ありふれた職業で世界最強 魔王の兄は怪獣王   作:夜叉竜

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 すいません、少し展開を変えた所があるので投稿し直します。


第98話 事後処理

ハジメ達がゴジラの援護に向かった後、光輝達はメルドに先導されて隠し通路へと避難した。本来ならリリアーナもすぐさま避難しなければならなかったのだが、彼女は大混乱に陥った王宮の態勢を立て直すために残ったのだ。

 リリアーナの陣頭指揮のおかげで何とか王宮も落ち着き、生き残っていた(・・・・・・・)者達が避難しようとしたところで、彼女の前にハジメと神羅の2人が合流し、事態の終息を報告した。その同時刻、光輝たちの元にはユエ達が現れ、同様に事態の終息を報告していた。

 これがユエの考えだった。それはあまりにも単純。要は神羅とハジメが光輝と顔を合わせるとまずいのだから二手に分かれて顔を合わせなければいいというだけだ。

 元々は優花たちに事前に連絡して最優先で報告しなければいけないリリアーナとメルドをクラスメイト達から別れさせてもらおうと思っていたのだが、連絡した時にリリアーナが王宮に残ったと聞いたのでこれ幸いとハジメ達も分かれたのだ。ちなみに流石に見ず知らずの人物が加わっては困惑するのではと言う事でどちらにもモスラは同行していない。

 リリアーナの方は何事もなく報告は済んだのだが、案の定と言うべきか光輝は神羅達がいない事に対し逃げ出したのだのと騒いだが、ユエが自分の都合を優先して今苦しんでいる人たちを放っておくのかと問いかけたら何も言えなくなってしまっていた。

 かくして事態の終息を確認した王宮はすぐさま負傷者の搬送に状況の調査などを始めた。ハジメ達も王宮からの依頼と言う形で調査に協力した。

 それによると恵理に傀儡兵化されていた兵士は500人規模に上り、訓練場でハジメ達が駆逐した以外の者達も王宮の地下で発見された。流石にこれだけの数を回収する時間はノイントにもなかったらしい。

 また、王都の近郊に魔石を起点とした魔法陣が地中に作られていたようで、それがフリードの軍用空間転移の秘密だったようだ。もっとも、それもすでに跡形もなく消し飛んでいたが。

 ゴジラとギドラが戦った平原はもはや平原とすら呼べなかった。地割れがひび割れのように大地を覆い、地盤そのものがひっくり返ってしまったように荒れ果てて、黒焦げとなった地面が剥き出しとなってしまっている。この場が以前の平原のようになるには数十年の月日が必要となるだろう。

 国王を含む重鎮たちはすでに恵理の傀儡兵により殺害されており、現在、ハイリヒ王国国王の座は空席になってしまっている。混乱が収まるまではリリアーナが先頭に立つしかないだろう。恐らく、諸々落ち着いたら同じく無事だったランデル殿下が即位することになるだろう。

 そうして色々な事が判明していく中で、王都に住む者達にとって一番衝撃だったのは、聖教教会壊滅の報だった。

 突如として現れた黄金の竜ー王都の住民からは魔竜などと呼ばれているーは出現と同時に聖教教会がある神山を襲撃、イシュタルを始めとした教会関係者は命をとして魔竜に挑んだが力及ばず教会は崩壊。教会にいた者達は全滅してしまった。だが、最後の瞬間、彼等の祈りが通じたのか神獣達が降臨し、魔竜と魔人族を撃退した。

 この王宮からの報告に多くの民が衝撃を受け、王都全体が悲しみに沈んだ。だが、彼らは嘆いてばかりはいられないと最後まで戦い抜いたイシュタルたちに報いるために自分達も戦おうと多くの民が復興に励もうと立ち上がった。

 …………以上がリリアーナとハジメ、ユエが一緒になって考えた聖教教会壊滅のバックストーリーとその顛末である。

 聖教教会壊滅は神山への行き来が不可能であったりそんな暇もないため一時の間隠す事はできるだろう。だが、そんな事をしても教会への不信感や不安へと繋がっていく。その程度なら問題ないのだが、厄介な点はゴジラに対する信仰心がかつてないほどに高まっている事だ。

 すでにゴジラは神獣として民の間で噂となっている。そんなゴジラがギドラと戦い、王都を守ってくれたことでもはやエヒトに迫る勢いでゴジラへの信仰心が高まっている。

 流石にこの状況を放置し続ければ、面倒な事になりかねないと判断したハジメ達が今回のバックストーリーを考えたのだ。

 なお、良いように祭り上げられることになったゴジラこと神羅だったが、当の本人は構わないと言っていた。元々前世でもそんな感じだったし、神山崩壊は自分がやった事。その後始末に自分の名前が必要なら幾らでも使って構わない、との事だった。

 そうした背景もあって復興を目指してにわかに活気づいている王都に反し、クラスメイト達の間には重苦しい空気が漂っていた。

 クラスメイトの裏切りと死、そして自分達では足元にも及ばない強大な存在。あまりにも多くの事が起こりすぎて、彼らの脳はすでにオーバーフローを起こしていた。

 前線組は改めてハジメ達との隔絶した力の差、何よりもこれから自分達が戦う事になるかもしれない本当の脅威、更にそれと同格の存在がクラスメイトにいた事を未だ受け止めきれずにいた。

 居残り組に至ってはもはや理解が追い付かずただただ自分達の理解が及ばない事態が進行していることに、得体のしれない恐怖を抱いていた。それこそ、自室に引きこもってしまってもおかしくはなかったが、自室に引きこもっていると、どうしたって脳裏にあの怪獣同士の戦いの光景が鮮明に思い浮かべてしまい、その衝撃に押しつぶされそうになってしまい、半ば現実逃避をするように王都復興に精を出していた。

 その中で優花を始めとした親衛隊達は何か吹っ切れたように他の生徒たちのフォローをしながら精力的に復興に励んでいた。そして多くの生徒たちが復興中ハジメ達と接触するの避けていたのに対し、彼らはハジメ達との接触を避けたりせず、むしろ彼等の作業を手伝ったりもしていた。

 そしてこんな時に生徒の為と立ち上がるであろう愛子だが、彼女は未だ立ち直る事ができずにいた。大切な生徒を化け物呼ばわりした事がよほど堪えたらしく、自分のあり方を見失ってしまったらしい。優花たちがどれほど声をかけてもほとんど生返事しかせず、日がな一日中自室で過ごしている。優花たちではどうすることもできず、相談を受けたハジメ達にもどうすることもできず、今はそっとする事しかできていない。

 そうしていろんなことが判明しつつ、魔人族の襲撃とクラスメイトの裏切り、そして怪獣との戦いから五日が経過した現在、光輝達はあの因縁深き訓練場に集合していた。その理由は、ハジメ達から改めて神羅、及び怪獣に関して説明すると伝えられたからだ。訓練場に集まった彼らは落ち着かない様子で周囲を見渡している。

 そんな中、光輝だけはかつてないほどに敵意をむき出しにした状態で周囲を睨みつけている。何か切っ掛けがあればすぐにでも聖剣を抜きかねない気迫だ。

 

 「あの、光輝さん……そのように警戒なさらずとも………」

 「何を言っているんだリリィ。相手は化け物だ。決して心を許してはいけない。警戒するのは当然の事だ。」

 

 すでに彼らには怪獣態の神羅が神獣として崇められているという情報は伝わっているはずだが、それでも光輝は頑なに神羅を認めようとしなかった。あいつは化け物。化け物の言う事なんて信じるに値しないとそうクラスメイト達に言い続けている。

 

 「それにあいつはここ数日姿を見せていない。体を休めているなんて南雲は言ってるが絶対に嘘だ。香織の魔法があるのに休み続けるなんて不自然だ。きっと後ろめたい事があるからに違いない」

 

 それは事実だ。神羅は終息直後にハジメと共にリリアーナに顔を見せた後、ダメージを回復させるためにしばらく体を休めると言って姿を晦ましていた。優花たちもハジメたちの姿は見ても、神羅の姿は見ていない。

 再生魔法がある以上、全快とまではいかなくても体を休める必要はないように思えるが、神羅に限って言えばそうはいかなかった。

 言ってしまえば、ゴジラと言う規格外の存在故か、魔壊が悪さをしているのかは分からなかったが、香織の再生魔法でも神羅の消耗を戻す事はできなかったのだ。

 そう言った事情があって、ここ数日彼の姿を見た者はいない。

 別れ際の消耗した顔を見たリリアーナはその話を信じ、その事を説明もしたが、光輝は全く耳を貸していない。

 光輝の中のありとあらゆる負の感情の矛先が全て神羅に向けられているような形容し難い表情に雫や龍太郎でさえ声をかけられずにおり、そんな光輝を恐れてかほとんどの生徒が距離を取っているが、光輝がそれに気づく様子もなく。

 こんな時、いつもならば鈴辺りがムードメイカーの本領を発揮してくれるのだろうが、当の本人は明らかにテンションが低く、時折見せる笑顔も痛々しい物だった。よほど恵理に言われたことが堪えているらしかった。

 王都全体が復興に向けて気運が高まっていく中、使徒達だけ暗く澱んだ空気を纏っている現状にリリアーナが小さくため息をついていると、

 

 「あ、ハジメ、皆!」

 

 訓練場に優花の声が響き、全員が一斉に顔を向けると、訓練場に向かって歩いてくるハジメ達一行とメルドの姿が見えた。

 

 「……とまぁ、こんな感じだな。今日までに復興できたのは。詳細はここに纏めてあるから」

 「そうか……本当にすまない、南雲」

 

 ハジメはメルドに何かしらの資料を手渡しながらは復興の進捗に関して話しており、ユエ達はその後ろに続く様に歩いている。

 クラスメイト達がびくりと体を震わせる中、優花とリリアーナはすぐさまハジメたちの元に駆けよる。親衛隊達も慌ててその後を追いかけ、それに続く様に光輝と雫も動く。

 

 「お、姫さんに園部………どうやら、全員集まってるみたいだな」

 「ええ。でも、愛ちゃん先生はまだ………」

 「そうか……ま、しょうがない。いないまま話を進めるか」

 

 ハジメが頭を掻いた所で、リリアーナはハジメパーティーの人数が一人足りない事に気付く。

 

 「あの、ハジメさん。神羅さんの事について教えていただけるという話ですが……神羅さんは?」

 「ああ。それなんだが………何でも兄貴は回復のためにえらい僻地に行ったみたいでな。俺達も詳しい場所は知らないんだ」

 「え、それって……神羅君はこないって事?」

 

 雫が目を丸くしながら問うとハジメは違うと言うように首を横に振る。

 

 「いや、少し前に兄貴に同行してるモスラって人から回復したからもうじき合流するって聞いたからみんなを呼んでもらったんだが………まだ来てないみたいだな」

 「来てないだと?そのまま逃げたんだろ。なんて卑怯な奴だ」

 

 忌々し気にハジメを睨みながらそう吐き捨てたのは光輝だ。その言葉にハジメは無言で光輝を睨み返す。ユエ達も同様に光輝を睨み、彼は思わず怯むが、

 

 「当然だろう。奴は人間じゃない、人間のふりをして俺たちを騙し続けてきた化け物だ。そんな奴の何を信じると?きっと地球にいた時も俺達人間を殺すために潜伏していたに違いない」

 

 当然の事を言っていると言わんばかりの表情を浮かべる光輝にハジメのこめかみが引くつき、視線が鋭さを増し、ユエ達も不快げに光輝を睨む。

 その視線に光輝はたじろぐが、しかし自分は間違っていないと言うように反論しようとして、

 

 「ま、すぐに俺を信じろなんて言うつもりはない。だが、一先ずここで戦うのだけはよしてほしいな」

 

 後ろから呆れたような声が響いてくる。それは今まさに話題になっている神羅の声だ。

 だからその場全員が一斉に声が聞こえてきた方向に顔を向け、

 全員がほぼ同時に完全に固まる。ハジメだけではない。ユエにシアにティオに香織、更には他のクラスメイト達にリリアーナにメルド、果ては光輝まで、その場の全員が驚いたように神羅を凝視している。

 

 「あ~~~~、まあ、そうなるか……」

 

 そう言って神羅が頭を掻くと、毛先が赤みが強い桃色に染まった黒髪が揺れた。




ゴジラ×コングのストーリーを今から組み込むことは不可能です。でも、進化はできます。
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