ありふれた職業で世界最強 魔王の兄は怪獣王   作:夜叉竜

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第97話 終結

 音が消えた直後、空間ごと吹き飛ばすような轟音と共に尋常ではない大爆発が起きる。

 膨大な爆炎が周辺を焼き払い、凄まじい衝撃波が大地を抉り取って巨大なクレーターを生み出し、空にまで到達してフェルニルを激しく揺さぶられる。ハジメが必死に機体を制御して何とか墜落は防ぎ、大きく息を吐く。

 吹き飛ばされた空気が吸い上げられるように着弾点に収束していき、空をつくように巨大なキノコ雲が炎と共に立ち昇る。

 

 「………原爆………」

 

 その光景を見た香織は思わずそう呟いていた。口には出していないが、ハジメもそれを見て同じことを思っていた。その光景は、教材ビデオの再現や映画でしか見たことのない最悪の兵器が生み出した光景そのものだったのだ。

 そんな二人に気づいた様子もなくユエ達は呆然とその光景を見つめていた。尋常ではない威力だ。幾らギドラと言えどもあんなものの直撃を受けては………

 だが、ゴジラは油断せずにキノコ雲を睨みつけている。モスラもまたゴジラの背後でじっときのこ雲を見ていた。

 そうしている間に雲が晴れていき………

 

 「うそ……でしょ………」

 

 ユエの口から恐怖に引きつった声が漏れる。

 キノコ雲が晴れた場所には巨大なクレーターができており、その中心には黄金の巨体が横たわっていたのだが、それは片翼を使ってよろよろと起き上がろうとしていた。ギドラはまだ生きているのだ。

 もっとも、その姿は凄惨の一言に尽きる。全身の黄金の鱗はほとんどが焼けこげ、剥がれ落ち、剥き出しの肉が焼け爛れ、一部は骨が剥き出しとなっている。特に右半身はひどく、右首は跡形もなく消し飛んでおり、中央首も大部分が吹き飛ばされ、力なく垂れさがっている。右翼も翼骨ごとほとんど消し飛び、微かな被膜しか残っていない。

 間違いなく致命傷。だがそれでもギドラは生きていた。身体から膨大な雷を垂れ流し、焼け爛れた左首が断末魔じみた声を漏らしているが、それでもまだ左翼で体を支え、倒れるのを防ぐぐらいには余力がある。

 

 「あの雷……とっさに全力放出でもして相殺したのか……!」

 

 未だ生きているギドラにハジメたち全員は驚愕を隠せない。だが瀕死だ。後一撃で葬れることは間違いない。

 ゴジラもそれに気づいているのかとどめの熱線を放とうと背びれを光らせ、

 

 突然モスラが全身から波動を放ちながらゴジラに体当たりをして吹き飛ばす。

 

 何だ、とハジメ達が驚いていると凄まじい地響きと共に何かがゴジラが立っていた地面に激突する。

 ゴジラは素早く立ち上がりながら激突した何かに目を向けるのと、それが起き上がるのは同時だった。

 異様なほどに巨大な蛇だ。全長は300mはあり、胴体もそれ相応に太い。背中に着いた背びれや胸鰭はから、さながらリヴァイアサンと言った所か。だが何よりも目に付くのは両サイドに刃のようなヒレがついた本来の頭部と、その首に無理やりくっつけたように生えているギドラの頭部と言う歪極まりない双頭だ。

 二つの違う咆哮が入り混じった不快な咆哮を上げて二対の竜眼が殺気を込めてゴジラを睨みつけると、リヴァイアサンは猛然と立ち上がろうとするゴジラ目掛けて突っ込むと長い胴体をゴジラに巻き付け、強く締め上げる。

 ゴジラは咆哮を上げて拘束を振りほどこうと暴れる。リヴァイアサンは更に双頭で噛み付いてゴジラを抑え込もうとするが、ゴジラは爪をリヴァイアサンの胴体に叩きつけると、その一撃で漆黒の鉄のような鱗は砕け、肉が引き裂かれる。

 リヴァイアサンの口から咆哮が漏れ、拘束が緩んだ瞬間、ゴジラは双頭を掴み上げてそのまま地面に叩きつける。

 即座にリヴァイアサンは起き上がろうとするが、その胴体をゴジラは容赦なく踏みつけて抑え込む。

 リヴァイアサンはでたらめに双頭から雷撃と炎をまき散らすが、そこにモスラの糸が吐きかけられ、身動きが封じられ、ゴジラの背びれが青く光り、熱線が撃ち込まれる。

 灼熱の閃光は双頭を捉え、容赦なく蹂躙した直後、轟音と共にリヴァイアサンの上半身が吹き飛ばされる。

 飛び散った血と肉が爆発の炎で瞬時に蒸発し、異臭が漂う中、邪魔者の排除を確認したゴジラはふん、と鼻を鳴らしてギドラにとどめを刺そうと振り返り、目を見開く。

 満身創痍のギドラの足元、そこに巨大な魔法陣が広がっていたのだ。それがどういう効果を持つ物か容易に想像できる。

 させないとゴジラが即座に熱線を放つのと展開された魔法陣が光を放つのはほぼ同時であり、魔法の発動のほうが一手早かった。

 案の定光に包まれたギドラの巨体はそのまま消えてしまい、虚空を熱線が焼き払っていく。

 逃がした。ゴジラが忌々しげに唸りながら顔を上げれば、黒雲に覆われた空の一角から銀光を纏った女がこちらを見下ろしていた。

 ゴジラは即座に熱線を放つが、女はそれを回避するとそのまま黒雲の中に消えていく。

 

 「逃がすか!」

 

 その後を追うようにフェルニルが轟音と共に加速して黒雲の中に飛び込む。

 直後にフェルニルの艦橋を激しい揺れが襲う。黒雲の中は想像以上に苛烈だった。引っ切り無しに雷光が閃き、凄まじい暴風が船体を吹き飛ばさんとしてくる。

 だがこの程度なら重力魔法で姿勢制御をしているフェルニルなら耐えられる。ハジメ達は漆黒の世界に浮かび上がる銀光目掛けてさらに戦艦を加速させて追いすがろうとする。

 が直後、真っ白な閃光が弾けると同時に巨人に上から殴り付けられたような凄まじい衝撃がフェルニルを襲い、機体が大きく傾ぐ。

 

 「ぐぅっ!?」

 

 耳をつんざくような轟音が爆ぜる中、ハジメは機体を制御して立て直しをはかって無事墜落を免れると追跡を再開しようとする。

 だが、ハジメ達が顔を上げた時にはすでに銀色の光は黒雲の中に完全に消え去ってしまっていた。

 

 「ユエ、シア!レーダーで捜索できるか!?」

 「………無理。嵐のせいでレーダーがほとんど機能していない」

 「はい……完全に見失いました………」

 

 二人からの報告にハジメはそうか、と悔し気に唇を噛む。故にシア、ティオに香織も同じ表情を浮かべている。

 

 「くそ……完全に油断してた……まさかあんな隠し玉があったなんて………」

 「……とりあえず、戻ろう。神羅達に報告しよう」

 

 ユエの言葉にハジメは小さく頷くと同時にフェルニルは地上へと向かう。

 その間に黒雲は少しずつ晴れていってるのか雷鳴が聞こえてこなくなり、空から仄かな月明かりが差し込んでくる。

 黒雲を突破して地上を見れば、ゴジラとモスラが警戒心をむき出しにして空を睨みつけている。

 そこにフェルニルを近づけると、ゴジラが目を向けてきて、唸り声をあげる。

 フェルニルがゴジラの前で停止すると、ブリッジを覆っている窓がスライドしながら開いていく。もう雨もやんでいるから濡れるのを気にする必要はない。

 

 「悪い、兄貴。取り逃がした」

 

 代表してハジメがそう報告すると、ゴジラはそうか、と言わんばかりに小さく頷きながら唸ると、忌々し気に空を見上げる。

 すでに黒雲は大部分が晴れており、綺麗な月明かりが戦いが終わったことを知らせるように降り注いでくる。だが、ゴジラはまだ戦いは終わってないと言うように戦意を昂らせるように背びれを光らせる。

 と、その背中にモスラがふわりと着地すると、肩口からゴジラの顔を覗き込む。

 モスラに気がついたゴジラの背びれの発光を収め、彼女に視線を向ける。

 小さく鳴き声を漏らしながらモスラはゴジラの顔を見つめる。ゴジラは小さく目を細めながら唸り声を上げると戦意を収めるように大きく息を吐き出し、それと同時に背びれの発光が収まる。

 それを見たハジメ達も大きく息を吐きながら肩を落とす。

 その間にモスラはゴジラの前に回り込み、優しげな声を上げる。それに応える様にゴジラもまた穏やかに喉を鳴らしながら目を細める。モスラが鳴き声を発すれば、それに答えるようにゴジラもまた声を漏らし、二匹はまるで会話をするように鳴き声を交わしている。

 その光景をハジメ達は、何とも複雑な表情で見ていた。ようやくの王と女王の再会だ。本当に喜ばしい事なのだが………

 若干の胃痛を感じながらハジメはちらりと香織に視線を向ける。これを見て彼女は大丈夫なのかと心配したのだが、香織は意外にも静かにその光景を見つめていた。目を逸らさず、真っ直ぐに。

 少しするとゴジラがちらりとフェルニルに目を向けた後、モスラに向けて吠える。それを聞いたモスラが同意するように頷く。

 すると、ゴジラの全身から黒い魔力が噴き出し、巨体が縮んでいく。すると、モスラの全身からも白金の魔力が噴き出し、ゆっくりと地上に向かっておりていく。

 そして噴き出した魔力がそのまま集束させてゴジラは神羅に戻るとふう、と大きく息を吐く。その目の前で白金の魔力が一点に収束していき、一人の美しい女性が現れる。

 月明かりを反射して美しく輝く白い髪、紺碧の海をそのまま閉じ込めたような深い青い瞳。小ぶりな鼻にふっくらとした唇。その全てが完璧なバランスで調和している正に美の女神の如き美貌。

 豊満な乳房に、引き絞られ腰、そしてすらりと伸びた足、そして健康的な魅力をもたらすしなやかな筋肉がついた完璧な体に纏っているのはワンピースタイプの服に、その上から羽織った薄手のコートだ。

 神羅がじっと女性を見つめていると、彼女もまた神羅を見つめながら小さく微笑み、

 

 「ようやく………ようやく、会えたわね………ゴジラ」

 

 その言葉に神羅もまた小さく笑みを浮かべ、

 

 「ああ、そうだな……モスラ」

 「本当にね……ま、とんだ再会になっちゃったけど」

 「確かにな……ま、俺達らしいと言えばらしいが」

 「勘弁してよ……再会のたびにこんな傷を作られちゃたまったもんじゃないわ」

 

 そう言ってモスラは服ごと抉られた肩の傷に手を伸ばし、傷口に触れないようにしながら血を拭う。

 

 「これぐらい大丈夫だ。再生魔法を使えば治る。それに……そう言うのは俺のセリフだ。毎度毎度危険で無茶な事ばかりしやがって……」

 「それは………ごめん。でも、奴に対抗できるのがこの世界では私ぐらいしかいなくて……」

 「それはまあ、そうかもしれないが……」

 「それに、何度も奴と戦ってきたからそれなりに……」

 「何度も?」

 

 その言葉に神羅が目を細めると、しまったと言わんばかりにモスラは言葉を詰まらせる。それを見て、神羅はミレディが怒らないであげてほしいと言っていた意味を悟り、内心でため息を吐き、

 

 「何度だ」

 「え?」

 「何度奴と戦ったんだ」

 

 神羅が問い詰めるとモスラは気まずげに視線を逸らす。構わずに神羅がじっと見つめ続けていると、観念したようにモスラは小さくため息をつき、

 

 「……少なくとも5回は戦ってる。どうにかこうにか撃退はできてるけど」

 

 思ったより少ないと考えるべきか、それとも多すぎると思うべきか、と神羅はため息をつきながら目頭を揉む。

 要するに、エヒトが奴を解き放ったのはこれが最初ではなかったのだ。これまでに最低でも5回は奴を地上に解き放っているのだろう。その目的は分からないが、そのたびに彼女は奴と戦い、そして撃退してきたのだ。己の命と引き換えに。

 

 「前々から言ってるだろうが。いくら転生できるからって自分を軽く扱うなって。お前が死ぬところは見たくない。ましてや俺の知らないところで死んでいたなんて聞かされる身にもなれ……」

 

 普段の神羅からは考えられないほど不安に揺れた声にモスラの瞳が小さく揺れる。

 

 「……その事に関しては……本当にごめんなさい。不安にさせてしまって。でも………幾ら貴方のお願いでも、それは無理だと思う」

 

 小さく頭を振りながらモスラは神羅の顔を見据えながら口を開く。

 

 「私は貴方ほど強くないから、全てを賭けないと勝てないから。そこまでしないと、届かないから」

 「これも前から言ってるが、だったら無理に戦う必要なんて……」

 「それも無理。目の前で理不尽に踏みにじられる命を見過ごす事なんてできないし、私は貴方の女王よ。貴方が一人で傷つきながら戦っているのを黙って見ている事なんてできないわ。戦えるのなら、私はいつだってあなたと一緒に戦いたいの」

 

 そう言われてはもう何も言えなくなってしまう。神羅ははぁ、とため息を吐きながら軽く頭を振る。

 

 「分かったよ。でも、せめて俺の傍では絶対に無茶だけはするなよ」

 「うん、分かった。確約はできないけどね」

 「最後ので台無しだぞ‥……」

 

 疲れたようにため息を吐いている間に、神羅の肩の傷は再生魔法で再生を終える。疲れたように神羅が大きく息を吐いている隣でモスラは顔を上げて頭上に浮かんでいるフェルニルに視線を向ける。

 

 「で、あの生まれ変わる前の奴との戦いで援護してくれてた飛空艇みたいなの……あれってハジメ君の作品?」

 「ああ。俺の話を参考に作ったらしい」

 「ふぅん……オスカーに負けず劣らずって所かしらね」

 

 どこか懐かしそうにフェルニルを眺めるモスラを神羅も黙って見つめる。

 

 『あ~~~~、えっと……兄貴?そろそろ俺達王都に戻るけど……』

 『ん、そうか。分かった。それじゃあ………』「おい、モスラ。ハジメ達が王都に戻るそうだが、なにかあるか?」

 「あら、それじゃあ折角だし、改めて顔合わせてしておきたいからちょっとこっちに来るように言ってくれる」

 「そうか、分かった」『ハジメ。少しこっちに降りてこい。モスラが顔合わせをしたいそうだ』

 『え!?いや、それはあの……………あ、あれ!園部やほかの連中の様子が気になるし、俺たちは先に戻ってるから二人はゆっくり……』

 『それでは二度手間だ。合流して一緒に戻ったほうがいいだろう』

 『そ、そうなんだけどさ!ほら、折角出会えたんだからもう少しゆっくり……え、なに白崎。え……お、いや……でも……は、はい……分かりました……兄貴、これからそっちに向かうから』

 『?まあ、分かった』

 

 ハジメからの念話が切れると同時に上空のフェルニルがゆっくりと降下してくる。モスラは神羅の傍に立つと二人そろってフェルニルを見上げる。

 地面に目前にまで近づいたフェルニルの下部から数本の脚が展開されてそのまま着陸する。そして少しした後に目の前のフェルニルの後部のハッチが開き、そこからハジメ達がおずおずと顔を出し、全員がモスラの姿を見た瞬間、動きを止める。男女の区別なく、全員がモスラの美貌を前に見惚れてしまっていたのだ。

 言葉もなくハジメ達がモスラに見惚れていると、神羅とモスラは彼らの前まで歩いていき、モスラが軽く手を上げながらハジメとユエに声をかける。

 

 「久しぶりね、ハジメ君、ユエちゃん」

 

 そこでハジメとユエは正気に戻ったようにはっ!と体を震わせる。

 

 「あ、ああ……そう……ですね。お久しぶりっす、モスラ……さん。なんか、姿が変わってますけど……」

 「まあ、前会った時は子供の姿だったからね。私の普段の姿はこっちの方なのよ」

 

 そう言ってモスラは軽く体を一回転させる。たったそれだけの動作が恐ろしく魅力的でハジメだけでなく、ユエ達ですら顔を赤らめる。

 

 「そんな緊張しなくてもいいわよ。最初にも言ったけど、固くなる必要はないわ。気楽にね、気楽に。そっちの新しい仲間達もそれでいいわよ」

 「へぁっ!?あ、は、はい………あ、申し遅れました!私、兎人族のシア・ハウリアです!」

 「いきなり固いわねぇ……」

 「完全呑まれておるようなのでご勘弁を……妾は竜人族のティオ・クラルスじゃ。そして………」

 「初めまして、モスラさん。私は白崎香織と言います。神羅君たちと同じ地球から来た者です」

 

 香織は真っ直ぐにモスラを見つめながら自己紹介をする。それに対し、モスラもまた彼女の顔を真っ直ぐに見つめ、

 

 「ふ~~ん、なるほどね………よろしくね、白崎さん」

 「はい、よろしくお願いします」

 

 香織が微笑むとモスラも小さく笑みを浮かべる。

 その光景をハジメ達は先ほどまでとは一転した緊張の面持ちで見つめるが、それに気がついた様子もなくモスラは周囲を見渡し、

 

 「確か、ゴジラの話だと他にも地球から来たっていう子供たちが大勢いるって話だったけど……」

 「ああ、ここにいるのは俺達だけ……だ。他の奴らはあっちの王都にいるんだ」

 「へぇ、そうなんだ………それじゃあ、とりあえず彼らと合流しましょうか。色々と話を聞きたいしね」

 「そうか、分かった。それじゃあ、ハジメ。さっさと戻るとしよう」

 「あ、えっと……い、いいのか?せっかく再会できたんだし、もう少しこう……」

 

 ハジメがちらちらと香織に視線を向けながらもそう言うと、ゴジラは腕を組みながら鼻を鳴らす。

 

 「そうもいかん。奴が動いていると分かった以上、こちらも呑気にしてはいられん」

 「……ま、そうね。情けないけど、彼が来てくれたおかげでようやく反撃に出られる。やれることは素早く済ませないと」

 

 真面目だなぁ、とハジメが呆れている間に神羅とモスラは当たり前のように並んでフェルニルに足を向け、

 

 「でも、大丈夫かな?今神羅君を見たら天之河君、絶対に大騒ぎすると思うんだけど……」

 

 香織の言葉に神羅達は首を傾げながら視線を向ける。

 

 「それはどういう意味だ?」

 「うん。実はクラスメイトのみんなに神羅君の正体がバレちゃったんだけど……それで天之河君が神羅君を敵視しちゃって……」

 「ゴジラ、天之河って誰?」

 「転移者の一人で、天職が勇者の男だ」

 「勇者って………もしかして、聖剣を抜いてる?」

 「ああ、そうだが……知ってるのか?」

 「ええ。解放者時代にも勇者はいたからね。ふ~~ん、エヒトが呼び寄せた人間の勇者ねぇ……」

 

 何かを考えこむようにモスラが顎に手を当てていると、ハジメがあぁ、と疲れたように空を仰ぐ。

 

 「そう言えばそうだった。あいつの事だから絶対に面倒な事になる………」

 「い、いや、でも、あんな戦いがあった直後ですよ?流石に……」

 「いや、でもあの様子だと………」

 

 ハジメ達がどうなるだろうと顔を見合わせる中、香織が続ける。

 

 「多分……今の天之河君は神羅君を絶対に受け入れようとしない。こう言っちゃなんだけど、何が何でも排除しようとすると思うの」

 「……そんなにか?」

 

 神羅がハジメ達に目を向けると、彼らはげんなりとした表情を浮かべながら頷く。

 確かに今あの暴走勇者と神羅を合わせるのは不味すぎる。難癖程度ならなまだいい。最悪その場で戦闘になる可能性すらある。流石にそれは避けたい。強制的にでも日を股がせるか、もしくは物理的にでも頭を冷やさせなくては止まらない可能性もある。

 

 「しかし、いなかったらいなかったで面倒な事になるのではないか?」

 「うわぁ……その光景がありありと想像できてしまいました……」

 

 神羅の疑問にシアが思いっきり顔をしかめる。

 しかし神羅がいなければいないで同じように光輝は騒ぎ立てるだろう。逃げただのなんだのと。

 そして神羅の仲間と思われてるハジメ達ではそれを止めることはできないだろうことも予想できる。

 どうしたものか、とハジメ達が頭を悩ませていると、

 

 「………私に一つ考えがある」

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