ガリィちゃんとわたしたち   作:グミ撃ち

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第十三話です。




第十三話

 

 

≪なーんにも起こんないわね、ここ最近≫

 

(クリスちゃんがケガしちゃったからねぇ)

(今までが異常だったのでは?)

 

 響の暴走、そして了子ことフィーネの登場から一週間が経った。ガリィは私立リディアン音楽院を視界に入れながら退屈そうに謎の声達と話しているのであった。

 

≪とはいえマスターの命令だから続けるしかないのよねぇ…≫

 

(まぁ監視役には普段から街に出てるガリィちゃんが適役だし)

(むしろこれで堂々と原作通りに進むか確認できるからいいじゃない)

 

 ガリィはフィーネを確認した次の日、マスターであるキャロルから「二課、及び立花響含む装者の監視」の命令を受けていた。

 その日に何か動きがあればシャトーに帰還後キャロルに報告するのが仕事なのだが、間が悪いことにこの一週間はクリスどころかノイズの一体すら出現する事は無く、ガリィはうんざりしていたのである。

 

≪響ちゃんは元気があっていいわね、ガリィも並走して元気分けてもらおうかしら≫

 

(不法侵入やめろ)

(暇潰しで原作ぶち壊すのやめて)

 

 ガリィは現在、リディアン音楽院のグラウンドに備えられているトラックを走る立花響と小日向未来を見ていた。

 

≪顔強張らせちゃってまぁ。元気すぎるのも考えものね≫

 

(もっと頑張らなきゃ、って考えてたんだっけ?)

(デュランダルをクリスに思いっきり振り下ろしちゃったから気にしてるんだよ)

 

 程々の所で息を切らし止まる未来であったが、響は顔を強張らせ未来を追い抜いていく。自分を追い抜いていく響の背を見つめる未来の視線は、不安と寂しさが混じったような物だった。

 

≪友達を置いて行っちゃうなんてひどい事するのねぇ。小日向未来のあの不安そうな顔見なさいよ、いつ爆発するかガリィ超楽しみなんですけど≫

 

(爆発する時は神獣鏡装備でシャレにならないんだよなぁ…)

(愛が、重いからね…)

 

 ぐだぐだと話すガリィ一行。本日も結局ノイズの襲撃は無く、シャトーに帰還するのであった。

 

 

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「マスタ~、ガリィもう退屈で死にそうなんですけど~」

 

 シャトーに帰還したガリィは早速キャロルに不満をぶち撒けていた。もう一週間も響の周囲を監視しているのだが、全く何も起こらない。響はリディアンに入学してからはイジメも無く平和に過ごせているので、見ているガリィは退屈であった。

 

「嵐の前の静けさ、という事も考えられる。よって監視は継続する」

 

「はぁ…分かってますよぅ、言ってみただけですー。それで、あの女について何か分かりました?」

 

 この一週間、キャロルとオートスコアラーは櫻井了子について調査していた。何か進展はあったのだろうか。

 

「未だ調査中ではあるが、幾つか分かった事がある。ファラ」

 

「はい、マスター。櫻井了子についてですが、経歴については真っ白。聖遺物についての天才研究家として名を馳せています」

 

 キャロルに声を掛けられたファラが調査で判明した事を語り始める。最初に語ったのは櫻井了子の経歴には黒い所は無く、高い名声を得ているという事だった。

 

「じゃああの妙ちくりんな力は何? 明らかにヤバい奴じゃない」

 

「問題はここからですわ。私立リディアン音楽院の地下に建造されている二課の本部、その管理を一人で取り仕切っているのが櫻井了子です。もしこの女が反旗を翻した場合、二課のシステムは簡単に掌握されてしまうと思われます。」

 

「はぁ、バカじゃないの? お偉いさんは何考えてんのよ」

 

 現在の二課において櫻井了子の仕事は「本部システムの管理」「聖遺物の研究」「装者達の健康管理」など多岐に渡っており、仮に彼女が離反すれば二課の機能は麻痺するどころの騒ぎでは無くなる。

 では何故彼女一人にここまで任せているのか。答えは簡単、『彼女にしかできない』からである。

 

「奴にしか出来ぬからだ。そう、奴は聖遺物や装者について詳しすぎる」

 

「マスターはあの女の目的とか分かります? ガリィにはさっぱりですよぅ~」

 

「分からん。が、二課に潜伏し本部の管理を牛耳っているという事は、いざ事を起こす際に二課そのものを利用する必要があるのやもしれん」

 

 キャロルが考えていたのは、桜井了子が二課に潜伏している理由。それはいざ行動に移る時に二課そのものを利用するためでは、という事だった。

 

「話を戻しますね。これは櫻井了子と関係あるのかは不明ですが、米国政府が妙な動きを見せています。聖遺物関係の予算に不明瞭なものがあり、更にそれを巧妙に隠蔽しているようです」

 

「うわ、クッソ怪しいじゃない」

 

「ファラはこの金の流れを調べよ。大蛇の巣に繋がっている可能性がある」

 

「命令、賜りましたわマスター。継続して調査いたします」

 

「あの妙な力については不明。だが奴が聖遺物に詳しすぎる事からも聖遺物とは無関係では無いだろう。こちらも継続して調査する」

 

「はぁ~い、今日はこんな所ですか。全く厄介ったらありゃしませんねぇ」

 

「あぁ、後は各自自由でいい。ファラも調査は明日からで構わん」

 

「はい、マスター」

 

 調査継続の指示を出すキャロル。今日の会議は終了、調査は明日から再開する事に決まった。

 

「…レイアちゃんとミカちゃん、一言も喋らなかったけど大丈夫?」

 

「話す必要が無かったからな」

 

「アタシ、全然分からなかったゾ…」

 

「まぁミカちゃんはいいんじゃない、戦闘で頑張れば。それじゃ、ガリィ失礼しま~す」

 

 そう言うと玉座の間を退出するガリィ、作戦会議の時間である。

 

 

≪ちょっと、マスターかなり核心に近づいてるんじゃない?≫

 

(う~ん、微妙な所かな。調べ終わる頃には全部終わってるかも)

(それにキャロルちゃんも介入するとは限らないでしょ、二課に任せるかも)

 

 ガリィはキャロルの調査が進んでいる事に少し不安を覚えていた。

 もしキャロルが核心に至りフィーネと対決するなんて事になれば、ガリィの計画が全て崩れてしまう事になるからである。

 

≪その二課が頼りないから怖いんじゃない。頭お花畑に陰気女に体操のお姉さん⦅後日加入⦆でしょ? 超不安なんですけど≫

 

(それキミが言ってるだけなんだよなぁ)

(皆実力はあるから…)

(翼さんはそろそろ立ち直る…はず)

 

≪ま、不安だけど任せるしかないわね。それより明日からも退屈な事の方が問題よ…≫

 

(もう一週間だしそろそろ動いてもおかしくないけど…)

(ま、気楽に待つしかないわな)

 

≪他人事だからってアンタ達…≫

 

 明日もまた退屈な日々が始まる。それを想像したガリィは肩を落としシャトーの廊下を歩いて行くのだった。

 

 

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 翌日、ガリィはいつも通り街を見渡していた。ただしその表情は非常に退屈そうなものであり、ガリィは頬杖をついて両足をプラーンとしていた。全くやる気を感じない態度である。

 

≪あ~~、雑魚すら出て来ないじゃない。出し惜しみしてんじゃないわよ全く≫

 

(相手にも都合があるからね、しょうがないね)

(…ガリィちゃん、アレ!)

 

 謎の声に反応してガリィが顔を上げると、空を駆けるネフシュタンの鎧を纏った雪音クリスが見えたのだ。

 

≪や~~っと出て来たのね。アンタ達、行くわよ≫

 

(はいよ~)

(バレないように慎重にね)

 

 ガリィはクリスを追いかけるためビルから跳躍する。しかしその表情は不満気であり退屈そうなままであった。

 これが後にガリィの悪い癖が出る原因になるのだが、今はまだ謎の声達もそれには気付いてはいない。

 

 

 ガリィが現場に着くと戦闘は既に始まっており、森の中でクリスと響が激しく戦っている所であった。

 現在の戦況は響が著しい成長を見せ、クリスの腹に一撃を叩き込むなど戦いを優位に運んでいた。

 

(ガリィちゃん、ビッキーすごい頑張ってる!)

(成長速度が半端無い、流石主人公だわ…)

(あれ、ガリィちゃん?)

 

 謎の声達がガリィの様子がおかしい事に気付く。ガリィは笑っていた。

 

(あっ、これは響ちゃんの時の…)

(今回のターゲットは…まさか)

(ずっと退屈だったから限界だったのか…。読めなかった…この私達の目をもってしても!!⦅節穴⦆)

 

 ガリィの視線の先には、一人の少女が涙を流し立ち尽くしていた。

 

 

「あんなに泣いちゃうなんて、きっと辛いことがあったんでしょうねぇ♪」

 

 

(あっあっあっ)

(もうダメだぁ…おしまいだぁ…)

(翼さんの見せ場が…)

 

 ガリィは懐に忍ばせてあった伊達眼鏡を装着すると、ある場所に向かって駆け出すのだった。

 

 

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「響!」

 

 

 学園からの帰り道、親友の事を考えていた未来はこちらに向かって駆けて来る響を見つけた。

 ちょうど頭の中で考えていた親友の姿を見ただけで嬉しくなった未来は、響に笑顔で手を振り、その名を呼んだのだ。

 

「何してるの?」「もう用事は済んだの?」

 

 そう未来は声をかけようとしたのだが、響の様子が明らかにおかしい。何かあったのだろうか、そう考えた未来は響に向かって駆け出した。しかし

 

 

「来ちゃダメだ!!!」

 

 

 次の瞬間、未来の体を衝撃が襲った。

 なんとか軽傷で済んだ未来が顔を上げると、その瞳には自分に向かって落下してくる車が写っていた。

 

 

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 響の歌声が聞こえた、そのすぐ後に響が車を殴り飛ばした、そして響はそのままどこかへ行ってしまった、響は鎧のようなものを纏っていた。

 

 わけがわからない、あたまがぐちゃぐちゃでわからない

 

 何もわからないままふらふらと響が駆けて行った森の方へ歩き出す。でもすぐに柵に体を阻まれてしまった。

 

 どうして? どうして? 答えを知っている親友は行ってしまった。

 

 呆然と立ったままの私、気付けば涙を流していた。

 

 

「響…」

 

 

 親友が何か隠しているのは分かっていた。あの子は隠し事が下手で、付き合いの長い私はすぐに分かってしまう。

 でもいつか話してくれると思っていた。そもそも大変な事に巻き込まれているなんて想像もしていなかった。

 どうして話してくれなかったの? 私が頼りないから? 役に立たないから? 巻き込みたくないから?

 

 何が悲しいのかも分からないのに涙は止まらなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「お姉さん、どうして泣いているの?」

 

 

 

 

 

 

 

 お、新キャラかな?

 

 

 





次回も読んで頂けたら嬉しいです。


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