第三話です。
「戻ったか、ガリィ」
玉座の間にガリィが戻ると、キャロルが話しかけてきた。無表情だがガリィを見る目はどこか冷たい気がする、おそらく気のせいでは無い。
(故障を疑われてますねこれは……)
(ガリィちゃん普段の行いもアレだから余計に……)
「はぁ~い、ご心配お掛けしましたぁ~、ガリィ大丈夫でっす☆」
実際は変な声に寄生されている上に無限エネルギータンクになっているのだが、この場はこう言うしかない。正直に言ってしまえば燃えるゴミの日に出される、間違い無く。
「それは俺が判断する。が、その前にガリィ、ミカに渡せるだけの想い出は残っているか?」
(溢れそうなくらいあるゾ)
(ミカちゃんまだ唸ってる、かわいそう……)
少し前であればミカに渡す余裕は無かったガリィであるが、現在は無限エネルギータンクにジョブチェンジしたので余裕があるどころの話では無くなっている。
これでミカも満腹になってめでたしめでたしと誰もが思うところであるが、ここにいるのはガリィ・トゥーマーンである。
味方のほとんどに性根が腐っていると言われるこの人形は、空腹で唸るミカを前にしてこう言ったのだった。
「それなんですけどぉマスター……ガリィ想い出の残量に余裕が無くってぇ、ミカちゃんに渡せませぇぇん、うぇ~ん!(泣き真似)」
(は?⦅殺意⦆)
(キャロルちゃん今すぐコイツをゴミ袋に入れよう)
(ミカちゃんが絶望顔でこっち見てます……)
「む、そうか……」
ガリィが無限エネルギータンクになっていることなど露程も思っていないキャロルは、ガリィの嘘に納得してしまうのだった。
「ですからぁ、後で回収に行きたいんですけど~」
(何か考えがありそうっすね)
(ガリィちゃんワイは信じてたで!)
「……珍しいな、ガリィが自ら回収に向かうなどと言い出すのは」
(普段の行いが仇となりましたね……)
(普段から命令されても渋って嫌々行ってたからなぁ……)
「ガリィ本当は行きたくないんですけどぉ、ミカちゃんが可哀想でガリィ見てられなくってぇ、だから頑張らなくっちゃって……うぇ~ん!(泣き真似)」
(は?⦅殺意⦆)
(ファラ姉さんとレイア姉さんがすごい目でこっち見てますね……)
(ミカちゃんだけは純粋に喜んでいる模様)
胡散臭い泣き真似を見るキャロルとレイア、ファラの視線は「なんだコイツ……」と言いたげなものであったが、ミカだけは「ガリィ……アタシ嬉しいゾ!」と喜んでいた。
彼女には是非そのままオートスコアラーの癒しポジションでいてもらいたい。なお、ガリィは畜生ポジション殿堂入りである。
「……いいだろう、ガリィには検査の後想い出の回収を命じる」
これ以上付き合ってられないと思ったのだろうか、キャロルは胡散臭い人形に想い出の回収を命じるのだった。
「ガリィりょ~か~い、ミカちゃんのために頑張りま~す♪」
(あの胡散臭いのでよく許可もらえたなぁ)
(胡散臭すぎて逆に怪しくなかったんちゃう?)
(どっちにしろ思い出は回収しに行かなきゃだしな)
「ガリィは俺と来い、すぐに検査をする」
そう言い玉座から立ち上がったキャロルは、玉座の間の出口へと向かう。それに付き従いガリィも共に玉座の間を出ていくと残されたのは三体の人形である。
普段は人形同士で話す事はそれほど多くは無いのだが、この日はどうやら違うようだ。話題はもちろんあのトチ狂った人形の事である。
「一体どうしたのかしらね、ガリィちゃん」
「地味に壊れたのか?」
「今まで故障などした事は一度もありませんし……どうしたんでしょうね」
「今日のガリィは優しいゾ!」
「ミカからすればそうなのだろうが……」
「まぁ、ミカちゃんが喜んでますし良いとしましょうか」
「そうだゾ!優しいガリィが良いんだゾ!」
どう考えても良しとしてはいけない状況になっているのだが、それに気付けというのは酷だろう。
三体の人形はそれ以上は何も話さず、玉座の間にはミカの「うぅ~」と唸る声だけが響くのであった。
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「……異常無しだ」
キャロルはガリィに異常が無いか隅々まで調べたが、結果は異常無しであった。
異常が無いのが逆に危ない気もするが、とにかくガリィはキャロルの検査を乗り切ったのだった。
「だから言ったじゃないですかぁマスター、ガリィは大丈夫だって」
と言いながらガリィは内心驚いていた。キャロルほどの錬金術師が検査したならば、異常があればほぼ確実に発見されるはず、だが結果は異常無しであった。
(私達は異常じゃ無いってことだね~)
(ガリィのゴミ箱行きは何とか回避できたな)
(ま、これで堂々と動けるってもんよ!)
≪ホント、なんなのアンタ達……≫
ガリィはこの連中が何なのか本気で分からなくなっていた。なお、当の本人達も分かっていない模様。
「このまま想い出の回収に向かえガリィ。必要な物があれば勝手に持って行くがいい」
ガリィに想い出の回収を命じるキャロル。検査でシロだったので無罪放免である。
本当はクロですよとか言ってはいけない、キャロルがシロと言ったらシロなのだ。
「はぁ~い、ガリィ行ってきま~す☆」
こうして外出許可を勝ち取ったガリィであったが、肝心の目的については不明なままである。
(ガリィちゃん外に出て何するの?想い出回収する必要無いんだし)
謎の声達も疑問に思ったのか、ガリィを問いただすがその答えは実にシンプルなものだった。
≪買い物よ、か・い・も・の≫
(買い物?)
(人形が買い物するのか……)
(手足の関節の所はどうするんだ?バレるぞ人形だって)
買い物に行くと言い出すガリィであったが、その体は人形である。
ガリイの今の服装では足の関節が丸見えなため、人間では無いと一瞬でバレてしまうだろう。
≪それはレイアちゃんの服でも借りて隠せばいいでしょーが≫
(足の丈が……)
(いやー、厳しいっす)
≪折れば履けるだろーが!≫
(そうするしか無いかぁ)
(あと顔色はどうするの、病的に白いけどガリィちゃん)
≪…………病弱な子供を装ってればいけるでしょ⦅適当⦆≫
(いける……かなぁ?)
(病弱な子供が一人で買い物に来ないと思うんですけど⦅名推理⦆)
≪うっさい!もう決めたんだから!行くわよ!≫
(((はぁ~い)))
こうして外出の準備を進めるガリィ一行であるが、彼らは無事に買い物することはできるのだろうか。
そしてガリィは何を買いに行くのだろうか、結局不明なままである。
なお、レイアの服は勝手に借りた。
(一声掛けずに勝手に借りて行くのか⦅困惑⦆)
≪何着もあるしバレないわよ、ガリィにおまかせでっす☆≫
(参考までにガリィちゃん、自分の服が勝手に持ち出されてたら……)
≪はぁ?そんなの怒るに決まってんでしょーが≫
(えぇ……)
次回 ガリィ一行買い物へ
めっちゃ書いたと思ったら3000字すら書けていませんでした…