GX編 後日談 その十三 です。
入れ忘れてた翼さん強化の話を思い出し、書く事に。
なお、設定が今後生かされるかは未定です⦅適当⦆
「ふむふむ、『あの時』の力を自分の意思で使えるようになりたいねぇ……」
「ああ、一時的にとはいえキャロルと渡り合えた凄まじい力……イグナイトモジュールが使用不可である今、あの力を使いこなせるようになれば心強いと思ってな」
「あの時の翼さんは、確かにすごい力を発揮していました。ですが……」
「実際に体験したお前が一番理解していると思うが、例え自由に使いこなせるようになったとしてもあの力を使用するのは身体への負担が大きすぎる。 というかそもそも、私には何故お前があのような力を発揮できたのか分からないのだが……」
(そういえば結局なんだったの? 怪獣大決戦のインパクトですっかり忘れてたけど)
【あたしは直接見ていないんだけど、そんなに凄い力だったの?】
(キャロルちゃんの攻撃を斬り裂いて、その後も鍔迫り合いまで持ち込んでたんだよね確か)
とある日の午後、場所はエルフナインの研究室……そこでは現在、研究室に訪れた翼のお悩み相談会が開催されていた。
ちなみに相談役は部屋主のエルフナイン、所用で本部を訪れていたキャロル、そしていつも通り暇そうなガリィの二人+一体である。
「あのさぁ、相談する相手を間違ってないアンタ? マスターは錬金術の専門家で、エルフナインもシンフォギアに触れてまだ一ヶ月かそこらなのよ? だからそういうのはシンフォギアの専門家に――ってとっくの昔に死んでたわねそういえば、ざーんねん♪」
「ガリィの言う通りフィーネ……いや、櫻井女史が健在であれば悩む必要も無かったのだが……そうではない現状、この分野で最も頼れるのがお前達二人だと判断し、ここを訪れたのだ」
「ねえ、今ナチュラルにガリィの事省いたわよね?ねえどうしてよ傷つくんですけど訴えるわよ!? あのね、ガリィだってとーっても頼りになるのよ?昨日だって響ちゃんが教科書とにらめっこしてたからアドバイスしてあげたんだから☆ 『少しは息抜きも必要よ響ちゃ~ん♪ 近くで縁日やってるみたいだけど、ちょーっとだけ見に行ってみない☆』ってね♪⦅確信犯⦆」
(それ、アドバイスじゃなくて悪魔の囁きだと思うんですけど⦅名推理⦆)
【響ちゃん、二つ返事で首を縦に振っていたわね⦅遠い目⦆】
(※ 結局ガッツリ遊び散らした揚げ句、帰宅後二人揃って未来さんに怒られました)
翼の相談内容……それは最終決戦にてダウルダブラを纏ったキャロルと戦闘を行った際、自身が発揮した爆発的な力を自在に振る舞えるようにはできないのだろうか?という内容だった(第百三話参照)
しかしそもそも、キャロルやエルフナインにもあの時の翼の驚異的な力については全く原因が分からないため、相談に乗りようもないとういうのが現状である。
「そこの大馬鹿者は少し黙っていろ⦅冷たい眼差し⦆ ふむ、そうだな……一つ考えられるのは、お前の感情とシンフォギアが共鳴し一時的に適合係数が上昇、爆発的な力を発生させた可能性か」
「シンフォギアとの、共鳴?」
「ああ。 私達との戦闘の際もそうだったが、お前達シンフォギア装者は戦闘時の精神状態によって力が大きく変動する。故にあの時、お前が抱いた想いにシンフォギア……天羽々斬が共鳴し、限界を超えた力を発揮したというのが今、私がまず思い付いた可能性だな」
「私が抱いた想い……」
「あの時の翼さんは、どのような想いを抱いていたのですか?」
しかしそこはとりあえずコイツがいれば大丈夫、で定評のあるキャロルえもんである。彼女は相談を受けてからの僅かな時間で一つの可能性を考えていたのだ。
それが本当に正解かどうかは別にして何も話さないまま解散、とならないところがキャロルえもんの頼もしい所なのだろう。
「あの時は確か……立花を、仲間を守る力を貸してほしいと天羽々斬に……」
「はぁ? それじゃシンフォギアがアンタに『いいよ! 私の力を貸してあげる!⦅裏声⦆』って感じのご都合主義全開な展開が起きたって言いたいの?」
しかし、現在この部屋には相談役に相応しくない者が一人いるようだ。そう、ガリィ・トゥーマーンである。
彼女は何かが気に食わないのか不機嫌そうな表情を隠さず、翼へ突っかかり始めたのだが……いつも通りのその様子を見つめるキャロルえもんの視線は絶対零度の冷たさであった。
「いや、それが分からないから相談に来たのだが……」
「はぁ~⦅クソでか溜息⦆ いいわよねぇアンタ達はイグナイトモジュールだの限定解除だのと次から次へとパワーアップできてほんとに羨ましいわ羨ましすぎて死んでほしいくらい☆こっちは特訓しようが⦅特訓したとは言っていない⦆いくら術を使おうがそのままだって言うのに本当に贅沢な悩みよね☆まぁアタシにはマスターの想い出を補給するっていうアタシにしかできない大事なお仕事があるんで~別にいいんですけどーべ・つ・にいいんですけど!まぁどちらかと言うと超ムカつくっていうか高望みすんじゃねぇよこの女子力皆無のサムライガールが! みたいな感じかしら♪」
「えぇ……⦅困惑⦆」
(基礎能力は上がらなくても、レイア姉さんみたいに戦闘技術なら鍛えられると思うんですけど⦅真顔⦆)
(あはははは!ガリィちゃんが努力なんてするわけ無いじゃーん!!)
【あたしも努力とかそういうのはあんまり好きじゃないけど、流石にこの子みたいに全方位に嫉妬はしない……というかできないわよ恥ずかしくて……⦅呆れ⦆】
なお、ガリィはその視線に気付いてはいたが全く気にしてはいないようだ。
もしやキャロルからの視線ならば例え冷たいものでも嬉しいのだろうか……相変わらず業の深い人形である。
「そこの気狂いについては無視していい、構うと余計につけ上がるからな。 それで続きだが……お前が抱いた想いから考えても、やはりシンフォギアが共鳴したという可能性は十分に考えられるか……」
「でもそれだと、訓練で身につけられるような技術では無いという事になりませんか? もしもキャロルの推測が正しければ、キャロルと戦った時の様に翼さん、そして装者の皆さんが窮地に陥る等の条件を満たせないと発動しないという事ですよね?」
「いや、将来的にはそうとは限らないと私は考えている。 もしも適合係数の上昇が条件であるならば、風鳴翼が成長を続ける事で制御する事が可能になるやもしれぬ。 ……まぁ、随分と悠長な話にはなるがな」
「成長って言いますけどマスター、翼ちゃんって年齢的には来年ハタチですよ? スポーツ選手で言えばそろそろ成長が止まっちゃう時期ですし、それは大丈夫なんです?」
(あのさ、適合係数ってどうやったら上がるの?)
(さぁ……?)
(マリアさん達が一番知りたいだろうね、その情報)
狂人のような振る舞いで脱線させつつもしっかりと話には入って来るガリィだが、キャロルとエルフナインにはもう慣れた光景である。
そして本題に戻ったキャロル達だが、キャロルの推測が当たっていると仮定した時、どうやら適合係数の数値が鍵になると彼女は考えているようだ。
「普通はそうなのだろうが……シンフォギアは肉体的な成長よりも、精神的な成長で大きく力を上昇させる節があるだろう?」
「確かに……それについては私にも、心当たりがある」
「つまり、翼さんが今よりも適合係数を上昇させる事ができれば……!」
「いやいやそうは言うけども、どうやって適合係数を上げる気なのよアンタ? マリア達がそのためにいつも四苦八苦してるの知ってるでしょ? それでも亀みたいな速度でしか上がって無いみたいなんですけど~」
(そうだよ⦅便乗⦆)
【努力の有無は関係無く、遺伝で才能が引き継がれる事も無い。シンフォギア装者が少数なのも納得ね】
(響ちゃん達が引退したらどうするんだろうね?)
しかしここで問題が一つ……そう、適合係数を上げる手段が分からない事である。
というかそれが分かっていれば、マリア達は現在のようにリンカーの残量を気にする事も無かっただろう。これについてもフィーネのみが知る、と言った所だろうか、本当に惜しい存在を亡くしたものである。
「……短時間で考え出したもの故、それについては私にも皆目見当がつかない。 というかそもそも私の推測が合っているとも思えないし、窮地に陥った事で風鳴翼が無意識に身体能力のリミッターを外した可能性も……いや、それだと天羽々斬の出力が上昇した事に説明がつかない、それならば――」
「錬金術、シンフォギア、他にも不可思議な力が存在しているのかもしれませんね。本当に世界は広いです……⦅しみじみ⦆」
「あらら、マスターが考察モードになっちゃったわね。 こうなるとしばらくは戻って来ないけど、どうする?」
「十分参考になったし、今日はこれで失礼しよう。 ありがとう三人共、キャロルが戻って来たら私が礼を言っていたと伝えておいてくれ」
「はいは~い♪ まっ、ほどほどに頑張りなさいな」
(う~ん、やっぱりフィーネさんがいないと無理だよねぇ……)
【まっ、時間もあるんだしゆっくりやればいいんじゃない? あたし達みたいな敵が短期間でそんなポンポン出て来る訳ないんだから⦅フラグ⦆】
(そうだよ⦅フラグ⦆)
そして、キャロルが考察モードに突入した事で今回のお悩み相談会はお開きになった。
フィーネという存在が消えてしまった今、効果的なヒントは出なかったようだがどうやら翼はある程度満足したらしい。
「……(確かにあの時、自身と天羽々斬が一体になったような感じがあった。あれがもしも、適合係数が上昇した事が理由だとすれば……)」
研究室を退出し、廊下を歩みながら翼は考えていた。キャロルの推測には納得できる部分があり、やはり鍵は自身の適合係数にあるのではないか、と。
「……(つまり重要なのはシンフォギアとの、天羽々斬との一体感……それを高めるために、私がすべきことは……)」
翼は自身がすべき事、できる事を一つずつ考えていく。
そしてこの日一日をそれに費やした翼は、天羽々斬との一体感を高めるための特訓を翌日より開始するのであった。
「天羽々斬は友……天羽々斬は家族……天羽々斬は私そのもの……そうか、そういう事だったのか!!」
……あれ、ちょっと変な方向に向かってるような……た、多分気の所為やな!⦅目逸らし⦆
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「ククククリスちゃあ--ん!!! つ、翼さんがおかしくなっちゃったよぉぉぉ!!!」
「あっ、あああ慌てんなバカあたしにまま任せとけっ! こ、ここここういう時は叩けば直るって相場が決まってるんだよ!!」
それから数日経ったある日の実戦訓練……響とクリスは、とんでもない光景を目の前に錯乱していた。
ちなみに彼女達の視線の先に立っているのは風鳴翼なのだが……。
「よし、今の動きは良かったぞ天羽々斬! この調子でどんどん行こう!」
彼女は、自身の持つアームドギアに語り掛けていたのである。それも、すごく良い笑顔で。
「……アタシし~らないっと♪ というかマスタ~、いつもアタシの事大馬鹿者って言いますけど、あれと比べたらよーっぽどマシだと思いません?」
「……⦅遠い目⦆」
【あたしは確信したわ、翼ちゃんは絶対一人にしちゃ駄目】
(思い込みがちょっと激しいからね、仕方ないね⦅悲しみ⦆)
(いや、まだ愚策だと判断するのは早い。もしかしたらこれが最適解かもしれないし……⦅目逸らし⦆)
ちなみにその光景を見せられている金髪幼女の目は完全に死んでいた。『お前は真面な人間だと思っていたのに……』残念ながら、彼女がまた常識人を一人失った瞬間である⦅悲しみ⦆
「少し汚れがついているな……よし、綺麗になったぞ。 ふふ、見違えたぞ」
「……地味に風鳴司令に報告しておくか」
それからも翼の奇行は続く。ある時はギアペンダントをハンカチで拭きながら話し掛けていたり……(発見者:レイア)
「やはり、同じく刃を持つ者同士、お前達のシンフォギアと気が合うのだと私は思うが……お前達はどう思う?」
「???」
「ちょっと何言ってるか分かんないです……」
シンフォギア同士の相性を考えたり……(被害者:切歌、調)
「……」
「どうして翼は、シンフォギアを纏って座禅を……?」
天羽々斬との一体感を高めるためシンフォギアを纏ったまま道場で座禅を組んでいたりと、完全に間違った方向に進んでいた。そして、しばらくの月日が経ち……
「何の成果も、得られませんでした……っ!!!!!」
「うん、分かってたからいちいち報告しなくても大丈夫よ。 それより今日はもう、お家に帰って暖かくして休みなさいな⦅生暖かい視線⦆」
(逆に成果があった方が怖いんだよなぁ……⦅遠い目⦆)
【そうね……】
(SAKIMORIさん……⦅悲しみ⦆)
皆さんも分かっていたと思うが、ご覧の有様である。
「私の考えの何処かが間違っていたのだろうか……それに何故か最近、皆に避けられているような気がするし……キャロルには会う度に謝られるし……」
「……アンタちょっと疲れてるのよ。だから今日はもう帰って、明日からまた頑張ればいいじゃない⦅優しい眼差し⦆」
(ガリィちゃんが優しくするとかよっぽどやぞ!!⦅迫真⦆)
(今回は酷かったねぇ色々と……⦅遠い目⦆)
【皆もそれとなく止めようとしたんだけど、完全にこれが正しいって思い込んじゃってたわね……】
これには流石のガリィも余り深く関わりたくないのか、翼を穏便に追い返す気満々である。
まぁ後は響達がなんとかしてくれるだろうという、完全他力本願な判断であった。
「そうか、そうだな……ありがとうガリィ。今日は休息に努め、明日からまた天羽々斬と共に頑張るとしよう。それでは、また明日な」
「はいはいまたね~……というかまだ続ける気なのね⦅困惑⦆」
(SAKIMORIはこんな事ではへこたれない!)
(そんな事言わず諦めて、どうぞ⦅親切心⦆)
【ここまで来たら好きにさせてあげればいいんじゃない? 皆事情は知っているんだし】
ちなみに翼はまだ諦めていないらしく、奇行を続けるつもりのようだ。
なお、その表情を見てガリィは『最後はマリアかおっさんにぶん殴られて目が覚める、的な感じかしらね』と暢気に予想している模様。
「まっ、今回はアタシは一切悪く無いし……どうなってもし~らない♪」
こうして翼の大幅パワーアップ作戦は悲しくも失敗に終わり、それどころか彼女は色んなものを失ってしまうという結果に終わった。
しかし今後も諦めず、試行錯誤し続ければきっと道は開けるはず、何故なら……。
「ガリィ、信じられないかもしれませんがこれを見て下さい。 こっちが少し前までの翼さんの適合係数、そしてこれが今日計測した……今の翼さんの適合係数を数値化したものです」
「何よ突然?いきなりそんなもの見せられても困る――えっ、なんか全体的に上がってない? 何よこれ怖いんですけど⦅震え声⦆」
(シンフォギアって……⦅遠い目⦆)
【何なん、でしょうね……⦅遠い目⦆】
(今思えば、歌で動いたりビームとかミサイルとか出す不思議アイテムなんだよね……⦅遠い目⦆)
この世には不思議な事がたくさんあり、そしてシンフォギアという存在もその一つなのだから……。
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「ちょっとアンタ面貸しなさいよ調の中で死んだフリしてるんでしょガリィにはまるっとお見通しなんだから!! なんなのよシンフォギアってわけわかんないんですけど気になって夜も眠れない⦅大嘘⦆わよだからさっさと教えないさいよ狸寝入りしてんじゃないわよ老害ババァ!!あ、それと出て来いとは言ったけど勘違いすんじゃないわよ用があるのはアンタが持ってる情報だけつまり調の人格を乗っ取ろうとしたら速攻でマスターがスーパー錬金術でアンタ一人だけ消滅させるわよ分かったわね!」
「ガリィ揺すらないで気持ち悪――うっぷ」
「ガ、ガガガガリィがご乱心デェーーース!!! だ、誰か……誰か男の人来てぇーーーーっ!!!」
(あれだけ死ねって言ってたのに、この熱い掌返しである)
【実際フィーネってどうなったの?】
(いや、流石に原作通り、完全に死んじゃってると思うけど……)
……ちなみに、原作と同じくフィーネはこの時空でも消滅している事を明言しておく。
つまりシンフォギアについての疑問が晴れる日は、遠いという事である⦅無慈悲⦆
次は本編、空港防衛戦書きます。
次回も読んで頂けたら嬉しいです。