ガリィちゃんとわたしたち   作:グミ撃ち

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第六十六話です。




第六十六話

 

 

≪…ねぇ、やっぱり死人を出さないなんて無理よ無理。昨日の言葉は忘れて頂戴≫

 

(((えぇ…⦅困惑⦆)))

 

 ガリィ・トゥーマーンは険しい道の一歩目で既に躓きかけていた。

 

「…歌女どもがこちらに向かっているようだ。ガリィ、貴様は…」

 

「危なっ! 玉砕覚悟で突っ込んで来るんじゃないわよ殺すところだったじゃない!――あ、ガリィはここで玩具の操作に集中していますからお気遣いなく☆――ああもう面倒臭い!触ったら死ぬとかアンタ達弱すぎなのよ!⦅理不尽⦆」

 

「…把握した。頃合いを見て貴様は帰還しろ」

 

 襲撃されている発電施設だが、その原因である多数のノイズを操作しているのは実はガリィであった。彼女はキャロルに駄々をこねて同行しノイズの操作係を買って出た、というのが今の状況である。

 

「はいはーい♪ ガリィはここからマスターの無事を祈ってますね☆」

 

「…ふん」

 

 施設内で最も高さのある鉄塔の頂上、そこにガリィ達は立っていた。しかしここからは別行動のようで、キャロルは鉄塔から飛び降りると、どこかへと歩き出すのだった。

 

 

「…さ~て、悪巧みの始まりよ☆――あっ、操作間違っちゃった…」

 

 

(なんと…なんという事を…⦅呆然⦆)

(40代くらいのおじさんの髪の毛が…⦅呆然⦆)

(分解、されてしまった…⦅呆然⦆)

 

 ちなみにガリィが気を散らした所為で一人被害者が出てしまった模様。髪は命より重い…!⦅迫真⦆

 

 

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「はああぁぁぁっ!」

「吹っ、飛べえぇぇぇぇっ!」

「もう大丈夫ですから、落ち着いて避難して下さい!」

 

 ノイズから民間人を守るため改良型ギアを起動し駆け付けた三人の装者は現在、多数のノイズとの戦闘を繰り広げていた。どうやらギアの起動は問題無く成功したようで、三人はノイズを順調に排除し続けていた。

 

「あいつには後で何かしてやらねぇとなっ!」

 

「ああ、私達が今ここに立っていられるのはエルフナインの尽力によるもの。故に私も雪音と同意見だ」

 

「私も賛成!賛成でーす! …そうだ!エルフナインちゃんの歓迎会をやるっていうのはどうですか!? S.O.N.G.の方じゃなくて私達だけで!ご飯、ご飯を食べましょう!⦅食い気味⦆」

 

「ふっ、ふふっ…そうだな、立花らしくて私はいいと思うぞ」

 

「…お前が飯食いたいだけじゃねーの?」

 

「ち、違うよぉ~! 私は純粋かつ清らかな気持ちで言ってるんですーっ!」

 

 アルカノイズの強力な分解能力、その脅威的な力により一度は敗北した彼女達だが、ギアが改修された事によりそのパワーバランスは逆転していた。もはやアルカノイズの攻撃を受けてもギアが分解される事は無く、三人は談笑する余裕がある程の手応えを感じていた。

 

『…お前達、ここに本人がいる事を忘れていないか?』

 

『あ、あのっ…ボクは自分にできる事をしただけでそのっ、歓迎会なんて申し訳ないというか…⦅赤面⦆』

 

「はぁ? どうせ後で分かるんだからいいんじゃねーの?」

 

「私達のせめてもの感謝の気持ちだ。受け取ってくれれば嬉しい」

 

「そうだよエルフナインちゃん! 一緒にご飯食べよう、ねっ!」

 

 談笑を続けながら三人はノイズの駆逐と民間人の避難誘導を続けていた。しかし彼女達は知らない、自分達に脅威が迫っている事を…。そして…。

 

 

 

「――玩具相手に優位を取っただけでその喜び様…程度が知れる」

 

 

「「「っ!?」」」

 

 

 戦場に一人の少女が降り立つ。それは装者達にとってアルカノイズとは比べるのもおこがましい程の脅威。

 

 

「くくっ…どうした? 俺が現れた事に驚いているのか、それとも…」

 

 

「「「…」」」

 

 

「自分達との力量差を感じ取り、絶望に染まっているのか?」

 

 

「キャロル、ちゃん…?」

 

 

 錬金術師キャロル・マイルス・ディーンハイム。オートスコアラーを遥かに上回る脅威が装者達に牙を向こうとしていた。

 

 

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「藤尭、友里、周辺の索敵を急げ! 大将が出てきている以上、近辺にオートスコアラーが潜伏している可能性が高い!」

 

「「はい!!」」

 

「キャロル…そんな、どうして」

 

「敵の親玉が一人で出て来たって言うの…?」

 

「だ、だけどこっちは三人デス! 先輩達ならきっと…!」

 

「…ガリィは近くにいるんじゃないかな?」

 

 S.O.N.G.司令室は現在、キャロルの出現により騒然となっていた。慌てて索敵を開始する職員達、呆然とするエルフナイン、そして各々に意見を語る装者達などがその原因である。

 

「――っ! 司令、鉄塔の頂上にオートスコアラーと思しき姿を発見しました!…これは、恐らくガリィです」

 

「そうか、他には?」

 

「他のオートスコアラーの姿は確認できません。潜伏している可能性を考え、索敵を続けます」

 

「ああ、頼む」

 

 そしてその後すぐにガリィは見つかった。まあ姿も隠さず鉄塔の頂上で仁王立ちしているのだから見つかって当然なのだが…。

 

「ガリィは何故、キャロルと別行動を…?」

 

「…またあの人形…?」

 

「ガリィの出現率…脅威の百パーセントだね、切ちゃん⦅遠い目⦆」

 

「そう、デスね…⦅遠い目⦆」

 

 そして毎回現れるガリィに彼女達はげんなりしていた。このままではガリィが出現しなかった時に心配されてしまいそうだが大丈夫なのだろうか…⦅遠い目⦆

 

「お前達、そちらの様子はどうだ?」

 

『そうですね…戦闘を回避する事はできそうにありません』

 

『あいつ、敵意剥き出しで睨んでやがる』

 

『師匠、私達は…』

 

 他のオートスコアラーを捜索している間に弦十郎は装者達と通信し状況の確認をするのだが、その返答はあまり芳しくないものだった。

 

「ならば仕方あるまい…交戦を許可する、だが無茶はしてくれるなよ!」

 

『了解しました。…無茶をせずに勝利を掴める相手であれば良いのですが…』

 

『こっちは三人掛かりなんだ、さっさと追い払ってやる!』

 

『…はい、分かりました』

 

「…任せたぞ(ぶっつけ本番でアレは使えん…どうにか踏ん張ってくれ…!)」

 

 装者達の言葉を聞き弦十郎は戦闘回避は不可能と判断し、装者達に交戦許可を出した。改良型シンフォギア、その中に組み込まれている決戦機能を使う事が無いように祈りながら…。

 

 

「…切ちゃん」

 

「…私も気持ちは同じデス」

 

 

 一方、二人の少女は今すぐにでも飛び出したい気持ちを抑え、真剣な表情でモニターを見つめ続けていた。

 

 

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「…」

 

「はっ! お行儀良く待ってくれるとは、随分とお優しいこった!」

 

 弦十郎との通信を終えた三人はキャロルと対峙する。そして通信中無言で佇んでいたキャロルに対し、クリスが挑発を仕掛けるのだが…。

 

「…履き違えるなよ、これは余裕というものだ。もっとも貴様のような吠える事しかできん犬には理解できぬのだろうが」

 

「…は?⦅全ギレ⦆」

 

「お前が挑発に乗ってどうする! 相手は――」

 

「キャロルちゃん! もうこんな事はやめて、私と話をしようよ!」

 

「――立花!? 何を…?」

 

「――このバカっ! 今の状況考えろ!」

 

 逆にクリスが挑発に乗ってしまい、それを翼が必死で抑えつけるという最悪の結果に終わってしまう。そして更に響が突然キャロルに語り掛け始めてしまい、事態は混沌と化して行く。

 

 

 

「…喧しい――立花響、貴様には失望したと言ったはずだ。それでもなお惚けた事を宣い続けるのであれば…」

 

 

 しかし次の瞬間、一人の少女が放った言葉によって場は静寂を取り戻す。

 

 

「俺がその口を二度と利けなくしてやろう」

 

 

「「「っ!?」」」

 

 

 装者達が感じ取ったもの、それは身を震わせる程の敵意。そしてそれを呟いた後、少女の姿は変貌する。

 

 

「なん、だと…」

 

「あたし達と…同じ…?」

 

「シン、フォギア…? でも、聖詠は…?」

 

 その姿を見た装者達三人は皆一様に驚いた表情をしていた。何故なら…。

 

 

「…クッ、ククク…聖遺物を使用する事が自分達の専売特許だとでも思っていたのか?」

 

 

 そこに立っていたのは、十年近く時を経た姿に変貌したキャロル・マールス・ディーンハイム。彼女はシンフォギアとしか思えない鎧を纏い、不敵な表情で響達を見つめていた。

 

 

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≪マスターったら楽しそうに弱いものイジメしてるわね~、可哀想だと思わないのかしら?≫

 

(おまいう⦅定期⦆)

(前に太ったおじさんをノイズを使って追いかけ回してたのは弱いものイジメじゃないんですかねぇ…)

(ガリィちゃんはそんな前の事もう覚えてないゾ)

 

 ノイズを使ってある程度施設を破壊したガリィは装者三人とキャロルの戦いを隠れて見守っていた。現在は戦闘が開始されてまだ十分も経っていないが、装者達はキャロルの強大な力を前に劣勢を強いられていた。

 

≪そうね、そんな事はもう忘れたわ⦅大嘘⦆ というかあの子達、まだそのままで戦う気なのかしら? いい加減諦めて賭けに出なさいよね≫

 

(イグナイトは強力な分、超危険だからねぇ)

(できれば使わせたくないだろうね、特にOTONAは)

 

≪ほんっとーに面倒臭いシステムよねぇ…っと、やっと覚悟を決めたみたいね。真面目な顔してて分かりやすいったら≫

 

 ガリィ一行は話を続けていたが、やがて装者達の様子が変化した事にガリィが気付く。装者達は三人横に並び、真剣な表情でギアペンダントを握ると…。

 

 

「「「イグナイトモジュール、抜剣!!!」」」

 

 

 劣勢を覆すため、危険な賭けに出たのだった。

 

 

≪さてと、誰が醜態を晒すか皆で予想しましょうか。ガリィはもちろんクリスに投票するわね♪≫

 

(ゲスぅい!⦅驚愕⦆)

(なんでや! 全員成功するかもしれんやろがい!⦅半ギレ⦆)

(クリスちゃんが一体何をしたっていうんだ…⦅悲しみ⦆)

 

 なおガリィはその様子をゲスい表情で見守り、そしてゲスい遊びを声達に提案していた。将来イグナイト機能によって自分が真っ二つにされるかもしれないのに気楽なものである⦅呆れ⦆

 

 

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「…まさか、これ程の力を持っているとは…」

 

「…キャロルは自身の想い出を焼却する事で強大な力を得る事を可能とし、そしてその力を振るうための鎧がダウルダブラのファウストローブなのです」

 

「ダウルダブラの、ファウストローブ…」

 

「…調」

 

「…うん」

 

 その圧倒的な戦闘力を前にS.O.N.G.司令室は驚愕に包まれていた。しかしその中で切歌と調だけは様子が違い、何かを決意したように目を合わせていたのだった。

 

「あの機能に頼るしかないのか…! だが――」

 

「司令さん、お願いがあります!」

 

「…何だ?」

 

「――切歌…?貴方何を…?」

 

 イグナイトモジュールの起動を装者達に命じるべきか…そう考える弦十郎だったが、その思考は突然声を上げた切歌によって断ち切られるのだった。

 

「司令さん、私達に出撃許可を下さい」

 

「私達にできる事があるんデス! だから、お願いします!」

 

「調…? 貴方まで…」

 

「…却下だ。 お前達のシンフォギアはまだ改修されていない、戦闘に参加するのは危険すぎる」

 

 何を思ったのか出撃許可を求める二人だが、それは当然弦十郎によって却下される。しかし…。

 

「違います。私達は戦いに参加したいわけじゃありません」

 

「響さん達をサポートするために行きたいのデス!」

 

「サポート…?」

 

「サポートだと?…だが――」

 

 彼女達は予想外の言葉を弦十郎へとぶつけてきた。弦十郎はそれでも危険であると判断し二人を納得させようとするのだが、二人の目を見た瞬間弦十郎は言葉を失ってしまう。

 

「…(感情に任せて言っている目では無い…それでいて落ち着いている)」

 

 弦十郎を見つめる二人の目、それは焦りや動揺など微塵も感じさせないものだった。故に…。

 

「…話してみろ、その内容次第では許可を出してやらん事もない」

 

「本当デスか!」

 

「ありがとうございます、それで――」

 

 弦十郎は二人から話を聞くことにした。その言葉を聞いた切歌は顔を綻ばせ、そして調が弦十郎に心の内を話し始める。その結果は、果たして…。

 

 

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「うあ、ああああああっ!!!!!」

 

「ぐっ、があああああっ!!」

 

「くぅっ…ク、クリスちゃん…翼、さん…!」

 

 キャロルに圧倒的な力量差を見せつけられ、戦況を覆すためイグナイトモジュールを起動した三人の装者。しかし彼女達は自身に襲い掛かる破壊衝動を侮っていたと言わざるを得ない、何故なら…。

 

「(なんだよ、これは…!)」

 

「(こんなもの、耐えられるわけが…ない…!)」

 

「(…動けない…この痛みを知っている私が二人を助けないといけないのに…!)」

 

 クリスと翼は既に破壊衝動を抑えるだけで精一杯という状態であり、唯一破壊衝動に抗えている響も二人に助力する余裕は無い様子だった。

 

「立花響…どうやら貴様一人のようだな…。 残りは最早どうにもなるまい」

 

 その様子を見つめるキャロルは冷静に、それでいて正確に状況を判断する。そしてその言葉が正しい事を示すかのように次の瞬間…。

 

 

「(未来に誓ったんだ…私は皆を、守る事をやめないって! だから、だから!)」

 

 

「負けて、たまるかあぁぁぁぁ!!!」

 

 

 立花響の想いは、その呪いを凌駕した。

 

 

「ぐっ…! た、立花…」

 

「へっ、へへっ…やるじゃねーかよ」

 

「クリスちゃん、翼さん…!」

 

 しかし依然二人はその衝動を乗り越える事ができず必死に抗っていた。響は二人の手を握り、必死で声を掛け続けるのだが…。

 

「…すまない立花…私にはその資格が無い、らしい…情けない先輩で、本当にすまない…」

 

「っぐっ、うぅ…思い出したくない事だらけで頭がグチャグチャになっちまう…悪い、あたしも駄目みたいだ…」

 

「っ!? あ、諦めないで!」

 

「…無駄だ、どうやらギアに小細工を施したようだがそれは生半可に乗り越えられるものではない」

 

 とうとう弱音が零れ始めた二人に声を掛け続ける響だが、それを見守るキャロルは響達に残酷な言葉を突きつけるのだった。

 

「(立花に手を握られていなければとうに正気を失っていた。だが、もう…)」

 

「(情けねぇ…もう片方の手が冷たくて仕方ない、なんて思っちまう…)」

 

「…!そんなっ…」

 

「…終わりだ」

 

 二人の表情が諦めを感じさせるものへと変化し、響はそれを察してしまう。その光景を見たキャロルは二人の失敗を確信した。

 

 

 

 

「クリス先輩!」

 

「翼さん!」

 

 

 

 そう、このまま何も状況の変化が無ければ失敗に終わったのだ。しかし、二人の少女が現れた事で状況は一変する事となる。

 

「(なんだ…? 暖かい…)」

 

「(この、声は…)」

 

「あっ…!」

 

 翼とクリスが響に握られていない方の手、イグナイトモジュールを起動してからというもの、冷たさしか感じる事が無かったそれが突然暖かさに包まれたのである。その原因をいち早く理解した響の表情が喜びに染まり、そして…。

 

「クリス先輩! しっかりするデスよ!」

 

「…へっ、聞こえてるっつーの」

 

 

「翼さん…!」

 

「月読…か? …ふふっ、何だその心配そうな顔は…」

 

 

「切歌ちゃん!調ちゃん!」

 

 

「――なんだと…?」

 

 キャロルはその予想外の光景に目を見開き驚きを露にした。その驚きの理由は、破壊衝動に飲み込まれ言葉を発する事もできなかったはずの二人が理性を取り戻し、微笑んですらみせた事だった。

 

「っ!? お前、無理すんな…! 早く手を離――」

 

「ぜ、絶対にお断りデス…! 先輩はこんなものに絶対負けないって、あたしは信じてます! だから…負けないで!」

 

 

「月読…! このままではお前にまで呪いが…!」

 

「くぅ…! 翼さんの苦しみの少しくらいなら、私にだって受け止められます…! だから…負けないで!」

 

 

「私も二人を信じてます! だから…負けないで!!!」

 

 

「…手を握られただけで呪いを押し返し始めただと…?」

 

 キャロルが驚愕する事態は続き、なんと三人の言葉を聞いた翼とクリスが呪いを押し返し始めたのだ。その信じられない光景を呆然と見つめるキャロル、そして…。

 

「…雪音…情けないな、私達は」

 

「…うっせ、あたしはこれから取り返すんだよ…!」

 

 二人は、完全に正気を取り戻した。

 

「そうか…奇遇だな、私もそう思っていたところなのだ」

 

「そうかよ! なら…」

 

 あれほど寒さを感じていた全身が温かさに包まれていた。

 

「(今も魂が凍えるような光景が脳裏に浮かび続けている…だが)」

 

「(いい加減しつこいんだよ! だけどな…)」

 

 故に、呪いによって彼女達が凍える事は最早ありえない。

 

 

「クリス、先輩…!」

 

「翼、さん…!」

 

「…っ!」

 

 

「(それ以上に暖かいものが、ここに!)」

 

「(残念だな…! もう、あたしは一人じゃないんだよ!)」

 

 

 仲間が、後輩が自分達を支えてくれている。故に…。

 

 

 

「「この衝動に…塗り潰されてなるものかぁぁぁぁぁぁっ!!!」」

 

 

 

 これ以上情けない所を見せる事など、彼女達が許せるはずがない。

 

 

「や、やった…!」

 

「さっすが先輩達デ-ス!!」

 

「ばんざーい!! 二人とも、来てくれてありがと~!!」

 

 

 

 

 

「…まあいい。 俺にとっては貴様ら程度、いくら来ようが問題にならん」

 

 

 喜びに沸く装者達に対してキャロルは冷え切った声で呟く。その言葉の意味は、果たして…。

 

 

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≪なんだか三人とも黒くなっちゃったわね。アレ、本当にそんなに強くなるの?≫

 

(いやぁ、呪いは強敵でしたねぇ⦅安心⦆)

(強いよ、間違いなく)

(一分後のガリィちゃんの反応が楽しみです⦅満面の笑み⦆)

 

 三人が呪いを克服するのを見ていたガリィは、その力を疑っていた。確かに外見的な変化はギアが全体的に黒みを帯びたくらいなのでそう思っても仕方がないのだが…。

 

 

≪どうせアンタ達の事だからいつも通り大げさに言ってるんでしょ? ガリィを騙そうったってそうはいかないんだから!≫

 

 

 自分が見定めてやると言わんばかりの表情で装者達を睨み付けるガリィだが、一分後…。

 

 

 

≪うそ、でしょ…アタシより…つよ、い…?≫

 

 

 

 そこには、死んだ魚のような目でどこかを見つめ続ける人形の姿があった。⦅残酷な現実⦆

 

 





少し視点変更が多すぎますかね? でも勢いに任せて書くとこうなっちゃうんだよなぁ…⦅諦め⦆

次回も読んで頂けたら嬉しいです。



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