戦姫絶唱シンフォギアW   作:まだお

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説明回に近い何か。
ここらへんかなり独自解釈・説明が出てくるので苦手な方はご注意ください。

感想評価くださった方、ありがとうございます。



Wの探偵/街に這い寄る影

 

わたしは、女の子を抱えて街中を走って逃げる。

どうしてこうなっちゃったんだろう…

本当なら今頃、セレナちゃんや翔太郎さんと新作のCDを聴いて盛り上がってる予定だったのに。

走り過ぎて息が苦しくなったわたしは、立ち止まって呼吸を整えると少し前のことを思い出していた。

 

 

 

日の暮れた教室で2人の少女が机に座っている。

黒髪の少女は机に置かれた紙に何かを書き込んでおり、もう1人の茶髪の少女は携帯をじっと眺めていた。

 

「響、さっきからずっと携帯を見てニコニコしてるけど、何か面白いことでもあったの?」

 

「うん、これ見て未来。また仮面ライダーの目撃情報が載ってるよ!」

 

そう言って茶髪の少女立花響は黒髪の少女小日向未来に携帯の画面を見せる。

そこには『都市伝説仮面ライダーはやはり実在していた!?』と書かれたサイトが載っていた。

 

「…仮面ライダー、前にも話してた都市伝説ね。もう!子供じゃないんだからそんな記事ばっかり見てないで少しは勉強したら?」

 

「そんなぁ酷いよ未来…翔太郎さんからもこの前、同じような事言われたのにぃ〜」

 

わざとらしく項垂れてみせる響。

未来はそれを見て呆れ半分微笑ましさ半分の笑顔をうかべる。

仮面ライダーについては彼女自身思うところはあるが、待つと決めた以上響が下手に関わって危ない目にあうのは嫌だった。

だから、それとなく響の興味が他にうつるように誘導する。

 

「だいたい、今日は仮面ライダーよりも大切な事があるでしょ?風鳴翼さんに憧れてリディアンを選ぶくらいなんだし」

 

「えへへ〜、それはそうなんだけどね!でも本当に面白いんだよ仮面ライダーの記事。体の半分が別々の色をしてて、パンチでノイズをドッカーンて爆発させたーとか、体が半分こになって手足がぐにゃーんて伸びたーとか」

 

「人がノイズをやっつけたり、半分こになったりなんて出来るわけないじゃない。それより響、時間はいいの?」

 

「え?…うわわ!もうこんな時間!?早く受け取りに行かなきゃ」

 

携帯の時間を確認すると、慌ててポケットに直して荷物を鞄へと詰め込む。

今日は、以前から響が楽しみにしていた風鳴翼のCDの発売日だ。

 

「やっばり、響ったらうっかりしてるんだから…私は先生にこれを提出しないといけないから先に帰ってていいよ」

 

「ほんと?ありがとう、未来!じゃあ後で翔太郎さんの事務所に集合だね!」

 

響は悪戯っ子のように笑う。

仲が良いとはいえ男性の仕事場に押しかける事を勝手に決めてしまっているが、彼女のブレーキとなる未来もこの件に関しては止められなかった。

それは未来自身も事務所で過ごす時間が好きだったからだろう。

 

「それでもいいけど、またいつもの人助けで遅れないでね?」

 

「大丈夫だよ!セレナちゃんも待ってるだろうしすぐに戻ってくるから」

 

 

 

 

 

ほんの数十分前までいつもと変わらない日常を送っていたはずだというのに、今では随分と前のことに感じてしまう。

だが、泣き言ばかりも言ってられない。

響の背にはまだ自身よりも随分と幼い子供が乗っているのだから。

自分で自分を鼓舞しながら街の中を駆け巡る。

そうする内に彼女が幼女を抱えて走った距離はかなりのものになっていた。

それでも突破口(シェルター)は見えてこない。

まるで終わりの見えないマラソンについに響は限界を迎え、足をもつれさせて転んでしまう。

 

「はぁっ、はぁっ…」

 

息を切らせながら横たわる響の脳内にある日の記憶が蘇る。

それは彼女にとっての運命の始まり、1人の少女がその命を持って、響

に伝えたもの

 

『生きること諦めるな!』

 

それは彼女にとっての特異点(ターニングポイント)、2人で1人の探偵が体現したもの

 

『俺はこの街で誰も泣いててほしかねぇ』

 

今の少女を作り上げた原点。

歯をくいしばると再び立ち上がって、幼女を抱えた。

響の目に諦めはない、彼女は自分のゴールを絶望などと認めていない。

 

 

 

 

一方、事務所を出た翔太郎達は大量に群がるノイズと正面から対峙している。

最もその出で立ちは常人のものではない。

緑と黒の半身、首元からたなびくマフラー。

それは都市伝説とされている仮面ライダーと一致するものだった。

 

「『さぁ、お前の罪を数えろ」』

 

ノイズの集団を指差しその罪を問う。

無論、ノイズからの反応はないがそれを気にすることはない。

奴らに意識があろうがなかろうが、この街に住む者を泣かせるのであれば彼らが取る行動は1つ。

 

「おらっ」

 

翔太郎(仮面ライダーW)はノイズへと駆けると、そのまま飛び蹴りをかます。

強烈な一撃を受けたノイズはなすすべもなく消滅した。

その勢いのまま仮面ライダーは、周囲のノイズへと続け様にキックの連撃を繰り出していく。

次々と撃破されていくノイズ、しかしその数は未だ膨大。

このまま相手どっても負けることは無いだろうが、かなりの時間がかかってしまうだろう。

 

「相変わらず数だけは一丁前のやつらだ」

 

翔太郎(左半分)のぼやきに反応するように、仮面ライダーの右目が光るとセレナ(右半分)が答える。

 

『ノイズがこれだけとは限りません。逃げ遅れた方がいらっしゃるかもしれませんし、早目に切り上げたいところですね』

 

彼らが言うように仮面ライダーにとってノイズ一体、一体はそれ程の脅威では無い。

だが、常人からすればノイズとは逃れることの出来ない絶望なのだ。

万が一を考えればあまり悠長にすることもできなかった。

 

「だったら、ハードボイルドに決めてやるよ。合わせろセレナ」

 

そう言うと腰のベルト(ダブルドライバー)に挿さっていた黒いUSB(ジョーカーメモリ)を引き抜き腰の横に付いている穴(マキシマムスロット)に装填する。

 

『ジョーカー、マキシマムドライブ』

 

《マキシマムドライブ》それは、メモリの持つ力を極限まで高めることにより放たれる必殺の一撃。

今回、仮面ライダーが選んだのは風と切り札の技。

突風が彼らを中心に吹き始めると周囲のノイズを巻き込み、より大きな渦となっていく。

その勢いが最高潮に達した瞬間、仮面ライダーは文字通り右と左に半分ずつ割れて蹴りを放つ。

 

「『ジョーカーエクストリーム』」

 

必殺の一撃を受けたノイズの群れは爆散し大きな煙をあげた。

やがて、それが晴れるとそこにはかつてノイズであった塊が残るのみ。

 

「うし、次だ」

 

そう言って歩き出そうとした仮面ライダーの耳に歌が聞こえてくる。

思わず振り返った彼らの目に、人の背から伸びるナニかが映った。

 

「な、なんじゃありぁあ!?」

 

『…この歌…急ぎましょう、翔太郎さん。私の予想が正しいなら、あそこではまだノイズと戦ってる人がいるはずです!』

 

 

 

「え、えぇっ!?何で!?これ、私どうなっちゃってるの?」

 

胸に浮かんだ歌。

それを口にした響の体は、聖遺物(ガングニール)からなるシンフォギアを纏う。

その変化に理解が追いつかず暫く呆気に取られる。

 

「おねぇちゃん、すごーい!」

 

そんな響へ幼女から声がかけられた。

相変わらず口からは自然と歌が流れ、状況についても理解はできないが、1つだけ分かることがある。

 

(そうだ…何だかよく分からないけど、たしかなことは、わたしがこの子を助けなきゃならないってことだよね)

 

響は幼女を抱え込むと、その場を離れるために軽く跳躍した。

だがシンフォギアによって強化された彼女の体は、本人が思っていた以上の力を発揮してしまう。

力に目覚めたとはいえ、まだその概要すら知らず、ましてや、今の今まで普通の女子高生として生活してきたのだ。

その力を使いこなす事など当然出来るはずもなく、過剰なパワーに振り回され、ノイズの攻撃をうまく避けることができない。

そうする内に、ノイズの一体が響へと飛びかかった。

避けられない、そう思った響は反射的に拳を突き出す。

 

「あ…わたしが…やっつけたの?」

 

自らがノイズを倒したことに驚く。

そんな彼女の元へノイズを弾き飛ばしながら一台のバイクがやって来た。

それに乗るのは風鳴翼。

それに気づいた響が「あっ」と声を上げるが翼からの返答はない。

彼女は立花響にとっての憧れであり、今この場においては戦場で歌う一振りの剣。

交差する2人の少女。

翼はバイクから飛び上がると歌をつむぐ。

 

「Imyuteus amenohabakiri tron」

 

そして、響の目の前に着地すると彼女に目を向けることなく言い放った。

 

「呆けない!死ぬわよ、貴女は此処でその子を守ってなさい」

 

ノイズへと向かって走り出した翼の身を光が包む。

次の瞬間、風鳴翼はその身にシンフォギアを纏っていた。

そのまま手にした剣でノイズを切り裂いていく。

彼女の戦いに無駄はなく、的確にノイズの隙をつき殲滅する。

そんな姿を見た響は、呆けるなと言われたにもかかわらず呆然と見つめてしまう。

 

「すごい…やっぱり、翼さんは…」

 

だが、彼女を責めることはできないだろう。

一般人の目の前でいきなり、超然とした戦いを行われれば誰しもがそうなる。

最も戦場で敵は待ってくれない。

「あっ」という幼女の声に顔を上げれば、そこには大型のノイズが迫っていた。

思わず身構えるが、強大な相手に怯んでしまう。

ノイズはそんな響に対し手を振り上げ…

 

『ジョーカー、マキシマムドライブ』

 

「お熱いの、くれてやるぜ」

 

「『ジョーカーグレネイド』」

 

そのまま地面へと倒れ伏すことになった。

ノイズを打ち破ったのは熱き拳。

 

「仮面…ライダー。本当に、いたんだ」

 

驚く響の前に右半身を赤色へと変えた超人が着地する。

仮面ライダー、それはこの街の人々が名付けた希望。

ノイズに恐怖した人々の前に現れる一筋の光。

そんな存在に響の目は奪われていた。

そして、仮面ライダーもまた響をじっと見つめ返す。

やがて、先に口を開いたのは仮面ライダーの方だった。

 

「ビッキー、なのか?」

 

「え…えぇぇぇぇ!?しょ、翔太郎さん?」

 

仮面ライダーが変身を解いて現れたのは…身近な男性(左翔太郎)

その事実に響は驚愕の声をあげた。

 

 

「暖かいもの、どうぞ」

 

「あ…暖かいもの、どうも」

 

そう言って頭を下げてわたしにニコリと微笑んでくれるお姉さん。

そのまま、もう片方の手に持ってたコップを翔太郎さんに対して「お疲れ様でした」と手渡した。

美人さんだ…翔太郎さんが好きそうな人だな〜。

あ、やっぱりいつもの調子でカッコつけてる。

 

「んんっ、鋼の探偵、ハードボイルドな男、左翔太郎にかかればこのくらいなんてことはありません。それより、友里さん今夜こそ2人でお熱い一夜を「翔太郎さん、お姉さんならもうどこかに行っちゃいましたよ?」…」

 

翔太郎さんはポーズを決めた状態で固まった。

翔太郎さんが仮面ライダーだって知った時はびっくりしたけど、やっぱり翔太郎さんはわたしが知ってる翔太郎さんだ。

やっといつもの日常が帰ってきたような気がするよ。

安心したら急に喉が乾いちゃって、お姉さん(友里さん)がくれた暖かいものを飲み込む。

たはー…生き返るなぁ〜。

あ、アレ?なんか体が光って…

 

 

 

 

 

「ただいま〜」

 

「響!?もう!こんな時間までどこ行ってたの?」

 

未来はようやく帰ってきた親友に対し、安堵と心配からくるほんの僅かな怒りを向ける。

放課後、用事を済ませ探偵事務所へ向かおうとしたが、すぐに警報が鳴ったため避難していた。

しかし、警戒がとけても長い時間、響が姿を見せないため、気が気ではなかったのだ。

 

「ごめん…」

 

だが、疲れきった響はそんな彼女の心配をよそに生返事しか返すことができない。

響自身も、特異対策機動部2課やら仮面ライダーの正体やらで既に頭はパンク寸前だった。

しかし、そんな状態でも色々とタイムリーな風鳴翼についてのニュースは気になるらしい。

彼女の移籍についてのニュースが流れると飛び起きて、しっかりと聞きの体勢うつる。

それを未来は不満そうに見ていた。

 

それから数時間後、未来と響は同じベッドで横になる。

 

「ねぇ、未来…」

 

響は、未来に今日起きた事を話そうとするが直前で思い留まった。

2人の人物から口止めされた事を思い出しのだ。

 

(あの女の人…了子さんは今日のこと誰にも言うなって…それに翔太郎さんも…)

 

『いいか、ビッキー。簡単に権力にゃ靡かねぇハードボイルドな俺はこのまま帰る。俺らについて知りたきゃまた今度、事務所に来た時に話す。ただ、ヒナは連れてくるんじゃねーぞ?あいつまで危険に巻き込む訳にはいかねぇ』

 

自分が2課へと連れて行かれる寸前、響に対してそれだけ告げると翔太郎は帰って行ってしまった。

少々薄情な気もするが、事務所にセレナが一人でいる事を考えるとあまり遅くまでは残られなかったのではないかとも思う。

左翔太郎の生活は基本的にセレナを中心に回っている。

血が繋がっているようには見えないが、2人の関係は側から見ると仲のいい兄妹のようだ。

そこまで考えて、未来に声をかけようとした響は、「やっぱり、何でもない」とお茶を濁す。

 

「…私は…何でもなくないよ」

 

そんな響に対し、未来は切なげに声を漏らした。

 

「響の帰りが遅いから本当に心配したんだよ?」

 

その声音は若干の震えを含んでおり、本当に心配をしていたのだという気持ちが伝わってくる。

響もそれに応えるように、事実を話せないながらも未来の体を抱きしめ、精一杯の感謝の気持ちを未来に返す。

立花響にとっての小日向未来は陽だまりであり、小日向未来にとっての立花響は太陽である。

彼女達もまた2人で1人なのだろう。

 

 

 

 

 

翌日、友人達からの誘いを断り再び2課を訪れていた響は眼鏡の女性(櫻井了子)から自身の身に起きた変化、シンフォギアについての説明を受けていた。

だが、内容は専門的な事がほとんどであり、中々理解できるものでもない。

了子としてもこれから必要であれば、これから数度に分けて教えるべきかと考えていたところに響から質問が入った。

 

「あ、あの、じゃあ仮面ライダー…翔太郎さんもシンフォギアの適合者なんですか?」

 

「あぁ、翔太郎君達ね。彼らはシンフォギアとはまた別の方向からノイズに対抗する存在…誰が呼び始めたかは知らないけど仮面ライダー、というのは的確な表現ね」

 

そう言うと了子はスクリーンを操り、画面に6本のメモリと1つのドライバーを映す。

 

「この6本のメモリ、これがガイアメモリと言ってそれぞれが地球のある記憶を宿しているの。それでこっちのダブリュー状の物がダブルドライバー、これにさっきのガイアメモリを装填する事で装着者を仮面ライダーWへと変身させる事ができるの」

 

「最も、誰もが変身できるというわけでもない。特にダブルは特殊でな、現状、セレナ君の力が無ければ変身はできない」

 

補足するように大柄な男性(風鳴弦十郎)が付け加える。

 

「え、セレナちゃんですか?翔太郎さんじゃなくて?」

 

「あぁ、ここら辺は彼女の生い立ちに関わってくるんだが…流石にそこまで俺達が語るのは無粋だろう。仲が良いようだし本人達に聞いてみるといい」

 

「まぁデリケートなところだからぁ、あんまり突っ込み過ぎるのも嫌がられるかもね?話を戻すけど仮面ライダーがノイズに対抗できるのはメモリに秘められた地球の記憶のおかげ、メモリにはそれぞれ記憶と共に対ノイズ用のプログラムとも言うべきものが刻まれているの」

 

そこで了子は区切るようにコーヒーを口にする。

 

「ふぅ…ただ、このガイアメモリにも問題があってね。翔太郎君達が持っているような純正化されたメモリをドライバーを通して使うならともかく、今出回っているメモリのほとんどが強い依存性や毒素を持っているわ。普通の人が使っちゃったらいずれ廃人になるのは避けられないでしょうね」

 

「出回ってる…ってガイアメモリは、シンフォギアみたいに特別な物なんじゃないんですか!?」

 

「シンフォギアに比べれば直接聖遺物を使わない分、随分と量産しやすいのよ。その分、一つ一つの出力はシンフォギアには遠く及ばないのだけれど、中にはメモリとの相性が良すぎてとんでもない力を手に入れちゃってるようなのもいるわ。まぁ、そのほとんどがメモリの毒素で人格が歪んじゃってるんだけど…響ちゃんも怪しいおじさんについて行って売りつけられたりしないようにね?」

 

「怖いこと言わないでくださいよ〜」

 

震えながら自分の体を抱きしめる響。

ガイアメモリの話を聞いた響は、それがまるで麻薬のように思えた。

 

 

 

 

私は響の事を考えると乗り気になれずに、友達の誘いを断って1人で俯きながらとぼとぼと歩いていた。

今日こそは一緒に帰れるかと思ってたのに。

それに、響のあの反応、絶対に何かを隠してる。

翔太郎さんも響も隠し事が下手だから…

私は何度目かも分からないため息をつく。

ふと、顔を上げるとそこは普段通らない裏路地、いつの間にこんな所に来てしまったんだろう。

人通りが少ないせいか少しだけ不気味だな…

 

「お嬢ちゃん、浮かない顔してるね?」

 

「きゃっ!?」

 

ちょうどそう思っていた時、私は見知らぬ男の人に声をかけられて思わず声を上げてしまう。

何だろうこの人?

場所のせいかな、身なりはスーツ姿でちゃんとしてるのにどこか怪しげな感じがする。

 

「驚かせちゃったか…ごめんね?随分と落ち込んでるみたいだから声をかけたんだけど…お友達と喧嘩でもしたのかな?」

 

男の人は一見すると私のことを心配してくれてるようだった。

でも、この人顔は笑ってるんだけど目が笑ってない。

怖くなった私は「何でもないです」と言ってその場を離れようとする。

だけど、男の人は私の前に回り込んで通れないように立ちはだかった。

 

「まぁまぁ、そういう時1人で溜め込むのは良くないよ?誰かに相談するだけで随分と楽になるからさ」

 

その言葉を聞いた瞬間、頭に血がのぼっていくのが分かった。

ーそれは私が昨日、響に言いたかった言葉だ。

ーそれは、私がいつか翔太郎さんに伝えたかった言葉だ。

 

「結構です!」

 

私は怒りを必死に抑えながら強引に男の人の横を通り抜ける。

すると、後ろからドサッという誰かが倒れるような音と、ガシャンと何かが割れるような音が聞こえてきた。

 

 

「あっ…」

 

さっきまで、茹っていた頭が急激に冷え込んでいくのが分かる。

振り返った私の目にうつったのは、座って頭を抑える男の人と血のついた割れた空き瓶。

最悪の想像が頭をよぎった。

で、でも私はそんなに強くて押したつもりなくて…それよりも手当をしなきゃ。

混乱する頭では上手く考えがまとまらない。

とにかく怪我の手当てをしようとポケットからハンカチを出して、男の人の額に優しく押し当てた。

 

「ご、ごめんなさい。私、こんなつもりじゃ…」

 

「いや、いいんだよ…俺も少し強引だったからさ。このくらいの怪我なんて平気だし!それより、やっぱり君の事が気になるなぁ…結構思い詰めてるみたいだし少しだけでも話してみない?」

 

そう言って私を宥めるように笑いかけてくる。

やっぱりどこかこの人の笑顔は怖い。

だけど、私は怪我させてしまった負い目もあって、さっきみたい無碍に断ることはできなかった。

私は怪我をさせてしまった事への申し訳なさと、得体の知れない恐怖に体が震える。

少しだけ、本当に少しだけなら大丈夫かな?

そう思って頷きかけた私の頭に何かが被せられた。

 

「らしくねぇな、いつものお前なら簡単に気づきそうな手だろ」

 

その声を聞いた時、私はどうして?と思うよりも先に安心してしまった。

まだ何一つ状況は変わってないはずなんだけど、体の震えはいつのまにか止まっていた。

私は、振り返りながら涙声でその人の名前を呼ぶ。

 

「翔太郎さん…」

 

「ようヒナ。タチの悪いナンパにゃ気をつけろって前から言ってんだろ」

 

 




Qサブタイトルに探偵て入ってんのに探偵要素ないぞどM
Aはい、すみません。次こそ必ず
Q仮面ライダーWとクロスしてんのに前編後編の2話構成じゃないよどMにわかなの?
Aはい、すみません。作者の力量不足でした。次こそ必ず
Qセレナの出番少ないぞどM
Aはい、すみません。次こそ必ず
Q(更新速度が)おせぇよ、どM
Aはい、すみません。感想もらえると少しだけ早くなります

こんな感じで質問や要望があったら、気軽に感想で伝えてくれるとありがたいです。
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