ガリィちゃんとわたしたち   作:グミ撃ち

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 第六話です。




第六話

 

 

≪暇なんだけど≫

 

(そう…⦅無関心⦆)

(ミカちゃんと鬼ごっこでもする?)

(なお、捕まったらチューされる模様)

 

 ガリィが謎の声と出会ってから半年くらい経ったある日、ガリィ・トゥーマーンは退屈していた。

 

 最近のガリィの仕事は、キャロルの夕飯を作る、以上。これだけである。

 想い出を集める仕事も本来であれば行っているのだが、現在ガリィは想い出無限タンク状態である。

 よって想い出回収を命じられた時間は街に出て遊んでいるだけ、という良いご身分であった。

 

≪イヤ、ミカちゃん補給目当てで本気で追って来るから勝てるわけ無いじゃない…どんだけ燃費悪いのよアイツ…≫

 

(じゃあ情報収集でも行く?主人公、響ちゃんももう学校に復帰してるだろうし探せば見つかるかもよ)

(あぁ、そういえば一回も見に行って無いよね)

(どう?ガリィちゃん)

 

≪興味無いし、どうでもいいし面倒臭い≫

 

 主人公観察ツアーを提案する謎の声達だが、ガリィは興味無しである。

 そう、ここで終わっていればよかったのだが、次の瞬間謎の声達は不用意な発言をしてしまうのだった。

 

 

 

(そういえば今頃ビッキーすごいイジメ受けてるんだっけ確か…)

 

 

 

≪ふぅ~ん、詳しく聞かせなさいよその話≫

 

 

 

 謎の声達は本能的に悟った、この流れは非常にマズい、と。

 

(まぁまぁそんなことより今日のキャロルちゃんの夕食のメニューなんだけどさぁ!)

(今日は確か良いお肉があったから肉料理にしようか!)

 

 

≪ねぇ…?≫

 

 

(…なにかな、ガリィ君)

(…味見なら我々がするから心配いらないよ?)

 

 

≪立花響の今の状況、洗いざらい話しなさい≫

 

 

(アッハイ)

(これは私達やらかしてしまいましたなぁ…)

 

 

 

 - 十分後 -

 

 

≪じゃ、行きましょうか≫

 

(えっ…)

(あの…どこに行かれるのでしょうか…?)

 

≪アンタ達が提案したんじゃない、主人公観察ツアーよ≫

 

(あ、そうですか…)

(観察するだけなんですよね…?⦅震え声⦆)

 

 突然主人公観察ツアーに乗り気になった人形にイヤ~な空気を感じた謎の声達は、なんとか被害を軽減させようとしていた。

 しかし次のガリィの言葉でもはや手遅れであることに彼らは気付くのであった。

 

 

≪アンタ達薄情ねぇ、まぁそんなアンタ達の代わりに≫

 

 

 

 

「これからとーっても可哀想な主人公ちゃんをガリィが優しく慰めてあげるんだから☆」

 

 

 

 

(あっ、そっかぁ…⦅諦め⦆)

(介入しないって言ったでしょこの馬鹿人形!)

(言葉に出すなよ…弱く見えるぞ…⦅錯乱⦆)

 

 

 とにかく、そういうことになった。

 

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 立花響は苦境に立たされていた。

 昼休み、小日向未来と弁当を食べていた彼女が教室に戻るとそれまでの喧騒がピタリと止み、クラスメイトが一斉に響の方を向いたのだ。

 

「アハハ…皆、どうしたの…?」

 

 皆が自分を見ている事に驚き思わず愛想笑いを返す響であったが、響の問いに答える声は無くクラスメイトは響から目を逸らしてしまうのであった。

 

 不思議に思った響が席に戻ると、そこで彼女が見たのは「バカ」「死ね」「クズ」と言った言葉が書き殴られた自分の机という信じられない光景であり、響は言葉を絞り出すように「あはは、こりゃ参ったなぁ…」と言うのが精一杯であった。

 

 立花響は現在、複雑な事情により多数の生徒からのイジメを受けていた。

 普通であれば登校拒否になるのも仕方無い、というより登校拒否するのが正常と言っていいほどの惨状だが我慢強いと言うのだろうか、彼女は今も学校に通っていた。

 

 小さな声で「へいき、へっちゃら」と呟くその姿は見ていられないものであるが、残念ながら現在このクラスにおいては彼女の味方は誰一人として存在しない。

 彼女の唯一の味方と言ってもいい小日向未来もクラスは別であるため、響は放課後までの時間をこの机で乗り切らなければならなかった。

 

 

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 放課後になった。響は一人で机に書かれた落書きを消そうとしていたものの、部活に向かう途中だった小日向未来に見つかり助力を得ることができていた。

 

「私、バケツに水を入れてくるから響はここで待っててね」

 

「そんなっ、私が原因なのに未来にそんな事させられないよ!ただでさえ部活休んでまで手伝ってくれてるのに…」

 

「響は何も悪くないんだからそんな顔しないの。じゃあ、行ってくるから待っててね」

 

「あっ、未来…」

 

 自分が行くと言う響だったが未来は強引に教室を出て行ってしまう。

 一人残された響は「あはは…ホント…参っちゃうな…」と言葉をこぼし、未来を待つ事にしたのだが

 

 

 

 

 

 

 

 

「随分素敵なデザインの机ね、羨ましいわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 出たぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!(絶叫)

 

 

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 いつの間にか響の前にいたのは、肩にかかるくらいの黒髪の少女であった。

 パーカーにロングスカートと地味な服装ではあるが顔は美少女と言っていい、しかしどこか冷たさを感じさせる少女は、響の机を見ながらとんでも無い事を言い放つのだった。

 

「え…」

 

「アナタ、何がしたいの?」

 

 

 突然目の前に現れた少女に困惑する響に、続いて言葉を投げてくる少女。

 響は何とか言葉を返そうとするが、「それは、どういう…」と返すのが精一杯である。

 

「理不尽な仕打ちに立ち向かう事も無く、逃げる事もしない。アナタ、何がしたいの?」

 

 そう黒髪の少女は響に強い言葉を投げかけてくるが、響も少しは調子が戻ってきたようだ、少女に反論するのだった。

 

「それは…違うよ」

 

「ふぅん、何が?」

 

 響が反論したのが予想外だったのか、少女はどこか黒い笑みを浮かべて響に言葉の先を促した。

 

「みんな、こんなことやりたくてやってるわけじゃない…たくさんの人がライブ会場で亡くなって…きっと友達や家族を失った人がいて、でも悲しみ、怒りをぶつける場所が無くて…それで仕方なくこんなことになっているんだよ…」

 

「…つまりアナタを攻撃してる連中もそうだって言いたいの?」

 

「うん、きっとそう…」

 

「…はぁ、予想以上のお花畑にびっくりなんだけど…アナタ、変わってるわね」

 

 観念したように溜息を吐く少女、そんな少女に響は苦笑しながら言葉を返した。

 

「あはは…未来…親友にもよく言われるんだ…」

 

「そ。それじゃお暇するわ、と言いたい所だけど、それなりに愉快な物を見せてもらったんだしお礼しなきゃいけないわよね」

 

「お、お礼!?いいよいいよそんなの!話をしただけなんだし!」

 

 何が愉快だったのかは分からないがお礼をすると言う少女に、響は両手をブンブンと振り遠慮するが次の少女の発言で響は思考が停止してしまうのだった。

 

「遠慮しないでいいのよ、アナタに少しだけワタシの魔法を見せてあげる」

 

 そう言いながら少女が右手を掲げると、その手の上にはいくつもの水球が浮かんでおり、響が言葉を失っていると少女は悪戯が成功した子供のように無邪気な笑顔でこう言うのだった。

 

「素敵なデザインの机なんだけど、しょうがないわよね~」

 

 そう言った少女が右手を振ると水球が響の机に殺到し、十秒ほど経った後に残されていたのは、落書きが全て消えた机とびしょ濡れになった床だけであった。

 

「え…魔法…?」

 

 絶句して言葉が出ない響に、少女は「ほら、あなたの親友が戻ってきたわよ」と言い放つ。

 思考がぐちゃぐちゃになっている響は、言われた通りに教室の扉の方を見てしまう。

 すると丁度未来が水の入ったバケツを持って教室に入ってくるところであった。

 

「さ、掃除始めるよひび…ってなにこれ、床びしょ濡れじゃない!」

 

 床がびしょ濡れになっている事に驚愕する未来だったが、響の様子がおかしい事に気付く。

「魔法…本物…魔法使い??」などと意味の分からない事を呟いている。

 

「響、一体何が」

 

「未来!!魔法使いだよ魔法使い!そこにいる女の子が手を上げたら水が出て机をザパー!!ってやったら落書きが消えてて!!魔法使いだよ魔法使い!!」

 

 

 一体何があったのか未来が問い質そうとした途端烈火の如く喋り出す響であるが、要領を得ないのでさっぱり意味が分からない。

 それでも流石は親友の未来さん。なんとか響の言いたい事を考え、そして響に言うのだった。

 

「女の子…?誰もいないじゃない」

 

「すごいんだよ私びっくりしてその女の子に………え?」

 

「響の後ろ、誰もいないんだけど?」

 

「そ、そんなはずは…」

 

 未来に誰もいないと指摘され後ろを振り返る響。そこには誰もおらず、一つだけ開いていた窓のカーテンがゆらゆらと揺れているだけであった。

 

「ま、窓から帰ったのかな…?」

 

「ここ、四階なんだけど?」

 

 窓から帰ったと主張する響だが、この教室があるのは四階である。

 飛び降りれば無事では済まないし、そんな事をする人もいないだろう。

 

「はぁ、とりあえず床の掃除、しよっか」

 

「未来、本当なんだよ信じてよ~!!」

 

「はいはい、帰ってからゆっくり聞くから、はい雑巾」

 

「うぅ、未来が信じてくれない…」

 

 

 

 響が出会った少女、それは幻だったのだろうか。

 次に彼女達が再会するのは、響が炎の中涙を流す少女と出会う。その時である。

 

 

 

 

「久しぶりね主人公、ご機嫌いかがかしら?」

 

 

 

 

 再会の時は、まだ遠い。

 

 

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(しね)

(しね)

(きみはほんとうにばかだな)

 

 ガリィ・トゥーマーンはビルの屋上に腰かけ、足をぶらぶらさせていた。

 

≪もっと絶望に沈んでる感じが好みだったんだけど、まぁ仕方無いわね≫

 

(えぇ…)

(そもそも全然慰めて無かったんですけど…)

(錬金術まで使っちゃうし…)

 

≪あの子しか見て無いんだから、誰も信じないわよ。≫

 

 そういう問題では無いのだが、ガリィに言っても無駄である。

 

(さんざん止めてるのに窓からダイレクトエントリーするんだもんなぁ…)

(もうこんな事しちゃいけませんよ!)

(今日のだって割とギリギリやぞ)

 

≪はいはい、立花響にはもう接触しませ~ん~。これでいいでしょ?≫

 

(信じていいんですね!?)

(はぁ…疲れた)

(早く帰ってキャロルちゃんの夕ご飯作ろうか…)

 

 謎の声達も疲れていたのであろうか。ガリィの言った事は立花響にはもう接触しない、である。

 

 

 

 では、立花響以外には…?

 

 

 

 転移結晶を掲げるガリィの顔は、どこか嗤っているように見えた。

 

 

 

 

 

(ガリィちゃん、落書き消してあげたのはいいんだけど…代わりに床がびしょ濡れになってたんですけど…)

 

≪知っててやったに決まってるじゃない≫

 

(…えっ)

 

≪いいでしょ、落書き消すより楽なんだから≫

 

(ソッスネ)

 

 

 

 次回 いつもの緩い回 に続く

 

 

 





 翼さんの口調難しすぎぃ(アニメ見返しながら)


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