人の女子高生と熊がおにいさんといっしょに出演、大反響だったという。
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押しキャラ、書いてほしいシチュエーションを教えてくれれば書くかもです。
アンケートリセット。得票率高いバンドから優先してヒロイン書くよ!
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ポピパ
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アフターグロウ
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ハロハピ
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パスパレ
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ひたすらRoselia書け!