戦姫絶唱シンフォギアW   作:まだお

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最近仮面ライダーWを見る機会があったので全話視聴したら見事にハマりました。
まだ、ビギンズナイトが見れてないので近いうち視聴したいですね。


もし、よければ感想や評価などいただけると嬉しいです。


Wの探偵/少女の覚醒

某国某所のビル内。

片足を引きずりながら歩いてきた白いスーツにの男が、結晶のようなものに包まれた少女へと手を伸ばした。

それに応えるように、少女が手を伸ばし返すと彼女を包んでいた結晶状のものが割れる。

すると宙を浮いていた少女の体は、ゆっくりと地面に落ちていった。

スーツの男は軋む体に鞭を打ち、少女を抱えると急ぎ足でその場を離れる。

途中、若い男(弟子)が駆け寄ってきて「代わりにます」と白スーツの男(師匠)に伝えると、少女を受け取って抱え直す。

3人は出口へと向かうが1人は少女を抱え、1人は負傷しているためかその歩みは遅い。

そんな3人を追いかけるように複数の男たちが銃を構えながらやってきた。

男達は照準を定め、その引き金を引く。

 

 

 

「おやっさぁぁぁぁん!!」

 

 

 

男たちから放たれた凶弾によって倒れる白いスーツの男(師匠)

若い男は慌てて駆け寄るが、倒れた男からは血がとめどなく流れており、白いスーツが赤くて染めてしまっている。

おやっさんと呼ばれた男は、最後の力を振り絞るように自分の帽子を弟子へと被せた。

 

 

 

「あの子を…頼む」

 

 

 

 

師匠の手が力尽きるように落ちるのと、ほぼ同時にビルが揺れる。

振動の原因は、下層のフロアから床を突き破って現れた『怪物』。

それが放つ光弾は三人のすぐ近くへと被弾し、大穴を開けた。

怪物のあけた穴の中へと落ちていく自らの師。

それを弟子は呆然と眺めていたが、やがて奥歯を噛み締め立ち上がると少女を再び抱え直し、近くにあった階段の陰に隠れる。

男は息を切らせながら頭を抱え込む。

自分の師から受け継ぐ最初で最後の仕事、この少女だけは何があっても守らなければならない。

それが彼らの探偵の流儀なのだから。

しかし、このままでは逃げきることができずに再び捕まってしまうのは明白だった。

脳内をトップギアにして考え込む男に、少女はアタッシュケースを突き出す。

 

「悪魔と相乗りする勇気…あります?」

 

「…え?」

 

半泣きだった男は半ばやけくそになりながらもケースの中身(悪魔の手)を掴んだ。

その時から運命の歯車は動き出した。

 

 

 

 

この日が彼らにとってのビギンズナイト。

1人の探偵がその命を燃やし、新たに2人で1人の探偵(仮面ライダー)が生まれた日。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

青年と少女、二人乗りをしていたバイクがとある民家の前で停止した。

 

「どうしたんですか翔太郎さん?トイレですか?」

 

「違ぇよ!見ろ、セレナ。この家酷い嫌がらせ受けてるみてーだ」

 

バイクから降りてきた2人はその惨状に顔をしかめる。

 

「たしかに…表札には立花と書いてありますね」

 

「張り紙の内容からするならよっぽど恨み買ってんだろうが…」

 

少女(セレナ)が表札を見て、青年(翔太郎)が家の一帯に貼られている紙を手に取った。

そこには住民を貶し、弾劾するような言葉が書かれている。

それも1枚ではなく家の至る所に貼り付けてあるのだ、尋常な事ではない。

翔太郎は顎に手を当て少しばかり考え込んだ後、突如、両手を叩く。

 

「思い出した!そういや俺がこの街を離れてる間にノイズによるでっかい災害があったのをウォッチャマンから聞いてたぜ」

 

「でもそれが関係あるんですか?」

 

「俺が知ってる限り、この街でこんなことをされるような悪人はいねぇ。だとしたらここ最近で何か起きたと考えるのが妥当だろ」

 

「なるほど。まぁ私は最近この街に来たので、そのあたりの事情は翔太郎さんの方が詳しいでしょうね」

 

「セレナ、検索だ。キーワードは…ツヴァイウィングのライブ、ノイズ、そして『立花』」

 

「はい、すこーし待ってくださいね」

 

セレナは目を瞑って両手を広げる。

一見するとただ瞑想をしているようにも見えるが、現在、彼女の意識はこの地球に刻まれた全ての記憶を保管する『地球の本棚』と呼ばれる場所につながっていた。

『地球の本棚』、それは文字通り白地の世界に無数の本棚が点在する場所。

常人では決して入る事の出来ない特別な空間、ここに入る事ができるのはこの世でセレナただ1人。

そこでセレナは、先程のキーワードを元に立花家に起きた事件を調べる。

そうして暫くしたところ、彼女は再び目を開いた。

 

「今回の件についての全てを閲覧しました。分かりやすいように説明しますね」

 

セレナの話す事件の内容、ツヴァイウィングのライブ会場にて起きたノイズによる惨劇。

この事件では1万人を超える死者と行方不明者がでている。

これだけでも類をみない悲劇であったのだが、現実は更に非情であった。

週刊誌により死者及び行方不明者の内、ノイズによる被災が3分の1であり、残りは避難の際に将棋倒しなったことによる圧死、逃走経路確保の為の傷害致死が原因であることが判明したのだ。

これを受けた一部から非難の声があがり、やがてそれは生き残った人々へと向けられ大きなうねりとなる。

それはただ『生き残った』という事実だけで生存者へと向けられ、その人々を追い詰めていった。

 

「この家の子は被災者の中でもかなり悲惨ですね。学校ではつま弾きにされて、父親はこの件が原因で家を出ていったみたいですし」

 

「…そりゃあ憤る奴らの気持ちが分からないわけじゃねーけど、それでもこの子に罪があったなんて俺は思えねぇ」

 

翔太郎は拳を強く握りしめた。

彼にも大切な人を失ったやり場のない怒りは理解できる、だがそれがなんの罪もない子供を苦しめるのは納得できない。

それを見たセレナは不思議そうに首をかしげる。

 

「なんで翔太郎さんが怒ってるんですか?」

 

翔太郎は無感情に放たれたその言葉に、一瞬激昂しかけるがセレナの表情を見て思いとどまった。

彼女の顔には含まれるものは一切ない、ただ単純に人の為に怒るということが分からないのだ。

帽子を深くかぶり直し、ため息をひとつ吐く。

 

「いいか、セレナ。俺は怒ってるんじゃねぇ、悔しいんだよ。この街では誰一人として泣いててほしくない、だから、誰かが泣いてんのならそれを拭いに行く」

 

翔太郎の言葉を受けてもセレナの反応は薄い。

口元に手を当てて言葉の意味を考えているようだが、理解はできていないようにみえる。

 

「うぅん…難しいです。地球の本棚でも人の心は検索できませんから…でも、私、翔太郎さんがこの後何をするのか気になってきました!」

 

セレナは先程とはうって変わって、瞳を輝かせた。

彼女は良くも悪くも純粋であり、みずからが興味を持った事に関しては、異常なまでの拘りをみせる。

 

「なら特等席で見せてやるよ。この街は俺にとって庭みてぇなもんだ。悪評の一つや二つ簡単に覆してやる」

 

翔太郎は、そう言うとヘルメットをセレナに投げ渡し、バイクに跨るように促す。

自身もヘルメットをつけて、バイクのエンジンをかけたところで立花家を振り返った。

 

「そう言う事だからよぉ、もう少しだけ待っててくれ嬢ちゃん。安心しろ、あんたの涙は必ず俺が止めてやる」

 

「一人で何言ってるんですか翔太郎さん?先に病院行きます?」

 

「うっせぇ!誰が頭の病気だ!いいから振り落とされねぇようにしっかり掴まってろ」

 

勢いよく発進したバイク。

それを見送る視線がひとつだけあった。

翔太郎の最後の言葉、それが彼女に気づいていたから、なのかは分からない。

ただ、たしかにその言葉は少女の胸に届いていた。

 

 

 

 

 

 

 

Wの探偵/少女の覚醒

 

 

 

 

 

 

 

俺の名前は左翔太郎。

極めてハードボイルドな私立探偵だ。

朝日が覗き込む窓をに向けて欠伸をひとつ。

探偵てのは常に寝不足だ。

何故って?

探偵てのは脳が常に謎を求めて、休ませちゃくれないからさ。

そんな眠れぬ夜を過ごした朝は、トマトをかじり脳に栄養を与える。

ハードボイルドな男にチャラついた飯は似合わない、飯なんざ丸かじりで十分だ。

そして欠かせないのが締めのコーヒー。

こいつが俺の脳細胞に喝を入れてトップギアにしてくれる。

後は依頼人を待つだけだが…どうやらその必要もなさそうだ。

下から駆け上がってくる足音、今日もまたこの街で涙を流す奴が俺に救いを求めて来たようだぜ…

 

 

 

 

 

「翔太郎さ〜ん!セレナちゃん!風鳴翼さんの新曲が近いうちに出るの知ってる?」

 

「もう!響ったら!そんなに走ったら下の人に迷惑でしょ?あ、翔太郎さんおはようございます。…また朝はトマトだけなんですか?」

 

「ぶっ!?お前らかよ…ウチは女子高生の溜まり場じゃねぇんだぞ!帰りやがれ!」

 

 

 

 

 

 

『鳴海探偵事務所』。

その中の来客用の椅子に茶髪の少女と黒髪の少女は座っていた。

 

「たくっ、お前らそれ飲んだら帰れよな。只でさえ寝不足だってのにお前らに付き合う気力はねぇ」

 

そんな2人の前にコーヒーを持ってくる翔太郎。

一見彼女らのことを邪険に扱ってるようだったが、しっかりと彼女達用のコーヒーカップがある当たり、本気で嫌がってるわけではないようだ。

彼もそのまま2人の反対側に腰を下ろすと自分の分のコーヒーを一口飲む。

 

「寝不足って…また左平次シリーズ見てたんですか?いや〜そこまで気に入ってもらえると勧めた側としても嬉しいです」

 

部屋を見渡した後、照れたように笑う茶髪の少女(立花響)

翔太郎が先程まで座っていた机には、左平次シリーズと書かれたDVDにプレイヤーまで置いてある。

昨夜何をしていたのかは考えるまでもなかった。

 

「朝からごめんなさい翔太郎さん。響がどうしてもって聞かなくて…でも、いくらお金がないからって朝トマトしか食べないのは体に悪いですよ?」

 

そう言った黒髪の少女(小日向未来)の目は生ゴミと書かれた袋に向けられている。

その中身は大量のトマトのヘタ。

それはここ最近の事務所での食生活を物語っていた。

翔太郎は口元をヒクつかせながら未来へと弁明を始める。

 

「いいか、ヒナ。ひとつ言っとくがあのトマトは俺だって好きで買ったわけじゃない、元々は検索にハマったセレナのやつ「あっ、セレナちゃんだおはよー!」ビッキー…まだ俺が話してんだろお!」

 

会話を遮った響に抗議するも、言われた本人は気にすることもなくベッドから起き上がってきたセレナへと駆け寄った。

セレナは寝ぼけ眼を擦りながら、近寄ってくる響へ「おはようございます」と挨拶をする。

 

「見てみて!これ、翼さんのCDがまた新しく発売されるんだよ!しかも特典がこんなに豪華なの!」

 

「うわぁ!凄い!これファンなら予約しといて損は無いですよ!私も欲しいくらいです」

 

「えへへ、そう言うと思って〜、なんとセレナちゃんの分も予約してあるんだ」

 

「本当ですか!?ありがとうございます!」

 

翔太郎は事務所内が一瞬にして、騒々しくなってしまった事に項垂れた。

左翔太郎、彼がハードボイルドに至る道のりはまだまだ遠い。

そんな彼をみて未来は苦笑する。

 

「あはは…翔太郎さん、いつもすみません。響ったらここが凄いお気に入りみたいで、一応これでもお仕事の邪魔になるからって止めてはいるんですけど、週に3回は顔を出さないと禁断症状が…」

 

「あいつはウチの事務所でやべーもんでもキメてんのか…。まぁ、俺としてもセレナの面倒みてくれる分には助かってんだがなぁ」

 

聞く人が聞けばまるで保護者のような会話だ。

そんな、渦中の2人はまるで気にした様子はない。

趣味を同じくする友人、というのがいいのだろうか。

相も変わらず今度発売されるCDの話題で盛り上がっている。

 

「問題はこの事務所が段々とファンシーなもんに侵略され始めてることだ。見ろ、いつのまにか事務所の右側半分には、女子高生歌手だかアイドルだか知らねぇがそのグッズがズラっと並んでやがる」

 

未来は、改めて事務所内を見渡した後、思わず笑ってしまう。

初めてここに来た時は、いかにも男の仕事部屋といった雰囲気があったが、今では見事に半分だ。

左半分は変わらずにレトロな雰囲気が残っているが、右半分はセレナと響の手によって年頃の女の子が好みそうな、CDや特典のポスターなどが貼ってある。

 

彼女はふと、この事務所に初めて来た日を思い出した。

 

 

 

 

あの日、自分の親友がお世話になった人にお礼を言いたいから、ついて来てくれと頼んできた時。

私達が事務所を訪ねると中にいたのは、自分達より少し年上の男の人と、同じ歳くらいに見える女の子。

 

「こ、こんにちわ!じ、実はわたわた私、この前、この事務所にお世話になった者でして!」

 

響ってば事務所に入るまでは、お礼を言うんだって張り切ってたのに、中に入った途端に緊張しちゃってるじゃない…

もう、だからお手紙にでもした方がって言ったのに。

 

「突然訪ねてしまってごめんなさい。私はこの子、立花響の友達で小日向未来と言います。実は、少し前に響がこの事務所の人に助けてもらったからお礼を言いたいそうでして」

 

「ちょっ、ちょっと未来!私が言うっていったじゃん!」

 

「響に任せてたらいつまでも経っても終わらないでしょ?お仕事の邪魔になるしお菓子渡して早く帰るよ」

 

探偵の仕事がどんなことをするのかはわからないけど、アポも無しに来られるのは困ると思う。

その証拠に女の子は、一度も私達を見ることなく本を読み続けている。

響はまだ、私に抗議したそうだったけど、お仕事の邪魔になるって言ったのが効いたみたいで、素直に男の人に菓子折りを手渡した。

 

「あ、あの!…本当にありがとうございました!」

 

響は色々と言いたかった言葉を飲み込むようにしてお礼を言う。

事前にお願いしてれば、もう少しくらい時間が貰えただろうか。

肩を落とす幼馴染をみるとなんだか私まで悲しくなってくる。

 

「まぁ、待てよ女子中学生。せっかく礼に来てくれたってのにもてなしもせずに帰したんじゃあ、男が廃る。コーヒーの一杯でも飲んで行きな」

 

そんな私達を見かねたのか、男の人が引き留めてくれる。

今まで帽子で隠れてて、その表情は分からなかったんだけど、私達を見つめるその目は優しく見えた。

 

 

 

あの時に比べると響もセレナも随分と変わったと思う。

響ももう事務所に来ても緊張する事はないし、セレナも随分と優しくなった…うぅん…優しいというのも違う、のかな?

とにかく昔みたいに本ばかり読んでいることもなくなった。

唯一変わらないのは目の前にいるこの人だけだ。

2年前から変わらずにずっと優しい人。

 

 

 

 

 

 

昔を思い返していた未来は、ふと、思い出したかのように話題をふった。

 

「そう言えば翔太郎さん。仮面ライダーて知ってますか?最近、響が気にしてるみたいで」

 

「…あぁ、この街の都市伝説だな。所詮噂は噂だが、本当にいるなら最高にハードボイルドな奴らだと思うぜ」

 

「…この写真、仮面ライダーに助けられた人が偶然写真で撮ったらしいんですけど、ちょっと翔太郎さんのバイクに似てませんか?」

 

そう言って翔太郎の前に携帯を突きつける。

そこには、ぼやけてハッキリとは写っていないが、辛うじて前半部分が黒色であり後半部分が緑色であることが分かる写真が載っていた。

それは翔太郎が移動手段に使うバイクによく似ている。

 

「ぶっ!!げほっ、げほっ…い、いや、よくあるタイプのバイクだからな。硬派な男の趣味は似通うもんだぜ」

 

怪しい、それが未来の抱いた率直な感想だった。

昔からそうだが目の前の2人組みは何かを隠している。

そもそもこの2人の組み合わせ自体、不思議なのだ。

響は特に疑問に思っていないが、普通、自分達と年の変わらなそう少女が学校にも行かず、探偵という仕事をするだろうか。

出会ってからかれこれ2年ほど経過しているが、未だに詳しくは教えてもらっていない。

聞いても何だかんだとはぐらかされてしまう。

それが未来の心に影を落としていた。

おそらく、そうそう人には言えない事情があるのだと察してはいる。

友人というには翔太郎の方は少しばかり歳が離れている気もするが、2人は大切な人かと聞かれたら自分は頷くだろう。

少なくとも自分はそう思っている。

だからこそ、翔太郎もセレナも自分達の事を思って何も言わないのは分かってはいた、分かってはいるのだが…

それでも、何を抱えているのか教えて欲しかった。

でなければ自分は(親友)を助けてもらった恩を返すことも…

 

(心配をすることさえもさせてもらえない…)

 

「おい、おいヒナ!どうした?ぼっーとして…つーかお前顔色悪いぞ。体調悪りぃなら帰って休め」

 

「…ごめんなさい。少し遅くまで勉強し過ぎたみたいです」

 

「ほー、聞いたかビッキー。ちっとはヒナを見習え」

 

「聞〜い〜て〜ま〜せ〜ん」

 

今はまだ我慢しよう。

きっといつか話してくれるはずだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私がこの事務所に来てから約2年が経ちました。

昔の事、翔太郎さんとそのお師匠さんに助けられる前の事はあまり覚えていません。

時々、自分が本当はどこの誰なのか、それを考えることはありますが結局いつも答えは出ないんです。

でも、それが思うほど辛くないのは翔太郎さんや響さん、未来さんがいるこの日々が楽しいから、なんでしょうね。

 

「やっとアイツら帰りやがったか…おい、セレナ!CD代はお前のお小遣いから天引くからな」

 

左翔太郎。

私を連れ出した方のお弟子さん。

本人はハードボイルドを目指しているそうですが、全然茹で上がってません、むしろ半熟(ハーフボイルド)です。

この前も私が、検索にのめり込んでしまって大量のトマトを買い込んでしまったのに、文句を言いながら自分がトマトを食べて、私にはちゃんと栄養のある物を食べさせようとしてました。

多分、本当にハードボイルドな人だったら、私が何をしても自己責任で片付けてしまうと思います。

だいたいいつもそんな感じで、私が何か失敗してしまっても嫌々言いながらも助けてくれるんです。

私はそんな翔太郎さんについつい甘えちゃって、よく「セレナぁ!」て怒られるんですけど、それが何だか本で読むような家族みたいで、嬉しくって…

ゆで卵はかた茹でよりも半熟の方(翔太郎さんはハーフボイルドな方)が好きな私としては、今のままでいてほしいのですが、それを言うと怒られちゃうから内緒ですよ?

 

「待ってください。ハードボイルド小説が経費で落ちるのに私のCDが自腹なのは納得がいきません!」

 

「ハードな大人には必要なもんなんだよ」

 

「訳がわかりません…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響と未来が事務所を訪れてから数日後。

本日は風鳴翼のCD発売日である。

セレナは椅子に座り響が来るのを今か今かと待ち構えており、翔太郎は左平次シリーズ劇場版のDVDを観ていた。

そんないつもの日常はある警報によって崩れる。

 

「聞いたか、セレナ」

 

「はい、ノイズですね!翔太郎さんはご準備を、私はすぐに居場所の検索に入って場所を特定します」

 

「あぁ、任せたぜ相棒」

 

ノイズ襲来それを知らせる警報が鳴り響く。

ノイズは災害として扱われている。

それは大自然と同じで、人間の力では抗うことができないからだった。

ただ自然と違うのはノイズは人を狙って襲ってくこと、だから人々はシェルターなどにこもることによって身を守るのだ。

しかし、この2人はむしろそれに抗うように行動する。

翔太郎は掛けてあった帽子を掴むと扉をあけて外へ駆けて行き、セレナを目を瞑り、意識を『地球の本棚』へと飛ばす。

街を泣かせるモノがいるのならば、それを放って置くことなどできない。

何故ならばこの2人はー

 

 

 

 

 

 

街の中で悲鳴が響き渡っていた。

ノイズに逃げ惑う人々。

それは他者を助けようとする者もいれば、救助を待つ者、我先に逃げ出す者、諦める者と様々だ。

だが、1つ言えるのはその人達、皆がこのまま死にたくはない、誰か助けてくれと心の中で涙を流している。

だから、彼らは現れた。

 

 

 

この街で涙を流す者がいるならば、それを拭いに行こう。

 

 

 

「行きましょう、翔太郎さん」/「行くぜ、セレナ」

 

街中と事務所内、それぞれ別々の場所にいるが、2人の意識はそれぞれの腰につけられたベルト(ダブルドライバー)で繋がっていた。

2人はUSB状のメモリ(ガイアメモリ)を懐から取り出しスイッチを押す。

 

『サイクロン』/『ジョーカー』

 

そこから流れる低音の声(ガイアウィスパー)

 

「「変身」」

 

セレナが先にそれをダブルドライバーの右側のスロットへと装填すると、メモリは翔太郎の元へと送られた。

翔太郎は転送されたメモリを再度押し込み、今度は自身が持つメモリを左側のスロットに装填する。

 

『サイクロン』/『ジョーカー』

 

風の記憶と切り札の記憶。

地球に刻まれていた2つの記憶はセレナの意識を伴って、翔太郎の身を超人へと変えた。

 

緑と黒の半身を持ち、風にマフラーをたなびかせる。

 

その姿を見た誰かがポツリと呟いた。

 

 

 

「仮面…ライダー…」

 

 

 

それは涙を拭うための二色のハンカチ。

 

この街で涙を流す人々が名付けた希望の名であり、絶望に対する切り札。

 

そう、彼らは決して街を泣かせるモノを許さない。

 

 

 

 

 




追記
1話加筆修正しました。
少しは読みやすくなってると嬉しいです。
感想や誤字脱字、こうしたがいいんじゃないか等のアドバイス、評価など気軽にしていただけるとどMは喜びます。

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