ガリィちゃんとわたしたち   作:グミ撃ち

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第三十二話です。




第三十二話

 

 

 前回までの簡単なあらすじ

 

 きりしら「いちゃいちゃ」

 

 畜生人形「買わないならそこをどけガキども」

 

 以上

 

 

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 ガリィは現在、面識の無い二人の少女に絡んでいた。

 

「それで買うの、買わないの? これ以上そこにいたらアンタ達、営業妨害で連れて行ってもらうわよ」

 

「っ!?」

 

「調、どうしたデスか??」

 

(ガリィちゃん睨むと怖いからなぁ…)

 

 ガリィに睨まれ切歌の後ろに隠れる調。人見知りにこのキツそうな性格の相手は辛いだろう。

 

「はぁ? 逃げる前に答えなさいよ」

 

「ご、ごめんなさい! 一旦離れるので許してほしいデス…」

 

「…そう、分かってくれたなら嬉しいわ」

 

 問いに答えず隠れた調に対してガリィのイライラゲージは上昇していく。だが剣呑な雰囲気に気付いた切歌が慌てて謝罪し、道を開けることで間一髪修羅場を回避する事に成功するのであった。

 

「い、いらっしゃいませー。あはは…なんだかすごいの見ちゃった気がするよ」

 

「ごめんなさいねお姉さん、せっかくのお祭りなのに空気悪くしちゃって」

 

 空気を悪くしたと謝罪するガリィ。なお、普段彼女はシャトーの空気を滅茶苦茶にしているが一度も謝った事が無い模様。何故いまだにゴミ箱に捨てられていないのか、これが謎である。

 

「いいよいいよ、気にして――――いや、やっぱりショックだったなぁ~、でもたこ焼き買ってくれたら許しちゃおっかな~(棒読み)」

 

 人の良さそうな笑顔のお姉さんだったが少し考える素振りをすると一転、意地の悪そうな笑顔へと豹変するのであった。

 

「ふふ、商売上手ねお姉さん♪ そんな事しなくても元々買うつもりだったんだけど、そうね…おまけしてくれるならたくさん買っちゃおうかしら」

 

「あはは、君もなかなか強かだね~、よし気に入った! お姉さんの権力でサービスしてあげようじゃないか!」

 

 お姉さんはガリィを気に入ったようだが、目の前のそいつの正体は悪の組織の戦闘員でその上内部崩壊まで起こしかねない危険物である。できれば早急に縁を切る事をお勧めしたい。(届かぬ願い)

 

「いいの? ありがとう素敵なお姉さん♪」

 

 そして和やかに店員と話すガリィだが、シャトーの面々とクリスが見れば顔が引き攣る程の違和感を感じる光景である。相変わらず猫を被るのは一級品であった。

 

 

「…じー……」

 

「いい匂いデスね~、やっぱりこれにするデスよ」

 

「…駄目、切ちゃん我慢してる」

 

「そんな事ないっていってるじゃないデスか! なんで分かってくれないんデース!?」

 

 なお、その隣ではまた二人が揉めていた。これには流石のガリィと店員のお姉さんも苦笑いである。

 

(どうするの、ガリィちゃん)

(また怒るのはナシだよ⦅警戒⦆)

 

≪…はぁ、仕方がないわね。ガリィにおまかせで~す≫

 

 若干嫌そうにいつものセリフを脳内で語るガリィ。どうやら何か考えがあるようだ。

 

 

「お姉さん、一番大きなやつくださいな。あとお箸と爪楊枝は三人分お願いします」

 

 

「三人分――――なるほどね、優しいんだね君~! このこの~!」

 

 何故か三人分の箸と爪楊枝を要求するガリィ。店員のお姉さんはその意図にすぐ気付いたようで、ガリィに生暖かい視線を送っていた。

 

「…察しの良いお姉さんは嫌いよ。でも何も言わないでいてくれたら許してあげるけど、どうする?」

 

「あはは、ゴメンゴメン! それじゃすぐ作るから待っててね~」

 

「はいはい、待っているから早くしてね」

 

 店員のお姉さんとの会話に一段落ついたガリィであるが、次なる問題は隣で言い合う二人をどうにかする事である。

 

≪はぁ、めんどくさ…かといって放置するわけにもいかないし、やるしかないわね≫

 

(ここで喧嘩して警備員に連れていかれたりしたら原作壊れちゃ~う⦅危機感⦆)

(将来敵になる相手の喧嘩の仲裁するとか、もうこれ分かんねぇな)

 

 面倒臭そうに二人の仲裁をする事にしたガリィ、その表情はやる気など微塵も感じさせないものであった。

 

 

「アンタ達、ちょっと」

 

 

「だからそれは調の勘違いって言ってるデス!」

 

「切ちゃん見てたもん、じーっと」

 

 二人に話しかけるガリィであるが、言い合うのに夢中な二人は気付いていない。ちなみにガリィは自分の話を聞いてくれない相手は大嫌いである。よってイライラゲージは急上昇まっしぐらであった。

 

「……」

 

(こ、これはマズいですよ!⦅経験則⦆)

(二人とも気付いて、早く!)

 

 ガリィの目がすぅーっと細くなっていく。そう、畜生人形はお怒りである。

 

 

「…ガリィを無視すんじゃないわよガキども⦅絶対零度⦆」

 

 

「これじゃ埒が明かないじゃないデ――――ひっ!?⦅恐怖⦆」

 

「埒が明かないのはこっちのセリ――――っ!?⦅怯え⦆」

 

 決して大きな声で言ったわけではない。だがその声は二人の心に直接響く様な冷たいものだった。

 

「やっと気づいてくれたかしら? アンタ達が無視するせいで泣いちゃうところだったじゃない」

 

「そ、それは悪かったデス…調と話すのに夢中で気付かなかったデスよ…(全然泣きそうに見えないけど言ったら怒る気がするので黙っているデス!)」

 

「…ガキどもって、貴方の方が私達より――」

 

「しっ、調っ!? ちょっと黙ってるデース!!」

 

≪デスデスうっさいわねこの金髪…≫

 

 危ない事を口走りかけた調を慌てて止める切歌。一方ガリィは切歌の語尾に少しイラっとしていたので、調に対してはスルーであった。

 

「そろそろ落ち着いたかしら? それで、アンタ達に用があるから話しかけたんだけど」

 

「私達に…デスか?(ひえ~、なんだか面倒臭い事になっちゃったデス!)」

 

「…まだ怒りたりないの…?」

 

「しっ、しらべぇ~…⦅心労⦆」

 

≪…う~ん、この表情どっかで見た事あるわね…≫

 

 無意識に煽る調を見る切歌の表情は明らかに疲れていた。そんな切歌を見るガリィは、その表情に見覚えがあるようだ。

 

≪…あっ、分かった。これファラちゃんがガリィを見てる時の表情そっくりだわ。どうしてかしら?≫

 

(分からないのか…⦅戦慄⦆)

(ガリィちゃん身内に対してはいろいろとガバガバすぎない?)

 

≪はぁ、なにがよ? ってそんな事より今はこいつらの対処が先なんだから≫

 

 そう、今はそんな事をしている場合ではない。どうにか二人を仲裁しなければ警備員に二人が連れていかれるかもしれないのである。

 

「そんな事で怒らないから気にしなくていいわよ。それよりアンタ達――――」

 

「お待たせ~♪ はいこれ、いっぱいサービスしといたわよ~」

 

 ガリィが話している途中に割り込んで来た人物、それは袋を掲げた店員のお姉さんであった。ちなみに何故かドヤ顔である。

 

「あら、本当におまけしてくれたのね。ありがとうお姉さん、はいこれお代」

 

「毎度あり~。そこに飲食スペースがあるから三人で仲良く食べてね♪」

 

「…おいしそうな匂いだね、切ちゃん」

 

「そうデスねぇ」

 

 お姉さんにお代を渡したこ焼きを受け取るガリィ、それはとても一人で食べきれる量にはとても見えなかった。なお、隣で見ている二人は空腹なのか袋をガン見していた。

 

「あの、袋が重いんだけど…お姉さんちょっと入れ過ぎじゃない? 」

 

「え、そう? それくらいなら一人でも食べきれると思うんだけど…」

 

「お姉さん…(呆れ)」

 

 突然大食いである事をカミングアウトするお姉さんに呆れた顔をするガリィ。しかし厚意を無駄にするのも悪いのでここは受け取るしかないだろう。

 

「それじゃ私は店番に戻るから。あっ、おかわりが欲しくなったらまた注文よろしく♪ じゃあね~」

 

「いらないわよ⦅即答⦆ それじゃお姉さん、またね」

 

 こうして店員のお姉さんとさよならしたガリィだが、ここからが問題である。ガリィの策とはいったいどのようなものなのだろうか…。

 

「聞いてたわよねアンタ達。さ、行くわよ」

 

「…?」

 

「…えっ、どこかに行くデスか? 私達も?」

 

 突然二人をどこかに誘うガリィだが、二人の反応は当然ながら疑問に満ちたものであった。

 

「あのね、こんな量一人で食べきれると思う? お腹空いてるんでしょ、だったら丁度いいし手伝いなさいよアンタ達」

 

「…確かにすごい量」

 

「わっ、悪いデスよ! 私達、お金もそんなに持っていないデスし…」

 

「手伝ってくれない方がこっちは困るんですけど。それにお金なんていらないに決まってるでしょ、この程度じゃ私の財布は微塵も痛まないんだから」

 

 ガリィの言う事は正しい。何故なら痛むのはガリィの財布ではなくキャロルの財布だからである。ちなみに風鳴翼のCDもこのお金で買っており、そのほとんどが豪華版なので高いCDであった。キャロルは泣いていい。

 

「でっ、でも、タダでもらうわけに⦅グゥ~⦆ こっ、これは違うんデス!!⦅赤面⦆」

 

「切ちゃん…⦅ジト目⦆」

 

「はぁ、どいつもこいつもお腹だけは正直ね…。ほら、来なさい。冷める前に食べましょ」

 

 ガリィはそう言うと二人の手を引き、飲食スペースへと歩き始める。まだ赤面している切歌と無表情の調はガリィにされるがままであった。

 

「…手、冷たいね」

 

「ほんとデスね、大丈夫なんデスか?」

 

「体温低い上に冷え性なだけよ。私が病人に見える? 見えないでしょ?」

 

「確かにそんな風には見えないデス…」

 

「うん」

 

 こうして二人と共に歩き続けるガリィ。この先の展開は、果たして…。

 

 

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 ガリィが切歌達に遭遇するかなり前、翼は人通りの少ない廊下を歩いていた。

 

「もしもし、雪音か?」

 

『そうだけど、っていうか携帯なんだから間違えるわけないだろ…』

 

 静かな場所に出た後、翼はクリスと連絡を取っていた。要件はもちろんアレである。

 

「はは、すまない。それで用件なのだが、実は先程会った少女に頼まれてな。雪音と小日向に自分が来ていることを伝えてほしいとの事だ」

 

『はぁ? なんだよそれ、誰がそんな――――いや、待てよ、あたしとバカの親友に…ってまさか!?』

 

「その少女はガリィと名乗っていたが、その反応だとやはり知り合いのようだな」

 

『はぁ!? あいつここに来てるのかよ!?』

 

 電話越しでもクリスが驚愕しているのが翼には分かった。どうやらクリスには予想外だったらしい。

 

「偶然私とぶつかって話をしたら二人の名前が出てきてな。それでこんな形になったという訳だ」

 

『相変わらず意味不明な奴だな…というかなんでその時に連絡しなかったんだよ』

 

「彼女曰く、『私は夕方までいますから、見つけてご覧なさい♪』との事だ。探すなら早い方がいいんじゃないか、案外雪音を待っているかもしれないぞ」

 

『誰が探すか!! それにあいつがあたしを待ってるとか絶対にありえねぇ!』

 

 からかうような口調の翼に対して、噛みつきそうな勢いのクリスである。本当にどのような関係なのだろうか…? と翼は不思議に思っていた。

 

「落ち着け雪音。とにかく伝言はこれで終わりだ。私は小日向にも連絡するから失礼する、それではな」

 

『あっ、ちょ、おい待て!まだあたしの話は終わ――』

 

 翼は強引にクリスとの通話を打ち切った。このままでは長くなる予感がしたからである。

 

「小日向にも連絡しなければいけないのだ、許せ雪音」

 

 そう呟くと翼は手早く未来へと連絡をする事にした。何故なら悠長にしているとクリスが電話をかけ直してくる可能性が高いからである。

 

「…もしもし、小日向か?」

 

『はい、そうですけど。私に何かご用ですか、翼さん』

 

 幸い電話はすぐに繋がったようだ。なお、クリスはかけ直したがワンタッチの差で間に合わなかった模様。

 

「実は先程、小日向の友人に会ってな。ガリィという少女なのだが――」

 

『えっ、本当ですか翼さん? そっか、来てくれたんだ…嬉しいなぁ』

 

「その、雪音とは随分反応が違う気がするのだが…」

 

 クリスとはまるで違う反応を見せる未来に翼は困惑していた。同じ友人を持つ二人が何故これほど違うのだろうか…翼は二人とガリィの関係が気になって仕方がなかった。

 

『えっと、それは出会い方の違いというかですね…それで、ガリィちゃんはどこにいるんですか?』

 

「その事なのだが、二人に伝言を頼まれていてな。『私は夕方までいますから、見つけてご覧なさい♪』だそうだ」

 

『あはは、相変わらず意地悪だなぁ。分かりました、翼さんもわざわざありがとうございます』

 

「いや、たいした手間でもないし気にする事はない。それより私は二人とあの少女の関係が気になって仕方がないのだが…良かったら後で教えてもらえないだろうか」

 

 翼は素直に教えてくれそうな未来に頼む事にした。とはいえクリスに頼んでも面倒臭い事になるのが目に見えてるので、実質未来に頼むしかないのだが。

 

『それはもちろん構わないですけど…長くなりそうなので後で直接会った時でどうですか?』

 

「そうだな、私はそれで構わない」

 

『はい、それではまた後で。失礼します、翼さん』

 

「あぁ、楽しみにしている」

 

 こうして未来との通話を終えた翼。しかし…。

 

 

「やれやれ…」

 

 

 通話を終えたばかりの翼の携帯が振動する。着信を示すその画面には「雪音クリス」の名が表示されていた。

 

 

「さて、長丁場になる事を覚悟しなければな」

 

 

 長期戦を覚悟した翼は、廊下の壁に背を預けクリスとの通話に臨むのであった。

 

 





話が進まないので次は早めに更新します(決意)

次回も読んで頂けたら嬉しいです。


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