もう1人の赤い彗星の失敗作   作:嫉妬憤怒強欲

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プロローグ2 対面

 

 正体不明の機体のコックピットから運び出された青年の診断結果は高G負荷によるブラックアウト。命に別状はなく、すぐに意識が覚醒するだろうということで担当医務官から短い時間ならと聴取を許可される。

 ブリッジに立ち寄ってすぐその報せを聞いたアラドとメッサーは青年がいる医務室の方へ向かって歩を進めていた。

 

「アラド隊長! 此方にいらしたんですね」

 

 そこへタブレット型の電子端末を片手に持つショートの赤髪をした女性――――ワルキューレのリーダーだけでなく、デルタ小隊のマネージメントを務めるカナメ・バッカニアがやってきた。

 

「カナメさん? どうかしましたか?」

「先程例の彼のDNA鑑定と機体の装甲材質の分析が終わったとのことです」

「意外と早く結果が出たな。何処の星系のものか分かったんですか?」

「こちらがその報告書になります。驚きますよ」

「…?」

 

カナメから手渡された端末を見る。

 

「なっ…!?」

「隊長?」

「メッサー、見てみろ」

「?……!? これは……」

 

そこには以下の事が表示されていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

パイロットのDNA鑑定結果:ホモサピエンス、地球人、ドイツ系とアメリカ系のハーフ、男性

 

 

 

装甲の構成元素:チタン、アルミニウム、希土類金属など

該当する星系:300光年先の太陽系惑星、地球圏

 

 高い耐食・耐熱性を持ち、鋼鉄と同等の強度をもちつつも、はるかに軽量。防御力は実弾式ガンポッドによる攻撃を跳ね返せる程。

 

尚、装甲に付着していた正体不明の粒子を検出、現在解析中。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「……従来の実弾式ガンポッドって確か口径30から55ミリで、多銃身のガトリング砲でしたよね?」

「ああ、それをエネルギー転換装甲なしで跳ね返せるってとんでもないな」

「地球のもので構成されているようですが新統合軍が開発したといった話は聞いたことがありませんね」

「だがパイロットは地球人だ………ますます謎になってきたぞ」

「ですね」

 

 

 

 

 

♢♦♢

 

 

 アイテールに付属する医務室の一室。

部屋に一つしかないベッドの上で正体不明機に乗っていた青年はゆっくりと目を開いた。

 内装は白く、医療機器のような機材が隅に設置されている清潔とした部屋だ。

白い天井に付いている照明の眩しい光が薄く開けられた赤い瞳を刺激する。

 

「(ここは……俺はいったいどうなったんだ?)」

 

 視線を下に向ければパイロットスーツは脱がされ、水色の病衣を纏っている自身の身体と清潔な白いシーツが視界に飛び込む。

 彼は混乱する思考の中で自分はどこかしら病院のような施設に収容されていると何となく状況が理解出来た。

 

「(だがたしかあの時……駄目だ思い出せない。それにこの感覚……なにか違う)」

 

 最後の記憶を思い出そうとするが長い間眠っていたのか彼の意識はすぐにはまだはっきりとしない。

 

「あら、気が付いたのね」

 

しばらくはぼんやりとしたまま視線を揺らしていると横から声をかけられた。

 

「ここは母艦アイテールの医務室。あなた、あの赤い機体の中で気を失っていたのよ」

「――――」

 

振り向いた青年が目を見開き、金縛りにあったかのように動けなくなる。

かけられた言葉の内容が原因ではない。

 

その言葉をかけてきた相手、菫色の髪を膝の裏に届きそうなほど伸ばし、ミステリアスな雰囲気を漂わせた美女が赤い瞳で此方を見詰めながら魅力的な笑みを浮かべていたからだ。

一瞬女神を想起させる彼女に青年は不覚にも見惚れてしまう。

 

「ドクターの話だと大きな怪我とかなかったから安心していいわ。けどかなり弱っていたからしばらくは安静にしていなさい」

「あっ……うう……」

「大丈夫。ここは安全よ」

「―――――あ」

 

青年がなにか返答しようとして酷い喉の乾きに声を奪われる。辛うじて漏れ出したのは声とはいえない唸りだった。

 

それが届くより早く医務室の扉が開かれる。

 

「あれ?美雲さん?珍しいな」

 

扉から入ってきた三人の男女――――アラドとメッサー、カナメは医務室にいる美女―――ワルキューレのエースボーカルである美雲を見て目を丸くする。

 

「心配しなくても彼は危険じゃないわ。ただ他の人とは少し違うだけ」

「は?」

「何でもないわ」

 

―――――今度ゆっくり話しましょ

周りの反応を気にせずに美雲は青年にそう言い残して医務室から出て行った。

美雲が医務室から退室すると、その場に居た三人が物珍しい光景を見たかのようにその背中を見送る。

 

「珍しいこともあるんですね」

「みたいだな……っと目が覚めたか?」

 

青年が目覚めたことに気づいたアラドが最初に声をかける。それに青年がなにか言おうとするが、喉からは掠れた音が漏れ出ただけだった。

 

それに気付いたアラドは医務官に許可をもらい、医務室に常備されているウォータークーラーの水を紙コップに入れてから青年に含ませる。

 

喉を潤し一息ついた青年は、未だに少し掠れの残る声で問いかけた。

 

「……すみません、あの……」

「おっと、俺はケイオスラグナ支部第3飛行団所属、Δ小隊隊長のアラド・メルダース少佐だ。お前さんは?」

「(黙っているより、何かしら話したほうが良いな…)失礼しました。自分はジオン共和国軍所属のアインハルト・シュヴァルツ少尉であります。………確認ですがケイオスとはなんなのです? ロンド・ベルやエコーズに次ぐ新しい所属部隊でしょうか? それにラグナとは?」

「ジオン共和国、ロンド・ベル、エコーズ…?初めて聞くな。メッサー、お前は?」

「自分も聞いたことがありません」

「私もです」

「?貴方がたは地球連邦軍の所属ではないのですか?」

「地球連邦軍?新統合軍ではなく、か?」

「新統合軍……?聞いたことがありません」

「ならゼントラーディは?」

「ゼントラーディ…? なんですかそれは?」

 

「「「…」」」

 

どういうことだ……? なぜこうも認識が食い違う。

 

「あーすまないがお互いの情報を共有しないか? これじゃあ全然話が進まないんだが」

「…了解しました」

 

 彼がどういった事情、経緯でこの惑星ラグナ近郊にフォールドしてきたのか。そしてこの世界における歴史と戦争などの一般的な情報を交換していく。

 

 

 詳しく聞いてみると青年の過ごしてきた歴史はアラドたち人類が歩んできた道とは全く違うというとんでもない話であった。

 

 アインハルトがいたところの歴史によると、西暦2045年に西暦から宇宙世紀へと改暦した時代、増えすぎた人口による食料危機などの問題に対する解決策として国家の枠組みを超えて作られた政府、地球連邦が “サイド”と呼ばれる宇宙都市群(セツルメント)を建設、人々を移住させる大規模な宇宙移民政策で宇宙に生活圏を拡大していき、これにより人口増加による問題は確かに無くなったが、地球連邦政府関係者や資産家など連邦政府に強いコネをもった一部の有力者が自分達以外の身分の低い民間人ばかりを宇宙に送り、自分達は環境の安定している安全な地球に残るという情勢が長く続いた。そして宇宙へ半ば無理矢理移住させられた移民スペースノイドと地球側との間に軋轢が生まれて半世紀が過ぎたころ、スペースノイドの自治権を獲得するため、地球から最も離れたスペースコロニー・サイド3が『ジオン公国』を称して地球連邦政府に独立戦争を挑んだ。この戦争において人型機動兵器・モビルスーツが初めて実戦投入され、戦争初頭において人類はその人口の半数を失ったこの戦争は、最終的にジオン公国を支配したザビ家一党が滅亡したことにより、新たに成立したジオン共和国臨時政府と地球連邦政府が終戦協定を結ぶ形で終結したが平和が訪れることなかった。

 

 敗戦したジオン軍の一部は更に遠方の小惑星帯に逃げ延びたり地上や宇宙に残された残党による『デラーズ紛争』

 

 ジオン残党討伐を目的と称しジオンのようなものを生み出す温床として宇宙に住むスペースノイドにも弾圧を強行する過激な地球至上主義者による連邦の軍閥「ティターンズ」と彼らの専横に抵抗するために結成された反地球連邦組織「エゥーゴ」との軍事衝突である『グリプス戦役』

 

 そして、ジオン公国残党と今までの大戦による宇宙移民の数の多いコロニーの反乱分子によって新たに再興された組織ネオ・ジオンによる二度の『ネオ・ジオン抗争』

 

 この約10年以上で起こった多くの戦いで腐敗した連邦は大きく疲弊したが、スペースノイドとアースノイドとの溝、世界の枠組みが大きく変化することはなかったとのことである。

 

 また、彼は両親をサイド1の『30バンチ事件』でティターンズに毒ガスで殺され、その後逃げるように安全圏であるジオン共和国に亡命し、グリプス戦役以降の全ての戦争を見届けたということ。そして自分は今後の連邦の対策として極秘裏に開発された試験モビルスーツ『バルギル』にテストパイロットとして搭乗していた以降の記憶が曖昧であり、どうしてここにいるのか分からないということを伝えた。

 

「すまない。ちょっと情報を整理させてくれ」

「……………俺も少し情報を整理したい」

「私も整理する時間を……」 

 

 あまりにもスケールが大きく、地球に住む人類が滅ぶ手前まで進んだという壮大な内容に思考の整理が追い付かず、アラドたちは頭が今にもパンクしそうだった。

 

 それはアインハルトも同様であった。

 

 アラドたちの歴史はというと、まだ西暦の時代、西暦1999年に地球に落下してきた地球外生命体の宇宙船、後に『SDF-1 マクロス』と呼称される『ASS-1』から来るべき異星人との邂逅に向けて地球規模の防衛体制確立も急がねばならないということで国連主導下で地球上全ての国家・体制を解体し、惑星統一政体『地球統合政府』が樹立。そして西暦2009年に『ゼントラーディ』と呼ばれる異星人とのファーストコンタクトからの人類史上初の『星間大戦』が勃発。

だが一人の歌姫の登場によって戦争は終結。滅亡の危機に陥った人類とゼントラーディ側は和解し、共存の道を歩む。

そして人類種の存続の為に住めなくなった地球を去り、銀河系の各方面へと旅立っていった。

 ちなみに地球から遠く離れたブリージンガル球状星団のひとつである此処惑星ラグナはその新天地の一つであるとのこと。

 

「(……むしろこっちのほうがスケールが大きすぎる)」

 

 時系列が違う上に異星人の侵略といったSF染みた話を普通の人間は到底信じられないだろうが先程から感じる違和感が”そういう事”なのだとアインハルトは納得していた。

 

 

 どうやらアインハルトと例の機体は時間処か次元を、つまり平行世界を飛び越えこの世界に漂流してしまったらしい。

 並行世界というのは簡単に言うと可能性の世界だ。有り得たかもしれない、こうなっていたかもしれない。そういった可能性が枝分かれし出来上がったのが並行世界だ。

 歴史認識については、西暦2000年以前についてはほ同じで、そこからは違った歴史の歩みを見せている。この世界は異星人によって今の科学文明を築いたが、アインハルトがいた世界では地球人のみの力で発展させた。

ここまでの違いは並行世界というよりも異世界と呼ぶべきかもしれない。

 

「(簡単に言えば、ここは俺のいた世界とは違う、ジオンも連邦も存在しない異世界ってことか)」

 

 普通は到底信じられるものではない話だが、例の機体の存在がそれを物理的に証明しているためアラドたちもその話にとにかく納得するのであった。

 

「……それで、自分はこれからどうなるのでしょうか?」

「そうだな……取り敢えずお前さんの身柄を機体共々ウチで預かることになるな。すまないが解析はやらせてもらうぞ」

「……了解しました」

「じゃあ手続きがあるから、また後で来るよ」

 

 まだ安静にしていろと言い残し、アラド達は医務室から出る。

 

 三人の背中を見送ったアインハルトは先程まで込めていた力を緩め、溜息をつきながら再びベッドへと身を沈める。

 

「(……どうやら俺はまだ死ねないようだ。だが……)」

 

異世界という未開の地でこれからどうするか、どう生きていけばいいのか、神妙な表情を浮かべながら大いに悩むのであった。

 

「(それにしても暖かい大人に会うのはいつぶりだろうか)」

 

 

 

♢♦♢

 

 

 医務室を出てカナメはそのまま艦長に報告へ、アラドとメッサーは機体の解析状況を確認する為に格納庫へと足を進める。

 

「メッサー、どう思う?」

「嘘をついているようには見えませんでした。おそらく大体は本当でしょう。ですが彼はまだなにかを隠しているように感じられました」

「あっちの世界では辛いことがあったようだからな。そう簡単に初対面の相手をすぐには信用できないんだろう。まあ、そこはおいおい考えればいいさ」

 

 格納庫に辿り着き、半壊の機体の前に向かう。

その一角では今、多くの技術者と整備班が集まり機体の解析を行っている。

彼らの中心に鎮座している機体は全体構造をより詳しく調べるためか、先程とは違い装甲と背中のコンテナ、そして機体の胸部分にあった球形のコックピットブロックが外されていた。

 

「どうなってるんだこのジェネレーターは……」

「通信機器にノイズが?」

「こりゃ一度部品をばらさないといけませんよ」

「なるほど、これで関節の可動範囲を広げているのか」

 

 技術者と整備班たちがまるで玩具を与えられた子供のような表情で作業に従事しているのを後目に、ロープで床に固定されたコックピットブロックの中で解析を行っている戦術音楽ユニット『ワルキューレ』の二人―――――コックピットハッチを開いたレイナ・プラウナーとワルキューレメカニック担当のピンク色の髪をツインテールに束ねた豊満な少女、マキナ・中島―――――に話しかける。

 

「マキナ、レイナ。機体の解析は終わったか?」

「うーん。フレームの構造はバトロイドタイプに近いけど見たことのない機構がいっぱいあるんだよね。完全に把握するには”博士”に手伝ってもらわないと難しいかな」

「そうか……レイナの方は?」

「こっちはまだ開けていないデータがいっぱいあるけど機体のスペックデータと操縦ログは見ることができた」

「本当か?」

「これがその映像」

 

 そう言ってレイナが端末を操作するとコックピット内のウィンドウに機体のスペックデータが、球形モニタにデブリと幾つかの筒状の巨大建造物が漂う宇宙空間を飛び回る映像が投影された。

 

 しかし機体の速度と方向転換が素早いせいかモニタの映像が早送りされ、映っているモノを目で追うのがやっとである。

 

「……こんな複雑な機動をバトロイド形態でやっていたってのか?」

「データによるとこの機体の宇宙空間での速度は通常の3倍。これで規定の範囲内とかもはやチート」

「3倍だって!?」

「ですが普通バトロイドの状態でこんな機動をしたらパイロットに相当な負荷がかかる筈です…」

「それに関しては操縦席のシートを浮かせた形にすることで、パイロットにかかる衝撃を和らげているみたい。ただそれでも限度があるはずだけどね」

「それとどんなOSなのか調べようとしてもエラーが出てはじき出された」

 

 レイナがウィンドウを操作するとモニターにひたすら赤文字で『ERROR』が何重にアラートと共に表示される。

 

「機密保持の為に精密に組まれたプロテクトなのか」

「恐らくそうでしょうね」

「その後はずっと戦闘中。かなりガードが硬い」

 

 ふとレイナの方を見ると、余程悔しいのか機嫌が悪いです、といった顔つきで唸っていた。

 

「だ、だがまあこの機体が有視界性や反応速度、動作精度がVFシリーズより上なのは確かだな……とにかく解析を続けてくれ」

 

 一通り聞いた後、データをもっと見たいのかコックピットにいるメッサーを置いてアラドは出る。

 

「やれやれ、こいつはとんでもないお宝を拾っちまったかもな(それにあの機体をあそこまで操る程の腕を持っているとはな……ぜひあいつをうちにスカウトしたいもんだ)」

 

異質な赤い巨人――――バルギル。

異世界からきたこの機体の技術の解析と隠されたデータの解明が完了すれば恐らくこれからの世界の常識を塗り替えてしまうだろう。

その存在に否応無く重大な予感を抱かされる。

 

「……こりゃあ、嵐がやってくるかもな」

 

 アラドはそうポツリと呟いた後、彼が此方で過ごせる手続きを済ませる為にこの場を後にするのだった。

 

 

 

 

 

 

♢♦♢

 

 

 

 

眼鏡をかけた若い男が歩いている。

一目見ただけで美男子だといえる彫刻のように整った顔立ちに物腰柔らかで知的さを感じさせるその男はひどく美しい。服装も華麗ではあるが華美過ぎず、かと言って質素というわけでもない衣服の上に豪奢な文様の描かれた白いマントを纏っている。

 

 男が歩いている場所、それは彼のいでたちからはまったく似つかわしくない、雑然とした様子の場所だった。

 

 鳥のように逆関節の脚を生やした戦闘機――――バルキリーを製造・整備するための工房である。両側の壁沿いには今まさに整備中の機体が並び、整備士とおぼしき者たちが忙しく走り回っている。

 

 彼らは男の姿を見たとたん、慌てて作業の手を止めて道を開ける。

 しばらく歩みを進めた男は、工房の最も奥まった場所へとたどり着いた。

 

 

 そこには指先から肘のあたりまでしかない二本の機械の腕がクレーンで固定されていた。人型と同じ形状をしているがバルキリーのよりも少し大きい。表面を赤い装甲で覆っており、手首のあたりに襟や袖のようなエングレービング風の装飾が施されている。大きさや形からして明らかにこれまでの道すがらにあったバルキリーのものとは別のものであることが見て取れた。

 

「それでこれが一体何なのか分かったのか?」 

 

 男は宙に浮かされている二本の腕の真下にいた浅黒い肌に髭を蓄え、頭にターバンを巻いた中東系の壮年の男に問いかけた。

 

「ええ、照合システムにかけましたところ、やはりこの二本の腕は統合軍やゼントラーディの兵器と一致しませんでした。財団の情報網をもってしてもです」

「つまり何もわかっていないという事ではないのか?」

「いいえ、この腕を解析はまだ途中ですがかなり面白い発見をしましたて……」

「ほう?」

 

 そう言って中東系の男はメガネの男に情報端末を渡して得意げに解説を始める。

 

「この腕の中に格納されていた円筒形のものはプラズマ化している熱エネルギーを直接放出かつ一方の端より10数mほどの円錐状フィールドを発振することでビームの刀身を形成することが可能なようです。他にも骨格をフレームによって構成し装甲を取り外せるようにすることで整備性と運動性を高めているようです。いやいやどれも素晴らしい技術です。その中でも最も興味を引かれたのはこの金属粒子レベルのコンピュータ・チップを鋳込んだ――――」

「もういい。私は機械についてはあまり詳しくはないが大体分かった。それで、それらは騎士団のに生かせるものか?」

「ええ、勿論でございます。これらにより我が財団が統合軍に負けないほどの力を持つことをお約束いたします」

「そうか……これは貴公に任せる。例の遺跡の解析の方を怠らないようにしてくれよ」

 

 深く礼をしながら返答する中東系の男をその場に残し、眼鏡の男はその場を去る。

 

 その姿が視界から消えるや否や、中東系の男の後ろで二本の腕の装甲の下から禍々しい紫色の燐光が微かに溢れていた。

 

 

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