ガリィちゃんとわたしたち   作:グミ撃ち

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第百二十八話です。

※今回、原作においてのネタバレが少しあります。ご注意ください。




第百二十八話

 

 

 キャロルは気付いた、気付いてしまった――

 

 

「消耗戦に持ち込んだ上で、この場所に釘付けにする事! それが私達にとって唯一の勝機なワケダ!」

 

「消耗戦……? っ! 成程、そういう事……理解したわ」

 

 

 

「っ!?(ええーっ!? り、理解できちゃったの!?そんなの絶対おかしいよ!!――も、もしかしてこの人も同類なんじゃ……うわああん!類は友を呼ぶってやつなのーっ!?)」

 

 

 パヴァリア光明結社という組織は、自身が想像するよりも遥かに、それはもう遥かにヤベー連中の集まりだった事を……。

 

 

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「はっ、はぁっ……!! みっ、見なよサンジェルマン!この驚いた表情をっ!!」

 

「ええ。どうやらあの錬金術師は、思ったことが顔に出るタイプのようね⦅名推理⦆――そこっ!!」

 

 キャロルは躱す、躱し続ける……プレラーティがブンブン振り回す獲物を、そして――彼女の援護に加わったサンジェルマンが隙を見て放つ、銃撃を。

 

「……狂人が(ばかっ!驚くに決まってるでしょ!――って息!もう息が上がって来てる!? きゅ、休憩!一回休憩した方がいいと思うよ!!)」

 

「狂人だと!? そんな事、わざわざ言われなくとも重々承知しているワケダ!!」

 

「例え狂っていたとしても!理想の世界を実現するために私達は、戸惑いはしない!!」

 

 勿論キャロルからすれば二人の攻撃など、例えスマホで音ゲーをプレイしながらでも楽々と回避できる程度のものに過ぎない。

 しかし、だからこそキャロルは理解できなかった……何故、彼女達はここまで必死になっているのかを。そしてその体中から溢れるガッツは、一体どこから湧いてきているのかを……。

 

 そんな事を考えていたキャロルだったが、彼女は気付いた――

 

 

「理想の、世界だと?(理想……ん~?パヴァリアが世界を支配するのが理想、って事なのかな?……うーん、なんか違う気がするなぁ)」

 

 

 キャロルが言い放った『狂人』という言葉……その意味を取り違えたサンジェルマンが一つ、口を滑らせてしまっていた事に。

 そう、『自分たちの目的が、理想の世界を実現するため』という言葉を、明確な目的を示す言葉を彼女は言い放ってしまっていたのだ。

 

「ぜっ、ぜぇ……そうだ! サ、サンジェルマンは崇高な理想を実現するためだけに、ここまで頑張ってきたワケダ!!」

 

「穴倉に引き籠っていただけのお前は知らぬのだろう……この世界にどれだけの不条理が、理不尽が溢れているのかを……!」

 

「……戯言を(い、今は引き籠りじゃないし友達だっていっぱいいるもん!――じゃなくて!この人達、本気で何仕出かそうとしてるの!?)」

 

 サンジェルマンが語る、何万人もの人間を殺害しエネルギーへ変え、それを用いる事で実現する理想の世界……既にもうこれだけで嫌な予感が右肩上がりだが、その上まだティキという人形と不死身の怪物、極めつけに全裸の変態紳士という不気味な存在が残っているという有様である。

 それらを踏まえると…… 『やばい』 キャロルはこの段階でそう確信した。

 

「戯言だと!? 多数の犠牲を生み!長い時間を掛けた私達の想いを……馬鹿にするなぁ!!!」

 

「誰に何を言われようと、私達が止まる事は無い! そして人類は……支配からの脱却を果たすのだ!!」

 

「……(支配からの脱却!?そ、壮大だなぁ……えっと、つまりこの人達は、世界のルールを変えようとしている、のかな? うーん、もうちょっと聞かないとわかんないや……よし、それなら――)」

 

 そんなやばい連中認定されたサンジェルマン達だが……何故か自分達の計画について、ペラペラとネタばらしを始めていた。というかほとんど無言(表向きは)のキャロルに対し、二人だけが盛り上がって喋り続けているという意味不明な状態である、怖い。

 

 ……ちなみにこのサンジェルマンという女性、原作の方でも目的のネタばらしを行っている。

 具体的な例を上げると、まだ中盤なのにも関わらず『バラルの呪詛』という最重要ワードをあっさりと言ってしまったりと、それはもう酷い有様としか言いようがない状態である……心の奥底で誰かに聞いて欲しかった、そして止めてほしかったのでは?というのは考えすぎだろうか。

 

「っ!?(動きが止まった!?)――――もらったワケダぁ!!!」

 

 しかしここで、親切にネタばらしを続けていたプレラーティに、千載一遇の好機が訪れる。

 なんと、回避に徹していたキャロルが突然、その動きを止め棒立ちになったのだ。

 ……普通なら罠を疑ってもおかしくない状況だがこの時、プレラーティは疲れと焦りにより正常な判断ができなくなっていた。

 故に――何の躊躇も無く、飛びついてしまう。

 

 

「っ!? 戻りなさいプレラーティ!!」

 

 

 最早勢いづいた彼女に、静止の声は届かない。いや気付いたとしても、既に遅い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……軽いな(つーかまーえた!――さーて、ついでに解析しちゃうよ~!)」

 

 

 

「っ!? はっ、離し――な、なんで抜けな――どうなっているワケダ!?」

 

 

 

 何故なら、キャロルが展開した障壁に触れた瞬間……プレラーティが持つ獲物の所有権は、彼女のものでは無くなったのだから――しかし彼女が、その理解不能な現象に気付けるはずもなく――

 

「何をしているのプレラーティ!!そこから離脱しなさい!!」

 

 そして、サンジェルマンも気付くことができない……そう、『武器を制御され、所有権を一瞬で奪われる』などという、悪夢のような現実に。そして――

 

 

 

「ティルフィング!!この錬金術師を殺すための力を、私によこせぇ!!!」

 

 

 

 見えなければ見えないほど、人は足掻く。だからこそプレラーティは、奥の手である二度目の……実質的に最後の願いを、躊躇無く使用した。

 

「なっ!? 何をしているの、プレラーティ!!」

 

 その光景に驚愕したのは、状況が飲み込めていないサンジェルマンただ一人のみ。

 そう、もう一人の小さな錬金術師……彼女にとって、プレラーティの切り札は――

 

 

 

 

 

 

「――――今、何かしたか?(ふ~ん、こうなってるんだ~。 うーん、ダインスレイフより超使いやすい代わりに、爆発力は皆無って感じかな? 初心者にはオススメだねー!)」

 

 

 

 

 

 

 

「うご、かない……? なんで、からだ、まで……!」

 

 

 

 

 ――もー、戸締りはちゃんとしなきゃダメだよー? じゃないとこんな風に、こわーい空き巣に入られちゃうんだからね!――

 

 

 

 

 誤差で……いや、誤差ですら無かったのだ。

 

 

 

 

「うごけ!!うごけうごけうごけうごけぇっ!!!」

 

 

 

 今、ティルフィングの特性による二回目の願いにより、プレラーティの力は大幅に上昇している。

 ……そう、大幅に上昇しているのだ。それこそ一時的にイグナイトを凌駕するくらいに……だが――

 

 

「動かない、ですって……? あ、貴方は……プレラーティに何を……何をしたと、言うの……?」

 

 

「……玄関が解放された家屋を見つけたが故、悪の組織の首領らしく空き巣に入らせてもらった(んー、このままじゃ可哀想だし、ちょっとだけ手伝ってあげよっと!と、いうわけでちょちょいのちょいっと♪――はい、上手に出来ました!⦅キャロルがハッキングできないとは言っていない⦆)」

 

 

 身動き一つ取れない状態では、何の意味も無い――いや、例え動けていたとしても……。

 

 

「な、何のつもりなワケダ……こんな――」

 

「貴様等の戯言に少々、興味を抱いたのだ。そう――支配から脱却した世界、それを教えてもらいたくてな(そういえば、あの人形って結局なんなんだろう? どう考えても戦闘用って事は無さそうだし……もしかして、何かの為に必要な生贄とか触媒、の類なのかな?)」

 

 ま、まあそんな悲しくなる考察は置いておいて、プレラーティはキャロルの行動の意味が理解できなかったのだが……なんと彼女はサンジェルマン達の目指す理想、その内容が気になっていると言い出したのである。

 

「空き巣だと……それに、私達の理想に興味を持った? 私達の敵である、お前が?」

 

 もちろんこれにはサンジェルマンを驚愕を隠せない。一体、このゴジ――ではなく錬金術師は、どういうつもりなのだろうか。

 

「然り……貴様はもう忘れたのか? 私も錬金術師……知識を求める探究者だという事を(そう、駅前のパフェやアイスクリーム、他にも公園のたい焼き、商店街のドーナツ屋etc……私はその制覇を目論む悪い錬金術師!!ちなみに次は調ちゃん切歌ちゃんとドーナツ屋に行く予定です!楽しみ!だから今日で終わってくださいお願いします!)」

 

「……知識を得る……そうか、そうだったわね」

 

 実はキャロルの本音については『やべー奴がやべー事考えてるから知っておかなきゃ!』というものなのだが、それを勿論口に出すわけにはいかないので彼女は、適当にペラを回し情報を引き出すことにしたのである。

 ……あれ、この行動……誰かに似ているような……いや、きっと気の所為に違いない(思考放棄)

 

「追い込まれている身で随分と、余裕を見せてくれるワケダ……!」

 

「……否定はしない(私、余裕なんて全然無いのに……今すぐ響ちゃん達を迎えに行きたいくらいなんだけどなぁ……」

 

 一方、それを聞いたプレラーティは、キャロルが自分達を舐め腐りきっていると思ったようだ。故にその表情は不快感で溢れ、悔しそうなものになっていた(なお、今も体の自由は全く効かないままである)

 

「……プレラーティを解放しなさい。そうすれば私達の軌跡を、少しだけ話してあげる(プレラーティの命は今、キャロルの機嫌一つで奪われる状態にある……それを見過ごす事ができるはずがない!)」

 

「……いいだろう(えっ、話してくれるの!? いいよいいよ!それならいくらでも解放してあげる!なんならサービスでファウストローブのパワーアップもしてあげちゃう!!⦅歓喜⦆)」

 

 そんな膠着状態を破ったのはサンジェルマン。なんと彼女は、プレラーティの解放を条件に要求に応じると言い出したのだ。

 ……実はサンジェルマンという女性、数万人を殺害した殺人鬼であると同時に……すっっっっごく仲間想いなのである!!

 よって彼女はプレラーティの命が助かるのなら、世間話ぐらいいくらでも、なんならネタばらしだってする覚悟を持っていたのだ。

 ……誰かに聞いて欲しかったわけでは無い、はず⦅目逸らし⦆

 

 

「っ!? う、動くようになった……?サンジェルマン!!」

 

 

 と、いうわけでプレラーティは解放され、生きてサンジェルマンとの再会を果たした。つまり、最早サンジェルマンは話す必要など――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――私は、奴隷階級に位置するおかあさ――母の元に生を受けた」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……(あっ、ホントに話してくれるんだ――って生まれた時から!?も、もしかして長編ドラマなの!?〇曜ロードショーなの!?)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 微塵も無……あっ⦅察し⦆

 

 

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「ねえアダム~」

 

「……ん? なんだい、ティキ」

 

 パヴァリア光明結社統制局長、アダム・ヴァイスハウプトと自動人形ティキは、依然その場に残り戦場を眺めていた。

 

「帰ろうよ~! あんなのに手古摺るサンジェルマン達なんて、もう捨てちゃえばいいのに!」

 

 ただし、その原因はティキでは無い。何故なら彼女は、既に撤退をアダムに進言しているのだから。それも、何度も。つまり、ここに彼らが留まっている理由は――

 

「……聞けないな、そのお願いは……待っているのさ、僕は」

 

「???」

 

 何かを待ち望んでいる彼――アダム・ヴァイスハウプトに他ならない。

 

 

 

 

 

 

「……そう。待ち望んでいるんだ、僕は――――」

 

 

 

 

 

 

 ――チャンスを、ね――

 

 

 

 

 

 

 戦いは、続く――

 

 





- 感想を書いて頂いている読者さんへ -

主役もシンフォギアも出て来ないような小説にいつも感想を書いて頂き、本当にありがとうございます。
そして現在の状況ですが、作者が唯でさえ少ない脳味噌を全部、小説執筆に注ぎ込んでいますので感想返しが行えていません(勿論感想は全部読ませて頂いてますし、読んで笑ったりしてます)
とりあえずAXZが完結するまではこのような酷い調子になると思いますので、それでもいいというガリィと正反対の菩薩のような方は今まで通り、感想を書いて頂ければ作者は死ぬほど嬉しいし喜びます。

次回も読んで頂ければ嬉しいです。


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