GX編 後日談 その一、ここからが後日談という名の本編です。
※ここからのガリィ一行の脳内会話については
≪≫ ←ガリィの台詞
() ←わたしたちの台詞
【】 ←ぐう聖ガリィさんの台詞
となります。
GX編 後日談 その一
「ふむ、やはり駄目か」
「はい、貴重なリンカーを使いマリアさんに抜剣を試してもらいましたが全く反応はありませんでした。原因は恐らく――」
「響君が放った最後の一撃、だろうな」
ガリィ復活より二日後……S.O.N.G.仮設本部司令室のメンバーは、今回の戦いについての被害を確認していた。
「限界を超えた力の行使が原因、ですか。 マリアさんは頑張りすぎた所為で眠っている、と言っていましたが……」
「眠っている、か。 機能停止している原因が不明な以上、それが正しいのかもしれんな」
「マリアさん以外の装者が皆、入院するくらいの激戦でしたからね」
その中でも特に大きかったのは、イグナイトモジュールが使用不可になってしまった事である。
キャロルとの最後の攻防で起動し響に力を貸したイグナイトモジュールだったが、現在はうんともすんとも言わなくなっておりその原因も不明、完全にお手上げ状態であった。
「ああ、子供達は本当によくやってくれた。 それでキャロル君の方はどうだ? やはり時間が掛かりそうか?」
「損傷したダウルダヴラですが、最低でも二週間以上は見てほしいとの事です。ただし、現在の状態でもファウストローブを纏う程度なら可能なようですが」
「流石に獅子機は無理だったか……いや、ファウストローブだけでも十分すぎる程なのだが」
対するキャロル陣営の被害はダウルダブラの破損、これだけである。人形達は既にキャロルの手により修復されているし想い出もガリィから補給されている。つまり獅子機が出て来れないだけであり、S.O.N.G.はとてつもなく大きな戦力を味方に引き入れる事に成功したのだ。
「ええ、しかも人形達のエネルギーについても問題無しですものね。 聞いてた、藤尭君? ガリィちゃんって何処からともなくエネルギー源が湧いてくるらしいわよ?⦅遠い目⦆」
「……コアだけで復活するくらいだもんな、あの子⦅遠い目⦆」
「人間から記憶を奪う必要が無い以上、彼女達を味方に引き入れる障害は完全に消えたと言っていい。……まあこれを上層部に伝えるのは危険すぎて誤魔化すしかないのだが」
S.O.N.G.が自分達を引き入れる際に立ちはだかる障害を取り払う為、ガリィは自身が無限タンクである事を仲間達に公表していた。
なおそれを聞いたキャロルの反応は『……つまりお前は想い出の回収に赴くと嘘を吐き、ずーーーっと遊んでいたと言う訳だな?⦅憤怒⦆』という至極全うなものであった。
「そりゃそうだよなぁ……あっ、司令、そろそろキャロルちゃんが来る時間ですよ」
「おっと、そうか。 全く、上層部も慌て過ぎだ」
「いやいやそりゃ慌てるでしょう司令じゃないんですから……」
「獅子機の戦闘映像、CGで作った映画よりも迫力があったわね……」
実はこの後、キャロルはS.O.N.G.本部の一室で上層部と面会する予定であった。そこでキャロルの意思確認を行い、そして上層部の意向との擦り合わせを行うのだろう。
「何も起こらなければいいが、上層部の中には白目を剥いた方もいたらしいからな」
「……物理的に世界を破壊できますものね、彼女⦅遠い目⦆」
「しかもエネルギーはガリィちゃんから補給し放題だもんな、響ちゃんはよく勝ってくれたよ本当に……」
ちなみにこの時、白目を剥いた上層部のご老人は医者から処方された薬を飲み会談に臨む準備を整えていた。
職務から決して逃げない、勇気ある老人は果たして幼女から放たれるプレッシャーに耐えきる事ができるのか……!⦅迫真⦆
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「私は別に構わないが、随分と性急だな」
「君達…いや君の処遇が決まっていない事により、お偉方が不安で眠れないそうでな。すまないが付き合ってもらえるだろうか?」
「……そういえば彼等に獅子機の戦闘映像を見せていたのだったな」
「ああ、その効果は覿面だったぞ」
S.O.N.G.司令である弦十郎とキャロルは、潜水艦内のとある部屋に向かって歩みを進めていた。
その部屋のモニターを通じてお偉方との面会が行われる予定であり、そこでキャロル達が今後どのように扱われるかの話し合いが行われるのである。
「……ガリィについてはどう話すつもりなのだ? 流石にアレを素直に伝えるつもりは無いのだろう?」
「ガリィ君の件についてはどうにか誤魔化して乗り切るつもりだ……情報が漏えいするリスクを考えねばならんからな」
「そうか、ならばいい」
ある意味キャロルよりもよっぽど危険物であるガリィについての擦り合わせも終わり、二人は上層部との面会に臨む。
この面会が今後に大きな影響を及ぼす事は間違いない……しかしキャロルは、この面会についてはほとんど心配してはいなかった。
「……(こちらは大幅に譲歩する用意ができている。特に問題は無いだろう)」
その理由は彼女達キャロル陣営に一切の野心や目的が存在しない事。そして、自身を救い出してくれた装者達の助けとなる事がむしろ願ったりな事。
これで後は上層部がキャロルとの面会を平常心で行えるのか、心配はそれだけである⦅悲しみ⦆
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「ほ、本当に良いのかねその条件で!?」
「な、何か企んでいるのではないだろうな?」
「企んでいません、その証拠に、我々の補給における命綱であるガリィを先行してそちらに配属させると言っているではないですか!⦅半ギレ⦆」
そして始まった上層部とキャロルの面会だが、その流れは何故か彼女の予想の斜め上になっていた。
その原因はそう……キャロルは譲歩しすぎたのである。
「こちらへの一名の人員提供、そして有事には君達全員が我々の指揮下に入り戦闘の参加を行い、更に錬金術による技術提供……」
「更に更に破壊した施設の金銭的補償に、更に更に更に君がその目で見て来た数百年分の歴史情報の無償提供……」
「人員提供については誠意と思って頂きたい。戦闘参加は装者達を守るためにもむしろこちらからお願いしたいくらいのものですし、錬金術についてはこちらが安全と判断したもののみになります。破壊した施設の金銭的補償は常識的に考えて当然ですし、歴史についての情報などたいしたものではないでしょう?」
「「「「「「「 (い、いくらなんでも譲歩が過ぎる……!) 」」」」」」」
警戒する上層部に対し、キャロルが放った初手はまさかの譲歩の嵐であった。まずガリィ以外はシャトー解体が終了するまで外部協力員という立場に留まるものの、緊急時には全員がS.O.N.G.の指揮下に入り戦闘への参加が可能となる。
更に金銭的補償や色々な情報提供というオプションまで付いており、モニターの向こうの上層部の方々は皆一斉になんともいえない表情になっていた。
「せ、戦闘へと参加した場合……あ、あの巨大な獅子は今も使用可能なのかね?⦅震え声⦆」
「それについては申し訳ありません。装者との戦いにより聖遺物が損傷してしまい、獅子機については現在使用不可となっています。 ファウストローブであれば纏う事は可能なのですが……個人の戦力として心許ない事は事実です」
「「「「「「「 (えぇ……⦅困惑⦆) 」」」」」」」
目を瞑り、申し訳なさそうに獅子機が使えない事を謝罪するキャロル。しかしそれを聞かされる方からすれば『それは冗談で言っているのか……?』とツッコミを入れずにはいられない程の発言である。
……というかダウルダブラを纏えるのであれば キャロルが歌う→周囲に大量のフォニックゲイン→セルフ限定解除 という敵陣営にとっての即死コンボがノーリスクで発動可能なのだが……⦅震え声⦆
「そ、そうか、疑ってすまなかったね。き、君の意思は十分に理解したよ⦅引き攣った笑み⦆」
「獅子機についてはダウルダブラが修復され次第使用可能となりますが、最低でも二週間は見て頂く事になると思います、申し訳ありません」
「いやいや君が謝る必要など何処にも無いとも!焦らずゆっくりと体調に気を付けて修復作業を行ってくれたまえ!⦅超早口⦆」
「……ご厚情、痛み入ります」
「……(この流れなら俺が介入する必要は無さそうだな)」
そうこうしている内に、上層部はキャロルの発言に嘘がないと理解したようだ。というかキャロルの全力譲歩により上層部はこれ以上キャロルに要求するのが難しくなってしまっているのだが……流石はキャロルちゃん、見事な策士である⦅目逸らし⦆
「少し聞きたいのだが、ガリィという人形はいつからこちらに配属させる事ができるのかね? こちらとしては⦅精神の安寧を守る意味で⦆できるだけ早く配属してくれると嬉しいのだが」
「……今日、は流石に無理ですから明日でどうでしょう?」
「そうか、明日か……明日っ!?」
ガリィ・トゥーマーン、まさかの翌日出荷である⦅遠い目⦆ フットワークが軽いってもんじゃないキャロルちゃんであった。
なお、これには多少では動じない上層部の方々も驚愕を隠し切れない模様。
「はい。 ですが一つだけ、他の人形への補給のためガリィを週に一度シャトーへと帰還させて頂きたいのですが……」
「そ、それは勿論構わないが……」
「か、風鳴司令! 我々に異論は無いので後は君達に任せたいと思うのだがどうだね!?⦅早口⦆」
「分かりました、後は我々の方で手続きを済ませておきます。報告は事後で構いませんな?」
「あ、ああ……心強い新戦力なのだ。君達には手厚く迎えてもらいたい」
「もちろんです、装者達と彼女達は既に友人関係にありますので言葉に出さなくとも問題は無いでしょう」
なんと上層部、キャロルが無害化された事を確信し風鳴弦十郎へ任せる事を選択。
ここで最適解を選ぶことができるとは流石は上層部の方々である。すごいな~あこがれちゃうな~⦅目逸らし⦆
「それでは我々はこれで失礼する。キャロル君、有事の際には君達の力を頼りにさせてもらうよ」
「これまで幾度も世界の危機を乗り越えて来た彼等だが、シンフォギア及び装者が不足しているのが現状だ。君達にはその手伝いを頼む」
「……彼女達には返しきれない程の恩があります。私の力が及ぶ範囲ですが、全力を尽くす事を誓いましょう」
こうして上層部とキャロルとの面会は特に問題無く終了し、S.O.N.G.には世界最強クラスの幼女と呪いを纏った装者に匹敵する四体の人形が加入する事となった。
えっ、パヴァリア光明結社が真っ青になってるって? う~~~~ん、ノーコメント!⦅満面の笑み⦆
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「で、アタシに何か用? というかどうしてアンタ達もいるのよ、暇なの?」
【この子だけ呼び出されたみたいね】
(これまでの行いに対する裁判かな?⦅適当⦆)
(弁護士は付いてくれなさそうですね……⦅諦め⦆)
キャロルと上層部の面会があった翌日、ガリィは早速S.O.N.G.へと呼び出しを食らっていた。しかも何故か元FIS組も一緒である、果たして一体何が起こるのだろうか……。
「ガリィ君に一つ辞令が下ってな、それを聞いてもらうために来てもらったってわけだ」
「私達はメディカルチェックの後ってだけで、たまたまよ」
「うん、マリアの言う通り偶然だよ」
「なんだかおもしろそうだから待っていたのデス!」
「ふーん、辞令ねぇ? もしかして名誉職でも授けてくれるのかしら?⦅自惚れ⦆」
(絶対違うゾ⦅断言⦆)
(辞令って……イヤ~な予感がするねぇ⦅警戒⦆)
実はキャロルはガリィに辞令の件を話していなかった。その理由はもちろん面倒臭い事になるのを避けるためと、週に一度は帰って来るので問題は無いと判断したからなのだが……。
「……単刀直入に言おう――ようこそS.O.N.G.へ、ガリィ君!」
「……はぁ? そんな分かり切ってる事のためにわざわざガリィを呼び出したの? アタシ達が外部協力員として所属するって事は一昨日決まって――ん?」
【――ああ成程、この子は人質ってわけね】
(お、大人の事情だ……!)
(S.O.N.G.の仕事内容的に、一番欲しいのはガリィちゃんだろうしな)
言葉を言い終わると同時にガリィへと書類を渡す弦十郎。ガリィはそれをつまらなそうな表情で確認していたが、やがてその中に理解不能な文章が書かれている事を発見した。
「せいしきかにゅう……? ねえ、これはどういういみかしら?」
≪ま、まずい……この流れは死ぬ程まずいわよアンタ達! というか今日の朝マスターが妙に優しかったのは……きぃーっ!遂にガリィの愛が届いたのかと思ったのにぃぃぃっ!⦅発狂⦆≫
(はははこやつめ!⦅嘲笑⦆)
【愛はちゃんと届いていると思うわよ、ただ受け取ってもらえてないだけで⦅無慈悲⦆】
(そうだよ⦅便乗⦆)
ガリィが目を停めた箇所……そこには要約するとガリィ・トゥーマーンが今日付でS.O.N.G.へと正式加入する、という事が書き記されていた。
なおその事に対し即座に理解を深めたガリィさんと私達に対し、肝心のガリィは得意技である悪足掻きを行い始めていた。
「キャロル君と上層部の話し合いにより、先駆けてガリィ君をS.O.N.G.に迎え入れる事に決まった。なお、平時はエルフナイン君の補佐と待機任務を並行して行ってもらい、災害が起きた場合にはその救助に向かってもらうつもりだが……何か質問はあるか?」
「……どうしてアタシなのよ? まあミカちゃんは論外として、別にファラちゃんでもレイアちゃんでもよかったじゃない」
≪救助活動、ねぇ。確かにオートスコアラーの中でもアタシが適任なのは認めるけれども……それにアンタの言う通り、人質的な意味合いも兼ねているんでしょうね≫
【ええ、想い出の供給源であり他者に譲歩できる貴方を差し出す事でこちらに敵意がない事をアピールできるもの】
(水の上や水中を自由に移動できる、更に水自体も操れる上に人形なので火事で発生する煙を気にする必要が無い→災害や事故に対するエキスパート)
(なんだこれはたまげたなぁ、完全に天職じゃないか)
素直に頷くのが癪だと思ったガリィは弦十郎にその意図を問うが、脳内ではその理由をほぼ完全に理解していた。
オートスコアラーの中では最弱に位置するガリィであるがS.O.N.G.に所属するとなれば話は別、その存在は喉から手が出る程欲しいものへと変貌する。
ガリィの水を操る能力、そして水中や水上を自由に移動する能力は海難事故に対して非常に役に立つ能力であり、更には地上での火事にも強いのだ。これはS.O.N.G.という組織にとっては正に一番欲しい人材だろう。
「……一つは言い方は悪いが人質的な要素、そしてもう一つは我々S.O.N.G.にとって最も欲しいのが君だったからだ」
「あ~はいはい……で、偶にはマスターの所に帰らせてくれるんでしょうね?」
「ああ、週に一度は補給のためシャトーに戻っていいと上層部から許可を得ている。他にも待機という名目で休暇は用意させてもらうつもりだ」
「ふむふむ、待遇は悪く無い、か」
≪とてもすごく無茶苦茶気に食わないけどこれは従うしかなさそうね……ここでゴネて面倒臭い事になるのは論外だし、マスターには平穏な時間を生きてもらいたいもの≫
(キャロルちゃんの事だけは本当に真面目やなぁ、そこだけは本気で尊敬できるよ!)
【この芯の強さが破滅の未来を覆し、ハッピーエンドに辿り着いた勝因って事なのかしらね?】
(そうだよ⦅便乗⦆)
週休一日+αに敬語は不要、自分の力を最大限に発揮できる理想的な職場である。更にキャロルの事を考えればガリィに断るという選択肢は無いも同然であった。
「ガリィが私達の所に来るんデスか!? やったー!!早く皆に伝えるデスよ!」
「端末をポチポチ……」
「私達三人はリンカーの在庫関係で戦闘以外は戦力外……その状況をガリィに補ってもらうってわけね」
ガリィが脳内で考えている間に、それを聞いていた三人は各々の反応を示していた。切歌は両手を上げて喜び、調は端末を開いて仲間達に連絡、そしてマリアは冷静にガリィが加入する意味を考察していたのである。
「どうだ、ガリィ君。 君にとっても悪く無い話だと思うのだが」
「……そうね、マスターに会えなくなるのは癪だけど条件に文句は無いわ。 という事でさらさら~、っと♪ ほら、サインしたから受け取りなさい」
「そうか、助かる! ガリィ君にサインをもらえるかだけが不安だったが、キャロル君の言う通り杞憂だったようだな」
(キャロルちゃんが絡むと話は別だゾ)
(S.O.N.G.の雑用係かゴミ箱行きかの二択だったのに出世したねぇガリィちゃん⦅しみじみ⦆)
ゴネることもなく署名欄にサインしたガリィから書類を受け取り、安心したように笑顔を浮かべる弦十郎。
なにはともあれこれでS.O.N.G.に新戦力ガリィが加わる事となり、更に有事には70億の絶唱を凌駕するどころか装者達をセルフ限定解除させる幼女が駆け付ける事となった。
ちなみに何処かの結社の局長は状況を把握しているものの、とある勘違いによりキャロルが無力化されていると確信している。そのため今のところは変わりなしである、南無⦅合掌⦆。
「それで、これからはガリィ君もこちらで生活してもらう事になるのだが……住居についてはこちらで選定している中から選んでもらえると有り難い」
「ふ~ん、随分と準備がいいのね。 分かったわ、それじゃ早速――」
【人形に住居、か。お風呂もトイレもいらないのに勿体無いわね】
(そうだねぇ)
ガリィの正式加入が決まったので、次は住居に関する問題である。ちなみに既にS.O.N.G.の方でいくつかの住居をガリィのために用意しており、その中から選ぶのが順当なのだが……。
「その話、ちょっと待つのデェース!」
「ガリィが住む場所……私達と一緒じゃ駄目ですか?」
ここで年少組からの待ったが掛かる。なんと彼女達は、自分達の家にガリィを迎え入れようとしているようだ。
「むっ……お前達の住居にガリィ君を、か。 だが、ガリィ君の意思を確認しない事には――」
「あたし達と一緒に住むのが正解デス! 一緒にゲームしたり遊んだり買い物に行ったりするデスよ!」
「……ガリィが首を縦に振ってくれるまでこの手、簡単には離さない⦅vitalization⦆」
「ちょっと纏わりつくんじゃないわよガキども! どうしてアタシがアンタ達の面倒見なくちゃいけないのよ!?」
「……申し訳ないが、緒川が住居を選定した時間は無駄になりそうだな」
【本当に好かれてるわね、最近の子はああいうのが好きなのかしら?】
(いやぁ、それはどうだろう……?)
(ガリィコーチの教え子だからね、好かれるのは仕方ないね⦅適当⦆)
年少組に纏わりつかれるガリィの姿を見て、住居の選定が無駄に終わる事を確信する弦十郎。
そしてこの十分後、根負けしたガリィが切歌達との同居を承諾し、二人の世話係という任務を授けられるのであった。
「えええええ!? なにそれ切歌ちゃん達だけズルいよぉ! 私だってその場にいたら立候補したのにぃぃぃぃっ!」
「響、そもそも私達の住んでるところは寮なんだから無理に決まってるでしょ?」
「ふーん、そうかよ……」
「あの二人は常日頃から危なっかしい所があると思っていたのだ。そこにガリィが入ってくれると私も安心だな」
オマケ: その事を聞いた装者達の反応はこのような感じである。
ちなみに今後、切調家に足を運ぶ回数は多い方からクリス⦅断トツ⦆>響、未来>翼、マリア な模様。
やっぱりクリスちゃんは寂しがりやなんですねぇ!⦅生暖かい眼差し⦆
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≪さ~て、これでやらなきゃいけない事は残り一つね♪≫
(あれ、まだ何かあったっけ?)
(戦後の処理は……だいたい終わったよね?)
自身の処遇も決まり、今日は移籍する準備をしてほしいと言われシャトーへと帰還したガリィ。
その廊下を歩きながら脳内で雑談するガリィ一行だが、どうやらガリィにはまだやり残した事があるらしい。
≪はぁ?アンタ達ってば本当に薄情な奴らねぇ……マスターを助けてくれたあの子に恩を返すのは当然じゃない。そう、このガリィ・トゥーマーンが直々に恩返しをしてあげると言っているのよ!⦅迫真⦆≫
(あの子ってまさか……⦅戦慄⦆)
(ビ、ビッキーがまた畜生行動の被害に遭ってしまうのか⦅悲しみ⦆)
【なんだかよく分からないけど、やめておいた方がいいと思うわよ? どうせ斜め上の方向に行くのは分かり切ってるんだし】
≪うるさいわねガリィ! アンタは途中参加だから知らないと思うけど、アタシは恩返しが大の得意なのよ!⦅大嘘&適当⦆≫
(恩返しが得意ってなんだよ⦅哲学⦆)
(というかガリィちゃんが得意なのって恩を仇で返す事なんじゃ……⦅名推理⦆)
【あ~はいはい分かったわよ。私はちゃんと止めたんだから後でグチグチ言わないでよね】
ガリィがやり残した事は響への恩返しだった。彼女にはキャロルを救ってもらった大恩があり、ガリィはその恩を何かで返すつもりのようだが……。
【で、どうやって恩を返す気なの? あの子、甘い物が好きみたいだしデザートでもご馳走してあげたら?】
≪はぁ~⦅クソでか溜息⦆ そんなのはつまらないし却下で~す♪ という事でガリィはぁ、立花一家が家族に戻る手助けをしてあげたいと思いまぁす☆≫
(は?⦅殺意⦆)
(はぁ~⦅クソでか溜息⦆)
(相変わらずの狂人っぷりだねぇ⦅白目⦆)
どうやら今回のターゲットは立花一家のようだ。響が入院した事で遅れてしまってはいるが、実は三日後に立花一家が数年ぶりに全員で顔を合わせる機会が用意されている為、ガリィはこれに介入して何かをするつもりなのだろう。
≪誰が狂人よ失礼しちゃうわね! ただアタシは遠くから見守ってあげようって思っただけ、
(ほんとぉ?⦅疑いの眼差し⦆)
(そんな事言っても騙されないゾ⦅警戒⦆)
【……毎日が楽しそうね、この子⦅遠い目⦆】
何も無ければ帰ると言っているガリィだが、その判断についてはガリィの匙加減で行われるため素直に大人しく帰宅する事はないだろう⦅遠い目⦆
≪まっ、そういう事でよろしく~♪≫
(ガリィが悪いよガリィがぁーっ!⦅先行入力⦆)
【だからあたしはやめておけって言ったのに……⦅先行入力⦆】
(じゃけんちゃんと責任を取りましょうね~⦅先行入力⦆)
畜生人形に再び目を付けられた可哀想な立花一家……彼等は果たして家族に戻る事ができるのだろうか。それが分かるのは三日後の事である。
「マスターったら酷いです酷いです酷いですぅぅぅ!!! こんなに頑張っているガリィをS.O.N.G.に売り渡すなんて、頬擦りと抱っこと添い寝とチューくらいじゃ許しませんよ!」
「……すまない、ガリィ。 だがこれが我々の誠意を示すのに一番効果的なのはお前も理解しているだろう? それに、S.O.N.G.の活動においてお前の能力は大きく役に立つと判断した」
「うぅ~、それは分かりますけどぉ~……しょうがないですねぇ、それじゃ頬擦りと抱っこと添い寝とチューとご飯をアーンで食べさせるくらいで許してあげます☆」
「それは断る⦅断固拒否⦆」
「――は?⦅威圧⦆」
ちなみにその後、玉座の間で主従によるいつものコントが繰り広げられる模様。シャトーは今日も平和である⦅遠い目⦆
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「そうか、とりあえずの山場は超えたな」
「ああ、キャロル君が譲歩してくれたお陰でな」
翼の父である風鳴八紘、そしてS.O.N.G.司令である風鳴弦十郎は風鳴邸にて晩酌を供にしていた。
「……ふう、それにしても不思議な話だな」
「? 何か気になるのか、八紘兄貴」
「いや、気になると言うほどの事では無いが……これだけ紆余曲折しながらも、結果的にはお前達にとって最善の形になっていると思ってな」
空になった弦十郎のお猪口に酒を注ぎながら八紘は今回の件を振り返り、S.O.N.G.にとって最善の形に収まった事を不思議に思っているらしい。
「……強力な戦力を強制的にでは無く、友人として迎え入れられた事か」
「それだけではない。装者達が心技体全てにおいて著しく成長し、あれだけ激戦を繰り広げながら全員が既に復帰できている点もだ」
「ふむ……今回の件において不可思議な力が働いているとすれば、それは間違いなくガリィ君を中心としたものだろうな」
今回の一件の流れにおいて、中心にいるのは間違いなくガリィであると弦十郎は考えていた。彼女は数年前から装者達に関わっており、それが今回の戦いに影響した事は間違いないだろう。
「ガリィ・トゥーマーンか。 そういえば、何故か私の下にも訪れたが……」
「ガリィ君、か……」
「? どうした弦、今度はお前が気になる事でも?」
二人の話題がガリィについての事に移行した時、弦十郎は以前から気になっていた事を思い出した。
彼がガリィについて気になっている事とは……。
「以前から気になっていたんだが……ガリィ君は何故、響君に接触したのだろうかと思ってな」
「立花、響に? それはシンフォギア装者だからだ――いや、待て……確か彼女が立花響に接触した時期は……」
「ああ……彼女はまだ装者として目覚めておらず、我々と接触もしていなかった。 その状況で何故、ガリィ君は彼女と接触したのかと思ってな」
「……弦、お前の推測を聞こう」
それは響の中学時代、まだ二課に所属していないどころかシンフォギアにすら目覚めていない彼女にガリィが接触した事である。
これは果たしてただの偶然なのだろうか?
「……ガリィ君はなんらかの方法によって未来を知ったが、その結末はキャロル君が破滅する未来だった。それを覆そうと考えた彼女は我々への接触を開始し、同時にキャロル君を正気に戻す計画を進め……彼女は未来を勝ち取った、なんてのはどうだろうか?」
「……弦、借りた映画のパッケージが見えているぞ」
八紘の視線の先……そこには袋から零れ出たDVDのパッケージが見えていた。その内容は絶望の未来を知った主人公がその運命を覆すというもの……つまり弦十郎が今言った言葉のままである。
「まっ、そんなファンタジーは映画の中だけって事だな。 ガリィ君のことだ、大方あの事件の生き残りに興味を持ったのだろうさ」
「ふっ、彼女らしい理由じゃないか」
「ああ、なんともガリィ君らしい」
それから二人がこの話題を口に出す事は無く、真実は闇の中へと消えて行く。
それを知るのはガリィ本人……いやガリィ達のみなのだが、今後も彼女の口からそれが語られる事は無いだろう。
次回:畜生の恩返し
そろそろパヴァリア組の口調を勉強しなきゃ⦅使命感⦆
次回も読んで頂けたら嬉しいです。