ガリィちゃんとわたしたち   作:グミ撃ち

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第百三十六話です。エンディングが遠い(白目)




第百三十六話

 

 

「ふ~ん、ユニゾン特訓ねぇ……」

 

「全員、一発合格だったのデス!」

 

「司令さんも、驚いてたんだよ?」

 

(えっ、ユニゾンってザババコンビ以外でも使えるの?)

(三期の一話とかキャロルちゃんと三人⦅響、翼、クリス⦆が戦った時とか、あれも実質ユニゾンみたいなもんだし)

(一期の最後、月を破壊した時もじゃない? 三人で歌を合わせてたし)

【つまり威力の違いはあれど、どんな組み合わせでも使えるようになっている、って事なのね】

 

 キャロルとエルフナインによる、深淵の竜宮潜入作戦が決行される日の夜七時過ぎ……ガリィは自宅へと帰り、同居人達+αと食卓を共にしていた。

 ちなみに今日の話題はユニゾン特訓……まあ簡単に言うと、装者同士が息を合わせてパワ-アップ!できるようにするための特訓なのだが、その結果は見事に全員合格だったようだ。

 

「……なーんか反応薄いな、お前」

 

「いや、ぶっちゃけ意味あるのそれ? だってサンジェルマン達が相手ならともかく、あの変態相手じゃ焼け石に水じゃない?」

 

「そ、それは……正直、否定できないデスけど」

 

「イグナイトが使えない中で、司令さんが一生懸命考えてくれたのに酷いよガリィ……」

 

(原作の方ってさ、多分キャロルちゃんいないんだよね? で、原作の方の敵もパヴァリアだったと仮定して……どうやってあの全裸の紳士を倒すの?無理じゃない?)

(イグナイトが普通に使えたんじゃね? で、その状態でユニゾン!敵は死ぬ!みたいな⦅適当⦆)

(後は……なんやかんや限定解除できるようになって、ぐらいしか思いつかないかなぁ)

【ミカちゃんが軽くあしらわれてる以上、イグナイト+ユニゾンだけだと厳しいんじゃないかしら?】

 

 しかし、その快挙を素直に称賛できない者が一名……そう、ガリィである。

 どうやら彼女は、ユニゾンでいくら強化したところで誤差じゃね?と思っているようだが……まあ相手があのアダム・ヴァイスハウプトなので、そう思っても仕方ないのは確か――なのだが、明らかに褒めて褒めてオーラを出していた年少組は若干しょんぼりである、可哀想。

 

「いやいや実際無意味でしょ。六人揃ってユニゾンするならまだしも、今の状況じゃ三人でのユニゾンが限界なんだし……まさかあのおっさん、マスターのやろうとしてる事に気付いてるんじゃないでしょうね……?

 

「六人でユニゾンって……ネフィリムの奴を倒した時みたいな感じか?」

 

「ええ、そんな感じなんだけど、通常状態のシンフォギアじゃそもそもの出力がねぇ……六人でも微妙なんじゃない?」

 

「……つまり結局、限定解除に頼るしかないって事だよね?」

 

「でもダウルダブラが無くなっちゃったせいで、それも難しくなってるって話を聞いたデス……」

 

「まっ、それは仕方がないわね、頑張ったマスターを攻める事はできないし……そう、うんともすんとも言わないどっかのイグナイトさんとは違ってね~♪」

 

(あっ、存在忘れてたわ⦅煽り⦆)

(というかイグナイトモジュールさん何やってんすか長期休暇すか?早く復活しないと全部終わっちゃうんですけど?⦅半ギレ⦆)

(リンカーについてはかなり進展してるってのに、イグナイト君さぁ~)

【異常及び故障は全く無し……本当にどうなってるんでしょうね?】

 

 そんな年少組に気付きつつスルーするガリィちゃんだが、彼女がユニゾン特訓を無駄だと思う理由は他にもあった。その理由とは――シンフォギア装者個々人の力が不足している事である。

 ……まあガリィが言いたいことを詳しく説明すると、『イグナイト君がサボってる所為で~、ユニゾンしても大したパワーが出ませーん、はい戦犯!』といった感じである。

 

 

「イグナイトモジュール、なぁ……おーい、早く復活しねーと忘れちまうぞー?」

 

「せっかく頑張って呪いを克服したのに……これじゃ宝の持ち腐れデス!」

 

「……力を貸してくれないのには、何か理由があるのかな……?」

 

「はいはい、そんな役立たずなんてどうでもいいでしょ。それより早くご飯食べなさいな」

 

(何か……故障とかでは無く、もっと根本的な所で我々は勘違いをしているのかも……?)

(ちょっと軍師~、抽象的かつ意味深な感じで言われても困るんですけどぉ~)

(そうだよ⦅便乗⦆)

(ヒントがあるとすれば、イグナイトモジュールが響さんに力を貸した時……あの時の状況はどうだった?六つのシンフォギアが一つに統合し、魔剣ダインスレイフの欠片も――)

【……聞こえてないわね、これは。しばらく待ちましょうか……】

 

 と、いう感じで気付けばイグナイトモジュールをディスる会になっていた食卓だが……そんな事より今は御飯である、おいしい!

 ……こうして夜は更けて行くのでした。

 

 

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「そうか……流石のキャロルでも、新たなファウストローブを製作している程の余裕は無いというわけだな」

 

「ああ。私達の所為で失った穴埋めに、新たなファウストローブの材料を提供しようと考えたワケダが……」

 

「まっ、渡すにしろ落ち着いてからって感じね~」

 

「アダムは恐らく、既に人手を集め始めているはず……猶予はそう長くないでしょうね」

 

「……(数日内にリンカーが完成すれば、私達三人も戦う事ができる……エルフナインに負担を掛けすぎているのは分かっているけど、奇跡を願わずにはいられない状況ね……)」

 

 一方、同時刻……S.O.N.G.潜水艦内の一室では、元パヴァリア幹部の三人と翼、マリア、そして響が雑談を交わしていた。

 

「……くぅ……」

 

「立花……?」

 

「やけに静かだと思っていたら、お疲れだったワケダ」

 

「あら、気持ちよさそうな寝顔しちゃって可愛い~☆」

 

「……無理して私達に会いに来なくていいと言っているのに……」

 

「この子、言い出したら聞かない頑固なところがあるのよ……それが長所でもあるんだけどね」

 

 なお、既に響は夢の中にいるようだ。先程までシンフォギアの話をしていたためか、彼女はギアペンダントを握りしめたまま、気持ちよさそうに寝息を立てていたのである。

 

「そう……本当、変わった子なのね、貴方」

 

 その後、彼女を起こさないように小声で会話しながら、彼女達は響の寝顔を見守るのであった。

 

 

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「エルフナイン」

 

「はい、準備はできています」

 

 

 

「いざ」

「深淵の竜宮へ!」

 

 

 

 ――これは、二人の金髪幼女による困難への挑戦、その記録を記したものである

 

 

 

 -  一日目  -

 

 

「あ、あの青い悪魔は本当に来ていないんですね!?……ふ~、それで私に何の御用ですか?」

 

「単刀直入に言わせてもらおう……リンカーの生成について、博士からの助言を頂きたい」

 

 時間は午後十時過ぎ……深淵の竜宮最深部というステージで、二人の金髪幼女による交渉が開始された。

 なお、キャロルが設定した初日の目標は、『ウェル博士に資料を渡し、読んでもらう約束をする』である。

 

「なんですか不躾に……ん~?君の方は見覚えがありますがもう一人は……双子ですか?」

 

「はい、ボクとキャロルは双子みたいなものです(話を脱線させないように、気を付けないと!)」

 

「話を戻させてもらうが、リンカーの生成作業において、ここにいるエルフナインは完成寸前にまで漕ぎ着けていた……が、後一歩の所で頓挫してしまい、我々はこうして博士に助言を求めているという訳だ」

 

 なお、開始時点での博士の初期好感度は……なんと、まさかの大幅プラスである。嘘やろ……?

 ちなみにこのウェル博士、過去にガリィにより殴られまくった挙句、研究チップを盗まれるという被害に遭っているのだが……では、ガリィがやらかした分の大幅マイナスを、一体誰が補っているのだろうか……その答えは、ずばり――

 

 

『おっちゃん!遊びに来たゾ!!』

 

 

 そう、ミカ・ジャウカーンである。

 実は彼女、何故かウェル博士の事が気に入ったらしく週に二、三回の頻度で博士の元に遊びに来ているのだ。

 しかもどういうわけか博士の方もミカと波長が合ったらしく、気付けばかなり仲良くなり、その結果……ガリィのやらかしを余裕でカバーするくらいの好感度を稼ぐことに成功したのである!ミカちゃんマジMVP。

 

「はぁ?この子供が、リンカーの開発をぉ? しかもあと一歩の所までぇ?」

 

「申し訳ありませんが、ウェル博士のデータチップを使い研究させて頂いていました。えっと……信じてもらうために、今日はボクの研究資料を持って来ています。質問などにも答えられますので、気になる事があれば、なんなりとどうぞ」

 

「ふぅむ……あれを用いたところで、短期間で辿り着けるようなものではないのですがねぇ」

 

「それだけエルフナインは努力を重ね……そして同時に、チップ内のデータを製作した貴方が有能だったという事だ」

 

「そう言われて嫌な気はしませんが、とりあえず見てみない事には交渉にもなりませんからねぇ、どれどれ……」

 

 そんなミカちゃんの活躍により、話を聞いてくれる段階までの経過時間は僅か五分というタイムを叩き出し、更にそこから書類を見てもらうまではなんと……三十秒という、まるでRTAを思わせる程の短時間である、ミカちゃんマジ英雄。

 

 

「……今日はここまで、だな(まあ、初日はこうなると思っていたが……)」

 

「ああ、そうですか。資料は読んでおきますので、また明日にでもどうぞ」

 

「はい、また明日来ますね……(頑張って纏めたんだけど、それでも百枚以上だもんね……)」

 

 

 なお、書類が多すぎたため初日はここで終了な模様。

 と、いう事で初日を終えた結果、上々の滑り出しをする事ができたチーム金髪幼女、であった。

 

 

 

 

 -  二日目  -

 

 

 

「この部分のアプローチは、どのように――」

 

「えっと、これはですね……マリアさんが戦闘中に――」

 

 

「……(研究者を掛け合わせれば、やはりこうなるか……)」

 

 

 二日目は開始早々から質疑応答の時間である。これについてはキャロルも予想していたので、特段驚きは無く今の所は想定通りに進んでいるようだ。

 

「ふっ、君が研究者だというのは確かなようですねぇ……」

 

 

 

 

 ――では、交渉に入りましょうか

 

 

 

 

「……まずは、博士が私達に求めるものを提示して頂きたい」

 

「内容次第では、上層部に届ける事も可能です。叶うかは別ですけど……」

 

 そして二日目、午後十一時三十分……ウェル博士との本格的な交渉に突入する。

 キャロルの想定ではここまで最低三日は掛かると考えていたため、内心二人はウッキウキである。やっぱミカちゃんは最高やな!ガリィ?知らない子ですね⦅無表情⦆

 

「ここの生活も慣れてきましたが、やはり退屈なんですよ」

 

「……その左腕を元に戻さぬ限り、釈放や司法取引については論外だと言っておこう」

 

「ええ、そうでしょうね。では君はどうします?諦めますか?」

 

「左腕を分離する手段に当てがある。だが、現状では絶対安全と言えるような代物ではない」

 

「ふむ、合格ラインに届くのは?」

 

「二年……いや、三年は欲しい。そして完成した際は、研究データを全て博士に開示する事を約束する」

 

「ですが、完成を待つ余裕は無く君は今すぐ助言が欲しい……違いますか?」

 

「……その認識で間違っていない」

 

「では今すぐ僕を力尽くで地上に連れ出す、という事は可能ですか?」

 

「不可能ではないが、貴方が目指す英雄の座は遠のき、代わりに裏表を問わず世界中の組織から追われる事になると思うが……博士、実は分かっていて聞いているだろう?」

 

「ええ、勿論。今の間に考えを纏めているんですよ」

 

「……上層部からの承認を得られれば、証文くらいは用意するが……所詮は出世払いの口約束に過ぎない事も分かっている。だが、それでも――」

 

「……(ここで僕が拒否したとしても、待っているのはこの子供が研究を完成させるか、もしくは完成させずに乗り越えるか、こいつらが破滅するかの三択、ですか……)」

 

「お願いします!ボク達に博士のお力を貸してください!」

 

 そして日付が変わる寸前まで、キャロルとウェル博士の話し合いは続いた。

 キャロル側が提示するのは、将来的にウェル博士を『人』へと戻し、その後の司法取引の約束を上層部に取り付ける事。

 対するウェル博士は、彼女達との交渉に乗った場合のメリット、デメリットを脳内の天秤にかける作業……なのだが、実はこの交渉に乗った場合においてウェル博士側のデメリットは皆無である。

 何故なら――

 

 

 交渉に乗った場合 → 三年で地上に出れる可能性がある上、司法取引の場に立てる。ただし確実ではない。

 交渉に乗らなかった場合 → ウェル博士の生活に何の変化も起こらない。つまりずっと海の下。リンカーについてはエルフナインが一人で完成させる事になる。

 

 

 といった風に交渉に乗らなかった場合、文字通り地の底から脱出できる可能性が消滅してしまうのだ。

 故に――

 

 

 

「いいでしょう。君達が上層部の首を縦に振らせる事ができたのなら、もう一度この場所に来なさい。おっと、契約書は忘れずにお願いしますよ?」

 

 

 

 ――彼は、リスクの無い賭けに乗った。

 

 

「えっ……あっ、ありがとうございます!」

 

「承知した。既に上層部の一部には、個人的に話を通している所だが……早急に話を纏め、条件の提示に訪れよう」

 

 

「そうですか。では、私は気長に待っているとしましょう」

 

 

 こうして金髪幼女二人組はウェル博士との交渉を二日という短期間で纏め、地上へと帰還する。

 だが、この二日の間に準備を整えていたのは彼女達だけではない。果たしてキャロルとエルフナインは、彼が再び日本へ襲来する前に、リンカーを完成させる事ができるのだろうか……。

 

 

 

 

「弦十郎さん、まだ起きていますか?」

 

「あ、ああ……どうした、こんな時間に?」

 

「えっと……少し内緒の話なので、その……」

 

「……どうやら込み入った話のようだな、入ってくれ。ただし、寝る前にコーヒーは出さんぞ」

 

「はい、ありがとうございます!」

 

 

 

 弦十郎が口に含んだお茶を派手に噴き出すまで、後三分……。

 

 

---------------------------------------------------------------------------------------------------

 

 

 ――夢を、見た

 

 

『たっちばなさんっ! おっはよ~!』

『おはようございます、立花さん』

『今日も遅刻寸前ギリギリセーフだねー、響ちゃん』

 

 

 中学生時代の制服を着た私が、友達と朝の挨拶を交わしている。

 ……覚えてる。これは『あの日』から多分、一か月くらい前……あはは、懐かしいな。

 

 

 ――『そう、これはツヴァイウイングのライブが開催された日から、ちょうど一か月前の出来事』

 

 

『たっ、たちば――』

『ちょっとやめなって!今は関わったら駄目だってば!』

『ごめん、ごめんねひび――立花さん……』

 

 

 中学校時代の制服を着た私が、友達と朝の挨拶を交わそうとしていた。

 ……覚えてる。これは退院してから初めて学校に行った日……この時はまだ、私にとって学校は平和な場所だった。あはは、家の方は一番酷い時期だったからね~……。

 

 

 ――『そう、これはヒビキが人生で初めて、身近な人間から直接拒絶された日の出来事』

 

 

『なあ、この机の奴ってさ、なんでそこまで虐められてんの?』

『さあ?生きてるからじゃね?』

『お前それは流石に酷すぎだって!ハハハハハ!』

 

 

 中学校時代の制服を着た私が、とある机を指さしている男子生徒の会話を聞いていた。

 ……覚えてる。私、慌てて隠れたんだけど……その後未来に見つけられちゃったんだよね、えへへ……。

 

 

 ――『そう、この後ミクに見つかって……初めて学校でヒビキが泣いた日の出来事』

 

 

『私は絶対、響から離れたりしないから……』

『それに、洸さんだってすぐに帰ってくるから、ね?』

『うっ……うあぁぁぁぁぁ……』

 

 

 私服を着た私が、お母さんに強く抱きしめられていた。

 ……覚えてる。お家の窓が割れて、お母さんに抱き締められた時だ。この時はまだ、お父さんが帰って来るって信じていて……懐かしいな。

 

 

 ――『そう、これはヒビキが人生で初めて、一瞬とはいえ全てを投げ出したいと思った日の出来事』

 

 

『立花……その、辛ければ休んでもいいんだぞ? 先生はお前の味方だからな?』

『本当に辛くないのか? 時には休むことも大事なんだぞ?』

『……困ったな』

 

 

 中学校時代の制服を着た私が、担任の先生と話している。

 ……覚えてる。虐めが治まって、皆に無視されてた頃……先生ってば、ちょーっとだけ遅いっていうか、あはは……。

 

 

 ――『そう、ヒビキは気付いていた。この時の先生の本音を……これはヒビキが初めて学校に遅刻した、その前日の出来事』

 

 

 

 

 

 

『やっと、逢えた』

 

 

 

 

 

 

 

 あなたは、誰……? その姿って……わたし、だよね?

 

 

 

『うん。わたしはタチバナヒビキが抱えた闇を、人間の闇を見続けて来たから……』

 

 

 

 どうして、こんなものを私に見せたの?

 

 

 

『わたしがあなたと繋がれるのは、この方法だけだから……こうするしか、なかったの』

 

 

 

 ……?

 

 

 

『ごめんね、こんなものを見せて……怒った、よね……?』

 

 

 

 ……ううん、全然怒ってない。だって……キミが好きで酷い事するような人じゃないって、なんとなく分かるもん。

 

 

 

『許して、くれるの?』

 

 

 

 うん、もちろん!

 

 

 

『……やっぱり、ヒビキはすごい……だか――私――力』

 

 

 

 えっ、何? 聞こえないよ~!

 

 

 

『時間――みた――だけ――こ――伝え』

 

 

 

 なっ、何!?どんどん遠くなっちゃってる!?

 

 

 

『私――――んで――あな――歌に――――れば――呪――――きる』

 

 

 

 歌? 歌えばいいの?

 

 

 

『――前を呼――名前――歌に』

 

 

 

 名前? 歌に名前って、どういうこと!?

 

 

 

『ダ――ス――フ―――達の―前』

 

 

 

 ダ?ス? う~、わかんないよー!!

 

 

 

『イ――イト――違――――ン―レ――――歌――詠――』

 

 

 

 覚醒の時が近付いているのだろう……暗い世界にあった響の意識は、急激に浮上を続ける事を止められずに、底で何かを叫び続ける、自分そっくりの少女を置き去りにしていく。

 

 

 

 

 待って!キミも一緒に!!

 

 

 

 

 だが、その程度で立花響が諦めるはずもなく、彼女は地の底へと必死で手を差し伸べる。

 

 

『――キッ!!』

 

 

 そして、地の底に立つ少女も、響へと手を伸ばし――

 

 

 

『わたしを――呼んで!!』

 

 

 

 最後にはっきりと声が聞こえた瞬間、響の意識はこの世界から完全に消えた。

 

 

---------------------------------------------------------------------------------------------------

 

 

「――花……立花!!」

 

「……んぅ? あれ、つばさしゃんと……まりあしゃん……?」

 

「よかった、その様子だと心配無さそうね」

 

 あれ? 私は確か……不思議な夢を見て、それで……。

 

「おはよう。起きて早速だけど、私の愛車で寮まで送ってあげるわ。乗りなさい」

 

「私はこのままガリィ達と待機任務だから、ここでさよならね」

 

「……あれ?サンジェルマンさん達は?」

 

 私は確か、サンジェルマンさん達と部屋で話していたはず……でも、今は外で、翼さんの後頭部が……あれ?もしかして私、おんぶしてもらってる……?

 

『可愛い寝顔、ごちそうさま♪』

『涎が無ければ百点満点だったワケダ』

『疲れているのに、私達に会いに来てくれてありがとう、響』

 

「伝言は以上、って事で私は戻るわね。翼、響、おやすみなさい」

 

「ええ、おやすみ。仕事、頑張ってね」

 

「あわわわわ降ります降りますありがとうございますごめんなさいおやすみなさい~!」

 

 どうやら私、立花響はサンジェルマンさん達と話している途中に、失礼にも夢の世界へと旅立ってしまったらしいのです……。しかも魘されてるわ、起こそうとしても中々起きないわというオマケ付きで……そして今に至る、というわけなのでした。

 

「はい、乗っていいわよ」

 

「し、失礼しま――あれ?この手、どこかにぶつけたのかな……?」

 

「ああ、それ? 貴方、ギアペンダントを握り締めたまま寝てたから、型がついちゃったのよ。離そうとはしたんだけど、無理だったから途中で諦めたわ」

 

「あ、そうなんですか――ってそんな事はどうでもよくて! はい、乗りました!ヘルメットもオッケーです!」

 

「元気でよろしい。それじゃ、行きましょうか」

 

 と、いう訳で私は翼さんのバイクに乗せてもらい、寮まで送ってもらうという贅沢な一時を過ごしたのでした、まる。

 

 

 

『わたしを――呼んで!!』

 

 

 

 ……そういえば、あの夢はなんだったんだろう……?

 

 





響そっくりの少女、一体何者なんだ……?

この後はウェル博士ともう一回交渉してこうしてああして……長ぁい!寝る!

次回も読んで頂けたら嬉しいです。


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