ガリィちゃんとわたしたち   作:グミ撃ち

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番外編その二です。

玉座の間で話すだけの回。




番外編その二

 

 

「ガリィ、気付いた事があるんだけど」

 

 シャトーの玉座の間にてキャロルは玉座に座り、四体の人形は待機していた。

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「?? なんダ??」

 

 突如何かに気付いたと言い出すガリィ。しかし仲間達はミカを除いて誰も反応しない。

 何故か、反応したら絶対面倒臭い事になるからである。

 

 

「ガリィ! 気付いた事が! あるんだけど!」

 

 

 だがその程度でこの人形から逃れる事ができるだろうか? 無理です。

 無視された事にイラっとしたガリィは今度は部屋中に響く声で叫んだ。これで聞こえてないとは言わせんぞ…と言わんばかりである。

 

「な、なにかしら、ガリィちゃん…」

 

「そうか…」

 

「ガリィ、うるさいゾ…」

 

「……」

 

 

 流石に逃げきれないと悟ったのか反応してしまうオートスコアラー達。なお、キャロルはガン無視続行中である。

 

「チッ、聞こえないフリしてるアンタ達が悪いんでしょ。マスターも聞いてくださいよぉ」

 

「…」

 

 キャロルは静かに目を閉じた。絶対に関わらないという意思表示である。

 

「マスター…はぁ、そのままでいいんで聞いててくださいね~」

 

 キャロルの説得を諦めたガリィは、続きを話すことにするのだった。

 

 

「ガリィ、気付いちゃったんです」

 

 

 

「最近すーーーーーーっごく頑張ってるのに! 誰も! ガリィを褒めてくれないんですけど! シンフォギアについてまでガリィが調べてるのに!」

 

 

 

(ま~た始まったよ⦅呆れ⦆)

(褒められる以上に怒られる事してるからじゃ無いですかね…⦅事実⦆)

 

 

 ガリィは気付いた。想い出の供給を一人で賄いシンフォギア装者の動向調査までしているのに全然褒められていない事に。確かにガリィは時々お茶目で可愛い悪戯をしてしまう、それは否定しない。しかしそれを差し引いても十分に貢献しているはず、ならばもっとガリィを褒め称えるべきではないか。いや、褒めるべきである。

 

(その口が原因だと思うんですけど⦅マジレス⦆)

(可愛い悪戯⦅被害甚大⦆)

 

 

「え、えーっと、確かにガリィちゃんは頑張ってるわよね。え、偉いと思うわよ」

 

「貢献度はオートスコアラーの中で飛び抜けている」

 

「ガリィは想い出くれるから好きだゾ!」

 

 突然褒めろと言い出したガリィに困惑するオートスコアラー一同であったが、流石に慣れたものである。しかし褒められたにも関わらずガリィは不満気であった。

 

 

「そんな取って付けたように褒められても嬉しく無いのよねぇ…もっと自然に褒められないの、アンタ達?」

 

「えぇ…⦅困惑⦆」

「はぁ…⦅溜息⦆」

「???」

 

 褒めろと言うから褒めたのに一体どうしろと言うのかコイツは。このわずかの時間でミカを除く二人は疲れていた。

 

 

「…ガリィ」

 

 そんなガリィに話しかける者がいた、キャロルである。目を閉じていた彼女であったが、話は聞いてくれていたようだ。

 

「はぁい、なんですかぁマスター」

 

「貴様の戯言に関してだが」

 

 不貞腐れたままの表情で返事するガリィ、対して無表情のキャロルはガリィに向かって話を切り出すのであった。

 

「戯言って…ガリィはこんなに悩んでるのにひどいですよぉ」

 

「確かに想い出の回収に於いて、貴様は貢献している。それは俺も認めてやろう」

 

「えっ、も、もう褒めたってなんにも出ませんよぉマスターってば~」

 

 前が何時だったか思い出せない程久しぶりにキャロルに褒められたガリィ。テンション爆上がりである。

 

(相変わらずのチョロさである)

(前キャロルちゃんに褒められたのいつだっけ…)

(それ以上はいけない、悲しくなる)

 

 

「だが」

 

 

「まぁガリィの役目なんだから当然って言いますかぁ、でもたまには褒めてくれてもいいんじゃないかって……え?」

 

(あっ)

(えっ)

(雲行きが怪しくなってきたんですけど)

 

 

「俺は貴様に『シンフォギア装者の動向調査』など一度も指示した覚えは無いのだが」

 

 

「……………あっ」

 

(はい、解散、お疲れさまでした)

(今日も無駄な時間を過ごしましたね…)

(ガリィが悪いよガリィがー)

 

 そう、そもそもキャロルはガリィにシンフォギアについて調べろなどとは一度も言っていない。この人形は勝手に行動してその事を褒めろと言っていたのである。厚かましいってレベルでは無い。

 

「ガリィちゃん、さすがにそれはちょっと…」

 

「褒める要素、無し」

 

「ガリィ厚かましいゾ! アハハハハ!」

 

 仲間達もこれは流石にフォローできない様子で、ミカに至っては大爆笑である。

 

 

「笑ってんじゃねぇミカ! ちょっと間違えただけだろーが!」

 

(ちょっと…?)

 

 

「大方立花響が原因で続けているのだろうが、奴らに存在を気取られる事だけは許さん。肝に銘じておけ」

 

「…はぁ~い…」

 

 褒められるどころか注意されてしまったガリィ。テンション爆下がりである。

 

 

「げ、元気出してガリィちゃん」

 

「地味に気にするほどの事では無い」

 

「アハハハハ! ガリィ顔真っ赤だゾ!」

 

 仲間の優しさが心に沁みるガリィ、だがそれはそれとして約一体爆笑しているヤツがいる事にガリィはお冠であった。

 

「…ミカちゃ~ん、今からガリィとちょっと遊んでくれないかしらぁ?」

 

「いいゾ!」

 

「表に出なさい。今日のガリィはいつもとは違うんだから!」

 

「確かにいつもと違って顔真っ赤っ赤だゾ! アハハハハ!」

 

「…つぶす」

 

 そう言って玉座の間を出ていく二体。室内にはやっと静寂が訪れるのであった。

 

「賑やかになりましたわね、本当に…」

 

「まぁ、悪い事ではない」

 

「えぇ、私もそう思いますわ。限度はありますけど…」

 

「……」

 

 出て行った二体について語るファラとレイア。それに対しキャロルはじっと二体が出て行った方を無言で見つめていた。

 

「…フッ」

 

 その顔が一瞬綻んだ事に気付いた者は、キャロル本人含め誰一人いなかった。

 

 

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「うぷっ! ずるいゾ! 錬金術は反則だゾ!」

 

「うっさい! 今のアタシはそんだけトサカにきてんのよ!!」

 

「うぅ~! ガリィがズルするなら、アタシもズルするんだからナ!」

 

「危なっ! カーボンロッドは反則でしょうが!」

 

「弱いガリィと違ってアタシはこれ以上弱くできないんだゾ!」

 

「……もう絶対許さない、氷像にしてやるんだから!」

 

「アハハハハ! そんなの当たらないゾ!」

 

 

 後で二人共キャロルに死ぬ程怒られた。なお、ガリィは負けた。(連敗更新)

 

(残当)

(ミカちゃん強すぎぃ…)

 

 

 





次回も読んで頂けたら嬉しいです。



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