ありふれた職業で世界最強 魔王の兄は怪獣王   作:夜叉竜

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 皆さん………本当にお待たせしました。ようやく……ようやくですよ。


第95話 激戦、舞い降りる女王

 地面を吹き飛ばしながら猛然とゴジラはギドラ目掛けて突進し、ギドラもまた迎え撃つように翼も使いながら突進し、両者は激突する。

 空間を撓ませるほどの衝撃が駆け抜け、反動でゴジラとギドラの距離がいったん離れる。ゴジラは即座に踏みとどまると、未だ態勢を崩しているギドラに青白い炎を纏った右腕を叩きつける。

 ギドラはとっさに翼をかざして炎爪を防ごうとするが、炎爪は易々と被膜に突き刺さり、そのまま引き裂いてしまう。

 悲鳴を上げるギドラに追撃をしようとゴジラは左腕を振り上げるが、ギドラの尾の一本がゴジラの右足に巻き付くとそのまま引かれバランスを崩したように巨体が倒れ込む。

 即座にゴジラは起き上がろうとするが、その前にギドラの三つの首が殺到、巨体に喰らい付くと強引に立ち上がらせてから振り回し、遂には投げ飛ばしてしまう。

 全長100m越え、体重数万トンに及ぶ巨体が宙を舞い、投げ飛ばされた勢いのまま地面に激突し、衝撃で大地が割れ、破片が隕石のように周囲にまき散らされる。ゴジラは巨体をゴロゴロと回転させて衝撃を和らげると、即座に顔を上げ、熱線を放つ。ギドラは再生した翼を羽ばたかせて急上昇して熱線を回避し、そのまま上空からゴジラを睨み下ろす。

 忌々し気にゴジラが背びれを発行させながら吠えると、ギドラも空を仰ぎ見るように咆哮を上げる。

 瞬間、ギドラの周囲の大気がバチバチと激しい放電を起こし、それに連動するように空を覆う黒雲も激しく雷光を閃かせる。

 何を、とゴジラが顔を歪めた瞬間、ギドラの翼に膨大な雷が収束していき、激しく放電が起こり、空が眩く照らされる。

 そしてギドラの六つの竜眼がゴジラを睨みつけると同時に、大きく翼が羽ばたくと無数の雷がゴジラ目掛けて放たれる。。

 ゴジラは即座に口から火炎を放ち、迫りくる雷を相殺していくが、あまりにも数が多すぎる。

 ゴジラは火炎を吐くのをやめると両腕を前にかざして防御の構えを取る。そこに文字通りの雷雨が降り注ぎ、辺り一帯が昼間になったように照らされる。

 雷一発一発はゴジラなら十分耐えられる威力だが、圧倒的な物量に完全にゴジラは身動きが取れなくなる。

 ギドラはその隙を見逃さなかった。大きく広げた翼が再び雷光に包まれていき、ギドラは大きく身をよじりながら翼を振るう。

 するとその軌跡に沿って雷撃が刃のように放たれ、未だ動けずにいたゴジラを直撃、耳をつんざくような轟音と共に周囲が真っ白に染め上げられる。その光を破る様にゴジラは大きく吹き飛ばされる。どうにか踏みとどまって倒れる事だけは避けるが、苦し気な咆哮を上げながら体を強張らせる。その胴体には袈裟懸けのような火傷痕が刻まれている。

 好機と見たのかギドラは上空からゴジラ目掛け、爪を振り上げながら急降下すると、ゴジラは後ずさるように足を動かし、ゆっくりと尾を振り上げる。その尾が青白く燃え上がる。

 それを見たギドラはその場で大きく羽ばたいて急制動をかけるが、ゴジラが尾を振り抜いて放った巨大な炎の刃がギドラ目掛けて放たれ直撃。炸裂音と共に青白い爆炎が広がる。

 炎を突き破るようにギドラは落下するが、翼を羽ばたかせてどうにか態勢を立て直すがその隙をゴジラは逃さない。即座に距離を詰めると、眼前に垂れ下がっていた二本の尾を抱き込むように掴む。

 ギドラはとっさに雷撃を放とうとするが、放たれる前にゴジラは尾を渾身の力で引き寄せ、ギドラを文字通り空から引き摺り墜として地面に叩きつける。

 更にゴジラはギドラの巨体を大きく振り回し、今度は背中から叩きつける。それだけに止まらず、ゴジラは何度も何度もギドラを振り回し、地面に轟音と共に叩きつける。

 ギドラが叩きつけられるたびに地面が割れ、ギドラの悲鳴が響く。

 そして最後にゴジラはひと際大きくギドラを振り回すとそのまま投げ放す。

 空中で体制を整えることもままならず、ギドラはそのまま地面にひときわ激しい轟音と共に叩きつけられる。

 追撃しようとゴジラは猛然と駆け出す。すると、右首がゴジラの方に顔を向け、咆哮を上げる。瞬間、ギドラの周囲に直径4、5mはありそうな雷球が無数に出現し、一斉にゴジラ目掛けて放たれる。

 次々と直撃し、炸裂する雷球に足が鈍るが、構わずゴジラは走り続ける。

 だが、その間にギドラは立ち上がると逆に突っ込み、三つの首でゴジラの両腕と首元に噛み付く。

 ゴジラは振りほどこうとするが、ギドラは雷撃を流し込みながらゴジラを激しく振り回す。

 ゴジラが苦し気に呻くとギドラは大きく羽ばたいてゴジラごと浮かび上がると、そのまま大きく首を振るってゴジラを投げ飛ばす。

 地面に叩きつけられ、呻くゴジラ目掛けてギドラは急降下し、全体重を乗せるように踏みつける。

 ゴジラが苦悶の声を上げるが、ギドラは跳び上がってからの踏み付けを連続で行う。

 ギドラに踏みつけられるたびにゴジラは呻き、何とか脱しようとするが、出来ず、何度も何度も踏みつけられる。

 ギドラが咆哮を上げ、再び浮かび上がる。その両足に雷が集っていき、眩い黄金に輝く。それを叩きつけようとギドラが急降下した瞬間、

 

 横合いから飛来した無数のミサイルがギドラを直撃し、爆炎が炸裂する。

 

 そのほとんどがギドラの頑強な鱗に阻まれ、ほとんどダメージを与えられなかったが、予期せぬ攻撃にギドラは驚いたように声を上げて動きを止める。

 その隙にゴジラは熱線を放ち、ギドラを吹き飛ばす。

 それを横目にゴジラはゆっくり起き上がると、ミサイルが飛んできた方角に目を向ける。

 雷光閃く黒雲を背景に一機の船が飛んでいた。全長百数十メートルのステルス爆撃機と似たブーメラン型のシルエットの船で、後方に搭載された幾つものスラスターが轟音が響かせている。

 それを見て、ゴジラは大きく鼻を鳴らし、ゆっくりと視線をギドラに向ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「オルカン・ブラスト、全弾直撃。でも、ほとんどダメージが無いように見える」

 

 船の前面に設えられたブリッジの最前中央の操縦用ポートに立ったハジメはユエからの報告にそうか、と小さく顔をしかめる。先ほど放ったオルカン・Gは対怪獣を想定して作成されており、純粋な破壊力だけでなく、爆発に指向性を持たせたことで通常のオルカンの10倍の威力を持つのだが、それでもダメージがないとは本当にでたらめだ。

 

 「とはいえ、驚かせることはできたみたいですね。無駄ではないですよ」

 

 左側に設えられた大型のレーダーの前に座ったシアの言葉に複数の座席の一つに着席しているティオが頷く。

 

 「ならば妾達の仕事は奴の注意をかき乱す事じゃな」

 「そうだね」

 

 右側の席に座った香織が頷き、近くに座っていたユエも頷く。それらを見て、ハジメはふう、と大きく息を吐きながら眼前のディスプレイに目を向ける。

 そこには起き上がり、忌々し気にこちらを睨みつけてくるギドラとそのギドラを威嚇するように咆哮を上げるゴジラの姿が映っていた。その周囲の平原は跡形もなく破壊し尽くされており、大地が割れ、抉られ、死の大地としか形容できない光景が広がっている。

 その全てを前に、どうしようもなく操縦桿を握った手が震える。でも、自分はここに立つことを選んだ。ならば最後まで、自分にできる最善を尽くすだけだ。

 ハジメは画面越しにギドラを正面から睨みつけ、仲間たちに告げる。

 

 「やるぞ、みんな………フェルニル、攻撃開始。ありったけを撃ち込め!」

 

 その瞬間、対怪獣決戦飛空艇、フェルニルから無数のミサイルが放たれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 空中のフェルニルから放たれたミサイルがギドラに殺到するが、ギドラは盾のように翼をかざす。

 ミサイルは次々と翼に直撃し、爆炎をほとばしらせるが、被膜を突き破る事はできていない。それどころか、中には当たり所が悪かったのか明後日の方向に弾かれるミサイルもあった。

 だが、ゴジラにはそれで十分だった。猛然と駆け出して一気に距離を詰めると、炎を纏った爪を叩きつけ、被膜を大きく引き裂く。

 怯んだようにギドラが咆哮を上げるが、ゴジラはそのままさらに距離を詰めると無防備な胴体に全身を使ったぶちかましを繰り出し、ギドラを押し倒す。

 ゴジラはそのまま馬乗りになると容赦なく連続で炎爪を黄金の体に叩きつける。

 爪が頑強な鱗を引き裂き、纏った炎が傷口を焼きつぶし、抉っていく。

 ギドラの悲痛な悲鳴が響くが、二本の尾が雷を纏いながら振り上げられるとゴジラの背中に叩きつけられ、爆雷が炸裂する。

 大きくたたらを踏むゴジラに追撃をしようと三つの口を開くが、右頭部の横っ面に深紅の閃光が直撃する。それはフェルニルに搭載された大型レールキャノン、ゲイボルグによる砲撃だ。

 オルクス大迷宮の階層を十ぐらいは撃ち抜ける威力を誇るゲイボルグだがギドラに傷を与えることはできていない。だが、意識外からの攻撃に思わずギドラの意識が逸れる。

 その瞬間、ゴジラはギドラの三つの頭部を抱え込むように掴むと、そのまま大きく振り回し、投げ飛ばす。

 地面を割りながら巨体が叩きつけられるが、ギドラは即座に立ち上がると、ゴジラとフェルニルを威嚇するように咆哮を上げる。

 ゴジラが咆哮を上げると同時にフェルニルは先ほど放った赤い閃光、ゲイボルグとオルカン・ブラストをギドラ目掛けて乱射する。

 レールキャノンとミサイルが次々とギドラに直撃するが、ギドラ這わずわらし気に体を震わせると中央と右の頭部がゴジラに向けて、左の頭部がフェルニル目掛けて雷撃を放つ。

 

 「っ!掴まれ!」

 

 ハジメが操縦桿を捻るとフェルニルはスラスターを吹かして急旋回し、雷撃を回避する。ゴジラは雷撃の直撃にたたらを踏むが、戦意を滾らせるように咆哮を上げる。

 雷撃を回避したハジメ達は一旦ギドラから距離を取ろうとするが、そんな彼らの前で引き裂かれていた被膜が繋がり、胴体の傷口が塞がり、鱗が生えそろっていき、何事も無かったかのように癒えてしまう。

 

 「神羅から頭を生やす事ができるって聞いてたけど……あの固さでその再生力は反則……」

 

 その光景を見たユエがうんざりとしたように呟く。

 傷を癒したギドラは咆哮を上げてゴジラを睨みつけると、飛翔して一気にゴジラとの距離を詰める。すかさずフェルニルからミサイルが乱射され、ギドラを直撃するが、気にしたそぶりも見せずギドラは一直線にゴジラに向かい、激突する。両足の爪が繰り出されるが、ゴジラは両手で押さえつけ、強引に地上に引き摺り墜とす。

 地面に叩きつけられたギドラをゴジラは踏みつけようとするが、その前にギドラは雷撃を纏った翼を叩きつけ、殴り飛ばす。

 起き上がったギドラは咆哮を上げてゴジラ目掛けて突進する。フェルニルが援護するようにオルカン・ブラストとゲイボルグを放つが、ギドラは一切頓着せずにゴジラに向かって突き進み、激突する。

 

 「くそっ!完全にこっちの攻撃を無視してやがる!」

 「私たちの攻撃がほとんど効果がない事に気付いたんだ……」

 

 フェルニルはギドラ目掛けてゲイボルグを連射しているのだが、ギドラはそれを無視してゴジラに攻撃を集中させている。

 

 「この野郎……だったらあれだ。ティオ、スタンの用意!」

 「了解じゃ!」

 

 ティオが自身の席の操縦桿を握ると、前のディスプレイにギドラとゴジラの姿が映し出される。両者は激しく組みあいながら牙と爪をぶつけ合っている。それをティオは何かを待つように息を細く吐きながら見つめている。

 と、ゴジラはギドラの腹に蹴りを撃ち込み、巨体を引き離す。ギドラは翼を地面に叩きつけて制止するが、そのタイミングでフェルニルから数発のミサイルがギドラ目掛けて放たれる。

 ギドラはそれを無視してゴジラに突進しようと駆け出す。

 が、ミサイルはギドラの眼前で炸裂すると周囲を昼間に変えるほどの強烈な閃光をまき散らす。

 それをまともに目にしたギドラは悲鳴を上げながら三つの首を大きく振り回す。

 スタン・ミサイルは行ってしまえば誘導式の強烈な閃光手榴弾だ。怪獣と言えども強烈な光をまともに浴びれば視界を潰せると思い、準備していた武装だが、効果覿面だ。

 ギドラが怯んだ瞬間、ゴジラは猛然と駆け出し、距離を詰めるが、ギドラは目が見えない状態で手当たり次第に雷撃を放ち始める。

 フェルニルが慌てて距離を取る中、ゴジラは真っ向から突っ込むと、両炎爪を×させるように叩きつけ、ギドラの胴体に巨大な爪痕を刻みつけながら吹き飛ばす。

 胴体に大傷を刻み付けられながらギドラは大地に叩きつけられ、悲鳴を上げながらも何とか起き上がろうとする。

 だが、その前にゴジラの背びれが発光、熱線が放たれ、ギドラを直撃し更に吹き飛ばす。

 地面に叩きつけられたギドラはブルブルと頭を振ってゴジラを睨みながら何とか立ち上がるが、その胴体には大きな傷跡が刻みつけられ、全身の鱗もあちこちが焼け落ちてしまっている。

 いける、とハジメ達が確信した瞬間、ギドラは咆哮を上げながら両翼を勢いよく地面に叩きつける。

 何を、とゴジラとハジメ達が警戒した瞬間、打ち付けた翼と両足が赤い光を帯び、その光は吸い上げられるようにギドラの体に流れていく。

 何を、とハジメ達が疑問に感じた瞬間、ギドラの全身の傷が瞬く間に塞がっていき、あっという間に完治してしまう。

 ゴジラが忌々しげに顔をしかめ、追撃をしようと走り出した瞬間、ギドラの三つの口全てが開き、

 

 巨大な雷が放たれる。

 これまでの雷撃とは比べ物にならない雷撃が一瞬でゴジラへたどり着き、炸裂。耳をつんざくような轟音と共にゴジラが吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる。

 

 「な、なんだ!?急に奴の攻撃が……!?」

 

 苦悶の声を上げながらゴジラは何とか立ち上がろうとするが、再びギドラは雷を放つ。雷がゴジラの全身を貫き、焼き焦がしながら大きく吹き飛ばす。

 とっさにハジメ達が援護しようとモニターに目を向けた瞬間、こちらを忌々し気に睨み付ける右頭部と目が合う。

 

 「ハジメさん全力で防御してぇぇぇぇぇ!!」

 

 シアが絶叫じみた声を上げる。それを聞いたハジメは即座に操縦席の一角に魔力を流し込み、機構を作動。フェルニルを結界が覆う。それは空間魔法を用いた空間遮断障壁だ。消費魔力は大きいが空間遮断による結界は神羅の一撃すら受け止める。

 直後、世界が金色に染まる。ギドラの翼から先ほどの雷ほどではないが、これまで以上に凶悪な雷撃が四方八方に無差別にばら撒かれ、黒雲に覆われた空が真昼のように白く染まる。

 雷撃が結界に激突した瞬間、凄まじい轟音と共にフェルニルが激しく揺さぶられる。雷は次々と着弾して耳障りな音と共にフェルニルを揺さぶり続け、ブリッジ内に警告音が鳴り響き、ミシミシと絶対の障壁が軋みを上げる。

 

 「結界の負荷が大きすぎる!このままじゃもたない!」

 「っ!皆の者、結界に魔力を流すんじゃ!」

 

 ハジメ達はありったけの魔力を結界に注ぎ込んでどうにか雷撃を凌いでいく。

 数秒、それとも十秒ほどか。永遠にも思える時間だったがどうにか雷撃が収まり、外が暗くなっていくと豪雨の音が聞こえてくる。その暗澹たる空にフェルニルはいまだ健在だった。どうにかしのぎ切ったことにハジメ達は安堵のため息を漏らす。

 

 「くそっ………幾ら空間結界を軋ませるってどんな威力だよ………どこからこれだけの魔力を……!?」

 

 ハジメは呻きながら外の様子を確認する。豪雨の中放電を終えたギドラが悠然と翼を羽ばたかせながら立っている。その全身は先ほどの雷撃放出の影響か焼けているのだが、その傷もすぐに再生していく。

 だが、何よりも彼らの目を引いたのはギドラの足から赤い光が移動するたびに周囲の草木は急速に枯れ果てていき、終いには大地そのものが枯れ果て、ひび割れていく光景だ。

 

 「まさかあいつ………大地の魔力を吸収しているの!?」

 

 それは、重力魔法の真髄とも言える行いだ。星のエネルギーに干渉し、操る魔法の深奥………否。ギドラのはそんな優しい物ではない。

 ギドラは周辺の魔力を喰らっているのだ。星のエネルギーを分けてもらうでも、借りるでもなく、容赦なく、慈悲なく、一方的に、喰らい、貪り、己がものとしている。

 それこそがギドラが魔力を得た事で手に入れた力。名づけるとすれば魔喰。文字通り、魔力その物を喰らう力である。

 ギドラは空のフェルニルを忌々しげに睨みつけるが、空気を震わせる咆哮が響くとそちらに頭部を向ける。そちらには起き上がり、背びれを激しく明滅させながらギドラを睨みつけるゴジラが立っていた。

 その全身は満身創痍と言っていい有様だ。微かに煙が立ち上る全身は無数の火傷を負っており、息も荒く、体がふらついている。

 だが、それでもまだ戦うつもりなのかゴジラは咆哮を上げてギドラに向かって突進する。

 ギドラも咆哮を上げてゴジラ目掛けて突進し、激突するが、ゴジラが大きくよろめいたのに対し、ギドラは即座に態勢を整えると翼を叩きつけ、ゴジラを吹き飛ばす。

 どうにかゴジラは踏みとどまるが、ギドラはすかさず雷撃を放つ。ゴジラも即座に熱線を放って雷撃を迎え撃ち、轟音と共に激突して炸裂。凄まじい衝撃波が迸る。

 衝撃をものともせず両者は再び突進し、激突するが、ギドラはすかさずゴジラに喰らい付き、雷撃を流し込む。

 雷撃の威力も上がっているのか巨体が雷で眩く照らされ、ゴジラから苦悶の咆哮を上がる。

 ギドラはそのまま雷撃を流し込みながらゴジラを振り回す。

 即座にフェルニルがミサイルを乱射。次々とギドラに直撃するが、ギドラは全く意に介さずゴジラを攻撃し続ける。

 

 「くそっ!完全に無視しやがって……!」

 「どうするのじゃ!?あの距離では神羅殿もスタンの影響を受けるから使えんぞ!?」

 

 ぎりっ、とハジメは歯を食いしばる。このままではゴジラは一方的に嬲られるだけだ。だが、それを止める手立てが自分達にはない。ユエの魔法ならば……いや、相手は魔力を吸収する能力を持っている。下手に魔法を撃ち込んでも効果がないどころか奴に吸収されかねない。

 どうする、とハジメ達が顔を歪めると、ゴジラは雷撃を流し込まれながらも背びれを明滅させ、至近距離からギドラに熱線を叩きこむ。直撃を受けたギドラの体が大きく吹き飛ばされるが、ゴジラは熱線の照射をやめず、ギドラを大きく押しやる。それでもギドラは倒れまいと踏みとどまる。

 今のうちに少しでも攻撃を、とハジメが狙いをつけた瞬間、

 

 不意に周囲が青い光で照らされる。

 

 何事かとハジメ達が光が差し込む方角に目を向ければ、黒い雷雲の一角が青く輝いている。

 

 「あれは………」

 

 香織が空を見つめながら呟くと、光は激しく瞬いて周囲を照らしていき、ひときわ激しい閃光が放たれた瞬間、雲を突き破って何かが飛び出すと、一直線にギドラに向かっていく。

 ギドラが気付いた時には手遅れだった。何かはギドラの中央の頭部に一撃を叩きこむ。

 それによって注意がそがれたギドラはそのまま熱線の圧に負けて吹き飛ばされる。

 熱線の照射をやめたゴジラはそのまま追撃はせず、空を見上げて飛翔する彼女の姿を見つめる。

 まず目につくのはその巨大な美しい翅だ。両翼でゴジラを覆えるぐらいに巨大な翅には極彩色に色を変える美しい模様が描かれており、特に翅の先端には怪獣の目に似た模様が浮かんでいる。

 その巨大な翅に反して体は驚くほど小さい。蝶や蛾に似た柔らかな毛に覆われた細身の身体に、まっすぐ伸びた後脚とカマキリの鎌のような形状の4本の腕。白い毛に覆われた頭部には触角と鋭い目つきの青い複眼があり、左右に開く構造の口がついている。

 彼女は空中で旋回してゴジラの背後に回ると青く発光する翅を大きく広げる。その姿はあまりにも美しく、ハジメ達も思わず戦闘中である事を忘れて見惚れてしまう。

 

 「もしかして……あれって………」

 「ああ………きっとあれが………モスラだ……」

 

 降りしきる豪雨の中、怪獣の女王、モスラは眼前のギドラに視線を向けると光を帯びた翅を広げながら美しい咆哮を上げる。




 軽く兵器解説。

 対怪獣決戦空中艦、フェルニル

 ハジメが開発した空中艦。デザインは神羅が前世で共に戦った超大型飛空艇、アルゴーを参考にしている。
 トータスに過去に存在していた飛空艇の技術も参考にしており、スラスターの搭載、更に神結晶を動力源として複数配置することで、大型でありながら高い機動力を確保している。また、複数人で運用することで個人への負担も大きく軽減されている。
 武装は指向性大型ミサイル、オルカン・ブラスト、大型レールキャノン、ゲイボルグ、スタンランチャー、他複数。
 

 あとギドラの魔喰についても。
 自然魔力を喰らうという行為は全身で行う事ができるが、生物から魔力を喰らう場合は口で直接食らう必要がある。これは肉体がない存在でも同義である。
 また、魔力に直接干渉する性質のせいで、魔法攻撃はほとんど吸収されてしまう。だがゴジラの場合、魔壊に効果を打ち消され吸収できずダメージを負う。

 後、キングギドラの名称をギドラに統一しました。
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