ガリィちゃんとわたしたち   作:グミ撃ち

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GX編 後日談 その十二です。

AXZ編突入と言ったな……あれは嘘だ!(土下座)

すいません次回こそは四期始めますので許してください何でもはしません!




GX編 後日談 その十二

 

 

 チームS.O.N.G. VS チームキャロルのガチンコマッチが開催されてから数週間……今回はこの数週間の間、S.O.N.G.とキャロル陣営のメンバーがどのように交流を深めていたのかに注目してみよう。

 

 

 -  風鳴翼とファラ・スユーフの場合  -

 

 

「――私に相談、ですか?」

 

「ああ、大した事では無いのだが……」

 

 私、風鳴翼には一つ悩み……というかここ数週間考えていた事がありました。しかし自分一人では中々結論が出ず、私は新たに加入した仲間に相談する事にしたのです。

 

「いえ、それは全然構いませんけど……それで、どうしたの?」

 

「聞いてくれるか、助かる。 それで内容だが、実は歌手として復帰したいと考えていてな、その時期について――」

 

 しかしこの時、私は相談相手を完全に間違ってしまっていたのです。

『私の歌を聴いてくれている彼女なら、気軽に相談に乗ってくれるだろう』と、この時の私はそう考えていました。その結果……。

 

 

「――待って、翼ちゃん」

 

 

「悩んでい――えっ?」

 

 

「二日後、私と夕食を共にしましょう。 お店と人員については、全てこちらでセッティングしますのでご心配無く」

 

 

「えっ? えっ?」

 

 

「それでは準備に取り掛かりますので失礼しますね♪」

 

 

「えっ? えっ?」

 

 

 なんだかとんでもない事になってしまったのですがこの時の私は急展開についていけず、ただただ呆然とファラの後ろ姿を見送る事しかできなかったのです。

 

 

 そして二日後……ファラの案内により高級料亭の個室へと誘われた私は、信じられない光景を目にしたのです。

 

 

 

「来たか、翼」

 

 

「御父様!?」

 

 

「いらっしゃい、翼」

 

 

「マリア!? 何故お前まで!?」

 

 

「えっと、ガリィがおもしろそうだから参加して来い、今日の待機任務は私だけで務めてあげるって……⦅遠い目⦆」

 

 

「えぇ……⦅困惑⦆」

 

 

 そこには私の父である風鳴八紘、そしてS.O.N.G.に所属する装者である仲間、マリア・カデンツァヴナ・イヴの姿があったのです。

 

 この時点で混乱の極みに達していた私ですが、実はこの二人はボクシングで言うジャブ程度にすぎず、本命はその先に存在したのです。

 

 

 

「久しぶりだね、Ms.翼。 内容は詳しくは知らないのだが……Mr.緒川から音楽の事で悩んでいると聞き、丁度日本にいたので来てしまったよ、ハハハ」

 

 

 

「えっ?――――――――みすたー・ぐれいざー……?」

 

 

 

「そうとも、覚えていてくれて光栄だな」

 

 

 

 御父様の陰に隠れて見えていなかった場所……そこには以前、私の海外進出を支えてくれたプロデューサー、トニー・グレイザー氏の姿があったのです。

 

 

「……おひさしぶり、です……」

 

 

 この時点で私の思考は完全に停止してしまいましたが、大変な事態が起こっているのだけは理解出来ていました。

 

 

「ほら、翼ちゃんの席はここよ。 座って座って♪」

 

 

「……うん、ありがとう……」

 

 

 その後、呆然と立ち尽くしていた私を心配したファラに誘導され、言われるがままに高級そうな座布団に私は腰を下ろしました。

 

 ちなみに私の悩みである復帰時期の事ですが、少なくともここにいる人達を集めてまで話す程深刻な内容ではありません。精々廊下の立ち話か、ガリィと年少組の家で夕食を共にしたついでに話す程度の内容でしょう。

 

 

「ではファラ君、料理が届いたら始めるとしようか」

 

 

「ええ、そうですね――Mr.グレイザー、飲み物をどうぞ」

 

 

「ありがとう、君のような美しい女性に酌をしてもらえて光栄だよ」

 

 

「ふふ、冗談がお上手ですのね♪ 御父様もどうぞ」

 

 

「おっと、すまないな」

 

 

 私が思考停止している間にも、周囲は和気あいあいと準備を進めていきます。

 グレイザー氏の言葉の内容から考えると主役は私のようですが、当人である私は完全に置物と化していました。

 

 

「マリア……」

 

 

「諦めなさい、ここに来た時点で逃げ場は無いわ⦅無慈悲⦆」

 

 

「そうか、そうだな……⦅諦め⦆」

 

 

 その後、ようやく正気を取り戻してマリアに視線で助けを求める私でしたが……彼女の答えは、私が予想した通りのものでした。

 

 

 そしてそれから僅かな時間が経ち、料理が揃った所で、私のために開かれた催しが始まったのです。

 

 

「本日は皆さんお忙しい中、翼さんのために集まって頂いてありがとうございます。 Mr.グレイザーに駆け付けて頂けたのは私も予想外でしたが、翼さんがそれだけの輝きを持っているという事なのでしょう」

 

 

「ふふ、その通りだとも」

 

 

「翼さんの悩みについては後にするとして、乾杯の音頭は……せっかくですし、Mr.グレイザーにお願いしたいのですがどうでしょう?」

 

 

「私かい?……そうだね、誘いを頂いたからにはその大役、私に務めさせてもらうとしようか。 それでは……」

 

 

「本日はこのような場に参加できて、大変嬉しく思っている。 そして他にも語りたい事は多いが、本日の主役はあくまでMs.翼なので割愛させてもらおう。では……乾杯 」

 

 

「「「乾杯」」」

「かんぱい……」

 

 

 ファラの司会で流れるように進行して行く謎の催しは、グレイザー氏の乾杯の音頭から始まり、それから二時間程、私達は語り合ったのでした。

 

 

「復帰時期について、かね。 確かにこれは非常にデリケートな問題だ、Ms.翼の今後の成長に関わる、ね」

 

 

「翼、お前はどう思っている? 歌いたいという想いは高まっているのか?」

 

 

「え、ええ、それは勿論そうなのですが、その……私の歌をまだ、待ってくれている人はいるのでしょうか……忘れ去られては、いないでしょうか……?」

 

 

 今思えば、ファラが開いたこの催しは私にとって、非常に大きな意味を持っていました。

 結局のところ、私はファンに忘れ去られていないかが不安だったのです。

 

 

「ふむ……Ms.翼、これを見たまえ」

 

 

「……っ!? これは、私宛てのもの、ですか……?」

 

 

「そうとも。これは全て、私の下に届いた君を待ち望むメッセージだ。 君が復帰した後に見てもらうつもりだったが……君の不安を解消するには、今が最適なタイミングだろう」

 

 

 グレイザー氏のメールアドレスには、日本、海外両方のファンから大量のメッセージが届いていました。

「次の舞台はいつかしら!? 絶対に観に行くわ!」「Tsubasaの歌に元気をもらった、次が待ち遠しい」等々……ほとんどが私の歌を好きだと、また聴きたいと、復帰が待ち遠しいというものだったのです。

 

 

「すごい数ね……しかも、最近のものもこんなに……」

 

 

「……」

 

 

「君の下にも大量のメッセージが届いているが、君が休養すると聞いたMr.緒川が焦らせないようにと保管している。それも後で確認するといいだろう」

 

 

「私は……」

 

 

 私はこの時、自分が如何に馬鹿な事を考えていたかを知り、そして気付けば涙を流していました。

 

 それからの事は恥ずかしいので割愛しますが、私はこの夜……歌手として再びステージに立つ事を硬く決意したのです。

 

 

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「翼ちゃん、ごめんなさい!」

 

「……ファラ? どうした、急に謝ったりして」

 

 その日の帰り道、突然ファラは私に謝罪しました。しかし、私にはその意味がよく理解できなかったのです。一体ファラは何に対して謝罪しているのでしょうか?

 

「本当なら御父様と三人で食事する程度に考えていたんだけど……こんな事になってしまって……本当にごめんなさい!!」

 

 どうやらファラは、今日の事を気にしていたらしいのです。

 最初はこじんまりとした食事会にするつもりだったようですが、気付けば大物ゲストも参加する事になり、恐らく引っ込みがつかなくなったのでしょう。

 

「……頭を上げろ、ファラ。 お前に悪気が無い事くらい分かっている、その善意を責めるつもりは無いさ」

 

「翼ちゃん、でも……」

 

「実はMr.グレイザーからこんなメッセージが届いている。『彼女が笑顔で迎え入れてくれた事に、つい甘えてしまった。Ms.ファラに私からの謝罪と感謝を伝えてほしい。そしてできれば後日、直接感謝の意を伝えたいとも』」

 

「っ……」

 

「それに『君は歌手として誇るといい。隣に彼女のようなファンがいてくれる事をね』とも、な。 ふっ、私も大事なファンを失いたくないのだ。故に貴方を許そう、ファラ」

 

 ファラはお父様と怪しい会合を開くなど、行き過ぎる部分がある事は確かでしょう。

 ですがそれは全て真剣に考えすぎるからであり、決して悪意があるわけでは無いのです。……まあ、マリアを差し向けた人形の方は少しお話しなければいけないのですが⦅半ギレ⦆

 

 

「ファラ、聞いてくれ。 私はステージに復帰し、再び歌を歌いたい。世界中の人に、御父様に、仲間達に……そしてファラ、貴方に聴いてもらいたいんだ」

 

 

「翼ちゃん……!――はっ、はい!もちろん聴きます絶対聞きますずっと待ってます!⦅早口⦆」

 

 

「ふふっ、なによそれ! 貴方、焦り過ぎでしょう、あはは……!」

 

 

「ちょっ、翼ちゃん!? は、恥ずかしいから笑わないでください!」

 

 

 本部で遊んでいる人形の事は一旦置いておいて、私は歌手として正式に復帰する事を決めました。

 時期については近い内に、重要な任務が行われると叔父様から聞いているのでその後になりそうです。

 

 

「よし、それじゃあ私は本部に向かうが、ファラはどうする?」

 

 

「本部に……? 何か、仕事でもあるの翼ちゃん?」

 

 

「ああ、本部で暢気に遊んでいる人形にお仕置きしなければならなくてな♪⦅満面の笑み⦆」

 

 

「――あっ⦅察し⦆」

 

 

 ファラは許す、だが貴様は許さんぞガリィ――心の迷いが晴れた私は、ファラと別れ本部に向かって足を進める事にしました。

 

 えっ、その後どうなったか? いえ、大した事は何もありませんでしたよ? でもそうですね……敢えて上げるなら、本部で粗大ごみを見つけたのでゴミ箱に叩き込んだ事くらいですかね⦅SAKIMORIの眼光⦆

 

 

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「いつになったら私のライブに足を運んでくれるんだお前は……?」

 

「ごめんなさい翼ちゃん……全然抽選に当たらなくて……⦅遠い目⦆」

 

「そもそも私がチケットを用意すると言っているのに、お前が頑なに拒むからだろう……」

 

「駄目、それだけは絶対に駄目……私が不正を行えば、本来抽選に当たるはずだったファンに申し訳が立たないもの……だから私は絶対に自力で掴み取って見せるの⦅断固たる決意⦆」

 

「……はぁ、好きにしろ」

 

「大丈夫よ翼ちゃん。次こそは、次こそは絶対に……!」

 

「その言葉、前回も前々回も聞いたのだが……はあ……⦅呆れ⦆」

 

 ちなみにファラが初めて私のライブに訪れるのは数カ月後、再びマリアと共演する事になった時でした。しかし……。

 

「やった、やったわ……! ありがとうガリィちゃん!貴方のお陰よ!」

 

「いや、アタシは応募ボタン押しただけなんですけど……というか喜び過ぎて怖い⦅ドン引き⦆」

 

 ガリィの運を借りて当選を勝ち取ったファラはこの時、私の気が散らないようにとチケットを手に入れた事を黙っていたのです。

 

 

 

「貴方の心は、そして翼は――私が守ります……!!」

 

 

 

 そしてこの日、十万人以上の観客の命と引き換えに私は……一人の親友を喪ったのでした。

 

 

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 -  立花響、レイア・ダラーヒム、ミカ・ジャウカーン、風鳴弦十郎の場合  -

 

 

「よし、集まったなお前達!」

 

「はい師匠! 睡眠時間もばっちりです!」

 

「よろしく頼む、風鳴司令」

 

「おっちゃん! 今日は何を観るんダ!?」

 

 S.O.N.G.本部内の一室……そこでは現在、映画鑑賞会が開かれようとしていた。

 ちなみにこのメンバーにとってこれは立派な特訓であり、映画を見る→その技術を習得するために特訓というのが流れである。

 

「本日の映画は……これだ!」

 

「これは――ボクシング映画、か?」

 

「その通りだレイア君、ずばり今日の特訓はボクシング技術! 特にカウンターを重視して学んで行こうと思う」

 

「あっ、だから今日のミカちゃんは普通の腕なんだ!なるほど!」

 

「おっちゃんに言われたから、マスターに交換してもらったんだゾ!」

 

 どうやら今日の種目はボクシングのようだ。……この凶悪なメンバーがカウンターを覚えたら、被害者となる相手はどうなってしまうのだろうか……⦅震え声⦆

 

 

 -  二時間半後  -

 

 

「うわーん! 二人が結ばれてよかったよレイアさぁん……!!」

 

「ああ、私も派手に感動した……」

 

「うむ、やはりハッピーエンドはいいな」

 

「最後のパンチ! アタシもあれやりたいゾおっちゃん!」

 

 ちなみに弦十郎はパッケージだけで判断して映画をレンタルしてくるため、いざ蓋を開けてみると恋愛映画だった、という事もざらである。

 まあそれでも楽しめるのがこのメンバーなので、特に問題は無いのだが。

 

「この後はどうする、風鳴司令。 派手に良い映画だったものの、特訓には役立ちそうも無いが……」

 

「そうだな……仕方ない、予定を変更し今日は実戦形式の訓練を行う! ミカ君の腕を交換し、三十分後に再集合だ!」

 

「了解した。私達は一旦シャトーに戻るとしよう」

 

「うぅ、よかったねスザンヌ……⦅感激⦆」

 

「ひびき~? スザンヌじゃなくてスザンナだゾ?」

 

「……うぅ、よかったねスザンナ……⦅目逸らし⦆」

 

 ちなみにこのメンバーが船内で暴れると確実に本部が消滅するので、実戦形式の特訓を行う場合は外に出て行うのが決まりである。

 

 

 -  三十分後  -

 

 

「よし、現地までランニングだ! お前達、俺について来い!」

 

「エス、オー、エヌ、ジー、ファイヤー!!⦅掛け声⦆」

 

「エス、オー、エヌ、ジー、ファイヤー」

 

「えす、おー、えぬ、じー、ふぁいや~!」

 

 

 こうして今日も、彼等は強さを求め走る。

 なおその頃、彼らの一万倍強さを求めるべき人形はエルフナインとゲーム機で遊んでいた。これでは差は開く一方である⦅悲しみ⦆

 

 

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 -  キャロル・マールス・ディーンハイムと小日向未来の場合  -

 

 

「そう言えば小日向未来……お前は学園を卒業後、進路はどうするつもりなのだ? S.O.N.G.に加入するのか、それとも外部協力員のまま進学するのか……選択肢はこの二つくらいだろう?」

 

「あー、進路かぁ……うーん、ちょうど今悩んでるところなんだけど……」

 

 バルベルデ攻略任務が行われる当日、キャロルの自室の中で、部屋の主であるキャロルと未来は雑談していた。

 ちなみに非常事態が発生した場合、本部かエルフナインを通じてキャロルに救援要請が送られる事になっており、その場合は戦場に歩くクソゲーが降臨する手はずとなっている。

 

「ふむ、そうか……これは私の意見だが、進学しながらS.O.N.G.に通いオペレーターとしての技術を学んではどうだ? 複数の箇所で戦闘が発生した場合、現在の二名では情報通達が追い付かない可能性があるからな」

 

「オペレーターかぁ。うーん……皆が怪我しちゃった時、あおいさんと藤尭さんみたいに冷静に伝えられるかなぁ……」

 

「私は向いていると思うが……まあまだ時間はある。ゆっくりと考えればいいだろう」

 

「うん、ありがとうキャロルちゃん。 困ったらまた、相談に乗ってもらってもいいかな?」

 

「ああ、勿論構わない。 茶菓子を用意して待っていよう」

 

 どうやら現在の話題は未来の進路のようだ。進学か就職か……恐らく響はこのままS.O.N.G.で働く事になるため、未来にとっては難しい選択だろう。

 

「そういえば、キャロルちゃん達はどうなのかな? シャトーの解体、まだ時間が掛かりそう?」

 

「最低でも三年、最長で五年と言ったところか。ミカ以外がS.O.N.G.に正式加入するのはその後になるな」

 

「三年かぁ、大変なんだね」

 

「製作するのに比べれば遥かに楽だがな。全く……狂気に囚われていたとはいえ、我ながらよくもまぁこのような危険物を飽きずに作り上げたものだ」

 

 次の話題はキャロル達の今後のようだが、どうやら彼女達が加入するのはミカを除いて三年以上も先の事らしい。ミカについては解体作業には関わっていないので、状況を見て判断するのだろう。

 

「あはは……それはそうだねぇ」

 

「お前も注意するといい。あまり内に溜め込み過ぎると、外に溢れ出した時に冗談では済まない被害が出るかもしれぬからな」

 

「え、えっと……それについては身に覚えがあるので、多分大丈夫かと……⦅遠い目⦆」

 

「……ああ、そう言えばそうだったな。 お前も過去に無様を晒した同類だったか」

 

 実はこの二人には『過去にやらかした』という共通点があり、そういう意味ではお似合いの二人だった。

 まあ世界を滅ぼしたキャロルと未来ではスケールの差という違いはあるが、恥ずかしさでは未来も大概なので黒歴史としてはいい勝負だろう。

 

「……お互いにもう失敗しないよう、頑張ろうねキャロルちゃん⦅同族意識⦆」

 

「……そうだな――っと、そろそろ昼食とするか。 台所に行くぞ。不得手なお前に、私が料理を教えてやる」

 

「――えっ!? ちょっと待ってキャロルちゃん!それ、どこで聞いたの!?」

 

「昼食が完成したら教えてやる。ほら、行くぞ」

 

 こうして二人は昼食を作るため、台所へと向かう。

 ちなみに未来の事を教えたのは響で、それを聞き出したのはガリィだった模様。

 

 

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 -  ガリィ・トゥーマーン、雪音クリス、暁切歌、月読調、エルフナインの場合  -

 

 

 

 

 

「それじゃ、開票するわね♪」

 

 

 

 

 

 ガリィが切歌、調と同居してから二週間経った日の夕食。

 今日の夕食メニューは、ガリィがここに来てから二度目のカレーの日だったのだが……。

 

 

「もちろん、ルーは中辛だよな?」

 

 

「な、なんデスとーっ!?」

 

 

 この日、甘口派と中辛派による大戦争が起こり国民選挙が行われる事になった。

 

 

「はぁーい、という事でまずは一つ目……ちゅうから~♪」

 

「まっ、当然だな♪」

 

「ク、クリス先輩が入れた票に決まっているのデス! ここからが本番、大逆転劇の始まりデスよ!」

 

 

 まずは中辛に一票が入る。これを見てクリスはドヤ顔、そして切歌はぐぬぬぬ……と言わんばかりの表情である。

 

 

「はい、次~……あまくち~☆」

 

 

「……ちっ」

 

「イエス!どんなもんデース!」

 

 

 そして次は甘口に一票が入った。残された票は二票……ちなみに同票の場合は、各チームの代表者でじゃんけんが行われる事となっている。

 

 

「さてさて、おもしろくなってきた所で次ね~……からくち~♪」

 

 

「――は?」

 

「――えっ……ま、まさか!?」

 

 

 しかし、次の票はなんと辛口であった。その解答を聞き呆然とするクリスに対し、何かに気付いた切歌。果たして、彼女が気付いた事とは……。

 

 

 

「何事も挑戦……私も翼先輩みたいに、命を懸けて⦅カレーと⦆戦う」

 

 

 

「おっ、おまっ!? 先輩がいたらぶっ飛ばされるぞ今の!?」

 

「……調の性格を見落としていたのデス……⦅痛恨の失策⦆」

 

「ワクワク、ドキドキ……!」

 

 

 そう、辛口の票を入れたのは調だった。以前まで大人しかった反動か、それともどこぞの人形に影響されたのかは分からないが、最近の彼女は妙な行動に走る事が増えていた。

 それを知っていたのにも関わらず見落としてしまっていた切歌、痛恨のミスである。

 

 

 そして、これで票は甘口、中辛、辛口がそれぞれ一票ずつ……つまり、先程から一言も喋らずにワクワクしている幼女の票で全てが決まるのだ。

 

 

「はーい♪ という事でぇ~、残された一票を開票しま~す☆」

 

 

「中辛中辛中辛中辛中辛中辛中辛中辛……!」

 

「甘口甘口甘口甘口甘口甘口甘口甘口デスデスデスデスデスデス……!」

 

「今日のトッピング、何にしようかな……?」

 

「ワクワク、ドキドキ……!」

 

 

 先程から何故か楽しそうなこの幼女ことエルフナイン。彼女は果たして、どれに投票したのだろうか……。

 

 

「えーっとなになに……『キャロルの好きな辛さがいいです!』――――は?⦅真顔⦆」

 

 

「はぁ? なんだそれ……?」

 

「待ってほしいのデス! 確かキャロルが好きなのは甘口、甘口デス! そうデスよね、調!?」

 

「うん、前にガリィが言ってたと思う」

 

「そうなんですか? それではボクも甘口が食べたいです!」

 

「はぁぁぁぁぁっ!? それじゃアタシの負けかよ……」

 

 

 予想外の解答ではあったものの、どうやらエルフナインは甘口に投票したようだ。

 これで事態はなんとか収拾され、彼女達はようやく夕食にありつけ――

 

 

 

 

 

「はい、無効票♪⦅ゴミ箱にIN⦆」

 

 

 

 

 

 ――るのはどうやらまだ先のようだ⦅悲しみ⦆

 

 

「ふぁっ!? ちょっ、おまっ、お前っ!」

 

「ななな何をするのデェェェェース!?」

 

「……これは予想外」

 

「ひ、酷いよガリィ! ボク、一生懸命考えたのに!」

 

 

 これにはもちろん甘口派の二人は猛反発である。しかし何故エルフナインの票は無効票と判断されてしまったのだろうか。

 

 

「はぁ? キャラ作りだかなんだか知らないけど選挙を舐めてるからこうなるのよおバカナイン。 あんたねぇ、選挙の時は候補者の名前を正確に書かないと無効票になるって事すら知らないの?それともやっぱりキャラ作りなの、ねえどうなのよおバカナイン」

 

 

 エルフナインの票が無効になった理由……それは候補者の名前を正確に記入していなかったからだった。

 流石は自分に甘く他人に厳しいガリィ、隙を見せればここぞとばかりに攻める姿勢には風格すら漂っている⦅褒め言葉では無い⦆

 

 

「ガリィ、こんな時だけきっちりしてるんだね」

 

「お黙り! アンタのだけ辛口二十倍の奴にするわよ!⦅暴君⦆」

 

「そ、そんな……ボクは、なんて事を……!⦅顔真っ青⦆」

 

「なんて事ってどんな事だよ⦅哲学⦆」

 

「ちょっ、ガリィ! エルフナインが本気にしちゃってるのデス!」

 

 

 なお、それを聞かされたエルフナインはこの世の終わりのような表情と化した模様⦅可哀想⦆

 純粋な幼女にとって、ガリィは毒にしかならない事が証明された瞬間である。

 

 

「ん~そうね、そろそろいい時間だし作りましょうか。 ガリィいっきまぁ~す♪」

 

 

 ちなみにこの後、何食わぬ顔でガリィは中辛と甘口を両方準備した。

 選挙とは一体なんだったのか……⦅遠い目⦆

 

 





※翼編のラストについては予定であり変更する可能性があります、ご了承ください。

次回も読んで頂けたら嬉しいです。


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