ガリィちゃんとわたしたち   作:グミ撃ち

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GX編 後日談 その八です。 今回はキャロルのとある一日。

お待たせ!脊髄反射で書き上げ話だけどゆっくり読んでいってね!⦅満面の笑み⦆




GX編 後日談 その八

 

 

 -  午前六時三十分  -

 

「「おはようございます、マスター」」

 

「おはようだゾ、マスター!」

 

「ああ、おはよう」

 

 

 キャロル・マールス・ディーンハイムの朝は早い。彼女は午前六時に起床し、それから三十分程度で準備を済ませ玉座の間に顔を出す。

 

「既に把握されているでしょうが、S.O.N.G.から人員要請が届いています。 どうやら実戦形式での訓練を行うようで、私達オートスコアラーに対戦相手を務めてほしいとの事ですわ」

 

「ああ、把握している。 そちらには予定通りミカを派遣し、他は私と共に正午まではシャトーの解体作業に従事せよ。午後からはS.O.N.G.上層部との補償についての打ち合わせのため、私もそちらへ向かう」

 

「「承知しました」」

「分かったゾ」

 

 そこで三体の人形と朝の挨拶を交わし、彼女は朝食の準備に入る。以前はガリィに任せていたキャロルだったが、現在は週に一回ガリィが帰還する日以外は自身で調理を行っている。

 

「~♪」

 

 父親と同居していた頃は家事一切を引き受けていたキャロルである。なので今現在、自身で家事を行う事に対して、特に苦労はしていないようだ。

 

「さて、行くか。 二人共、今日もよろしく頼む」

 

「承知しました」

 

「はい、よろしくお願いしますね」

 

 朝食を終わらせた後は二体の人形と共にシャトー解体作業へと従事する。本日は所用が入っているため正午までの作業になるが、夕刻までこの作業を行うのが普段の流れである。

 

「……そういえば倉庫に不用品が大量に眠っていたな。 廃棄する前に彼等に見せ、要望があれば引き取ってもらうとしよう」

 

 彼女の言う不用品だが、歴史に携わる人間が見れば驚愕するようなブツばかりである。

 キャロルの親切心によってまたも上層部のご老人達の胃がダメージを受けてしまうか……⦅悲しみ⦆

 

 

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「要求は、なんだね……?⦅疑心暗鬼⦆」

 

「これを我々に見せてどうしろと言うのかね君は? キャロル美術館でも建てればいいのかい?⦅錯乱⦆」

 

「この光景をたった今知り合いの学者に見せたのだが……興奮して何を言っているのか分からない状態になってしまったよ、ハハハ⦅遠い目⦆」

 

「いえ、私にそんなつもりは毛頭ありません。ただ捨てる前に皆さんにお見せしようと思っただけなのですが……⦅困惑⦆」

 

「これ程の希少品を捨てる、だと……?⦅戦慄⦆」

 

 午後一時……S.O.N.G.司令本部潜水艦内にてキャロルは上層部と補償の話し合いを済ませた後、『不用品を引き取ってもらえませんか?』と別室に三人の老人を誘導する。

 

 しかしそれは巧妙な罠であった。『ふむ、不用品かね?』と安易な気持ちと好奇心で入室した老人達を待っていたのは……不用品という名の超希少な美術品や骨董品の山だったのである⦅白目⦆

 

 ちなみに三人の老人の内の一人はこの光景を見た瞬間に、医師から処方された薬を即座に飲みこんだ。果たして薬が効いてくるまで彼の精神は持ち堪えることができるのだろうか……!⦅迫真⦆

 

「一つ尋ねたいのだが、これ程の品々をどうして君が?」

 

「ほぼ全てが取引での対価として受け取った物です。 ですが私はこのような物に興味が無く、知識も乏しかったので……シャトーの倉庫に長年眠らせていました」

 

「その、キャロル君が持ち込んだこれらはそれ程に貴重な物なのですか?」

 

「……風鳴司令、私も専門家では無いのではっきりとは言えないのだが……少なくともこの潜水艦くらいの価値は下らないだろうな⦅遠い目⦆」

 

「キャロル君、君の中での不用品とは一体……⦅困惑⦆」

 

 不用品⦅キャロル基準⦆を前に必死で平静を保つ老人達、どうやら今回は奇襲のようなものだったのでダメージが大きい様だ。

 なお後でここに持ち込んだ物がほんの一部だと知り、精神の耐久値が限界を超える模様⦅悲しみ⦆

 

「……キャロル君、この事案は少々我々には荷が重い。なので友人に掛け合って専門家チームを組織しても構わないだろうか?」

 

「はい、それは勿論構いませんが……(ここに置いてあるのはほんの一部なのだが、今は黙っていた方が賢明なのだろうか……)」

 

 老人達は考えた末、捨てられる寸前だったこれらを保護する事にしたらしい。そのためにはまずこの部屋に並べられた品々の詳細を調べなければならないため、彼等は専門家チームによる調査を行う事にしたようだ。

 

「それでは専門家チームの到着を待ち、我々と風鳴司令でこれらの行き先を相談するとしよう。勿論キャロル君の名前を残し、君からの寄贈品としてね」

 

「捨てるつもりの物だったのでそれで構いません。 ではお言葉に甘えて、私はこれで失礼します」

 

 こうして廃棄される運命だった希少品は再び世に姿を現す事となった。

 

 そして今後、世界中の美術館に大量の希少品を寄贈する『キャロル』という謎の人物の名が知れ渡る事になるのだが……詳細は不明である。しかし……。

 

 

「あふぅ……!⦅失神⦆」

 

 

「おっ、おおおおおおおっ!!!⦅鼻血ドバー⦆」

 

 

「なぁにこれぇ……⦅失神⦆」

 

 

 その陰に調査チームの尊い犠牲があった事だけは確かである。キャロル君!次からは事前に上層部のおじいちゃんに相談しよう、なっ!⦅親切心⦆

 

 

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「――ふっ、これが今の私の実力だ……!」

 

 その日の夕刻……何十匹もの凶悪な獣を討伐した少女は、自信に満ちた笑みで友人へと振り返る。その額には汗が浮かび、如何に激戦だったかが容易に想像できるだろう。

 

 

「あ、ああ……そうだな!(馬鹿な、この短期間で私に肉薄しているだと……!?)」

 

「相変わらずヘッタクソだなぁお前、あんだけ練習しててこれかよ⦅無慈悲⦆」

 

 

 しかし本日の応援団⦅訓練が終わったので付き添い⦆の一部には少々物足りなかったようだ。どうやら彼女の成長速度に不満を覚えているらしい。

 

「……このモグラどもが悪いのだ。 ちょこまかと私の事を愚弄し、『下手くそ』と罵倒してくる憎らしい害獣どもが……!」

 

「それは幻聴だバカ! 被害妄想激しいなお前!?」

 

「その気持ちは分かるぞキャロル……私もガリィに散々な目に遭わされてから、ゲームをする度に奴の罵倒する声と高笑いが聞こえて来るのだ……⦅悲しみ⦆」

 

「お前もか、風鳴翼……本当に難しいな、ゲームというのは……⦅沈痛な面持ち⦆」

 

「ああ、たかが遊戯と侮っていた過去の自分が恥ずかしくて仕方ない……⦅傷の舐め合い⦆」

 

 なお、今日はツッコミがクリスしかいないためにこんな感じである。どうやら翼もガリィにゲームで痛い目に遭わされたようでキャロルの気持ちが分かるらしい。

 

「お前ら二人してヘッタクソだもんなぁ……先輩なんかレースゲームで身体ごと動いてるし」

 

「何を言う雪音、心と身体を同調させる方が良いに決まっているだろう?⦅自信満々⦆」

 

「それでいつも負けてるのは何処の誰だよ……⦅呆れ⦆」

 

 実は翼、前回のモグラ叩き大会ではキャロルに次ぐブービーだったのである。どうやら友の苦難を斬り払うSAKIMORIにはゲームの才能は無かったようだ⦅悲しみ⦆

 

「ふん、お前のような強者に弱者の気持ちは分かるまい。 風鳴翼、私達は弱者同士仲良く対戦でもどうだ?」

 

「ほう、私を弱者と侮るかキャロル……その評価、SAKIMORIの誇りにかけて覆させてもらう!⦅どんぐりの背比べ⦆」

 

「いや、せっかく来たんだしあたしにもやらせてくれよ……なんなら二人合わせたスコアと戦ってやってもいいぞ?」

 

「「……はっ?⦅威圧⦆」」

 

 弱者の気持ちが分からないクリスの挑発、これには弱者二人も堪忍袋の緒が切れた模様。そして……。

 

 

「な、馬鹿な……こんな事は許されない……許されていいはずが無い!⦅錯乱⦆」

 

「そ、そんな……SAKIMORIの剣⦅もぐら叩きのハンマー⦆が敗北しただと……?」

 

 

「改めて見ると本当に酷いなお前ら! はぁ、しょーがない……コツ教えてやるから次行くぞ、ほら」

 

 

 弱者は二人揃っても弱者のままだった模様⦅悲しみ⦆

 

 この後、クリスコーチの指導をたんまり受講した。⦅少しだけ成長⦆

 

 

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「お帰りなさいませマスター、夕食はどうなされますか?」

 

「ガリィの所で馳走になった、故にこのまま私は作業に戻る」

 

「承知しました。それでは私達も作業に戻らせて頂きますね」

 

「ああ」

 

 午後八時……地上での所用を全て済ませたキャロルはシャトーに戻り、解体作業を再開する。

 大体これを二十二時くらいまで行い、その日の仕事は全て終了である。

 

 

 

「おやすみなさい、パパ」

 

 

 

 そして彼女は明日に備え眠りに就く。明日は何が待っているだろう、そう期待に胸を膨らませながら……。

 

 

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「哀れ過ぎて堪らないじゃないか、彼女が。 奪われるとはね、長年苦労して集めた自身の財産までも」

 

 おっと、どうやら聖人である局長がお怒りのようですね。

 その内容を調べると……なんとS.O.N.G.という組織は記憶を失った少女を利用するだけではなく、その財産まで没収したらしいのです!なんたる非道!正にこれは鬼畜の所業と言っても過言ではありません!

 

「これなら簡単にいくかな、こちらに引き入れるのは。 知れば絶望するだろうね、真実を」

 

 この行いには局長も大層お怒りのようで、以前と変わらず少女を保護するつもりのようだ。真実を知ればきっと少女も目を覚ましてくれる、彼はそう信じているのだろう。

 

「彼女以外にも役に立ちそうじゃないか、報告を聞いた限りではね。 赤い人形……ミカ・ジャウカーンは」

 

 ミカに目を付けるとは流石局長、お目が高い! そうです、青い人形みたいな雑魚とは違ってミカちゃんは強くてオススメですよ!⦅満面の笑み⦆

 

「そうだ、彼女達にゆさぶりを掛けてもらうとしようか、バルベルデに人形達が現れた場合にはね」

 

 どうやら局長はまず、人形達と接触し攻略の糸口を探るつもりのようだ。少女は悪の組織に軟禁されている可能性が高いため、局長の言う通りこれが最善だろう。

 

「既にこの手にあるからね、歯車は。 もう揺らがないよ、僕達の勝利は」

 

 少女を救出し、S.O.N.G.をフルボッコにする決意を固めた我らが局長。悪はいつの時代にも栄えない、それを彼が証明してくれる事を祈り視聴者皆で応援しよう!⦅ゲス顔⦆

 

 





ずっとこんな適当な話を書いていたい、だってすっごく楽だから……⦅サボり癖⦆

次回も読んで頂けたら嬉しいです。



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