秘密   作:コリーヌ

2 / 2
トクベツな仲間たち 1

「えっと、東中学3年、美竹蘭です。その…よろしく。」

 

 

「じゃあ美竹さんは宇田川さんの隣に座ってね。あの赤い髪の子よ。」

 

 

私は小さく頷いて、そこに向かう。

 

 

…冷たく無かっただろうか。

 

 

幼少期に両親の離婚という経験をし、その後も色々な出来事を繰り返して、私は見事に冷たい少女に成長した。

 

 

友達はいない。

 

 

中学校の勉強なんてとっくに終わらせていた私は、またもや不登校になった。

 

 

まぁ、小学校もだけど。

 

 

そんな私を心配した新しいお父さんー母親の兄ーが、私をそういう子たちが集まる学校に連れて来てくれたのだ。

 

 

凄くいい人。

 

 

今までの両親の中で1番いい人達だ。

 

 

初めからここに来たかったと思うほどに。

 

 

「よろしくな!」

 

 

大きい声に少し驚いてしまった。

 

 

「えっと、あの、よろしくお願いします。」

 

 

赤い髪の強そうな女の子は、ニカッと笑って

 

 

「敬語じゃなくていいぞ! 同い年だからな!」

 

 

嘘でしょ…。全然同い年に見えない。

 

 

こんな子でも不登校になったりするのか。

 

 

「あたしは宇田川巴。巴でいいぞー。」

 

 

「ともえ…。」

 

 

私がそう言うと、彼女は目を輝かせた。

 

 

「なあ、蘭って呼んでもいいか?」

 

 

「う、うん。別に、いい。」

 

 

なんだかんだでそのあと、授業を受けた。

 

 

中学生の内容はやっぱり全部分かってたけど、学校よりも面白かった。

 

 

色んな子たちが訳わかんない事言ったりして、みんなで笑って。

 

 

久しぶりにこんなに笑ったかもなんて考えてる余裕もないくらいに笑った。

 

 

休み時間にはみんなが私の席の周りに集まって、自己紹介してくれた。

 

 

みんなといっても10人ほどだけど。

 

 

みんな悩みを抱えて、ここに来たらしい。

 

 

ちなみに巴は変な能力を持ってるからだって。

 

 

変な能力ってなんなんだろうか。

 

 

「なぁなぁ、蘭はなんでここに来たん?うちと同じ?」

 

 

城土井(じょうどい)歌織(かおり)は大阪出身で、明るすぎる性格が周りと合わず、いじめられたらしい。

 

 

あだ名は『ドジョっち』だ。

 

 

『じょうどい』だから。

 

 

「ドジョっちと同じなわけ無いでしょ。」

 

 

呆れた顔でドジョっちの事を見ているのは、

 

 

美濃(みのう)(しずく)。神社の娘で、霊が見えるそうだ。

 

 

「えっと、私、病気だから。」

 

 

「なんて病気?」

 

 

ドジョっちが首をかしげる。

 

 

「超記憶症候群っていうんだけど…。」

 

 

みんなキョトンとした顔をしてる。

 

 

「ネットで検索しよ!」

 

 

(あかつき)桜楽(さくら)は、いかにも現代っ子という感じの目立つ子だ。

 

 

雛形(ひながた)美乃梨(みのり)とは従姉妹らしい。

 

 

そう言われれば、似てる。

 

 

「えっと、世界的にも症例が少なく、約20人程しかいない病気で、原因は不明。限定的なものを記憶できる人が多いんだけど、全てのものを記憶できる人もいるみたい。」

 

 

「20人? すげーじゃん!」

 

 

「でもなんか大変そう。あたし嫌だよ。大会の事全部覚えてるなんて。」

 

 

白峰(しらみね)恵美(えみ)。陸上部のエースだったけど、大会で失敗してから走れなくなって、不登校になったらしい。

 

 

「それもそっか…。大変なんだね。蘭も。」

 

 

涙で潤んだ目をこっちに向けてくるのは、上原ひまり。

 

 

『上原ひまり』と言うのは偽名で、西洋にある小国の王女らしい。

 

 

王女。身なりの良さと礼儀正しさを見ると、本当なのだろう。

 

 

…証拠も見せてもらったし。

 

 

身分から、学校では友達ができなかったらしい。

 

 

泣き虫だ。

 

 

ちなみに御付きの者がいる。

 

 

織羽(おりば)アリス。

 

 

これも偽名。イギリス人で、ひまりの従者。

 

 

日本語が本当に少ししか話せない。

 

 

「それはVeryタイヘンですネ!」

 

 

「アリス、意味分かってるん?」

 

 

ドジョっちが笑いながら言った。

 

 

だんだんみんなに笑いが広がっていった。

 

 

私も笑った。

 

 

いいな、こういうの。

 

 

なんだか心が温かい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。