ガリィちゃんとわたしたち   作:グミ撃ち

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第百一話です。




第百一話

 

 

「……来たか」

 

 四方を海に囲まれた無人島…そこでは一人の錬金術師が少女を、立花響の到着を待っていた。そして…。

 

 

『~♪』

 

 

 彼女の耳に届いたのは歌…そう、聞き覚えのある歌だった。

 

 

「お待たせ、キャロルちゃん!」

 

 

「……立花、響」

 

 

 そして上空のヘリから飛び降り、派手に着地を決めた後キャロルへと笑顔を見せたのは……立花響、ガリィ・トゥーマーンが全てを託した少女であった。

 

「あ、あれっ……も、もしかして私が遅かったから怒ってる!? ご、ごめんねキャロルちゃん!」

 

 しかし響の派手な登場に対し、キャロルの反応は非常に薄いものだった。その一見怒っているように見える様子を見て響は狼狽えるのだが……。

 

「時間通りに来た貴様を何故怒らねばならぬのだ……そうではなく、俺が気になったのは貴様の隣に立つその男についてだ」

 

「……僕は響さんの付き添いで参りました。ですが戦闘への介入は一切行うつもりは無いのでご安心を」

 

 キャロルが気になっていたのは響の隣に立つ人物…そう、緒川慎次だった。彼は響と共にヘリから飛び降りキャロルの前に姿を現していたのである。

 

「それが賢明だろうな。貴様も多少はできるようだが、風鳴弦十郎のように人間を辞めてはいないのだろう?」

 

「……司令には悪いですがその通りです。ですから僕はこれ以降、姿を現さずこの戦いを見守る事にするつもりです」

 

「お、緒川さん!? 師匠は立派な人じゃないですか!⦅人間だとは言っていない⦆」

 

「……ではこれにて御免! 響さん、ご武運を!⦅逃走⦆」

 

 どうやら彼は戦闘に介入する気は無く、この戦いを何処かから見守るつもりのようだ。そして響への激励の言葉を言うと彼の周囲に煙が発生し、それが晴れた頃には彼の姿は跡形も無く消えているのだった。

 

「……面妖な術を使う男だな」

 

「緒川さんは何処、何処に消えたの!? キャ、キャロルちゃん今の見た!? 忍術だよ忍術!!」

 

「ふ、服を掴むな! 落ち着かぬか馬鹿者!!⦅半ギレ⦆」

 

 何故か見慣れているはずの忍術に興奮し、キャロルの服を掴んだままぶんぶんと手を振り回す響である。流石は主人公、天然で援軍が来るまでの時間稼ぎを行うとは大した奴だ…⦅強弁⦆

 

 

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「コホン……まずは以前、被害者である貴様に刃を振るった事を謝罪したい。すまなかった」

 

 なんとか響を落ち着かせたキャロルは本題を切り出す事にした。そう、まずキャロルが響にしたかった事は謝罪だったのだ。

 

「――へっ?」

 

「……まさか、あれ程の事を覚えていないのか…?⦅戦慄⦆」

 

「ち、違う違う覚えてるって! 突然謝られてビックリしただけだってば~!」

 

「そ、そうか……」

 

 響の反応が予想と違った事にキャロルは困惑するが、どうやらそれは彼女の勘違いだったようだ。もしも響が忘れていれば更に時間稼ぎができそうだったのだが、流石にあの事件を忘れる事は難しかったようだ。

 

「そうなんだよっ! ……それで、どうして突然謝ってくれたの? あの時、キャロルちゃんが怒るような事を言った私が悪いのに……」

 

「それは違う。あの時最初に食って掛かったのは俺の方であるし、自身の思考が絶対的な真実であると妄信した上、安易に暴力に頼ったのも俺の落ち度である事は間違いない……それ故貴様に謝罪をしたい、すまなかった」

 

 すまなかった……そう語った後キャロルは響に向かって頭を下げた。これで響がこの謝罪を受け取り、キャロルを許せばこの話は終わりなのだが……。

 

 

「――えっ、えええええっ!? あ、頭を上げてキャロルちゃんは何も悪く無いっていうか私が余計な事を言ったのが悪いんだしそれにキャロルちゃんはその、頭と心の病気に掛かってたんだから仕方ないよ! 私はキャロルちゃんの病気が治ってすっごく嬉しいよ!た、退院おめでとう!⦅大混乱⦆」

 

 

 立花響は混乱すると、つい自分でも分からない事を口走っちゃうんだ!⦅白目⦆ 

 

「頭の、病気か……ふっ、ふふふふ、確かにそうだな……妄想に囚われ世界を分解しようとしていた俺の頭は、病気以外の何物でもないというわけか……はっ、ははははははは…!⦅乾いた笑い⦆」

 

「――あっ!?ち、違うんだよキャロルちゃん! 今のは悪気があったわけじゃなくて!」

 

「安心しろ、悪気が無い事は貴様を見ていれば分かる。それに……貴様の言っている事は何一つとして間違ってはいないからな……⦅遠い目⦆」

 

「そ、そうじゃなくて私の話を聞いてってば~!⦅必死⦆」

 

 なお、今回はそれがキャロルの心にクリティカルヒットした模様⦅悲しみ⦆ まあ思い込みで世界を破壊しようとしていたのは事実だからね、仕方ないね⦅遠い目⦆

 

 

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「ふむ……四日後に家族全員で食事を、か。 シャトーで話していた時と比べ、随分と前進したものだな」

 

「前進、なのかな……? 私達、もう一度家族に戻れるのかな?」

 

 キャロルが精神的ダメージによる現実逃避から立ち直った後、二人はお互いがここに来るまでに何があったかを話していた。ちなみにキャロルは自身が記憶を取り戻した事、そして響は家族関係について話しているようだ。

 

「それは俺の口からは何とも言えない……だが、貴様が奮起した事によりその可能性が生まれた事は確かだ。そこは誇っても良いのではないか?」

 

「……ありがとう。なんだか今日のキャロルちゃん、優しいね」

 

「俺は事実を述べたまでの事。それに今も俺の中には行き場の無い怒りが渦巻いている。故に俺が優しい等という事はありえぬ」

 

 励ますような言葉を投げ掛けるキャロルの姿、そして表情を見て変化を感じ取る響。しかし当のキャロルにその自覚は無くむしろ記憶が戻り怒りを抱いている分、彼女は自身が優しい人間の対極に向かっていると自覚していた。

 

「う~ん、優しい人だって怒るしそんな事無いと思うんだけどなぁ……あっ、ちょっと気になったんだけどキャロルちゃんが怒っているのってやっぱり、お父さんを……」

 

「……確かに過去、俺は度し難い連中に対し極大の怒りを抱いていた。しかし連中はとうの昔に死に絶え、俺自身も見ての通り落ち着いている。 故にこの怒りが何であるのか、俺自身も理解できず持て余しているというわけだ」

 

 キャロルが記憶を取り戻した時、彼女がその衝動に呑まれなかった理由……それは復讐する相手が大昔に全て死に絶えている事、そして時を経た事により落ち着いていた事だった。

 

 この二点によりキャロルの怒りは表面化する事は無かったのだが……何故か彼女の中にはいまだ原因不明の怒りが渦巻き、彼女はそれを持て余していた。

 

「そうなんだ……。――あっ、良い事思い付いた!聞いて聞いてキャロルちゃん!」

 

「良い事、だと?」

 

 キャロルの話を聞いていた響が、突然大声を上げた事に怪訝な表情を浮かべるキャロル。一体彼女は何を思い付いたのだろうか?

 

「そう! えっとね、キャロルちゃんが一人で考えても分からないならみんなで考えればいいんだよ! キャロルちゃん達が仲間になってくれたら私も嬉しいし!」

 

「……待て、立花響。貴様は俺達を仲間に引き入れようと言うのか? 世界を破壊し、貴様等に牙を剥いた俺達を」

 

 なんと響が言い出したのはキャロル陣営全員のS.O.N.G.加入への誘いだった。しかしキャロルは乗り気では無い、というか世界を破壊しようとしていた自分達を仲間に引き入れようとする響の発言に困惑していた。

 

「うん! 師匠が言ってたんだ、怪我しちゃった人はいるけど死者は一人もいないって! だからきっと大丈夫だよ!」

 

「っ!? 死者がゼロ……だと? 貴様と俺が出会った時の火災も、俺が貴様等を襲撃した時も死者は出ていないのか……!?」

 

 キャロル陣営が起こした事件による死者、行方不明者ゼロ……これは紛れも無い事実であり、それはキャロルにとって衝撃的な事実でもあった。

 

「そうだよ~――あっ、キャロルちゃん達が壊しちゃった施設はどうしよう!? べ、弁償するなら私もお金出してあげる!それとキャロルちゃんの出世払いでなんとか許してもらおうよ!」

 

「死者が皆無……ガリィ、まさかお前はあの時、この状況を既に想定して動いていたというのか……?」

 

 既にキャロルが加入した後の事を必死に考える響を余所に、キャロルはこの状況を作り出した原因がガリィであると確信していた。何故なら火災の際に消火に当たっていたのはガリィであり、そしてキャロルが発電施設を襲撃した際アルカノイズを操っていたのもガリィだったからである。

 

「――っというわけでキャロルちゃんようこそS.O.N.G.へ!歓迎するよ!」

 

「……俺が考え事をしている内に何故そんな思考に至ったのかは分からぬが、残念ながら俺にその気は無い」

 

 キャロルが考え事をしている間に、響の脳内ではキャロル陣営がS.O.N.G.に加入する事が正式に決定したようだ。しかしキャロルにはそのつもりは無い……というか実はそんな余裕は無いため、響の提案を一蹴するのだった。

 

「っ!? ど、どうして!? もしかして働くのが嫌なの!?」

 

「違うわ馬鹿者! ……俺達は今後、不要となったシャトーを解体せねばならぬのだ。あれは放置しておくには危険すぎる上、シャトーの存在を知るのは俺達とお前達だけでは無いのでな。そ奴等に利用されぬよう解体を急がねばならん」

 

 そう、キャロルには今後シャトーを解体するという大仕事が待っているのである。そのためS.O.N.G.に加入する余裕など無く、彼女は今後人形達とともにシャトーの解体に勤しむつもりだった。

 

「あっ、そうなんだ。あはは~、ごめんね勘違いしちゃって~」

 

「貴様がそういう人間である事は分かっている……全く、貴様を見捨てない小日向未来は大したものだ」

 

「うう、言い返す言葉もございません……」

 

「……それでどうする? ガリィに言われこの場に赴いたが、俺はこのまま帰投しても一向に構わ――」

 

 響との会話が一段落し、これ以上は伝えたい事も無いと判断したキャロルは帰投する事を考えていた。もともとキャロル自身が響と戦う事にそこまで乗り気では無く、それをする意味もあまり無いと思っていたためなのだが……。

 

 

 

「それは駄目!! だって……このままさよならしたら二度とキャロルちゃん達に会えない気がするから……だから、それだけは絶対駄目!(それに……ガリィちゃんは私に任せるって言った。 きっとそれは、ただ話をするだけじゃないはずなんだ!)」

 

 

 

 キャロルの言葉を遮り、響は声を上げた。キャロルの雰囲気から彼女は何かを感じ取ったのだろうか、その表情は先程までとは違い、鬼気迫るものだった。

 

「っ――では貴様は俺と戦うと言うのか? 三人掛かりでようやく倒せた俺を、貴様一人で相手取ると?」

 

「……うん、それでキャロルちゃんを繋ぎ止められるのなら、私は絶対に譲れない!キャロルちゃんを遠くには行かせない!!」

 

 キャロルを繋ぎ止めるため、響は拳を握る事で戦う意思を示す。しかし彼女は知らなかった……今のキャロルは、どこぞのポンコツ人形の所為で以前とは比べものにならない程強大な力を持っているという事を……⦅遠い目⦆

 

「貴様っ……本気で言っているようだな。 勝ち目の無い戦いに、死地に自ら飛び込んで来るか」

 

「えっへん、私だって前より強くなってるもんね! だからキャロルちゃんも本気で戦おう!そしたら気分もすっきりするかもしれないよ!」

 

 ……ちなみに今のキャロルは三人掛かりでも厳しい、というか追い詰めたとしても獅子機が待っているという理不尽なラスボス状態である⦅白目⦆ なお、この状況を作った張本人はこの戦闘に一切介入するつもりが無い模様。

 

「本気、か。 幸か不幸か奴のお陰……いや、奴の所為でその状況は整っている。……立花響、恨むなら私では無くガリィを恨め。今回については間違いなく奴が原因だからな」

 

「――へっ?」

 

「……なに、簡単な事だ――」

 

 やる気満々の響に対し、どこか申し訳無さそうな表情でキャロルは竪琴ダウルダブラを取り出す。そして…。

 

 

 

「今日の俺は数百年生きた中で最も強い……それだけの事」

 

 

 

 絶望的な事実を、告げた。

 

 

----------------------------------------------------------------------------------------------------

 

 

「敵の攻撃が苛烈すぎます!爆炎で状況が把握できません!」

 

「以前とはまるで違う、これじゃいくら響ちゃんでも……!」

 

 キャロルと響の戦闘をモニターしている司令室の面々は今、画面に映る予想以上の劣勢に混乱していた。

 

「翼とマリア君は?」

 

「翼さんの到着予定まであと十三分から十五分! マリアさんについては十五分から二十分との事です!」

 

「弦十郎さん、響は大丈夫なんですか!?」

 

「キャロルが攻撃を続けている以上、響君は健在なのだろう。しかし、こちらに時間制限がある中でこの状況は厳しいと言わざるを得ない状況だ」

 

 元々響の劣勢は予想されてはいたが、ここまで一方的になるとは誰も予想していなかったのだろう。故に司令室の面々は皆混乱していたのである。

 

「こんな無茶苦茶な攻撃……お、おかしいです!こんな事を続ければキャロルは!」

 

「どうした、エルフナイン君?」

 

「キャロルの錬金術は自身の想い出を焼却する事で強大な力を発揮する事ができるのですが、今のキャロルはまるでそれを気にしていないかのように錬金術を行使し続けているようにしか見えません! だからおかしいんです!」

 

 錬金術による砲撃が響に向け雨あられと撃ち出されている異常な光景が信じられないエルフナイン。そんな事をすればキャロルの記憶が加速的に消えてしまうはずなのだが…。

 

「それって、このままじゃキャロルちゃんが記憶を全部失っちゃうって事? そ、そんなの駄目だよ!すぐに止めなきゃ!」

 

「……いや、それをガリィ君が許すとは思えん」

 

「はい、それにキャロルの表情を見るとそんな風にはとても見えません。 だからボクはこの状況が全く理解できないのです……」

 

 しかし、モニターに映るキャロルの表情は余裕に溢れていたのである。それが余計にエルフナインを混乱させ、彼女は呆然とした様子でモニターを見つめていた。

 

 

「っ!? 司令、クリスちゃん達が!」

 

 

「っ――どうした!?」

 

 

 そんな中、事態を更に混沌に陥れる事件が起こる。その事件とは……。

 

 

「職員が状況を伝えた途端、こんな時に暢気に寝ていられないと病室を飛び出しました……!」

 

 

 どうやらクリス、切歌、調の三人が病室を抜け出したようだ。不幸中の幸いか、既に三人の治療は終わっているようなのだが……。

 

 

「連れ戻せ、と言っても聞く耳を持たんか……ヘリを向かわせるので待つように伝えてくれ、勝手に動かれるくらいならそちらの方がまだマシだ」

 

 

「りょ、了解!」

 

 

 強引に連れ戻そうとすればギアを纏い逃走、行方不明になる可能性があるため弦十郎は三人の支援を手配する事にした。仲間の危機にじっとしていられる彼女達では無いため、もしかしたら弦十郎はこの展開を予想していたのかもしれない。

 

「エルフナインちゃん、もしかして今のキャロルちゃんって……」

 

「……もしもキャロルが想い出の消費を気にせず全力で戦えるのであれば、残念ながら響さん一人ではとても……」

 

 そして一方、未来とエルフナインはモニターに映るキャロルの独壇場を不安気に見つめていた。……あっ、それ全部ガリィっていう奴の所為なんですよ⦅白目⦆

 

 

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「……貴様には才能がある、そして逆境にも折れぬ強い精神力を有している」

 

「はぁ、はぁっ……!私は、まだっ……!」

 

 傷一つ無く余裕の表情を浮かべるキャロルの視線の先……そこには十五分以上もの間、膝を折る事無く戦い続けた少女が立っていた。しかし…。

 

「っ!?」

 

「……だが、時間切れのようだな。 俺が予想したものとほぼ同じか……エルフナインは中々に良い仕事をしているらしい」

 

 遂にイグナイトモジュールの制限時間を迎え、響のギアは解除されてしまう。響はキャロルに全力を出させる事は……できなかったのである。

 

「まだ、だよ…! もう一度イグナイトモジュールを起動すれば…!」

 

「馬鹿者。もう一度呪いをその身体に受ければ、いくら貴様でもどのような影響が出るか分からぬ。それ故の制限時間であると理解せよ」

 

「っ!? そ、それならもう一度ギアを纏って戦うよ! ~♪」

 

 ギアが解除されたものの、もう一度イグナイトモジュールを起動すれば解決……というわけではない。

 そもそもモジュールの稼働時間に制限が設けられている理由は、呪いをその身に受ける事の負荷を考えての事である。故に、短時間のインターバルでもう一度呪いをその身に受ける事は装者にとって非常に危険なのだ。

 

 その事をキャロルに説明され、通常状態のギアで戦闘を継続せざるを得なくなってしまった響。しかし彼女の目は絶望的な状況にも関わらず、いまだ闘志を維持していた。

 

「……この状況でも諦めぬ、か。 仕方が無い、貴様が満足するか、もしくは力尽きるまでは付き合ってやろう」

 

「私が満足する時はキャロルちゃんと手を繋いだ時だけだよ!」

 

「そうか……ならば俺が取る手段は、貴様が地に伏せるまで攻め続けるのみ……覚悟せよ立花響」

 

 状況は絶望的……果たして響は、キャロルに一矢報いる事ができるのか。そして、急行している援軍は間に合うのか……?

 

 

----------------------------------------------------------------------------------------------------

 

 

「――うあっ!?」

 

「呪いを纏わぬ状態で五分以上……俺を相手によくもそれだけの時間を耐え抜いたものだ」

 

 それから五分後、援軍は……いまだ到着していなかった。そして響も遂に被弾し倒れ伏してしまい、状況は正に敗北寸前であった。

 

「……まだ、頑張れる……! 戦える……!」

 

「……今の一撃も敢えて貴様に直撃せぬよう撃ち出したのだ……俺に貴様を殺す気は毛頭無い。もう諦めよ、立花響」

 

 それでも立ち上がり、拳を構える響を諦めさせようと言葉を投げ掛けるキャロル。しかしその言葉を受けても尚、響の拳は握られたままであった。

 

「ごめん、キャロルちゃん。 私、このまま諦めたらきっと後悔すると思うんだ。 だから、戦うよ……!」

 

「だが……いや、ならば次で貴様の意識を断ち切り、この戦いとすら呼べぬものに終止符を打つとしよう」

 

 再び説得の言葉を投げ掛けようとするキャロルだが、響の目を見た瞬間に考えを改め彼女の意識を奪う為の術式を展開し始めるのだった。

 

「いくよ、キャロルちゃん!」

 

「ああ、どこからでも掛かって来るが良い……!」

 

 そして、響は今迄以上の勢いでキャロルへと一直線に襲い掛かる。しかし…。

 

 

「っ!?」

 

 

「安心しろ、痛みは一瞬で終わる。 ……気に病むことは無い。たった一人で俺に勝てる可能性などそもそも貴様には無かったのだから……」

 

 

 気合いだけで大きすぎる差を埋めるには、余りにも無理があった。必死で回避を続けながら反撃の隙を伺う響だが、遂にキャロルの砲撃に捉えられてしまう。そして、この戦いはキャロルの勝利に……。

 

 

 

 

「一人では無いっっ!!!」

 

 

 

 

 終わると思われた瞬間……キャロルと響の間に巨大な何かが立ちはだかり、キャロルの砲撃を受け止めた。その何かとは……。

 

 

 

「これは……まさか!?」

 

 

 

 キャロルはそれが目の前に現れた瞬間、巨大な盾が現れたと思い、そしてすぐにそれが違うものであると理解した。そう、それは……

 

 

 

 

 

 

( つるぎ)だ!」

 

 

 

 

 

 

 それは、巨大な剣だった。そして、装者の中で巨大な剣を空中から落下させる事ができる者はただ一人、そう…。

 

 

 

「――翼さん……!」

 

 

 

「風鳴、翼……!」

 

 

 

 

「遅くなってすまない、立花。 ……強敵を前に、よくここまで持ち堪えてくれたな」

 

 

 

 巨大な剣と共に舞い降りた戦姫……その名は風鳴翼。友の窮地に駆け付けたのは、剣と翼を心に宿したシンフォギア装者であった。

 

 





えっ、主人公? どこかその辺で見てるんじゃないですかねぇ?⦅適当⦆

次回も読んで頂けたら嬉しいです。


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