ガリィちゃんとわたしたち   作:グミ撃ち

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 第七話です。

人形達が話すだけの回。




第七話

 

 

「ねぇ、ちょっと気付いた事があるんだけど」

 

 

 ガリィの『突撃!主人公!』から更に半年が経過したある日。

 ガリィは玉座の間に居た。

 

 この半年間にあった事といえば、ガリィが突撃ツアー第二弾『相棒を失って傷心している風鳴翼に会いに行こう』を組んだことくらいである。

 

 当然ガリィを止めた謎の声達であったが、「立花響には会わないとは言ったけど~」と制止を振り切り風鳴翼に突撃しようとするガリィを止めることはできなかった。

 

 しかし、いざ風鳴翼を発見したガリィは突然動きを止めるのだった。

 

 

(どうしたガリィ?)

(自分の愚かさに気づいてくれたの?)

 

 突然動きを止めたガリィに謎の声が問いかけると、ガリィは眉を顰めており、溜息を吐いてつまらなそうに言うのだった。

 

≪ダメね、触ったら火傷じゃ済まないわよ、アレ≫

 

 ガリィの視線の先にいる風鳴翼。一目見た限りどこもおかしい所は無いのだが、よく見ると口元が動いている。

 

≪「奏…」、「私は…」とか言ってるんだけどなんなのアイツ、ガリィ怖いんですけど≫

 

(相棒が亡くなってまだ一年だからね、仕方無いね…)

(メンタルケアが不十分ですねこれは…)

 

≪陰気なのが移りそうだから関わりたく無いんだけど。もう帰っていい?≫

 

 勝手に突撃しといてこの言い分である。

 翼さんもきっとガリィには関わりたくないだろう。だって煽ってくるから。

 

(うん、帰ろうか…)

(ガリィちゃん話しかけたら斬られそうだしね、どうせ煽るから)

 

≪帰ってミカちゃんで暇潰しでもしようかしら、鬼ごっこ以外で≫

 

(最後は鬼ごっこになると思うんですけど⦅経験則⦆)

(何故自分から虎穴に飛び込んで行くのか)

 

≪うっさい、今日こそはチューさせずに乗り切ってみせるんだから!≫

 

 

 こうして企画倒れとなりチフォージュ・シャトーに帰還したガリィ一行であった。

 

 なお、このあとガリィはチューされた。初勝利は遠い。

 

 

 

(そういえばガリィちゃん)

 

≪何よ?≫

 

(未来さんにはちょっかいかけに行かないの?)

 

≪……小日向未来は…後回しよ…≫

 

(???)

 

≪そんなのどうでもいいでしょ、さっさと帰るわよ≫

 

 

 小日向未来には苦手意識を持っているガリィであった。

 

 

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 そして現在、ガリィは玉座の間で待機状態であった。

 

 他の三体の人形もガリィと共に待機しているがキャロルはチフォージュ・シャトー建設作業中のため不在である。

 

「なんダ?新しい遊びでも思いついたのカ?」

 

 突然何かに気付いたと言い出すガリィにまず話しかけてきたのはミカであった。

 

 最近はガリィが想い出を頻繁に補給してくれるのでミカちゃんはご機嫌である。

 ミカにとって遊びに勝てばガリィから想い出をもらえるものと思っているので、ミカはガリィが新しい遊びを思いついたのかと勘違いして嬉しそうに話しかけてきたのだった。

 

(今何連敗だっけ?)

(忘れちまったよ…そんなもの…)

 

「ミカちゃんは本当にガリィちゃんと遊ぶのが好きなのねぇ、微笑ましいわ」

 

「ガリィ、ミカには勝てたか?」

 

 ファラは最近ミカが元気なのでそれを微笑ましく思っていたのだった。

 

 ミカがガリィに馬乗りになって唇を奪っている場面をよく見るレイアは、ガリィが優勢な所を見たことが無かったため疑問をぶつけていた。

 もちろんガリィは全部敗北している、なぜなら何をしても最後は鬼ごっこに持ち込まれてしまうからである。

 

「レイアうっさい!次はアタシが勝つのよ!…ってそうじゃなくてガリィの話聞きなさいよアンタ達!」

 

 既に三桁は確実に連敗しているのにその自信はどこから来るのだろうか。

 そしてガリィは話を聞いてくれない仲間達にお冠であった。

 

「なんダ、遊ぶんじゃないのカ…残念だゾ…」

 

「はいはい、それでどうしたのかしらガリィちゃん」

 

「聞いているが」

 

 しっかり聞いてくれているレイアさんは優しい(確信)

 

「ふと思った事があるのよ」

 

 そう言うとミカ、ファラ、レイアを順番に見るガリィ。一体何に気付いたのだろうか。

 

「私達に関わる事なのかしら?」

 

「お腹空いてきたんだゾ…」

 

「後でガリィに遊んでもらえ、ミカ」

 

 ファラはガリィを見て自分達に関わる事であると推測するが、ガリィは何を言いたいのだろうか。

 

 

 

 

 

「ガリィだけ…いろいろショボくない?」

 

 

 

 

 

(???)

(え、どういう事?)

 

 

「えっと…それはどういう意味なのかしら?」

 

「??? ガリィはショボいのカ?」

 

「意味不明」

 

 突然意味が分からない事を言い出すガリィ、ショボいとは一体どういう事なのだろうか。

 

 

「だって、ガリィ以外何かしら持ってるじゃない」

 

「えっと、何かしらって言うのは…例えば?」

 

 ガリィは自分以外何かしら持っていると言うが、意味が分かっていないファラはもう一度ガリィに問うのだった。

 

「ファラちゃんはソードブレイカー持ってるじゃない」

 

(あぁ、そういう事かぁ)

(他の二人は武器持って無いけど)

 

「レイアちゃんはコインに妹ちゃん」

 

「ミカちゃんは一番強いし、カーボンロッド飛ばせるし秘密兵器もあるでしょ。使ったら終わりだけど」

 

 隣の芝は青く見えるガリィは、周りとの格差にイラっとしていた。

 

 

「ガリィちゃんだって色々できるじゃない、そんなに自分を卑下するものじゃないわよ」

 

「その通り」

 

「言われてみればガリィ、水出す事しかできないから可哀想なんだゾ…」

 

 ファラとレイアがフォローに入るが、ミカは思った事をぽつりと言ってしまうのだった。

 

「ミカちゃん!?」

 

「まさかの…伏兵」

 

「でも、ガリィは想い出くれるから大好きなんだゾ!だから気にしないでいいんだゾ!」

 

 そう、ミカはガリィが大好きなのだ。だって文句を言いながらも想い出をくれるのだから。

 だがそれを聞いてガリィは喜ぶどころか無表情である。一体どうしたのであろうか?

 

「あの…ガリィちゃん、ミカちゃんに悪気は無いのよ。だから、ね?」

 

「落ち着けガリィ、想い出を渡せる機能は私達に取っては生命線なんだ」

 

「ガリィ、アタシお腹減ってきたんだゾ…遊んで勝ったらチューしてほしいんだゾ!」

 

 これはマズい、なんとかガリィを落ち着かせようとするファラとレイアだったがミカは止まらない。

 

 

 

 

 

「…………………………………こんな…」

 

 

 

 

(ガリィちゃん落ち着いて!お願い!)

(怒りを…怒りを鎮めたまえ…)

 

「こんな?な、何かしらガリィちゃん」

 

 ポツリと呟いたガリィに恐る恐る話しかけるファラである、ちなみにミカは「なぁ~、ガリィ~」とガリィを呼び続けていた。

 

 

 

 

 

「こんな機能一番いらねぇんだよ死ねバーーーーーーーーーカ!!!!!」

 

 

 

 

 

 ガリィは逃亡した。

 

 

「ガリィちゃん!?」

 

「逃げたな…」

 

「お、鬼ゴッコするのカ!?今日もアタシが勝つんだゾ!!!」

 

 そう言ってガリィを追いかけ玉座の間を飛び出して行くミカ。

 後に残された二体の人形は同時に溜息を吐いていた。

 

「はぁ…なんだかどっと疲れましたわ…」

 

「そうだな…」

 

(ミカちゃんが元気になったのは良い事ですが、元気すぎるのも考えものですわね…。)

 

 ファラはそう考えながら目を閉じ待機状態に戻るのであった。

 

 

 

 

「ガリィ~!!!」

 

「かかってこいよ!!!!今日は絶対アタシが勝つんだからぁぁぁ!!!!!」

 

(今日のガリィちゃんなら!)

(次回『ガリィチューされる』デュエルスタンバイ!)

(バカ野郎お前ガリィは勝つぞお前)

 

 

 

 

 

 今までで一番頑張ったが結局チューされた。

 

 

(戦闘特化型には勝てなかったよ…)

 

 

 

 今日もチフォージュ・シャトーは平和である。(キャロルを除く)

 

 

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「マスタ~、ガリィにも何か武器とかくださいよぉ」

 

「断る」

 

「即決!?ど、どうしてですかぁ~!」

 

「貴様に渡したら何を仕出かすか分からんからだ」

 

「う…うぇーん!マスターのバカ!ケチーーーー!!!!」

 

 

 ガリィは逃亡した。

 

 

 

 次回 いつも通りの緩い回 に続く

 

 

 





 しばらくは緩い話が続くかもしれません。



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