ガリィちゃんとわたしたち   作:グミ撃ち

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第九十九話です。




第九十九話

 

 

 数年前に閉園した遊園地…その跡地にて二人の剣士が対峙していた。

 

 

「その…戦闘を開始する前に、先日の件について聞きたい事があるのだが――」

 

「貴方が言いたい事は分かりますわ。そう、確かに私は貴方の…風鳴翼プレミアムライブ・一万枚限定初回限定版Blu-ray Discを所持していました。ですが…」

 

 

 

「だからと言って私が貴方の大ファンであるとは限らない! 違いますかっ!?⦅迫真⦆」

 

 

 

「なん、だと…(馬鹿な…その言い分は無理がありすぎる!⦅困惑⦆)」

 

 

 なお、既にシリアスな空気は粉々になって消え失せている模様⦅悲しみ⦆

 

 

「ふふ、お分かりになられましたか? 私はただ持っていただけ…そう、私が駅前のショップでディスクを購入した証拠など何処にも存在しないのです!⦅無意識な自白⦆」

 

「…では、何故そのディスクを所持していたのだ? まさかお前の主が購入するよう命令したわけでもないだろう⦅指摘⦆」

 

「っ!?(なんて鋭い指摘なの…! 流石は翼ちゃんね…⦅戦慄⦆)」

 

 

 そして翼は翼でファラのガバガバ理論に容赦無くツッコミを入れていた。こういうところは少しレイアと似ているかもしれませんね⦅適当⦆

 

「さあ、答えてもらおうか!⦅SAKIMORIの眼光⦆」

 

「うっ、うぅ…それは、ガリィちゃんに頼まれ――」

 

「異議あり! ガリィは以前、私の歌を一曲も知らないと語っていた! そしてその後もガリィは私の歌に付いて何かを語った事は無い、故にその言い分は破綻している!」

 

「うっ、うぅ~!!!⦅陥落寸前⦆」

 

 あっ、そろそろファラ姉さんが陥落しそうですね、早く認めて楽になればいいと思うんですけどねぇ⦅他人事⦆

 

「さぁ、教えてもらおうか! お前がアレを所持していた本当の理由を!(このまま押し切り、戦闘を諦めさせて立花の救援に向かわせてもらう! 悪く思うなよ!)」

 

「…⦅遠い目⦆」

 

 あっ、あんまり追い詰めすぎると…⦅嫌な予感⦆

 

 

 

「…ファラ・スユーフ、参りますっっっ!!!!⦅やけくそ⦆」

 

 

「っ!? イグナイトモジュール、抜剣!!!」

 

 

 

 ほら言わんこっちゃない…と、いう事で最終決戦第二幕 風鳴翼VSファラ・スユーフ はっじまっるよ~⦅適当⦆

 

 

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 -  三十秒経過  -

 

「ソードブレイカー!ソードブレイカー!ソードブレイカー!!!⦅乱撃⦆」

 

「落ち着けっ! ね、狙いが出鱈目すぎて予測できないだと!?」

 

 

 -  一分経過  -

 

「~♪」

 

「…歌が、心惹かれる歌が聞こえます…⦅浄化⦆」

 

「っ…!(動きが止まった…?)」

 

 

 -  三分経過  -

 

「…認めましょう、私が貴方の歌に惹かれ…生きがいになってしまった事を!!!⦅威風堂々⦆」

 

「…(現在進行形で鍔迫り合いしている相手にこんな事を言われた時、私はどのような表情をすれば良いのだろうか…いや、嬉しい気持ちはあるのだが…⦅困惑⦆)」

 

 

 -  五分経過  -

 

「っ!!!(はぁっ!!!)」

 

「っ!? 最後の 剣殺し( ソードブレイカー)が、砕かれたですって…!?」

 

「…投降しろ、最早お前に勝ち目は無い」

 

 

 -  六分経過  -

 

「貴方の歌を少しでも長く聴くためにも、私は最後まで戦います!!!」

 

「ひ、開き直っただと!?」

 

 

 -  八分経過  -

 

「どうやら、ここまでのようね…⦅満足⦆」

 

「ええ…⦅困惑⦆」

 

 

 

決・着 !!!⦅強弁⦆

 

 

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「了解しました、私はこれより立花の下に急行します」

 

『ああ、頼んだぞ』

 

 戦闘終了後…翼は弦十郎と通信を行った結果、直ちに響の救援に向かう事になったようだ。

 

「…お前はどうする? もしも主が気になるのであれば同行しても私は構わないが…」

 

「…いえ、遠慮しておきますわ。 ヘリの中で貴方と二人っきりだなんて、嬉しさと緊張で機能停止してしまいそうだもの…⦅儚げな笑み⦆」

 

「そ、そうか…⦅困惑⦆ その…御父様に言われたのだが、サインとかした方がいいのだろうか…?」

 

「それはダメよ翼ちゃん…私だけ特別扱いだなんて、他の貴方のファンの皆さんに示しが付かないもの…私は不特定多数の中の一人、それでいいの⦅悟ったような笑み⦆」

 

「ま、真面目なのだな…⦅遠い目⦆ …私はそろそろ行かせてもらう、それではな」

 

「ええ、マスターをよろしくお願いしますね。私は貴方の歌⦅CD⦆を聞きながらゆっくり向かうとしますわ」

 

「…(これ以上私を混乱させないでくれ…! 早く、早くヘリに乗り込まなければ…!⦅逃走⦆)」

 

 翼は無言でヘリに乗り込み、そして目を閉じた。恐らく強敵との戦いで疲れが溜まっていたのだろう…⦅強弁⦆

 

 

 と、とにかく翼はほぼ無傷という状態で響の救援に向かう事ができるという最高の結果に終わった。そして次は…絶望的な戦いを繰り広げるガリィの出番である⦅悲しみ⦆

 

 

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 -  とある海辺の砂浜  -

 

「あら、アタシが有利な場所だって分かっているのに素直に来ちゃったのね♪」

 

≪ふふ、来たわね…ガリィはこの日のために三つのマリア対策…そう、三本の矢を考えて来たのよ!≫

 

(そう…⦅無関心⦆)

(三本束ねても簡単に折れそうな矢ですね⦅諦め⦆)

(イグナイトの制限時間一杯まで…16分以上も耐えられるとは思えないんですけど⦅名推理⦆)

 

「…いえ、貴方がこの場所を指定してくれて助かったわ」

 

 先日ガリィが消滅しかけた砂浜…そこで再び二人は対峙していた。そう、ガリィが選択したフィールドは自身が力を十全に発揮できる海辺である、この場所を躊躇無く選択できるところは流石ガリィと言ったところだろう⦅呆れ⦆

 

「はぁ、助かった? アンタ、暑さで頭がおかしくなったんじゃないでしょうね?」

 

「違うわよ…」

 

「まっ、そんな事はどうでもいいわね⦅無関心⦆ それじゃ、今からガリィがアンタの卒業試験をしてあげるわ♪ 見事ガリィに勝つことが出来ればアンタは晴れて一人前になれまぁ~す、パチパチパチパチ~☆⦅上から目線⦆」

 

≪アンタ達は良い作戦が浮かんだらすぐに言いなさい! 特に軍師、アンタはそれが仕事なんだから頑張りなさいな!≫

 

「…そう、なら全力でやらせてもらうとしましょうか…!(この状況でこれ程の余裕…やっぱりこの子は最弱なんかじゃない、まだ力を隠し持っているんだわ…!⦅節穴⦆)」

 

(…そもそも三本の矢の内二本は軍師が考えたんですがそれは…⦅困惑⦆)

(散々考えて出なかった作戦が急に浮かぶわけが無いんだよなぁ…⦅諦め⦆)

(しかもマリアさんもやる気満々だし…もうだめだぁ、おしまいだぁ…)

 

 この期に及んで余裕の態度を崩さない理由を勘違いしているマリアだが、勿論ガリィに隠された力などあるわけがないのは明白である⦅無慈悲⦆

 ガリィが表面上余裕の態度に見えるのは必死に取り繕っているだけであり、その脳内では現在進行形でマリア対策会議が行われているところだった⦅悲しみ⦆

 

「な、なによ急にやる気出しちゃって…そんな事でガリィが怯えると思ったら大間違いなんだから!⦅震え声⦆」

 

≪あの自信は何!? も、もしかして前の砲撃以上のとんでも技があるとか言い出すんじゃないでしょうね!?⦅恐怖⦆≫

 

(怯えてるんだよなぁ…⦅遠い目⦆)

(前のアレはトラウマになっても仕方ないくらいの威力だったからね…)

 

「…ええ、勿論そんな事は微塵も思っていないわ。私はただ、持てる力の全てを発揮して貴方と戦いたい…それだけよ」

 

 片方が内心怯えており、そしてもう片方が激しく勘違いをしているためどうにも噛み合わない会話となってしまっている二人である。

 …というか何故マリアはここまでガリィの事を評価しているのだろうか…ガリィの本心が聞こえないとはいえ、これまでの情報を整理すれば分かりそうなものなのだが…⦅遠い目⦆

 

「ふん、それなら見せてみなさいな!アンタの持てる全ての力とやらをね!⦅上から目線⦆」

 

「っ――ええ、お互い悔いの無いように全力で戦いましょう!」

 

(まーた煽るんだからもー!)

(ガリィの絶望的な戦いが、今始まる!⦅諦め⦆)

 

 そうこうしている間にどうやら戦いが開始されようとしているようだ。さぁ、ガリィは果たしてどのような手段で16分以上の時間を乗り切るつもりなのだろうか?

 

 

「私はありのままの私で、貴方に勝利して見せる…!――イグナイトモジュール、抜剣!!!」

 

 

 そして、ガリィの挑戦が始まる…!

 

 

----------------------------------------------------------------------------------------------------

 

 

「っ!?」

 

「まずは一発っ! もらったわよ!」

 

≪第一の矢! 呪いを纏った瞬間の硬直を狙い、近距離戦を仕掛ける!⦅軍師考案⦆≫

 

(汚い、流石軍師汚い⦅褒め言葉⦆)

(そんな事は分かっています!ですが実力差がありすぎてこんな手しか思いつかなかったんですよ!⦅半ギレ⦆)

 

 マリアが呪いを纏い終えた瞬間、ガリィは既に目の前にいた。そう、ガリィはマリアがギアを換装した瞬間を狙い突撃を仕掛けていたのである。そして、ガリィの右拳がマリアの顔面に…。

 

 

「っ!!!」

 

 

「――躱さガッ!?」

 

(カ、カウンターだと…?)

(バ、バカな…あのタイミングで反応できるはずが…)

(まさか、無意識に…?⦅戦慄⦆)

 

 突き刺さる事は無く、次の瞬間ガリィは逆にカウンターを叩き込まれ宙を舞っていた。

 

「…施設にいた間に覚えた武術や拳法…無意識に出るなんて、意外と身体が覚えているものね」

 

「嘘、でしょ…⦅落下⦆」

 

(第一の矢、失敗!⦅悲しみ⦆)

(ね、狙いは悪く無かったと思うよ、うん…)

 

 どうやらマリアは無意識にカウンターを繰り出していたらしい。無意識に反撃できるくらい身体が覚えているとは、さすが努力の人マリアである⦅尊敬⦆

 なお、努力と言う言葉はガリィには無縁な模様。

 

「意識の隙間を突いた奇襲…見事だったわ。もしも私が無意識に反応できていなければ、倒れていたのは私だったかもしれないわね」

 

「ふっっっざけんな!!! なによ武術って!?完璧超人かアンタは!!⦅全ギレ⦆」

 

 ガリィが気付いているかは疑問だが、マリア・カデンツァヴナ・イヴという女性はそもそも能力が高水準で纏まっている装者である。

 幼いころから研究施設で研鑽を積み、その身体能力については翼と同等か下手すればそれ以上のものを持っているのだ。

 

 では、何故彼女は思うように力を発揮できなかったのか…そう、その原因は全て精神の脆さによるものであり、彼女はその所為で今までは全ての力を発揮できていなかったのである。

 

 という事はそんな彼女の精神が安定し、更に呪いを受け入れた事による恩恵までプラスされれば何が起こるのか…それは、これからガリィ自身が嫌と言うほど知る事になるのだろう…⦅死刑宣告⦆

 

「施設に居た頃にマム…ナスターシャ教授に仕込まれたのよ。 当時はシンフォギア装者がそれを覚えて何の意味があるのか分からなかったけど…ふふ、やっぱりマムには敵わないわね」

 

「楽しそうに思い出語りしてんじゃねぇ! クソッ、おかげで計画が最初から狂っちまった…まずは一発入れてペースを握るつもりだったってのに…!」

 

「っ…!(口調が変わった…? つまり、ここからが本番ってわけね…!⦅好意的解釈⦆)」

 

「…もういい、アンタみたいな腹立つ奴はアタシが底なし沼に引きずり込んでやる…!」

 

(い つ も の)

(なんていうか、いつも通りで少し安心するよね)

(出鼻をくじかれてしまいましたなぁ…⦅遠い目⦆)

 

 立ち上がったガリィの表情は嫉妬と殴られた事への怒りですごい事になっていた。…というかこの台詞を聞く限り、また前と同じ作戦を行う気なのでは…?

 

「底なし沼、という事は…」

 

「ええ、その厄介さはアンタが身を持って知っているでしょう♪ ほら、行くわよ!」

 

≪二本目の矢! 底なし沼!⦅二番煎じ⦆≫

 

(使い回しじゃねーか!⦅憤怒⦆)

(確かに前は効果的だったけどさぁ…)

(ガリィちゃんの負荷も大きいからなアレ…)

 

 マリアが予想する通り、ガリィが言葉を言い終わった瞬間、砂浜に大量の海水が襲い掛かり周囲は全て海となった。

 

「さぁ、どうするのかしらぁ!? 今度は前みたいに大砲を撃つ暇なんて与えてあげないんだから!!!」

 

≪そうよ、最初からこうすればガリィの勝ち…ふぎぎぎぎっ!⦅過負荷⦆≫

 

(えぇ…⦅困惑⦆)

(あと十分以上あるんですがそれまでもつんですかねぇ…⦅遠い目⦆)

 

 以前と同じようにマリアの機動力を奪う事に成功したガリィは、自身の負荷を棚上げし勝利を確信する⦅慢心⦆

 

 

 しかし…

 

 

 

「(――――来たっ!)」

 

 

 

 一度それに苦しめられたマリアが、何の対策もせずにいる事があるだろうか? いや、無い⦅断言⦆

 

 

「アンタはこれで終わりよ…ここからはずーっとガリィの時間――」

 

 

「――はっ!」

 

 

「ってなによそれ…そんな中途半端にジャンプして何がした――」

 

 

 そう、マリアはこの状況を覆すために、NINJAとの特訓を積んで来たのである。

 

 

 

「行くわよ!!!」

 

 

 

「――――は?⦅呆然⦆」

 

 

 

(…えっ?)

(ふぁっ!?)

(ウッソだろお前!!)

 

 そしてその努力の成果は…水上に着地したマリアが水の上を駆け出した事で証明されたのだ。

 

 

「沈みなさい!!!」

 

 

「ちょ、ちょっと何よそれふざけるんじゃないわよ!? って危ない!危ないからやめなさいってば!やめろぉ!!!⦅発狂⦆」

 

 

(二本目の矢も折れちゃったぁー!!⦅悲鳴⦆)

(これは…NINJAの水上走り!?)

(覚えたのか…ガリィ対策のためだけに!⦅戦慄⦆)

 

 水の上を走りつつ、マリアは左手のギアから光弾を多数発射する。混乱の極みに達したガリィはそれを捌く事もできず、必死で防御しながら後方へと撤退するばかりであった。

 

 

「貴方が奥の手を使う前に、できる限り削らせてもらうわよ!」

 

 

「はっ、はぁ!? 奥の手って何よ!?そんなの知らないっての!」

 

 

 そしてここからは鬼ごっこの時間である。逃げるガリィ、それを追うマリア…命懸けの遊びはそれからしばらく続き、そして…。

 

「ああもう解除!!! アンタみたいな化け物になんか付き合ってられないんだから!!!」

 

「…っ! 水が、引いた…?」

 

(これは…駄目みたいですね⦅諦め⦆)

(残された矢はあと一本ですが…どうしますか、ガリィさん!?⦅煽り⦆)

 

≪アンタ達うっさい! アタシを煽ってる暇があったらここから華麗に逆転できる策を考えなさいよ!⦅無茶振り⦆≫

 

 数発の光弾に被弾した所で、ガリィが白旗を上げ術式を解除した瞬間に決着はついたのだった。

 

「ああもうイライラする! こうなったら真っ向勝負よ、ガリィがアンタを真正面から打ち砕いてあげるわ!⦅全ギレ⦆」

 

「っ――ええ、受けて立つわ…!(あの目…確実に何かを企んでいるわね。恐らくそれがガリィの奥の手なんだわ⦅勘違い⦆)」

 

 なお圧倒的有利な状況にも関わらずマリアはいまだにガリィに対して最大限警戒していた。ちなみにガリィは何かを企んでいるわけではなく、ただ怒り狂っているだけである。⦅悲しみ⦆

 

(三本目の矢はどうしたの? まぁ使うには少し危険すぎると思うけど…)

(あっ、確かにそうだね。ガリィちゃん、どうなの?)

 

≪…よく考えたらあんな技こんな戦闘で使えるわけないでしょうが! シンフォギア装者にどれだけ効果があるか分からないし、何より殺傷力が高すぎるわよ鬼畜軍師!≫

 

(え~! 私は最初から危険すぎるから採用しない方が良いって言ったじゃないですかぁ!)

(相手が気付かない内に体内をズタズタにする技とかやばすぎなんだよなぁ…⦅遠い目⦆)

 

 なお、三本目の矢は危険すぎるので使用中止になった模様⦅悲しみ⦆

 

 ちなみに、その技を使えば確かにガリィは勝利を掴み取る事ができるかもしれない。

 しかし効果が表れるまでに時間が掛かる上、効果が表れた時には相手の体内は悲惨な状態になっているというシャレにならない技だという事が中止になった理由である。

 

「さぁ、どこからでも掛かって来なさいな♪ ガリィがアンタを 真正面( ・・・)から打ち砕いてあ・げ・る☆」

 

「最後は正々堂々と言う訳ね…行くわよ! ~♪」

 

「あら、素敵な歌ねぇ♪ 思わず聞き惚れてガリィ負けちゃうかも~☆ アハハハハハハ!!!」

 

(あ、これ何か企んでる…というよりもう既にやらかしている件について⦅呆れ⦆)

(結局畜生じゃないか!!⦅憤怒⦆)

(ガリィちゃんは実は嘘ついて無いんだよなぁ…)

 

 この場にもしマリアと響以外の面子がいたならば、確実にガリィの放った言葉に疑問を持っただろう。しかしここにいるのはガリィによる畜生行為の被害にほとんど遭っておらず、どちらかと言うと助けられてきたマリアである。

 故に彼女はその言葉を一切疑う事無く、片手に短剣を構え正々堂々とガリィへ攻撃を仕掛けたのだった。

 

 

----------------------------------------------------------------------------------------------------

 

 

「っ!?(手応えが…無い!?)」

 

 銀の短剣があっけなくガリィの身体を切り裂いた瞬間、マリアを強烈な違和感と危機感が包んだ。そして…。

 

 

バシャッ!

 

 

「っ!?(水の、幻ですって!? いつの間にこんなものを!?)」

 

 その予感は見事に的中する。マリアが切り裂いたものは水でできた幻…つまり、ガリィは最初から正々堂々と戦う気など全く無かったのだ…⦅呆れ⦆

 

 

 

「アハハハハ引っ掛かったぁ!! 正直者のおバカさぁぁぁぁん♪」

 

 

 

(確かに、真正面から行ってはいるね…⦅遠い目⦆)

(勝ったなガハハ!)

(これで勝ってもむなしいだけなんだよなぁ…⦅白目⦆)

 

 そして、当然この隙を逃す畜生人形ではない。砕け散った幻の背後…ガリィはそこから飛び出し、マリアに向けて氷の剣を…。

 

 

 

「…ど、どうして!? うご、かない…!」

 

 

 

 振り下ろす事は…できなかった。その原因は、なんと…。

 

(ガリィちゃん!腕に…腕に何か巻き付いてる!!!)

(これは…アガートラームの)

(蛇腹剣っ…!?)

 

 

「っ!(…貴方に奥の手があると考えていなければ…そして、少しでも反応が遅れていれば私の負けだった――だけど!!!)」

 

 剣を持ったガリィの腕にはマリアの蛇腹剣が巻き付いていた。

 そう、彼女はガリィに奥の手があると考えあらかじめもう片方の腕にいつでも蛇腹剣を展開できるように待機させていたのだ。そして幻を切り裂いた背後に本物のガリィの姿を見付けた瞬間、蛇腹剣を即座にガリィの腕へと放っていたのである。

 

「――ぐあっ!?」

 

(ま、まずいですよ!)

(畜生行為した上でこれは酷い…酷くない?)

(そんな事よりやばいって! ガリィちゃん、逃げてぇぇぇぇっっ!!!)

 

 そしてその結果は…ガリィの刃はマリアには届かず、逆にマリアの拳がガリィを遥か上空へと押し上げるという結果となった。

 

≪あ、これは無理ね…後は流れに身を任せましょう⦅諦め⦆≫

 

(諦めるのが早ぁい!⦅驚愕⦆)

(動け動け動け動け動いてよぉーっ!)

(来る…アレが…SERENADEが来るぅ!!!!)

 

 そう、声達が悲鳴を上げる通り、これで終わりでは無いのだ。マリアはガリィを上空へ打ち上げた後、自身も大きく跳躍しガリィの姿を眼下に捉える。そして…。

 

 

(ああああああああ!!!!!⦅発狂⦆)

(ガリィが卑怯な事するからマリアさんが怒ったぁぁぁぁぁぁぁ!!⦅悲鳴⦆)

(あ、これはSERE†NADEですね間違いないです⦅諦め⦆)

(ここで原作通りかぁ、世界の修正力は怖いなぁ…⦅白目⦆)

(軍師、軍師ぃ!)

(無理です⦅即答⦆)

(便乗くぅぅぅぅん!)

(そうだよ⦅絶望⦆)

 

 ガリィの脳内で声達が大騒ぎする中、マリアはガリィに向かい銀の短剣を…。

 

 

 

「これで…終わりよっ!」

 

 

 

 振り下ろす事無く…マリアは空中でガリィの顔面を掴むと、そのまま砂浜へと叩きつけたのだった。

 

 

----------------------------------------------------------------------------------------------------

 

 

「私の勝ちで、いいかしら?」

 

「…どういうつもりなの、アンタ」

 

(い、生きてる…?)

(やったぜ⦅震え声⦆)

(結局こっちはクリーンヒットゼロかぁ…まぁガリィちゃんはよく頑張ったよね)

 

 砂浜に叩きつけられたガリィは首筋にアガートラームの短剣を突き付けられていた。つまり…ガリィの完全な敗北である⦅悲しみ⦆

 

「貴方だって散々私を見逃して来たじゃない。それに…私がこうしたいと思ったんだからいいじゃないの」

 

「…ふぅん、随分と甘いわ――ねっ!」

 

「きゃっ!? い、いきなり何をするのよ!?」

 

(えぇ…⦅困惑⦆)

(ガリィちゃん、もうやめよう…これ以上は無駄だよ⦅説得⦆)

(精神が安定したマリアさんとかミカちゃん以外じゃ相手にならないんだよなぁ…⦅遠い目⦆)

 

 明らかに決着ムードの中、なんとガリィが突然マリアを蹴り上げて立ち上がったのだ。まさかガリィはこの状況でまだ戦う気なのだろうか…?

 

「ふん、邪魔だから退かしただけよ! こほん…今回はアンタの勝ちでいいわ、マリア・カデンツァヴナ・イヴ。ほら、さっさと響ちゃんの所へ行ってあげなさいな」

 

「あ、貴方ねぇ…私は貴方にも聞きたい事がたくさんあるのよ…!?」

 

「そんなの後にすればいいでしょうが! …っとと、アンタが馬鹿な事言い出す所為で忘れてたわ。ほら、ガリィからの卒業祝いよ、有り難く受け取りなさい」

 

「? 卒業祝い、ですって…?」

 

(あ、ここで渡すんだね)

(てっきり戦後の交渉材料にする気なのかと思ってたよ)

(まあ持っててもしょうがないしねぇ)

 

 そう言うとガリィはマリアへとある物を投げ渡した。それは、ガリィがある場所で盗…手に入れた物である⦅強弁⦆

 

「これは…中に何か入っているの?」

 

「中にはデータチップが一枚入っているわ。言っとくけどアンタ達…特にマリア・切歌・調にとっては超重要なものなんだから絶対に失くさないでよ」

 

(失くしたら冗談抜きで絶望ゾ⦅真顔⦆)

(というかなんでガリィが持ってるの!? って後で言われるよね絶対…)

 

 それは超頑丈なケース⦅適当⦆に入れられたデータチップ…そう、リンカーについての情報が詰まったチップだった。

 これをS.O.N.G.に所属するメンバーの誰かに託すこと…これがガリィの最後に残された仕事であり、それをマリアに託す事でガリィは全ての仕事を完了したのだった。

 

「そ、そんなに重要なものなの!? だけど私はこれから響の救援に向かわなければ――」

 

「ああもう面倒臭い!⦅半ギレ⦆ と・に・か・く!どうにかしてエルフナインにそれを渡す事、いいわね!?」

 

「エルフナインに…? わ、分かったわ…」

 

「ふん、最初から素直にそう言えばいいのよ。 それじゃアタシはもう行くから、アンタも早く響ちゃんを助けに行ってあげなさい」

 

(さーて、キャロルちゃんとビッキーの所に行くかぁ!)

(ガリィの所為で無理ゲーと化したから心配だよね)

 

 強引にマリアを頷かせ、ガリィは懐から転移結晶を取り出す。そして…。

 

 

「ちょ、ちょっと待ちなさい! 貴方、何も話さないまま逃げ――」

 

 

「さよ~なら~♪」

 

 

(またね、マリアさん!)

(エルフナインちゃんに渡すの忘れないでよ!)

(向こうで先に待ってるね~!)

 

 マリアの制止の声を無視して、ガリィの姿は跡形も無く消えた。

 

 

 

----------------------------------------------------------------------------------------------------

 

 

「こっちは終わったわよ。だけどあの子…ガリィは何処かへと消えたわ」

 

『そうか、ご苦労だったなマリア君。 怪我は無いか?』

 

 ガリィの姿が消え去った後、マリアは本部…弦十郎との通信を行っていた。

 

「ええ、怪我も疲れも大した事無いし今すぐにでも響を助けに行けるわよ」

 

『ふむ…それではマリア君、君は先行している翼に続き響君の救援に向かってくれ』

 

 今後の話をしていた二人だが、どうやらほとんど無傷なマリアは直ちに響の救援に向かう事になったようだ。

 

「ええ、分かったわ。 あっ、それと一つだけ…エルフナインと話をしたいんだけど」

 

『エルフナイン君に? 分かった、すぐに代わろう』

 

「ええ、ありがとう」

 

 

 

『マリアさん、お疲れ様です。 ボクに何か御用ですか?』

 

「エルフナイン、実は貴方に渡したいものがあるんだけど――」

 

 そしてこの後…マリアはチップをエルフナインに託す手続きを完了させ、響の救援へと向かった。果たして二人は響の救援に間に合うのだろうか…。

 

 





ファラ姉さんは一回真面目にやったからつい…⦅目逸らし⦆

あとガリィがボッコボコにされましたがガリィが弱いわけでは無く、マリアさんが強すぎるだけです⦅は目⦆

次回も読んで頂けたら嬉しいです。


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