ガリィちゃんとわたしたち   作:グミ撃ち

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第百四十一話です。

先に百四十二話の方を書いていたのですが、こっちの方が流れ的に合ってるかと思い入れ替えました。という事で二話同時に投稿します。




第百四十一話

 

 

『アンタってさ、本当につまらない人形よねぇ』

 

『……』

 

 レイア・ダラーヒムという人形はかつて、喋らない、表情を変えない、つまらない……ガリィ曰く、そのような存在だったらしい。

 

『まっ、それはアタシ達も同じようなものなんだけど……その中でもアンタは特に、この世のもの全部興味無いって感じでしょう?』

 

『……』

 

『あーあ、つまんないわねアンタって……はぁ、何か面白い事でも起こらないかしら?⦅フラグ⦆』

 

 しかしその頃の私は、仲間に何を言われても変わる事は無く……それどころか、物事に一切の興味を持っていなかった。

 何故なら私達オートスコアラーはマスターの命令通りに動く事だけを使命とし、そのように設計されていたのだから。

 

『ガリィちゃんはぁ、マスターともっとお喋りしたいんで~っす♪』

 

『……お腹、空いたゾ……』

 

『ガリィ、勝手な行動は慎みなさい』

 

 それは一見感情豊かに見える仲間達も同様であり、彼女達が浮かべている様々な表情も所詮、作り物に過ぎない。

 蓋を開ければ中身は私と同じ、マスターに従う事をプログラミングされた道具でしかないのだ。

 

 

 

 

 

『ねえレイアちゃん今笑ったでしょ?アタシがミカのクソガキに負けてるのを見て笑ったわよね?ねえなんで笑ったの?アタシの事嫌いなの?それともケンカ売ってるの?』

 

『……? 私は今、地味に笑顔を浮かべていたのか?』

 

『は?(殺意) えっ、何その質問マジでアタシにケンカ売ってるの?ナンバー2だからって調子乗ってるの?それともアタシを雑魚だと思って舐めてるの?ねえ今すぐアンタの事ぶっ殺していい?呪われた旋律とか回収できなくなるけどそんな事よりアタシの怒りを――ってねえ聞いてる?えっ今度はシカトする気なの?アタシみたいな雑魚は眼中に無いって遠回しに言って――(以下略)』

 

 

 

 

 

 ――そんな事を思っていた時期が、今となっては懐かしく……随分と前の事のように感じる。

 

 

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「うぎゃあぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

「キ、キャサリンの眼鏡がまた壊されただとぉ!? しゃ、社長ぉ!?」

 

「ま、まだ予備の眼鏡は残っているんだ、狼狽えるんじゃない!!」

 

 

 

「? レイア、どうかしたのカ?」

 

「いや、昔の事を地味に思い出していただけだ(……私は何故、こんな派手に愉快な連中がいる世界を、つまらないなどと感じていたのだろうな)」

 

 

 レイライン最重要地点・とある寺社……この場所では現在、黒髪美女が汚い声を上げながら転がり回るという、カオス極まりない状況が発生していた。

 ちなみに戦闘が開始されてからここまで、まだ90秒程しか経っていないのだが……SSSSS級を誇る炎熱術式の使い手、キャサリンはレイアのトンファーにより、既に三本も眼鏡を叩き割られていた。

 

 

『このような者達相手に、お二人が出るまでもありません。ここは私の必殺技( クリムゾン・オーバーヒート)で、痛みすら感じる間もなく昇天させて差し上げます』

 

 

 そうなった原因は90秒前、キャサリンが絵に描いたような負けフラグを展開した事から始まり――

 

 

『はっ!』

 

 

 彼女がドヤ顔で放った必殺技( クリムゾン・オーバーヒート)をレイアが一瞬で消し飛ばし、ついでに何度か小突いて今に至るのであった。

 

 

「くっ、そおおおおっ!!! キャサリンの仇ぃぃぃっ!!!」

 

 

「……ミカ、代わるか?」

 

 

「めんどくさいから嫌だゾ!⦅即答⦆」

 

 

 しかし、そんな状況にも関わらず目の前の三馬鹿トリオは諦めなかった……いや、それどころかスキンヘッド頭にタンクトップを着た男が、レイアに向かい突進して来たのである。

 

 

ギガブレイク・インパクトォォォォっっっ(身体強化を施した、体当たり )!!!!!」

 

 

 石畳を削り取りながら、レイアへと凄まじい勢いで迫るハg――スキンヘッドの男。

 ……しかし悲しいかな、彼が目標にしているレイアという人形に備わっている属性は『地』……そう、スキンヘッドの男と同じ属性である。

 それはつまり――彼が使える身体強化の術式を、レイアという人形も同様に使えるという事に他ならない。

 

 

「弾き飛ばして死なれるのも地味に目覚めが悪い……という訳ですまない、受け止めさせてもらった」

 

 

「………………うそだぁ……」

 

 

 なお同属性の術者がぶつかり、実力が開きすぎていた場合はこのような結果になる模様⦅無慈悲⦆

 SSSSSSS級とは一体なんだったのだろうか……⦅遠い目⦆

 

 

「地味にお前達を見ていたい気もするが……もう寝ていろ」

 

 

「あふん」

 

 

 そしてレイアの反撃によりスキンヘッドはあっさりと意識を奪われ、これで一名撃破完了である。

 まあレイアさんはイグナイト装者と同じくらいの実力だからね、仕方ないね(ほかのメンバーに勝てるとは言っていない)

 

 

「ゴ、ゴンザレスが一撃で沈んだだと……お、おかしい、こんなことは絶対に許されない!!」

 

「落ち着いてください社長! まだ私の眼鏡は予備が残っていますし、社長と二人掛かりなら勝機はあります!」

 

「っ!……すまない、少し取り乱してしまったようだ。 こほん……キャサリンの言う通りこの程度の劣勢、私が必殺技( エターナルブリザード)を放つだけで、容易にひっくり返せる程度のものでしたね」

 

「そうです! なんらかの偶然でゴンザレスさんを倒せた事に舞い上がっている彼女達に、格の違いを教えて差し上げましょう!」

 

 

 ちなみにこんな悲惨な状況にも関わらず、残った黒髪眼鏡と金髪オールバックはまだまだ諦めてはいないようだ。

 どうやら話を聞いていると金髪オールバックが彼らの中で最強格のようだが……ミカが彼に全く興味を抱いていない時点で、既にお察しである⦅悲しみ⦆

 

「……ミカ、私は派手に舞い上がっているのか?」

 

「ううん、いつもの無表情だゾ?」

 

「そうか、それならいい」

 

 実は彼らが現れるまで、レイアは最悪の場合サンジェルマンクラスの実力者が攻めてくる事も想定していた。

 そうなればミカはともかく、自分にとっては決死の戦いになるだろう……そこまでの覚悟を決めていただけに、今の状況は肩透かしどころの騒ぎではない。というかこんなのしか残っていないのに何故サンジェルマン達を手放したのか……レイアの脳内は疑問で満ちていた。

 

「……(あの女性の方を狙うのもいいですが……申し訳ありませんね、戦場で油断しきっているキミが悪いのですよ?)」

 

 なおその間に敵陣営のリーダーである金髪オールバックのイケメンは、破滅への道を最短距離で爆走しようとしている模様。そう、彼の狙いはレイア――ではなく、その傍で虫を目で追いかけているミカであり、つまりもう一生物のトラウマ待った無しの状況であった。

 

「風の精霊、そして水の精霊よ……我に邪悪を討つ力を与え給え……」

 

「……オっ? またなんか始まったゾ?」

 

「構えろ、ミカ。どうやら今までとは地味に雰囲気が違うようだ」

 

 ちなみに金髪オールバックの彼は勿論、この一撃が大逆転を生むと確信している。だからこそ錬金術に一切関係の無い、詠唱のようなものを唱える事だって余裕である、だって彼は自身の勝利を信じきっているから!⦅白目⦆

 なお自信満々すぎるが故に、レイアさんを警戒させるという効果だけはあった模様。

 

 

「……あなた達の敗因は、G級である私を本気にさせた事――」

 

 

「っ――狙いは私ではなく、ミカの方か!?」

 

「……あっ、蛍がいるゾ⦅無関心⦆」

 

 

 故にレイアの反応は僅かに遅れ、彼の目論見は成功する。

 そして次の瞬間……レイアは自身の失態を痛感し、最悪の事態が起こる事を覚悟した。そう――

 

 

 

エターナル・ブリザードォォォォッ( 氷と風による、二属性混合術式)!!!!!」

 

 

 

「ミカっ!!」

 

 

 ――この戦いで死人が出てしまう事を、覚悟したのだ。

 

 

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「はぁ、はぁっ……きょ、巨大な竜巻の内部に閉じ込め、氷の刃で切り刻む死の牢獄です!この術式から逃げる術は無く、その命を散らしても尚切り刻まれ続けるがいい!!」

 

「流石ですわ社長!!」

 

「……な、なんという事を――」

 

 金髪オールバックイケメン社長が放った必殺技(エターナルブリザード)の影響により、ミカが立っていた場所を中心とした地点には凄まじい暴風が発生していた。

 しかも社長が言うには、その内部で全てを切り刻む氷の刃が駆け巡っているらしい。ちなみにこれには流石のレイアさんも動揺を隠しきれないようだが、ミカちゃんの心配をしている訳では無い模様。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ビュービューガチャガチャうるさいんだゾ!せっかく蛍見てたのにっ!!(憤怒)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――この声が聞こえた瞬間、レイアは最悪の事態が起こる事を確信した。

 

 

 

「…………ば、ばかな……」

 

「…………あは、あはははは…………」

 

 

 竜巻を一瞬で蹴散らし、舞い上がるのは炎――天まで届きそうな程に、激しい炎だった。

 ……恐らく彼らはここで初めて、ヤベー連中に喧嘩を売ってしまった事に気付いたのだろう。

 だがそれ故に身体は硬直し、一切の身動きが取れず……ミカが放つ炎が彼らを飲み込もうとしている今も、彼らは動けずにいた。

 

 

 ――彼らという存在が、骨すら残らずこの世から消えるまで、あと僅か――

 

 

 

 

「ちぃっ!!」

 

 

 

 

 ――だが、天(レイア姉さん)は彼らを見捨てなかった。

 そう、彼らの前に割り込んだレイアが、瞬時に巨大な壁を構築し彼らの命を守ったのである。

 

 

「……」

 

「……」

 

「お前達は派手に運が良い……もしミカが少しでも本気を出していれば、間違いなくお前達は絶命していただろうからな」

 

「ぶ~っ!最強のアタシが、こんなのに本気なんて出すわけないんだゾ!」

 

 もう既にどういう戦いかすら分からなくなっている状態だが、金髪イケメンと知的眼鏡が恐怖により気絶してしまっているので、この戦いはS.O.N.G.陣営の勝利に決まったようだ。

 

「……さて、この派手な者達が斥候か、それとも主力なのかは分からないが……とりあえず縛っておくとしよう」

 

「おっちゃん!変なの三つ捕まえたゾ!!」

 

『そうか、よくやってくれたなミカ君、それにレイア君も。その三人については後で職員を派遣するので、そちらに引き渡しを頼む』

 

「ああ、了解した。私とミカは引き続き、地味にこちらの守りについているとしよう」

 

「……次はもっとマシなのが来てほしいゾ……⦅届かぬ願い⦆」

 

 こうしてレイライン攻略部隊の三名を捕縛する事に成功したレイアとミカ。

 ただこの三人が主力とは限らず、今後サンジェルマン級の術者が現れる可能性もあるので、レイアとミカは引き続きこの地点の防衛任務に就くようだ。

 なお目の前で白目を剥いて転がっている三名が敵の主力どころか最高戦力な模様、ミカちゃん可哀想……⦅悲しみ⦆

 

 

 

 

 

「しゃ、社長!?それに、ゴンさんとキャサリンさんまで!?」

 

「てめーらがやりやがったのか!?」

 

「ひ、酷いわ!社長達は何も悪い事していないのに!!」

 

「ひっ、卑怯な手を使ったに決まってる! おいお前ら!コイツらをぶっ潰して社長達を助けんぞ!!」

 

「おうよ! なぁにこっちには十人以上の錬金術師がいるんだ!負けるはずがねぇ!!」

 

「それだけじゃありませんよ? 現時点で七十人以上の増援がこちらに向かっているのです。よって、たった二人しかいない君達の勝ち目はゼロ!ゼロなのですよ!⦅迫真⦆」

 

 

 

「……ミカ、代わるか?」

 

「めんどくさいから嫌だゾ⦅即答⦆」

 

 

 そしてその後……各地のレイライン破壊を終えた錬金術師達が続々とこの地点へと集結し始めるのだが、その結果については最早語るまでもないだろう⦅無慈悲⦆

 

 





レイアさんとミカちゃんを釘付けにできているだけで十分頑張っていると思います(フォロー)

次回も読んで頂ければ嬉しいです。


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