秘密   作:コリーヌ

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蘭ちゃん可愛いです。


プロローグ

生まれた時から物分かりのいい子で、誰にも迷惑をかけなかった。

 

 

1歳になる頃には長い文章を話せたし、2歳になる頃には字も書けるようになった。

 

 

3歳になった頃、私は自分の特別さに気付いた。

 

 

因数分解を解いた私を見て、母親は私に異質な物を見るような目を向けたのだ。

 

 

幼稚園に入ると、すぐに私は理解した。

 

 

ここは私のいるべき場所ではない。

 

 

入園して3日で不登校になった。

 

 

というか、今思えば幼稚園から不登校って結構ヤバいじゃん。

 

 

それはともあれ、そんな私だからその頃にはもう気付いていたんだ。

 

 

私の家族は上手くいってない。

 

 

ピアニストの母親とチェリストの父親。

 

 

音楽家同士の結婚なので、コンサートか何かで知り合って、そこから上手くいったんだろう。

 

 

と、そう思っていたが、違った。

 

 

私は父と母の子供ではないのだ。

 

 

父親はB型。母親はO型。

 

 

そして私はA型。

 

 

B型とO型でA型が生まれる確率は0%。

 

 

幼稚園の入学と同時に受けた血液検査で私の血液型がわかった瞬間、父親は私達の前で引き攣った笑顔しか見せないようになった。

 

 

父は笑っているつもりだったのだと思う。

 

 

私はその事を理解していないと思っていたから。

 

 

でも残念。全部分かってた。

 

 

母親は私の事を見ないふりしてた。

 

 

私なんて居ないみたいに過ごしていた。

 

 

誰も私の事を見てなくて、2人で喧嘩ばかりして。

 

 

離婚の話が進んでいくのを、私はただ見てるだけで。

 

 

私も混ぜてくれたっていいのにと思いながらリビングへと続くドアの隙間からこっそり見ていたのを覚えている。

 

 

2人とも泣き叫んでいたけど、言っている内容は全て明確に覚えている。

 

 

その事を次の日母親に言ったら病院に連れて行かれて検査された。

 

 

脳の検査で、色んな機械で周りを囲まれて、沢山の質問を受けて、出た結果が

 

 

『超記憶症候群』

 

 

起こった全ての事を記憶してしまうという世界的にも症例の少ない病気らしい。

 

 

所謂天才と呼ばれる部類の一部なのだろう。

 

 

それから更に言い争いは激しくなり、両親は離婚する事になった。

 

 

最後に聞いた父の言葉は、母に向けての

 

 

「よかったな、お前と相手の子供は特別で。」

 

 

だった。

 

 

皮肉を込めたその言葉に母は酷く傷ついたらしい。

 

 

強い憎しみを込めた目で私の事を睨んで、

 

 

「あんたなんか、産まなきゃ良かった。」

 

 

と言って、自室に入り、その夜に首を吊って自殺した。

 

 

やけに風が強くて、肌寒い、月が綺麗な夜だった。

 

 

雲ひとつない空に浮かぶ満月は怖いくらいに綺麗で、母親の死体を照らしていた。

 

 

まるで生きてるみたいに輝いていた。

 

 

私と似た母の紅い目は、2度と開く事は無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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