ガリィちゃんとわたしたち   作:グミ撃ち

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第百十一話です。

GX編はこれで完結し、その後は作者にとっての本編である番外編を書いて行きます。




第百十一話 ※

 

 

「助ける、だと……? お前はこの状態のガリィを、どのような方法ならば助けられると言うのだ……?」

 

「えっ!? えっとそれは……! と、とにかくガリィちゃんを連れて行こう!」

 

「……連れて行く? 一体何処へ――」

 

 響に手を握られた事によりなんとか気を取り直したキャロル。だが無慈悲にもこれから起こる事により、彼女は今度は混乱してしまう事になるのだった。

 

「ヘリを呼んでいますので皆さんはそれに乗って帰還を! 二人は僕と司令がお連れします!」

 

「っ!? いつの間に……!?」

 

 まず、気付けば側にいたNINJAがガリィの胴体を抱え……

 

「はっ、離せ! お前達は一体何を!?」

 

「まずは君達を本部に連れて行き、ガリィ君の状態の確認とキャロル君の治療を行う」

 

 更にOTONAがキャロルを抱え、すごい勢いで走り出したり……

 

「ちょっ、少し待――」

 

「喋るな! 舌を噛むぞ!」

 

 大海原を疾走する人外二人にキャロルがツッコミを入れるチャンスを逃したり……

 

「キャロルちゃん、こっち!」

 

「まずはガリィの状態を確認します! 急いで!」

 

「あ、ああ……⦅困惑⦆」

 

 未来とエルフナインに出迎えられ、困惑したままS.O.N.G.仮設本部である潜水艦内に案内され……

 

「気を強く持ってね、諦めなければ可能性はあるはずよ」

 

「俺達も全力でサポートするから頑張ろうな」

 

「あ、ありがとう……?(な、何故私に対して好意的なのだ!? 私は彼等の敵だったはず――そうか、ガリィの仕業か!?)」

 

 S.O.N.G.に所属するスタッフが何故か好意的な事に困惑したり……

 

「四肢はともかく人工知能の全損は致命的……ですが、諦めはしません!」

 

「……生きているパーツは恐らく皆無だろ――なっ!? ど、どういう事だ、これは……!?」

 

 エルフナインとガリィのパーツを分解していると、とんでもない物を発見してしまったり……

 

「あっ⦅気絶⦆」

 

「ひ、響!? ひびきぃーーーーーーっ!?」

 

 合流した響が未来の顔を見た途端、安心して気絶してしまったり……⦅治療室行き⦆

 

「……すまない、マリア。 私も治療室まで連れて行ってほし――⦅気絶⦆」

 

「つっ、翼まで!? 貴方達どれだけ無茶していたの!?」

 

 翼も限界を迎え、意識を手放してしまったり……⦅治療室行き⦆

 

「司令、上層部からキャロル陣営全員を連行せよとの通信が届いていますが……」

 

「獅子機と響君の戦闘データを送ってやれ、『貴方達の気持ちは分かるが少し待って頂きたい。 でなければ獅子が再び牙を剥く可能性が高い』とメッセージを添えてな」

 

「ふっ、ふふっ……了解しました!」

 

 弦十郎が上層部の要求を突っぱね、代わりに怪獣大決戦のデータを送りつけたり……⦅効果覿面⦆

 

「ガリィ~、ガリィ~……」

 

「補給は少し待て、ミカ。 ガリィの奴ならきっとすぐに帰って来るだろうさ」

 

「ええ、あの子がこのまま終わるなんて思えませんもの」

 

 合流したミカを他のオートスコアラーがなだめたり……

 

「……行くぞ、エルフナイン」

 

「はっ、はいっ!!」

 

 そして、ガリィの状態確認を終えた二人は司令室へと足を運ぶのだった。

 

 

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「……ガリィの状態確認は終了した。 これより、その件についての報告を行う」

 

「ゴ、ゴクリ……緊張するのデス……! 」

 

 司令室では現在キャロルとエルフナイン、そして四名の装者とS.O.N.G.主要メンバーが集まっていた。

 ちなみに響と翼は治療室で休息中、未来はその付き添いである。

 

「まずガリィの状態を話します。 これは皆さんもご存じだと思いますが、彼女は頭部と四肢の全てを喪失し残されたのは胴体のみという酷い状態でした」

 

「んな事は分かってる! 肝心なのはコイツは直るかどうかだっての!」

 

 まずエルフナインからガリィの状態についての説明が入るのだが、苛ついていたクリスはそれすらも聞けない程に余裕が無い様だ。

 

「焦るな、雪音クリス。 結論から言おう……胴体の内部で生きているパーツは僅か一つのみだった……それがこいつだ」

 

 クリスの表情を確認し、長話をするのは難しいと判断したのだろう。キャロルは早速結論から入る事にし、手に持っていた球体のもの……ガリィの胴体内部で唯一生き残っていたパーツを彼女達に見せるのだった。

 

「……あの爆発に巻き込まれたにしては綺麗なものね」

 

「ふむ、どうやら無傷のようだが……」

 

「このパーツは人間で言う心臓部……ガリィ達オートスコアラーのコア部分になります」

 

 どうやら残っていたパーツは心臓部のようだ。しかも身体のほとんどを失ったにも関わらず何故かコアは無傷である。

 それを聞いた瞬間、この場に居る何人かは希望を抱いたのだが……。

 

「も、もしかして! これがあればガリィは助かるんじゃないデスか!?」

 

 その一人の内の一人、切歌。彼女はエルフナインとキャロルに詰め寄り、興奮気味に抱いた希望を口にする。しかし、それに対してキャロルは表情一つ動かさずに、やがて語り始めるのだった。

 

 

「暁切歌……残念だがそれは絶対にあり得――あり得ないのだ!」

 

 

 一度言葉を止めたこの時、キャロルの脳裏には意味不明なガリィという存在……人工知能を破損しながらも平然と動いていたあの人形の姿が浮かんでいた。

 しかし彼女は誇り高き錬金術師であり、そんな法則を無視した理解不能な存在を認めるわけには行かなかったのである。

 

 

「っ!? な、なんでだよおかしいだろ!?⦅全ギレ⦆」

 

「そ、そうデス! 新しい身体を用意してあげればガリィが復活するんじゃないんデスか!?⦅猛抗議⦆」

 

 

 しかし装者達にとってはそう簡単に納得できることでは無かったようで、キャロルの無慈悲な言葉に対しクリスと切歌が猛烈に抗議を始めたのである。

 

 

「……オートスコアラーの思考、性格は全て人工知能にて形成されている。故に心臓部が残ったところでそれには何の意味も……な、無いのだ!」

 

 

 二人の抗議に対し、キャロルの脳内で何故か踊っているガリィに邪魔されながらも彼女はなんとか言葉を言い切る事に成功していた。

 確かにコアが無傷で残っている事には違和感しか感じないのは確かだが、流石にそんな可能性を認めるわけにはいかない。何故ならそんな事が起こってしまうとすれば、それは最早奇跡等とは違うもっとおぞましいナニカだからである。

 

 

「……いえ、ボクはガリィなら可能性はあると思います」

 

 

「エルフナインっ!?」

 

 

 しかしキャロルは後ろから背中を撃ち抜かれてしまう。その下手人はなんとエルフナイン……キャロルの半歩後ろに立つ彼女が、キャロルの錬金術師としての意見に噛み付いたのである。

 

「可能性、か。 どういう事か説明してくれるか、エルフナイン君」

 

「はい。 まず、ボクはシャトーでガリィと話している時から『他の人形とは違う』と何度も思った事がありました」

 

「っ!――くっ、下らん! そんな戯言を――」

 

「……(今、言葉に詰まったよね?)」

 

「……(デース! きっと思い当たる事があったのデスよ!)」

 

 エルフナインの言葉……それはこの場に居る人間の中で一番キャロルが強く感じていたものである。命令違反、主への過剰な愛情、そしてどうしてそうなったのか全く分からない性格、等々不審な点を言い出せばキリがない程にアレな存在がガリィであった⦅遠い目⦆

 

「キャロルがシャトーのバックアップを使ってガリィを復元しない理由……それはあの個体が特別だと認識しているから、ですよね?⦅錬金術師の眼光⦆」

 

「っ!?⦅図星⦆」

 

 そして更にエルフナインの攻勢は続き、論破されたキャロルは完全に言葉に詰まってしまう。

 そう、実はシャトーにはオートスコアラーの記憶が保存されており、そのバックアップを使用すればガリィを復活させる事ができるのだ。

 しかし何故キャロルはそれを行わないのか……その答えは簡単、彼女はそれをしてもガリィが帰って来るとは思っていなかったのである。

 そしてそれはエルフナインもキャロルと同様の考えだった。

 

「……ガリィの行動、それは主に絶対服従という縛りを設けられている人工知能では決してできないものです」

 

「……」

 

「では、何故ガリィはそんな行動を取る事ができたのでしょうか……。 その本来ではありえない行動について、ボクは彼女に宿った『心』が引き起こしたものだと考えています」

 

「『心』だと……? そ、そんな奇跡が簡単に起こるものか!?」

 

 エルフナインはガリィに心が宿ったのだと推測しているようだが、実はそれよりも更に理解不能なのが今のガリィの実情だった⦅遠い目⦆

 キャロルとエルフナインの精神的な安定のためにも、ガリィの中身が判明する日が来ない事を祈るばかりである⦅震え声⦆

 

「落ち着いて、キャロル。 貴方の気持ちは分かるけど、それしか縋る手段が無いのなら私は賭けるべきだと思う」

 

「あたしも同意見だ。ダメ元でもやるしか選択肢はねーだろ」

 

「そうデスよ! それでガリィが帰って来たら嬉しいじゃないデスか!」

 

「うん、ガリィの心……魂を私も信じる」

 

「今日はこれだけ奇跡が起こったんだ、あと一度くらいなら起こっても不思議じゃないとは思わないか?」

 

 エルフナインの言葉を否定するキャロルだが、どうやら装者達と弦十郎、そして言葉には出していない他のスタッフもエルフナインの案に賛成のようだ。

 

「お前達は……私に、よりによって奇跡に縋れと言うのか? パパを殺し、私を苦しめ続けた奇跡に……!」

 

 しかし、尚もキャロルは首を縦には振らなかった。響達が起こした奇跡により改善はされたものの、彼女の中ではまだまだ奇跡に対する嫌悪感が残っているようだ。

 

 しかし……。

 

 

 

「信じて下さい、奇跡を。 キャロルは見たはずです、パパを傷つけたあの人達……いえ、あいつらが信じた紛い物とは違う本物の奇跡を!」

 

 

 

「っ!……本物の、奇跡」

 

 エルフナインはキャロルを真っ直ぐに見つめ奇跡を……本物の奇跡を信じるよう説得する。その言葉を聞いたキャロルは数分間、何も言わずエルフナインの目を見つめ続け、そして……。

 

 

 

「今回だけだ……今回だけはお前のいう奇跡、それを信じるとしよう」

 

 

 

 キャロルが首を縦に振った瞬間、ガリィを復活させるための作戦が始動するのだった。

 

 

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「手順はこうだ。 まずはシャトーに眠る廃棄躯体を改修……そうだな、これには三日もあれば十分だろう」

 

「それが終了するまではボクもキャロルに同行します。皆さんには歯がゆい思いをさせてしまいますが、どうかよろしくお願いします」

 

「あたし達は留守番かよ……」

 

「こんな事ならエルフナインに錬金術を教えてもらってれば良かったのデス……」

 

「うん、失敗……」

 

「素人がちょっと学んだくらいで役に立てるわけないでしょう? エルフナイン、しっかりね」

 

「はいっ!」

 

 ガリィを復活させるためのキャロルの案……それはシャトーに眠るオートスコアラーの廃棄躯体を利用する事だった。一から全てを製作すればかなりの時間が掛かってしまうため、キャロルは廃棄躯体を改修する事にしたのだろう。

 

「それに並行して他のオートスコアラーの修復を行い、ガリィのコアを廃棄躯体に埋め込み再起動する。 そして再起動は五日後、この場所で行う……お前達も気になるだろうからな」

 

「それまではお前達は全員治療室行きだ、しっかり検査を受けてもらうからな」

 

「わ、私も!? 私は何処も怪我してないんだけど!?」

 

「一応だ、一応! 異常が無ければ検査だけで済む」

 

 ガリィの再起動は五日後に決まったようだ。それまで装者達はメディカルチェックを受け、そしてオートスコアラー達も修復作業を施されるのが決まった。

 

「以上だ、私達はこれよりシャトーに帰還する。 転移するからこっちに寄れ、エルフナイン」

 

「はい」

 

 作戦についての説明を終え、キャロル達は次々とシャトーへと帰還して行く。

 

 しかしこの時、無表情を貫くキャロルの胸中は……不安で一杯だった。

 

 

 

「……(エルフナインの策については私も気付いてはいた……だが、だが………それがもしも失敗に終われば待っているのは絶望……二度とガリィに会えなくなると理解してしまえば、私は……)」

 

 

 

 キャロルの不安を余所に時間は進んで行く。 そして五日後……この時と同じ場所で、廃棄躯体にコアを移されたガリィの再起動が行われるのだった。

 

 

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「お前達!久しぶりだゾ!」

 

「まだ一週間も経っていないのだが……いや、私と立花は会っていないからそれで正しいのか……?」

 

「怪我の具合はどうだ、雪音クリス」

 

「はっ! そんなのもう治ったっての!」

 

「ガリィちゃんガリィちゃんガリィちゃあああああん!!!!」

 

「響うるさい! 落ち着きなさいっていつも言ってるでしょう!!」

 

 五日後、潜水艦内の部屋には翼と響を加え主要メンバーが揃っていた。なお、響についてはあと三日ほど静養が必要なのだが無理を言って参加している模様。

 

「二人供、作業は滞りなく完了したようだな」

 

「はい、間に合ってよかったです」

 

「……お前達には五日もの間、私が自由に動けるように骨を折らせているのだ。延期するのは失礼にも程があるだろう」

 

「むっ、気付かれていたか……だが問題は無い! 獅子機の戦闘映像を見せた途端、全会一致で許可が下りたからな!」

 

 弦十郎達大人はこの五日間という時間を稼ぐ為、上層部との激しい攻防を覚悟していた。

 しかし現実は、獅子機の戦闘映像を見た上層部が全会一致で『要求を受け入れ、味方に引き入れる事に全力を尽くせ』という決定を下す、というものだった。

 ちなみに弦十郎は予想外の反応に拍子抜けしていたが、彼とは違う普通の人間としては至極全うな判断である。

 

「そ、そうか……⦅困惑⦆」

 

「そんな事より早くガリィを起こしてほしいのデェス!」

 

「そうだよぉ! ぶーぶー!」

 

「うん、お願いします」

 

「そうだゾ! 早くしないとアタシ完全に止まっちゃうゾ!⦅死活問題⦆」

 

 弦十郎とキャロルが話していたが、どうやら周りは待ちきれないらしい。特にミカに関しては自力で動く事ができない程消耗しており、完全停止するまであと僅かという切羽詰まった状態だった。

 

「言われずとも分かっとるわ! 少しは静かにできんのかお前達は!⦅憤怒⦆」

 

 ぶーぶーと文句を垂れる装者達に憤慨しながら、キャロルは寝台に寝かされているガリィの前に立つ。寝かされているガリィには既に例の個体のコアが埋め込まれており、後はキャロルの錬金術により再起動させるだけである。

 

「キャロル……」

 

「……そんな顔をするな、エルフナイン。 仮に失敗に終わったとしても私はお前を責めはしない」

 

 仮に失敗したとして、キャロルは決してエルフナインを責めはしないだろう。

 しかし失敗に終わった場合彼女は……キャロルは二度目の喪失に耐える事ができるのだろうか……。

 

「キャロルちゃん……!」

 

「立花響……頼む、お前達が奇跡を起こした想いの力。 それを少しでいい、私に分けてくれ……!」

 

 響へと目線を送り、そしてキャロルはついにガリィを再起動するための術式を発動させる。

 

 そして、その結末は……。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あれ、マスター? えっと、ここは……そこにいる女の子達は確かシンフォギア装者の子達、ですよね?」

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

 

 

 

 

 

 奇跡は……起こらなかった。

 

 

「何言ってるんだよお前! とっ、とぼけるんじゃねーぞ!?」

 

「……貴方は確か、雪音クリスちゃん……だったわよね? そんな事言われても困るんだけど……」

 

「っ――」

 

 クリスが再起動したガリィに詰め寄る。しかし、その反応は明らかに以前とは違うものだった。

 

「あっ、あたしです切歌デス!! おっ、覚えていますよね!?」

 

「私も!」

 

「いや、それはバックアップに残っているから覚えているけど…… あたし( ・・・)とは初対面みたいなものよね?」

 

 続いて目に涙を浮かべた切歌と調がガリィへと訴えかける。しかしその答えは、彼女達にとって最も受け入れがたいものだった。

 

「こんな、こんな事って……」

 

「ガリィちゃん……! そっ、そんなの嘘だよ……」

 

「小日向未来ちゃんに立花響ちゃんよね? 随分と暗い表情をしているみたいだけど、大丈夫?」

 

 響と未来が無慈悲な現実を受け入れられずに取り乱す。それに対し再起動したガリィは冷静に、それでいて何処か他人行儀に心配していた。

 

「奇跡は……起こらなかったのね」

 

「……ああ、どうやらそのようだな」

 

 マリアと翼……彼女達二人は目を瞑り、現実を受け入れようとしていた。

 

「ごめ……ごめんなさい……ボクが偉そうな事を言った所為でこんな……!」

 

「エルフナイン君だけの責任では無い! これは俺達全員が同意した事だ、故に俺にももちろん責任がある」

 

 弦十郎は取り乱すエルフナインを落ち着かせようとしていた。

 

「ガリィ……不思議なものだな、目の前に居るお前は同じ顔をしているのに私はどこか寂しさを感じている」

 

「奇遇ね、レイアちゃん……私も同じ気持ちよ」

 

「うぅ~、ガリィが早く出て来てくれないとアタシ困っちゃうんだゾ……」

 

 オートスコアラーの三体は、目の前のガリィにどこか寂しさを……あれ、ミカのこの反応は一体……。

 

 

 

「……なんだかよく分からないというか、事情が分からない以上どうしようもないんだけど……マスター、一体何が起こっているんで――」

 

 

 

 周りを見渡しまずは状況を把握しなければどうしようもないと考えたガリィは、キャロルへと語り掛けるため彼女へと視線を送るのだが……。

 

 

 

 

 

「うっ……うあぁぁぁぁぁぁぁぁ……!」

 

 

 

 

 

 そこには、瞳から大量の涙を流す一人の少女がいた。

 

 

「ってどうしたんですかマスター!?」

 

 

「うっ、ひぐっ……! お前は、お前がわっ、悪いわけでは……ない」

 

 

 キャロルはこの瞬間まで僅かな希望を信じ、縋る事で平静を保ち続けていた。

 

 しかしこの時……彼女の希望は絶望へと変わり、彼女は二度目の喪失に襲われたのである。それに彼女が耐えられるはずも無く、悲しみの感情が溢れて来たのだろう。

 

 

「キャロル君……!(くそっ!何か他に手は……泣いている子供を前にして、俺は何もできないのか……!)」

 

「うっ、うえぇぇぇぇぇぇん!!!」

 

「泣いちゃ駄目だよ切ちゃん……私だって我慢、我慢して……ふえぇぇぇぇん……」

 

 キャロルと年少組の泣き声が響き、周囲は完全に重い空気に包まれていた。しかし、泣いたところであのガリィが帰ってくる事は永遠に無――

 

 

 

 

 

『マスターの、声……泣いてる、の?』

 

 

 

 

「っ!? なっ、何よ今の!?」

 

 

 

 

 その時、再起動したガリィが突然激しく動揺し周囲をキョロキョロと見渡し始める。一体彼女に何があったのだろうか……?

 

 

『ここは……って何よコレ!? マスターが泣いちゃってるじゃないアタシが早く慰めないと!⦅使命感⦆ あれ、身体が動かないんですけど!?というかここ何処よ!?』

 

(……あれ、なんでガリィちゃんがこっちにいるの?)

(二軍落ちかな?⦅名推理⦆)

(ガリィさんがここに居るという事は、外にいるのは……)

 

 

「まっ、また聞こえた!? しかもどんどん増えてるし何これ怖い!!」

 

 

 どうやら再起動したガリィは不具合なのか幻聴が聞こえているらしい。なお、本当に幻聴なのかは定かでは無い模様⦅悲しみ⦆

 

 

「ど、どうした? 何か不具合でも見つかったのか?」

 

 

 その尋常でない取り乱し様に泣いていたキャロルが語り掛けるのだが、現在ガリィの中で起こっている事は不具合では片付けられない程におぞましいナニカである。

 

『あああああマスターの可愛い顔が目の前にあるのに頬擦りすらできないぃぃぃ!!! クソクソクソクソ!!そこはアタシの特等席よとっとと退きなさい!!!⦅憤怒⦆』

 

(えぇ……⦅困惑⦆)

(……状況的には多分、生き残ってるんだよね?)

(みたいだねぇ~ 正直、今度ばかりは駄目だと思ったけど……)

 

 

「いや不具合というか、あたしの中に何か――って中から押されてる!?やっ、やめてよちょっと本当に――」

 

 

「っ!? な、何が起こって――」

 

 

 再起動したガリィの中に潜んでいたもの……それは理解不能な不思議生物であり、同時にこの場に居る全員が帰還を待ち望んでいたものだった。そして……。

 

 

 

 

 

 

「マスターマスターマスター!!!! そんなに泣いちゃってどうしたんですかいえいえ言わなくてもガリィには分かります悲しい事があったんですね!? なら慰めるのがガリィの使命ですもの!よーしよしよしよしよしよしガリィがいれば大丈夫ですからねぇぇぇ♪」

 

 

 

 

 

 

 

「――――――」

 

 

 

 

 

 

 

 気付けばキャロルは目の前の人形に抱え上げられ、そして頬擦りされていた。そしてこの瞬間、キャロルはその行動に物凄い既視感を覚えていたのだが、あまりの急展開に頭が真っ白になってしまったようだ。

 

 

「――――はっ……はあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

 

「うっさいわね馬鹿クリス! マスターとの神聖な触れ合いタイムを邪魔するんじゃないわよ!⦅憤怒⦆」

 

(……状況が全く理解できないんだけど、誰か教えてくれない?)

(あっ、畜生の代わりに来ちゃったんだ……じゃなくて誰か!畜生じゃないガリィちゃんに説明を!)

(がってんだ!)

 

 この時点で大人組は目の前にいるのがあのガリィだと確信する。どうやら全員が願っていた奇跡は遅れてやってきたらしい。

 

「ガガガガガガガガリィ!? あたしの事覚えてマスか!?」

 

「わっ、私も!」

 

「はぁ? 何よアンタ達ガリィの事を馬鹿にしてるんじゃないでしょうね? その間抜け面と仏頂面を忘れるわけないでしょうが」

 

(ってな感じでマスター……キャロルちゃんをどうにかしなきゃって思ったのが始まりでね~)

(ふーん……なんというか、不思議な事もあるものね)

(それでまずは原作通りに進めようとしたんだけど、表にいる人形が勝手に動きまくる所為で色々おかしくなっちゃってさ)

 

 そして年少組も奇跡が起こった事に気付き、ガリィへと駆け寄る。二人の言葉への返答は正にあのガリィそのものであり、二人はこの時点でガリィが戻って来た事を確信するのであった。

 

「ガリィ君、ここまでの事は覚えているか?」

 

「なによ化け物、そんなの覚えてるに決まって――あ、結局生き残れたのね、アタシ。あの状況じゃ流石に駄目だと思ったけど、ツイてたわ」

 

≪勝った……! 薔薇色の未来……成就せり!!≫

 

(ほんとぉ?⦅疑いの眼差し⦆)

(……この子、どこか壊れてるの?不良品?⦅真顔⦆)

(壊れてないから困ってるんだよなぁ……⦅遠い目⦆)

 

 キャロルを抱きしめた状態でガリィは自身がクソったれな運命に勝利した事を確信する。なお自分が原因で起こった事に対しては全てスルー、それがガリィという人形だった。

 

「貴方……キャロルの反応を見れば分かるけど本当にあのガリィなのね」

 

「まあ、流石はガリィと言ったところか」

 

「遅いゾガリィ~、チューしてくれよ~!」

 

「ミカちゃん少しだけ待って、ね? 今はマスターの番だから我慢しましょう?」

 

「向こうで小日向が立花を抑えているが……そろそろ限界のようだな」

 

 更に年長組とオートスコアラーもガリィの復活を確信し、話の輪に入る。彼女達は、ガリィに抱きしめれているキャロルを微笑ましそうに見つめていた。

 

「あらら、皆で揃ってくれちゃってそんなにガリィの事が心配だったのね♪ だけど安心しなさい、アンタ達が大好きなガリィはちゃ~んと戻って来てあげたわよ☆」

 

(油断してた私達も悪いんだけど、結局リディアンの学園祭にガリィちゃんが向かっちゃってね……あの時は大変だったなぁ……)

(えぇ……⦅困惑⦆ そんな状態でよくここまで来れたわね、お疲れ様)

(なんかこっちのガリィちゃんすっごく優しい……心に染みる)

 

 ちなみに勝利を確信したガリィは大層調子に乗っていた。どうやらここに全員が集まっているのを見て、これまでの罪が許されたと判断しているようだが……本当にそう思っているのならちゃんちゃらおかしい思考である⦅呆れ⦆

 

「あーっ! 行っちゃ駄目だってばー!!」

 

「ガリィちゃんガリィちゃんガリィちゃん!!! 帰って来たんだよねわぁーい!!ど、何処か痛くない!?大丈夫!?そ、そうだお祝いをしないといけないよねおいしいお菓子とかいっぱい用意しないと!⦅使命感⦆」

 

「……相変わらず頭の中はお花畑なのね、響ちゃん。 おねーさんもお疲れ様、このお馬鹿さんは適当に放置してて構わないわよ」

 

「あはは、ごめんね……それとお帰りなさい、ガリィちゃん」

 

(なんだか無茶苦茶やってた割には随分と愛されているわね、この子。 不思議だわ)

(いやほんと、なんでだろうねぇ?)

(ガリィコーチの功績が大きかったんだろうな)

 

 そして、未来の制止を振り切り立花響が襲来する。その怒涛の勢いは凄まじかったが、ガリィは適当にあしらいつつ未来をねぎらうという無駄に器用な反応で乗り切っていた。

 

「ガリィ……よ、よかったですぅ……!」

 

「なによエルフナイン、心底安心したみたいに緩い表情しちゃって」

 

「今回のガリィ君の件についてはエルフナイン君が発案者だったからな。無事成功したことに安心しているのだろう」

 

「ふ~ん、そうなの。 まっ、よくやったわエルフナイン、ガリィが褒めてあげる♪」

 

(この上から目線よ)

(それでね、全員で生き残るにはどうすればいいか考えた結果がそんな感じでね)

(仲間を生き残らせるために茨の道を、ねぇ。 仲間想いなんだかそうじゃないのか、よく分からないわね)

 

 エルフナインにとっては非常に重大な決断だったはずなのだが、そんな事はガリィにとってはもちろん些細な事である⦅畜生⦆

 エルフナインはそろそろ怒りに目覚めてガリィを殴ってもいい頃だろう。

 

「ガリィ……なんだな? 私を庇った、あのガリィなんだな?」

 

「……? そうですけど?」

 

「うっ、うぅぅぅぅぅぅぅぅ~!!!」

 

「あ、あらららら!?」

 

 キャロルはもう、感情を抑える事ができなかった。ガリィの胸の中で泣く彼女は見た目同然の少女にしか見えず、ガリィはその予想外の反応に困惑していたのだが……。

 

 

「ガリィ~(ちゃ~ん)!!!」

 

 

 そこで外野(響、切歌、調)が更に乱入し、事態は更にややこしくなっていく。ちなみに本来ならミカもこの輪に加わっているはずだったのだが、彼女はエネルギー切れにより動けないので不参加である。

 

「お疲れ様です、司令。 上層部に提出する書類……これで完成ですね」

 

「ああ、これで心置きなく報告書に『本件における死者:ゼロ』と書く事ができる。 お前もご苦労だったな、緒川」

 

「上層部からはできるだけ迅速に彼女達を味方に引き入れろ、と再三言われていますが……問題は無さそうですね」

 

「あの姿を見たら、敵味方に分かれてたなんて思えないだろうしな」

 

 S.O.N.G.スタッフの視線の先……そこにはもみくちゃになっている装者達とガリィ達の姿が映っていた。彼女達はガリィ以外泣きながら笑顔を浮かべており、その姿はもう完全に仲間同士としか思えなかったのである。

 

「さあ、次は俺達大人の番だ、いいな!」

 

「「「了解!!」」」

 

 子供達の戦いは終わり、次に始まるのは大人達の戦いである。彼らの勝利条件はキャロル陣営の戦後の高待遇を勝ち取る事、ただ一つ。

 

 そして泣き声と笑い声が木霊する中、大人達は自分達の戦場へと向かうのであった。

 

 

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「はっ、早くしないと遅刻するのデース!!!」

 

 

「ちょっと切歌! アンタ弁当忘れてるわよ!」

 

 

「っ!? あ、ありがとデス……ちなみに今日は何を作ってくれたデスか?」

 

 

「は? 馬鹿な事言ってるんじゃないわよ、そんな事気にしてる暇があったらさっさと行きなさいな!」

 

 

「はっ、は~い!!」

 

 

 暁切歌:シンフォギア『イガリマ』の装者 16歳

 

 

 ミカとの激しい戦いの末に負傷した彼女だったが、五日で退院。

 その後は日常生活に戻り、私立リディアン音楽院学園生としての生活を送っている。

 ほとんど以前と変わりない生活を送っている彼女であるが、一つだけ上げるとすれば同居人が一人……いや、一体増えた事だろうか。

 

 

 

 

 

 

「ちょっと! 貴方小っちゃいんだから無茶はお止しなさい!」

 

「お嬢の言う通りだって! そんなに欲しいならあっしが買って来てあげるから!」

 

 

「――ううん、自分で勝ち取る事に意味があるから……伝説の焼きそばパンを……!⦅断固たる決意⦆」

 

 

「というかあんた弁当もあるんだから食べ切れないでしょうが――ってこら!危ないから行くなって言ってるでしょおおおお!?」

 

 

 月読調:シンフォギア『シュルシャガナ』の装者 15歳

 

 

 切歌と同じく数日で学園生活に戻った彼女だったが、その様子は以前とは明らかに変化していた。

 以前はうまく馴染めず学園でも切歌とともに行動していた彼女だったが、学園に復帰してからは切歌以外とも接するようになり僅か数日の内に友達ができた模様。

 なお、その陰に新たに増えた同居人の影響があったとか……。

 

 

 

 

 

 

「貴方達! コソコソと怪しい会合を開くくらいなら堂々とすればいいと、前にも言ったでしょう!?⦅憤怒⦆」

 

 

「つ、翼ちゃんの歌手活動の妨げになると思って……⦅目逸らし⦆」

 

「こ、これは良かれと思ってだな……⦅目逸らし⦆」

 

 

「こっちの方が気になるに決まっているでしょう!? しかもそのうちの一人は自分の父親なんですよ!?」

 

 

「……御父様、この曲はまだ聴いておられませんでしたよね? とても良い歌なんですよ?⦅聞こえないフリ⦆」

 

「ああ、聴かせてもらおう⦅便乗⦆」

 

 

「私 の 話 を 聞 き な さ い ⦅SAKIMORIの眼光⦆」

 

 

 風鳴翼:シンフォギア『天羽々斬』の装者 19歳

 

 

 キャロル達との戦いの後、一週間程で退院した彼女は歌手活動には復帰せずS.O.N.G.での待機任務やバイクで旅をしたり、家族との時間を過ごしている。

 すぐにでも復帰したい想いはもちろんあったが、家族との空白の時間を埋める事を優先した彼女。その表情は以前と比べても晴れ晴れとしたもので、その表情を見た彼女のプロデューサーは『君が以前よりも強く輝きを放つ時を楽しみにしている』と彼女へとメッセージを送った。

 

 そんな彼女だが一つだけ悩みがあるようで、どうやら実家で定期的に怪しげな会合が開かれている事が原因のようなのだが……その詳細は不明である。

 

 

 風鳴 八紘:風鳴翼の父親 内閣情報官

 

 

 娘とのわだかまりが解けた後は内閣情報官という忙しい立場でありながらも、なんとか時間を作り屋敷へと足を運ぶようになった。

 ちなみに怪しい会合の参加者の一人であり、最近は移動中に娘の歌を聴いて勉強している模様。

 

 

 ファラ・スユーフ:オートスコアラー四体の内の一体 風の術式を主に得意とする

 

 

 彼女は戦後、シャトーの解体任務に就きキャロルの補佐として活躍している。

 ちなみに休日にはフラリとシャトーから姿を消し、怪しい会合に参加しているとか……。

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!? 司令、海難事故により大型船が傾いていると通信が!」

 

「現場海域へ急行する! 時間との勝負だ、急げ!」

 

「「了解!」」

 

 

「私はあの子を呼んで来るわ! この状況ならあの子の力は必須でしょう!?」

 

 

「ああ、頼む!」

 

 

 マリア・カデンツァヴナ・イヴ:シンフォギア『アガートラーム』の装者 21歳

 

 

 装者の中で唯一入院する事が無かった彼女は、その後は退院した翼と交代でS.O.N.G.本部である潜水艦にて待機任務を行っている。他の装者達にはできるだけ学業を優先してもらいたい……そう考えた末の決断である。

 

 ちなみにS.O.N.G.に新しく加入したメンバーとはよく口喧嘩をしているが、決して仲は悪くないという不思議な関係性であった。

 

 

 風鳴弦十郎:国連直轄組織『S.O.N.G.』司令 獅子機と生身で殴り合える男⦅事実⦆

 

 

 キャロル陣営の処遇をほぼ理想的な形で勝ち取った彼だが、その後も変わらず職務を全うしている。

 司令という立場からその力を発散する機会に恵まれなかった彼だが、最近はミカという訓練相手ができてニッコリな模様。

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱりボクでは駄目なのでしょうか……どうしても答えに辿り着く事ができなくて」

 

『いや、それでいいのだエルフナイン。 必死に考え、もがき、足掻いた先で人間は成長すると私は思っている。 存分に考え、悩み、思考せよ』

 

「キャロル……はっ、はい!頑張ります!」

 

『ああ、それでいい。 お前は一人ではない、頼りになる大人達と装者……そして厄介だが頼りになる人形が付いている』

 

「や、厄介って……ひ、否定できない」

 

 

 エルフナイン:キャロルが製作したホムンクルス S.O.N.G.の技術面を担当

 

 

 戦後キャロルに盗聴の事を謝罪された彼女だが、その機能を完全に凍結する事はしなかった。

『この機能は最早ボクにとっては呪いでは無く、キャロルとの繋がりを証明する大事なものなんです』というのが理由である……なんだこの幼女、天使か⦅真顔⦆

 

 現在は何処かの人形から渡されたチップを解析し、リンカーの生成を果たすため研究室で解析中である。

 その様子をキャロルは静かに見守り、同時に彼女なら必ず成し遂げると信じているようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「また歌えってうるさいのなんの……あたしは見世物じゃないっての!!」

 

「いやいや別に歌ってあげるくらいいいじゃない。 アンタってゴリラな上にケチなのね♪⦅煽り⦆」

 

「……は?⦅威圧⦆」

 

 

「調~、そのナポリタン、ちょっと分けてほしいデス!」

 

「……切ちゃんのミートソースと交換ならいいよ」

 

「もちろんデース!」

 

 

 

 雪音クリス:シンフォギア『イチイバル』の装者 17歳

 

 

 戦後、マリアの次に退院した彼女は学園に復帰し日常生活を平和に送っている。

 それまでは夕食を四苦八苦しながら自炊していた彼女だったが、ある日を境にそれを止めとある家に入り浸るように。

 そこでは毎日のようにとある人形と口喧嘩をする事になるのだが……それでも彼女は通う事を止めず、そして人形もそれを止めるような事はしなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむふむ……英雄である私の出番はまだ遠そうですねぇ……」

 

「おっちゃん! 新聞なんか読んでないでアタシと遊ぶんだゾ!」

 

「ああ、すみませんねぇ。 それじゃ今日は……ほほう、将棋ですか?」

 

「これならおっちゃんに勝てるんだゾ!」

 

「ふふふふふ、飛車角落ちとはいえまだまだ負けてあげるわけにはいきませんよぉぉぉ! ……さて、先手は譲りましょう。駒を動かしてあげるから言いなさい!」

 

 

 ミカ・ジャウカーン:オートスコアラー四体の内の一体 炎の術式を主に得意とする

 

 

 戦後はシャトー解体の任務を行う事も無く、彼女は悠々自適に日々を過ごしている。

 最近ではOTONAや装者達との訓練を行い、そして時には海の底の施設に赴きとある博士の下に遊びに行っているらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ、ガリィが持ち帰った映画でも見たが忍術というのは地味に面白いな。学び甲斐がある」

 

「映画のものと僕のものではかなり違うと思うのですが……それでもよろしければお教えしましょう」

 

「ああ、頼む」

 

 

 レイア・ダラーヒム:オートスコアラー四体の内の一体 コインを射撃武器として使用したり、打撃武器を主に得意とする。

 

 

 彼女は戦後、シャトー解体任務に就く傍らで戦闘の幅を広げるために努力している。

 現在は映画に影響されたのか、NINJAに教えを仰いでいる模様。その姿はNIPPONに憧れを抱く外国人そのものであった。

 

 

 緒川慎次:国連直轄組織S.O.N.G.のエージェント 現代を生きるNINJA

 

 

 キャロル達との戦いにおいて主にサポートとして活躍していた彼は戦後、本来の任務を全うしている。

 そんな彼が最近嬉しかった事……それは弟子が二名程できた事であり、彼はその忍術を惜しみなく伝授している模様。

 

 

 

 

 

 

 

「ひぃびぃ~きぃ~! 早くしないと置いていっちゃうからね!」

 

「待って待ってお願い! えっと、プレゼントは持ったよね!? クラッカーも持ったし……!」

 

「もう! 今日は遅刻したら絶対駄目なんだからね!早くしないとキャロルちゃん達が先に来ちゃうよ?」

 

「そっ、それだけは駄目!せっかくの準備が無駄になっちゃう!」

 

「でしょう? ほら、行こう」

 

「うん!」

 

 

 

 立花響:シンフォギア『ガングニール』の装者 16歳

 

 

 

 限定解除六人のユニゾン+イグナイトモジュールという凄まじい力を一人で抱え込んだ事により満身創痍の状態だった彼女だが、その驚異的な回復力によりなんと一週間で退院し日常生活に復帰を果たした。

 

 そして今、何も失わず手を繋ぐ事を成し遂げた彼女の表情には太陽のような明るさが輝いており、今後もその光でたくさんの人を助け、救うのだろう。

 

 しかしその道の途中には太陽に雲がかかる事もあるかもしれない。 だが心配する事は無い……太陽に雲がかかる時、何処からか巨大な獅子が現れその咆哮で暗雲を吹き飛ばす……そんな奇跡が起こるかもしれないのだから。

 

 

 小日向未来:立花響の親友で陽だまり 国連直轄組織S.O.N.G.・外部協力員 16歳

 

 

 キャロル達との戦いにおいて起死回生の策を発案した彼女だったが、戦後は変わらず響に寄り添い日常生活を送っている。

 そんな彼女の現在の悩みは進路についてであり、このままS.O.N.G.に就職する道を目指すか大学進学を目指すか……彼女の出す答えは、果たして……。

 

 

 

 

 

 

 

「あっ、お父さん!」

 

「おお、響じゃないか! 今日は備品の納入に来たんだが……この時間に響がいるのは珍しいな」

 

「今日は師匠とミカちゃんの訓練があるからそれに参加しに来たんだ~! っと、もう始まっちゃうから私は行くね!」

 

「そっ、そうか……頑張れよ!」

 

 

 立花 洸:立花響の父親 国連直轄組織S.O.N.G.に備品を納入する会社に勤務

 

 

 職を探していた彼に対し、突然S.O.N.G.の関連会社からのスカウトが届く。

 その原因はとある人形が司令に言い放った言葉……『はぁ!? これだけ内部事情を知ってる上に響ちゃんの弱点になりかねない人間を囲い込まないとか馬鹿じゃないのアンタ!? これだから脳味噌まで筋肉でできてる奴は嫌なのよもう!』 という暴言により彼は半強制的に就職をさせられてしまうのであった⦅悲しみ⦆

 

 なお、家族との復縁についてもこの人形が絡む事になるのだが……それはまた別のお話。

 

 

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「マスタ~、準備できましたか~?」

 

「ああ。 だがこういう催しはその、き、緊張する」

 

(数百年も引き籠ってたんだものね)

(数百年とかコミュ症ってレベルじゃねーぞ)

 

 本日はS.O.N.G.主催によるキャロル陣営の歓迎会である。それに赴く支度の為シャトーにて着替えを行っていたキャロルと、それを待つガリィ。一度は離れ離れになった主従の姿が、ここにあった。

 

「あら可愛い! ねぇマスター、もう歓迎会なんか無視してガリィと一日を過ごしません?」

 

「何故そんな罰ゲームのような事を私がしなければならぬのだ……ほら、行くぞ」

 

 冗談を言うガリィを軽くあしらいながら、キャロルはガリィへと手を伸ばす。そして……。

 

 

 

 

「は~い♪ お供しま~す☆」

 

 

 

 二人は手は繋ぎ、仲間達が待つ場所へと歩みを進める。人形が描いた理想的な光景……それが今、現実の物となり、物語は一端の終わりを迎えるのだった。

 

 

 

 キャロル・マールス・ディーンハイム:数百年を生きる錬金術師 現在は自称『死に損なった田舎の村娘』

 

 

 

 キャロルは未来と同じ外部協力員⦅ただし、有事の際は弦十郎の指揮下に入り戦闘に参加する⦆としてS.O.N.G.に所属し、シャトーの解体を果たした後に正式加入する事となっている。

 

 現在はシャトー解体作業を行いながら、数日に一度顔を出す人形に振り回される毎日を送っている模様。つまりだいたいいつも通りである。

 

 ガリィの復活については一切手をつけておらず原因を解明する気も無い様だが、その理由が『絶対に碌な事にならない、命を懸けてもいい⦅迫真⦆』というのはガリィに対する信頼度の賜物だろう⦅遠い目⦆

 

 ちなみに原作では、この日から十日と経たない内にパヴァリア光明結社との戦いが始まるのだが……果たして彼等の中にこの幼女と互角に戦える猛者は存在するのだろうか……⦅白目⦆

 

 

 ガリィ・トゥーマーン:オートスコアラー四体の内の一体 水の術式を主に得意とする

 

 

 戦後、薔薇色の人生を送る予定だった彼女を襲ったのは『S.O.N.G.正式加入』という大人の事情だった。

 これにより彼女だけが住処を地上へと変える事になり、年少組の世話+エルフナインの補佐という役割を与えられる事となったのである。

 

 キャロルに会う時間が週に一度か多くても二度になってしまった彼女だが、キャロル自身がS.O.N.G.に赴く事もあるため今はなんとか受け入れているようだ。

 

 ちなみに彼女の中にいる廃棄躯体の人格だが、実は表にいるガリィと入れ替わる事が可能である。仲間達は既にその事を周知しており、彼女達の間では廃棄躯体の人格は『ガリィさん』と呼ばれている模様⦅なんというか余裕があって優しいため⦆

 

 なにはともあれハッピーエンドを勝ち取った彼女達だが、四期についての知識を持つ者がいないため新たな戦乱が迫っている事には一切気付いていない。

 もしもそれを知っていれば、今頃虹色の翼を持つ装者と鬼のように強い幼女によってパヴァリア光明結社は壊滅的被害を受けていただろう⦅震え声⦆

 

 

 

 そして彼女達は仲間達の下へと辿り着く。そして……。

 

 

 

 

 

「ようこそ!S.O.N.G.へ!」

 

 

 

 

 

 本来ではあり得なかった未来……その道を、彼女達は歩み始めたのである。

 

 





GX編完走しました⦅ドヤ顔⦆

ってそんな事はどうでもいいんですよ!それよりエッポーさんから支援絵を頂いたので皆そっちを見よう、なっ!⦅強制⦆


【挿絵表示】


なお、どうしてよりによってこのシーンをチョイスしたのかを詰問したところ『ガリィライスという単語が天から降ってきたからです』との答えを頂きました!

……どういう事なの?⦅真顔⦆


さて、目標だったGX編は完走しましたがまだまだこの小説は続きます。
というかここからが作者にとっての本編です。ずーーーっとGXの番外編が書きたくて本編を書いていた作者にとってはこの七十万字はいわばプロローグに過ぎないのです!⦅狂人の発想⦆

と、言う事で次話以降もよろしくお願いしますね!それではまた本編⦅番外編と言う名の後日談⦆でお会いしましょう!


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