ガリィちゃんとわたしたち   作:グミ撃ち

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第二十三話です。




第二十三話

 

 

 絶望的な状況から一転、エクスドライブへと至り反撃の狼煙を上げた響達。

 ガリィ一行はビルの屋上からそれを見つめていた。

 

 

≪あの無駄に豪華で強そうな衣装、しかも三対一。これは勝ったわね、ガリィには分かるわ≫

 

(何も言うまい…)

(知らないって本当に幸せなんだなってガリィちゃん見てたら思う)

 

 勝利を確信したとドヤ顔で語るガリィ。しかし謎の声達はこの先起こる事を知っていたので冷静だった。

 

≪…もしかしてまだ終わらないの?≫

 

(う~ん、秘密!)

(早く帰りたかったら装者達を応援するんだよ!)

 

≪そうね…≫

 

 まだ簡単には終わらない事を悟ったガリィ、先程までのテンションの高さは最早見る影も無くなっていた。

 

≪ま、大人しく見ていれば平和に終わるでしょ≫

 

 

 ガリィは大人しく戦況を見守る事にしたようだ。しかしこの後、ガリィのテンションを更にどん底に落とす出来事が起こる事をまだ彼女は知らない。

 

 

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 フィーネと対峙するエクスドライブ形態の装者達。一度は倒れた翼とクリスも復活し、圧倒的有利という状況である。

 一方三人の装者を相手取るフィーネだが、彼女は劣勢にも関わらずその戦意は未だ衰えていない様子であった。

 

≪あの老害、諦め悪すぎない?≫

 

(そりゃ簡単には諦められないよねぇ)

(相手が自分の作った聖遺物を纏ってるんだから余計に負けられないわな)

 

 装者達とフィーネ。正に一触即発の雰囲気の中、最初に動いたのはフィーネであった。

 ソロモンの杖を使いノイズを召還、装者達に向けて特攻させたのである。

 

≪はぁ? そんなの当たるわけじゃない≫

 

 装者達はガリィの予想通りノイズの攻撃を簡単に回避する。しかしフィーネの本当の目的は攻撃を当てる事では無く回避行動を取らせる事だった。

 装者達が回避している隙にフィーネがソロモンの杖を掲げると、周囲に雨の如く光が降り注ぐ。その光は一つ一つがノイズに変化し、その結果…。

 

 

 

 周囲の景色が全てノイズで埋め尽くされた。

 

 

「「「っ!?」」」

 

 

 驚愕する装者達。そしてガリィは

 

 

 

 

「…おはよう、今日はいい天気ね。アンタもそう思わない?」

 

 

「…」

 

 

 突然目の前に現れた巨大ノイズに朝の挨拶をしていた。

 

 

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「いきなりこんな所に呼び出されてアンタも大変ね、まぁ適当に頑張りなさいな」

 

「…」

 

(えぇ…⦅困惑⦆)

(ガリィちゃん! 一人芝居してる場合じゃないって!)

(ここから逃げないと!)

 

 突然周囲に現れたノイズの大群。何故かガリィは特に逃げる事もせず、目の前の巨大ノイズに話しかけていた。

 

≪なによ? ガリィには襲い掛かってこないし、移動しようにも雑魚が溢れてて身動き取れないんだけど≫

 

 そう、ガリィの周囲は雑魚ノイズで溢れかえっていた。

 この状況で違う場所に移るには建物の頂上を跳躍して渡るか、錬金術で周囲のノイズを一掃するかの二択しかないが、建物を跳躍すると単純にフィーネや装者達に見つかる可能性大なので却下。

 錬金術で一掃するのは論外、ほぼ確実にバレる。あとは転移結晶で一旦戻るという手もあるが、その場合キャロルに今の状況を誤魔化さなければいけないのでガリィは面倒臭い、よって却下。

 

 つまりここから移動する事はできないのである。そしてガリィが選んだ手段は、何もしないで目の前のノイズと戯れる事であった。

 

(逃げないと怪獣大決戦に巻き込まれるんだよ!)

(ガリィちゃんがいらん事するから…)

 

≪はぁ? だから移動できないって言ってんでしょ。ていうかガリィは悪くないし! アンタもそう思うわよね~♪≫

 

 特に逃げる様子も見せないガリィ。しかし次の瞬間…。

 

 

 

 突然目の前の巨大ノイズが跡形も無く消し飛び、ガリィは余波で吹き飛ばされた。

 

 

≪はあああああっ!? ちょっとおおおぉぉぉぉ!!!≫

 

(ぎゃああああ!!)

(だから言ったのにいぃぃぃ!!)

 

 紙クズのように吹き飛ぶガリィと、そして同時に消滅する周囲にいたノイズの大群。悲鳴を上げるガリィに謎の声達、一体何が起こったのであろうか。

 

≪…あのどんくさ娘、なにしてくれてんのよ…≫

 

(エクスドライブやばい⦅確信⦆)

(あれで無傷とか丈夫だねガリィちゃん)

(死ぬかと思ったゾ)

 

 超不機嫌な表情で響への怒りを募らせるガリィ。そう、この惨劇を起こしたのは立花響であった。

 一体何をすればこんな事に…と思うところだが、実は響は拳を一発振り抜いただけ、それだけでこの威力である。

 

≪どれだけ馬鹿力なのよ…。ガリィに何のうらみぃぃあああああああっ!!!≫

 

(もういやああぁぁぁ!)

(なぁにこれぇ!)

(死ぬうぅぅ!)

 

 立ち上がった途端再び吹き飛ばされるガリィ。次の下手人は雪音クリス、その人の一斉射撃が原因であった。

 

≪はぁ、はぁ…あのホームレス女、後で覚えてやがれ…≫

 

(ガリィちゃんほんと丈夫すぎて草)

(ノイズが全滅するまでなんとか生き延びなきゃ…⦅悲壮な決意⦆)

 

 瓦礫から這い出し文句を垂れ流すガリィ。とはいえ直撃では無いので汚れてはいるもののダメージはほぼゼロである。キャロル製の人形は伊達では無いようだ。

 

≪…もう帰りたい。それでいつもみたいに皆にチヤホヤしてもらうんだから…≫

 

(⦅そんな事実は⦆ないです)

(過去を捏造するのはNG)

 

 もうガリィはシャトーに帰りたくて仕方なかった。今も周囲では爆音と閃光が鳴り響きお祭り騒ぎであり、装者達が縦横無尽に駆け回っている。

 

 

≪はぁ、とりあえず周りのノイズも減ったし移動したほうがあああもういやぁぁぁぁl!!!!≫

 

(うわぁぁぁぁぁ!!)

(ガリィちゃああああん!!)

 

 移動しようとしたガリィ一行に三度襲い掛かる衝撃、その原因は風鳴翼のとんでもない威力の斬撃だった。

 しかも今度は直撃コースでありガリィは正面に氷の盾を展開し防御した、もうこの状況ではバレるとか言っていられないのだから仕方ない。

 こうして直撃は避けたガリィだが、発生した衝撃はどうしようもないのでまた紙クズのように吹き飛ばされたのであった。

 

≪………≫

 

(ガリィちゃん起きて! お願い!)

(し、死んでる…)

 

 とうとう起き上がる事を止めてしまったガリィ、その目は死んでおり口は半開きである。

 

≪…起きてもどうせまた吹き飛ばされるんでしょ…もうこのままでいいじゃない…≫

 

(目、目が死んでる…)

(も、もうちょっと頑張ろう! ねっ!)

 

 また吹き飛ばされる事を想定するガリィ、しかし予想に反してその後吹き飛ばされる事はなかった。

 

≪…静かになったわね、もう起きても大丈夫? 大丈夫なの?≫

 

(た、多分…)

(攻撃が止んだ…? ノイズが全滅したのかな)

 

 気付けばノイズとの戦闘は終了していたようだ。ガリィがのそりと体を起こし周囲を確認すると、そこにはかろうじて残っている僅かな数のノイズがうろついていた。

 

≪あれだけいたのにほぼ全滅って…大した暴れっぷりじゃない≫

 

(ガリィちゃんは三回吹き飛ばされても無傷なのにね)

(雑魚とは違うのだよ、雑魚とは!)

 

≪ま、ちょうどいいわね。このまま離脱しましょうか≫

 

(そうだな)

(今日はよく走る日だねぇ)

 

 戦場から距離を取ろうと移動を始めるガリィ。しかし無情にもその途中でまたも異変が起こってしまったのである。

 

≪っ!? アンタ達、雑魚共が!≫

 

(嫌でもすぐに分かるから、今は離れよう)

(さぁとうとうクライマックスだ!)

 

≪あぁはいはい分かったわよ! どうせ碌なものじゃないんでしょ!≫

 

 ガリィが街を移動していると、突然ノイズ達が何処かに向かって飛び去ってしまったのだ。謎の声達の反応から碌な事ではないと悟ったガリィは移動を続ける事にしたのだが…。

 

 

≪なぁにあれぇ…≫

 

 

(完全聖遺物三つ装備のラスボスだゾ)

(そりゃ勝利を確信して高笑いもしますわ)

(はぇ~、でっかい…)

 

 ノイズが飛び去ってからほんの数十秒後、突如超巨大なナニカが出現したのである。

 そう、それこそがフィーネの最終形態、風鳴弦十郎曰く「黙示録の赤き竜」であり、その名の通り赤く竜の首より上が具現化した様な形状をしていた。

 

≪完全聖遺物三つって事はもしかして…≫

 

(ネフシュタンの再生能力もばっちり付いてるゾ)

(デュランダルで攻撃も繰り出し放題だゾ)

(HP無限だゾ! 何回でも遊べるドン!)

 

≪よし、見なかった事にしましょう≫

 

 驚いて一度足を止めてしまったガリィだったが、踵を返して再び距離を取るため走りだす。

 戦闘力のインフレがひどすぎてもう色々疲れてしまったらしい。ガリィの目は死んでいた。

 

 

 一方、装者達の戦いはフィーネに天秤を再び傾けられていた。

 圧倒的な破壊力を有する攻撃に晒され必死に反撃するものの、生半可な攻撃はかすり傷も与えられず攻撃が通っても瞬時に再生されてしまう。このままでは敗北は必至、装者達は追い詰められつつあった。

 

 

≪よし、ここまでくれば大丈夫でしょ。そこの建物の上で見ましょうか≫

 

 ガリィは距離は十分と判断し建物の屋上へ登ると戦況を確認する。そこで見えた景色はいまだ無傷で余裕の表情のフィーネ、そして攻め手を欠き表情に焦りを浮かべる装者達の姿であった。

 

≪相手がアレとはいえ予想通りすぎて悲しくなるわね≫

 

(ネフシュタンが全部悪いんや!)

(戦えてるだけでも大したものなんだよなぁ…)

 

 何度攻めても全て再生され無効化されるという状況、最早詰みかと思われたが装者達はどうやら諦めてはいないようだ。

 

≪何か話しているわね、良い手でも思い付いたの?≫

 

(良い手というかそれしかないというか…)

(一か八かの作戦って事)

 

≪ふぅん、まぁ老害が死んでくれるならなんでもいいけど≫

 

 装者達が何かを話している姿が見え、その後すぐにフィーネに攻撃を開始する。しかし今までとは違い響はその攻撃に参加せず、翼とクリスがフィーネへと攻撃を仕掛けていくようだ。

 

 まずは翼が渾身の一撃を振るい赤き竜の外殻の破壊に成功、当然すぐに再生が始まるが傷が塞がるまでの僅かな隙にクリスが内部に侵入する。そして…。

 

 

「はぁぁー!!」

 

 

 内部で一斉射撃を行いフィーネを動揺させる。そしてさらに…。

 

 

「はぁーーーっ!!」

 

 

 間髪入れずに翼の追撃がフィーネを襲う。フィーネは慌てて左手で障壁を展開して防御に成功するが、そもそも二人の目的はフィーネにダメージを与える事では無かったのである。そう、二人の目的は…。

 

 

 

「そいつが切り札だっ!」

 

 

 

≪なんか飛び出してきたわね。あぁ成程、アレが目的だったってわけ≫

 

(文字通りの切り札だよ~)

(完全聖遺物には完全聖遺物で対抗じゃー!)

 

 

 内部で爆発が起こり、何かが外へと飛び出して来るのが確認できる。

 それは響が一度手に取り暴走した完全聖遺物デュランダルであった。そう、二人の目的はフィーネが右手に持っていた聖剣を奪い取る事だったのだ。

 

 空中にあるデュランダルを奪取せんと動き出す響。クリスが聖剣を落下しないように銃で撃ちサポートし、やがて響はデュランダルの下に到達する。

 

 そして遂に、響の手に聖剣が握られたのだった。

 

 

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≪後はアレで老害を真っ二つにして終わり! だったら楽でいいわね…≫

 

(まぁ一回暴走しているからねぇ)

 

 聖剣を使ってフィーネを倒して終わり、だったら楽でいいのだろうがそうはいかない。

 聖剣を手にした途端に響が黒い影に包まれてしまったのだ。以前のように破壊衝動に襲われている響は、暴れ出しはしないものの破壊衝動に飲み込まれる寸前であった。

 

≪ダメそうね、響ちゃん。なんとか頑張ってほしいんだけどさすがにアレは望み薄かしら≫

 

 暴走寸前の響を見てデュランダルを制御するのは厳しいと判断するガリィ。

 

 しかしガリィは知らなかった。 立花響という人間の、そして彼女を支える人間達の底力を。

 

 程無くして突然建物が爆発、そこから出て来る何人もの人間達、それは…。

 

 

「正念場だ! 踏ん張りどころだろうが!!」

 

「強く自分を意識してください!」

 

「昨日までの自分を!」

 

「これからなりたい自分を!」

 

 

≪はぁ!? なにあの連中、死にたいの!?≫

 

 ガリィの目に見えたのは、外に出て響に声を掛ける二課の人間達だった。

 何を言っているのかは分からないが、おそらく勇気付けているのだろう。風鳴弦十郎以外の連中はおそらくただの人間であるのに何故その身を危険に晒すのか、必死に響に声を掛ける連中の目を見てガリィは考えていた。

 

≪そう、あいつらも響ちゃんの同類ってわけね、納得したわ≫

 

(よく出て来れるよなぁ、死ぬ程危ないのに)

(強い人達ですよね、本当に)

 

 声に反応し僅かに理性を取り戻す響。

 だが足りない、彼等の声援だけで打ち勝てるほど完全聖遺物の力は甘いものではない。

 

 

 …彼等だけでは足りない? それならば…。

 

 

 

「屈するな立花。 お前が構えた胸の覚悟を、私に見せてくれ」

 

 

 

「お前を信じ、お前に全部賭けてんだ! お前が自分を信じなくてどうすんだよ!」

 

 

 

 依然破壊衝動に飲み込まれつつある響に寄り添う二つの影。 そう、翼とクリスである。

 二人の言葉でなんとか拮抗状態を維持する響。しかし足りない、もう仲間達の声は全て受け取った、それでも打ち勝てない。このままでは…。

 

 

「あなたのお節介を!」

 

「あんたの人助けを!」

 

「今日は、あたし達が!」

 

 そんな響に掛けられる三つの声、それは響にとって大切な友達の声であった。危険を顧みず響のために外へ出てきてくれた三人の声は響を奮起させる。しかし…。

 

 

「姦しい!黙らせてやるっ!!」

 

 

「ウぅ…ウウウ、グアアアアーーーっ!!!」

 

 

 

 フィーネが攻撃を響達へと繰り出す。それにより破壊衝動が刺激され拮抗していたものが崩れ始め、そしてとうとう暴走してしまう。響は衝動のままフィーネへとその力を…。

 

 

 

 

 

「ひびきぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!」

 

 

 

 

 

 その声が聞こえた瞬間、破壊だけを生み出す暗闇は陽だまりに照らされ、その動きを止めた。

 

 

----------------------------------------------------------------------------------------------------

 

 

≪暴走が止まった…? あの状態で、どうして≫

 

 完全に暴走したと思われた響が動きを止めた事にガリィは驚愕していた。

 

(未来さんがやってくれた!)

(最後の切り札は未来ちゃんだった…?)

(サンキュー未来、ファッキュー聖剣)

 

≪なんてデタラメ…やっぱりおかしいわねあの子…≫

 

 驚くガリィをよそに、動きを止めた響はそのまま破壊衝動を完全に克服。黒い影は全て消滅し、デュランダルは今までに無い程の輝きを放っていた。

 

 驚愕するフィーネはデュランダルを構える響にその輝きが何かを強く問い質す。その答えは…。

 

 

 

 

「響き合うみんなの歌声がくれた、シンフォギアでぇーーーーーっ!!!!!」

 

 

 

 

 仲間達の想いを束ねた聖剣の一撃が、一人で全てを成そうとしたフィーネに振り下ろされた。

 

 

----------------------------------------------------------------------------------------------------

 

 

 ガリィは決着がついた戦場を見据えながら謎の声達と話をしていた。

 

≪成程、完全聖遺物同士が衝突すると対消滅って結果になるのね≫

 

(全部がそうかは分からないけどね)

 

 そう、デュランダルとネフシュタンの鎧が衝突した結果、双方が消滅するという形で勝負は付いたのである。

 となればネフシュタンの鎧と融合していたフィーネはどうなってしまうのか、その答えは誰もが予想できるものであった。

 

≪はぁ、あの子って筋金入りの馬鹿なのね…もう死に体よ、そいつ≫

 

 呆れた表情のガリィ、その視線の先には二課の面々と既に合流している翼とクリス。

 そして死に体のフィーネに肩を貸し合流する響の姿であった。

 

≪随分残酷な事するじゃない、立花響。黙って死なせてあげればいいのにわざわざ連れて来るなんて、老害女が哀れに思えてくるわ≫

 

(言いたい事、聞きたい事がたくさんあるだろうからね…)

 

 皆が見守る中、フィーネと何かを話している響。もう戦闘は終わり、後はフィーネがこの世から退場するのを待てば終わりとガリィはどこか安心した様子で見守っていた。

 

(ガリィちゃんガリィちゃん)

 

≪ん~、なによ?≫

 

(今からもうひと悶着あるんだけど、絶対に怒って飛び出したりしないでね)

 

≪まだなんかあるのね…はいはい分かったわよ、おとなしくしてますってば≫

 

(どう思う?)

(多分、大丈夫? いや、でも…)

(もうシャトーに帰った方がいんじゃね?)

 

 戦闘は終わったのにも関わらずまだ何かあるとガリィに警告する謎の声達。もう安心しきっているガリィは適当に返事を返すが、事件が起こるのはそれから僅か数分後の事であった。

 

 

 

 

「私の勝ちだぁっ!!!」

 

 

 

 フィーネが欠けた月をネフシュタンの鞭で力任せに掴み、地球に向けて引いたのである。

 

 

 

「月の欠片を落とすっ!!」

 

 

 フィーネの悪足掻きに驚愕する装者達。そして…。

 

 

 

 

 

「……………殺すわ、あの女」

 

 

 

 ガリィの周囲には鋭利に尖った氷槍が無数に展開されていた。

 

 

----------------------------------------------------------------------------------------------------

 

 謎の声達は今までで一番の窮地を迎えていた。

 

(待って待ってガリィちゃん待って!!!)

(怒らないし飛び出さないって言ったでしょ!)

(だから私は帰ろうって言ったんだよ…)

 

 周囲に無数の氷槍を展開しているガリィ。その表情には何の感情も写っておらず、ただただ無表情であった。

 

 

「怒ってないし飛び出したりもしないわよ。ただこれをあの女にプレゼントしてからすぐシャトーに帰るだけ、ガリィの存在はバレないし簡単でしょ?」

 

(放っておいても死ぬから! ここまで頑張ったんだから我慢して!)

(ここでそれをやったらキャロルちゃんを守る事も出来なくなるかもしれないんだゾ!)

(ガリィちゃんの唯一の願いなんでしょ!)

 

 必死でガリィを説得する謎の声達。ここでフィーネをガリィが殺してしまえば未来は確実に未知のものとなってしまう、それだけは阻止せねばならなかった。

 

 

 

 

≪………はぁ、マスターの名前出すのは反則よ、アンタ達≫

 

 

 

 

 溜息を一つ吐き周囲の氷槍を霧散させるガリィ。未だその表情は無表情であるが、とりあえず最悪の事態は避けられたようだ。

 

 

≪というかもっと早く教えなさいよ。ガリィの気があとちょっと短かったら確実にあの老害を穴だらけにしてたわよ≫

 

(うん、ゴメン…)

(次からは早めに言うね~)

(ふぅ、焦った~)

 

 謎の声達に次は早く言えと注文するガリィ。そしてそうこうしている内に向こうも決着が着いたらしい。

 フィーネが響に何かを語り、そして消滅して行くのをガリィは確認していた。

 

≪ま、殺したいくらいムカつく老害も退場したし仕事は終わりね≫

 

(ガリィちゃんガリィちゃん)

 

≪…ナンデスカ?≫

 

(本当は分かってますよね、アナタ…)

(ちゃんと最期まで監視しないと、ねぇ?)

(アレですよ、アレ…月 の 欠 片)

 

 そう、フィーネは退場したが月の欠片はそのままなのである。今も地球に迫る月の欠片をどうにかしなければ、甚大な被害が出る事は誰の目にも明らかだった。

 

≪あ~はいはい、分かってますとも。で、どうするの、アレ?≫

 

(そこに装者が三人いるじゃろ?)

(それで宇宙に行って三人で絶唱するじゃろ?)

(月の欠片は消滅! 終わり!)

 

≪えぇ…⦅困惑⦆≫

 

 謎の声達の言葉に困惑するガリィ。しかしそれが間違いではない事を示すかのように十分後、月の欠片は跡形も無く砕け散った。

 

≪えぇ…⦅困惑⦆≫

 

(よし、お仕事終わり! 帰ろうガリィちゃん)

(三人ともちゃんと生きてるから大丈夫だよ~)

(これで無事に一期終了! パチパチパチ~♪)

 

 

≪…うん、ガリィかえる…≫

 

 

 なお、ガリィはもう色々状況についていけなくなっていたのでシャトーに帰る事にした。

 

 





次回からはしばらく番外編を投稿して、その後G編を開始する予定です。

次回も読んで頂けたら嬉しいです。


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