ガリィちゃんとわたしたち   作:グミ撃ち

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GX編 後日談 その六です。

読者さんが書いてくれた感想を見て存在を思い出したので3.5期をさくっとやります⦅唐突⦆

3.5期を知らない方もおられるでしょうが、ほとんどスルーしても大丈夫な内容なので許して下さい⦅謝罪⦆




GX編 後日談 その六

 

 

「もらったぁぁーっ!!!」

 

「いや~こわ~い、このままじゃアタシやられちゃうかも~⦅棒読み⦆」

 

「おいバカ止まれ! 罠だ!」

 

(これさえ無ければビッキーは間違いなく最強なのに、惜しいなぁ⦅悲しみ⦆)

【元々の性格だから仕方ないんじゃない?】

(まあ、他の皆がフォローしてくれるでしょ⦅他力本願⦆)

 

 S.O.N.G.潜水艦内訓練室……そこでは現在、装者二人と人形によるシミュレーターを使っての模擬試合が行われていた。

 

「えっ――わっ、あわわわわわわ!!!」

 

「あ、言い忘れてたけどそこ、滑るわよ?⦅満面の笑み⦆」

 

「はぁ、言わんこっちゃない……⦅呆れ⦆」

 

(はい一名様ごあんな~い⦅死刑宣告⦆)

(戦闘に限って言えば相性最悪だな、ガリィちゃんとは)

【マリアちゃんみたいになれれば理想的なんでしょうけど、ちょっと難しそうね】

 

 装者側、氷結した地面に足を取られたのは立花響、そしてその光景を呆れながら見つめるのは雪音クリスである。

 それに対するはガリィ・トゥーマーン……彼女は今、罠に嵌った響を満足そうな笑みで見つめていた。

 

「響……⦅呆れ⦆」

 

「あの子、相手を罠に嵌める事に関しては天才的ね……」

 

「響さん、吸い込まれる様に飛び込んで行ったのデス……⦅遠い目⦆」

 

「相手に希望を与え誘導し、罠に陥れる……ガリィは簡単に行っているように見えるが、実際はかなりの高難易度の技術だな」

 

「私、ガリィとだけは絶対戦いたくないです……色んな意味で」

 

 模擬戦を見学しているのは他の四人の装者達、そして未来である。未来以外の彼女達は現在、訓練の順番待ちをしているところであり、今は響とクリスの戦闘を見守っているところだった。

 

「響ちゃんってば実力に関して言えば間違いなくナンバー1なんだけど……他に関してはダントツの最下位ね、ご愁傷様♪」

 

「そんなぁ……う、うわーん! ガリィちゃんが私をイジめる~!」

 

「いや今回ばかりはこいつの言う事が正解だろ。 お前、自分が何回同じ罠に引っ掛かったか覚えてるか?⦅呆れ⦆」

 

(クリスちゃんによる熱い死体蹴り、刺さりましたね⦅悲しみ⦆)

(でも実際クリスちゃんの言う通りだし……)

(悲しいなぁ……)

 

 万が一事故が起きても、頭部とコア以外なら破壊されても問題無い(ちなみにコアは獅子機の爆発で無傷だった実績がある)ガリィは訓練相手としてうってつけである。

 故にガリィは装者の訓練相手をよく務めるようになっていた。

 

 ちなみにこの模擬戦には相手によってメニュー名が付けられており

 

 極楽コース:ファラ  優しい上、指導もしてくれる人気のコース。

 修行コース:レイア  指導と実践のバランスが最も取れているコース、中級者におすすめ。

 実戦コース:ガリィ  厄介な敵が現れた場合の対処法を学ぶコース。ちなみにガリィさんの場合は少しマイルドなコースとなっている。

 地獄コース:ミカ   強大で理不尽な敵との戦いを体験できる。なお、最後まで耐えられた装者はいまだゼロである⦅遠い目⦆

 

 このような感じになっている。ちなみに今日はガリィによる実戦コースで、響が最も苦手なものとなっていた。

 

「はい、アンタ達はこれでおしまい♪ クリスはまあ合格点をあげてもいいわよ、響ちゃんのフォローも頑張ってたしね~⦅良い結果になったとは言っていない⦆」

 

「そりゃどーも。 で、問題のこのバカだけど……もう諦めた方がいいんじゃねーか?⦅遠い目⦆」

 

「クリスちゃん酷い! 私だって多分きっとやればできるんだよ!?⦅希望的観測⦆」

 

「そうそうその調子よ響ちゃん♪ アタシも見てて愉快な気持ちになれるしwinwinなのよね~☆」

 

(う~ん、この安定感)

【ま、お互いに嫌じゃ無いんならそれでいいんじゃない? 時間の無駄かもしれないけど⦅無慈悲⦆】

(さ、次行こうか!⦅露骨な話題転換⦆)

 

 いつもどおり響が赤点を取った所で二人の出番は終了のようだ。次は翼と切歌の二人、かなり近接寄りなコンビの出番である。

 

「次は私と暁の番だな。 暁、準備はできているか?」

 

「当然デース! いつでもOKデスよ!」

 

「いい返事だ。 ガリィ、立花の仇は討たせてもらうぞ⦅SAKIMORIの眼光⦆」

 

「その通り! 響さんの死は無駄にはしないのデス!」

 

「……あの~、私死んでない――」

 

「はいはい分かったから、それより反省会でしょ?」

 

「う~、未来だけは慰めてくれると思ったのにぃ~……⦅悲しみ⦆」

 

 後はこのまま装者全員に回るまで訓練を繰り返し、その後反省会という流れが通例である。

 

 

 

「な、なんデスかこの音は!?」

 

「っ!――これは……警報?」

 

 

 しかし、今日に限ってはそうはいかないらしい。

 

 

『訓練中の装者及びガリィちゃんに告げます。 緊急事態発生につき、直ちに司令室へと全員集合してください』

 

 

「緊急事態って……それも私達全員?」

 

「私や調、切歌まで呼び出すって事は……」

 

「ヤバい案件って事だろーな」

 

 潜水艦内に鳴り響く警報、彼女達はそれを受けすぐに司令室へと向かう。

 ちなみにガリィだけは『面倒臭いからアタシはパス、アンタ達がいればなんとかなるでしょ⦅他力本願⦆』と頑なに動こうとしなかったので、マリアと翼が強制連行した模様。

 

 

≪……これ、もしかしてアンタ達の知らない物語の続きなんじゃないの?≫

 

(前回⦅原作で言う魔法少女事変⦆からまだ一ヶ月も経っていないんですがそれは……⦅遠い目⦆)

【次から次へと大変ねぇ⦅他人事⦆】

(ま、まだそうと決まったわけじゃないから……⦅目逸らし⦆)

 

 

 捕獲された宇宙人のような姿で二人に運ばれながら、ガリィは今回起こった事件が原作で言う四期に当たるのでは……と推測していた。

 

 しかしその予想は半分当たりで半分外れ、今回起こる事件は続編には違いないが正確には『3.5期』である。

 まあ四期にも繋がっている事件なので広い視点で見れば四期の始まりとも言えなくはないのだが……とにかく今、本来は存在しないはずのメンバーを加えたS.O.N.G.が事件に臨む事となったのである。

 

 

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「来たか。 それでは早速ブリーフィングを開始するぞ」

 

「アハハハハ! ガリィが宇宙人みたいになってるゾ!」

 

 司令室に到着した装者達+人形を出迎えたのはいつものメンバー……だけではなく、何故か弦十郎の隣にはシャトーにいるはずのミカが立っていた。

 

「ミカ……? どうしてここに……?」

 

「待て月読、気になるのは分かるが今はブリーフィングが優先だ」

 

「は、はい……」

 

「うげ、ミカちゃんまでいるなんて……これ絶対面倒臭いやつじゃない⦅確信⦆」

 

【……今回あたしは中にいるから、精々頑張りなさいな⦅自己防衛⦆】

(ガリィさんの気持ちは分かるけど、多分無理矢理引きずり出されるゾ⦅名推理⦆)

(そうだよ⦅便乗⦆)

 

 なお、ガリィのテンションはこの時点で完全に底まで落ちた。全員集合+ミカという状況が普通であるわけがない、故にガリィはこの事件が非常に面倒臭い案件だと確信したのである。

 

「今から十分ほど前、東京湾に寄港中の船舶にて事故が発生した」

 

「事故が起きたのは『アレキサンドリア号』、豪華客船らしいよ」

 

「本来なら海上保安庁が関わる案件なんだけど、今回は事情があってS.O.N.G.に調査依頼が舞い込んだのよ」

 

 どうやら東京湾に寄港中の豪華客船で事故が起きたらしい。しかし言っては悪いが、その程度でシンフォギア装者全員に加えてミカまで招集する必要があるのだろうか。

 

「はぁ? 調査依頼って何よ、ミカちゃんに調査なんてできるわけないでしょ!」

 

「うん、調査とか言われてもよく分かんないゾ!⦅威風堂々⦆」

 

「ミカについてですが、船内に怪物が現れたという目撃情報があったんです。 それを知ったキャロルが念のためだってミカを派遣してくれて、それで……」

 

「怪物ぅ? なによそれ絶対イタズラかなんかじゃない、今すぐ言った奴をアタシの前に連れて来なさいよ!⦅憤怒⦆」

 

(勝ったな⦅確信⦆)

【怪物って……もしいたとしても船の中に引き籠ってる時点で雑魚確定じゃない】

(寄港中に事故かぁ、ちょっと珍しいっていうかおかしいよね?)

 

 ミカがここにいる理由はなんと、怪物が船内にいたという目撃証言が原因だった。

 この理由に納得できずキレるガリィだが、普通なら相手にされないような証言である事は確かなため仕方ないだろう。しかし、この話にはまだ続きがあるようで……。

 

「落ち着けガリィ君。 この目撃証言は一人ではなく、複数人の乗客から寄せられた情報だ。故にキャロル君は念のためにとこちらにミカ君を送り込んでくれたのだろうさ」

 

「……ふ~ん、複数の乗客ねぇ。 まぁいいわ、とりあえずは納得しておいてあげる⦅上から目線⦆」

 

(あ、これはマジかもしれんね)

【なーんか妙な事件よねぇ】

(なんか嫌な予感がするな⦅いつもの⦆)

 

 どうやら目撃証言は複数人から寄せられていたようだ。この事からS.O.N.G.に調査依頼が舞い込み、キャロルも念のためにミカをS.O.N.G.へと派遣したのだろう。

 

「皆には船内へ突入し、異常がないか確認してもらう事になります」

 

「万が一戦闘に突入した場合は、ミカ君を中心に行ってくれ。ミカ君、頼んだぞ」

 

「任せロおっちゃん! 敵を分解するのは、いつも最強なアタシの役割なんだゾ!」

 

 こうして誰かさんとは違って心強い人形を加えた装者達……それから十分後、彼女達は船内への突入を開始するのだった。

 

 

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「パヴァリア光明結社、キャロルさん達との一件だけではなくフロンティア事変にも関わっていたようですが……」

 

「人員数、資金力共に裏側の中でも最大の組織と言って間違いないでしょう。 上層部には錬金術師が複数存在し、技術力も他とは比べものになりませんわ」

 

 緒川慎次とファラ・スユーフ。S.O.N.G.より特命を受けた二人は現在、近い内にぶつかる可能性が高い組織パヴァリア光明結社についての情報を調査していた。

 

「技術力、ですか」

 

「その多くは私達も把握できてはいませんが……アルカノイズ、転移結晶、少なくともこの二つの技術を彼らが持っている事は間違いありません」

 

「と、言う事はこのロンドンに潜伏していると思われる相手も――」

 

「ええ、アルカノイズを使役できると考えて間違いないでしょうね」

 

 二人は今、ロンドンにパヴァリア光明結社の影がある事を掴み現地を訪れていた。ちなみに本来……原作であればマリアと翼がこの任務に当たる事になるのだが、原作と違い翼が歌手活動休業中なため、この時空ではファラとNINJAがその任務に当たっていた。

 

「そうですか……申し訳ありませんファラさん、ここからは貴方の力を頼りにさせてもらう事になりそうです」

 

「ふふ、そのような水臭い事を言われると悲しくなってしまいます。 私は貴方達を仲間だと思っていたのですが……違ったのかしら?」

 

「っ! いえ、その通りです……! この任務、二人で果たして見せましょう」

 

「ええ、勿論ですわ。 あのような玩具で遊んでいるような連中に、負けるわけにはいきませんもの」

 

 連携を深め、二人は地下鉄へと侵入して行く。その最中……。

 

 

「……」

 

 

 怪しげなローブを纏った男を発見し、その後ろ姿を追い掛ける二人。しかしこの時、二人はある事に気付いていた。

 

 

「わざと姿を見せ誘導、その先でアルカノイズによる包囲ですか」

 

「ええ、あの動きは間違いないでしょう」

 

 

 それは実は罠だったようだ。なお、潜入のプロとNINJAを欺く事はできなかった模様⦅悲しみ⦆

 

 

「ハハッ、掛かったな! 周囲は既にアルカノイ――」

 

 

「消し飛びなさい!」

 

 

 そしてその結果……彼が勝利を確信した瞬間、周囲のアルカノイズはファラが放った暴風により消し飛ばされるのであった⦅圧倒的実力差⦆

 

 





ガリィとミカは人形なので精神攻撃は効かない……後は分かるな?⦅死刑宣告⦆

次回も読んで頂けたら嬉しいです。



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