ありふれた職業で世界最強 魔王の兄は怪獣王   作:夜叉竜

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 遅くなりましたが投稿します。最近執筆する時間が取れなくて……


第100話 モスラとミレディ

 トータスを南北に分断する巨大な大地の亀裂、ライセン大峡谷。魔力も使えず、人間達からは処刑場として恐れられている場所だが、そんな場所でも魔物たちは逞しく生きている。

 深い谷底を何匹もの魔物たちが行き来し、時には生きるか死ぬかの生存競争を繰り広げている。現にいまも2匹のダイヘドアが睨み合いながら威嚇の咆哮を上げている。

 互いに攻め気を伺うように睨み合い、状況は完全に膠着状態となっている。だが、その状態は長くは続かない。二匹はほぼ同時に相手を食い殺さんと牙をむき出しにして飛び出し、

 一瞬、彼らを照らしていた陽が遮られる。

 それに気づいたダイヘドアたちが顔を上げれば、空を巨大な影が飛んでおり、大きく旋回したのち真っ直ぐに峡谷の底を目指して降下してくるのが見える。

 二匹は本能的にそれが自分達では敵わない強者であると悟ったのか一目散に同じ方向に向かって逃げ出す。

 ダイヘドアがいなくなり、広々とした峡谷の底に大きく風を巻き上げながら怪獣態のモスラがゆっくりと着陸すると、4本の鎌で抱えた黒い車、ブリーゼを地面に下す。

 それと同時にモスラの全身からオレンジの魔力が噴き出し、それと同時に体が見る見るうちに縮んでいく。吹き荒れる魔力の中に人間ほどの大きさの影が浮かび上がると、魔力が一気に影に吸い込まれていき、全ての魔力が消えた後には人間の姿のモスラが立っていた。

 彼女は軽く伸びをするとブリーゼに近寄り、ドアを軽くノックする。

 

 「ついたわ。もう降りても大丈夫よ」

 

 すると、ブリーゼのドアが開き、中から体を強張らせた光輝がゆっくりと降りてくる。

 

 「……もう着いたのか……意外と早かったな………」

 「まぁ、それなりの速さで飛んだからね。ハジメ君のブリーゼのおかげでもあるけど。即席とは思えない負荷軽減っぷりね」

 

 感心したように頷いてブリーゼを叩くモスラに光輝が複雑そうな表情を向けていると、

 

 「ここが……ライセン大峡谷なの……?」

 「うぉぉぉぉ、たけぇ……どんだけ深いんだここ……」

 「……」

 

 ブリーゼのから不安げな顔の鈴、高い断崖を見上げて目を丸くする龍太郎、緊張した面持ちの雫の3人が新たに降りてくる。

 ミレディに会いに行くというモスラに光輝は南雲達の不正を暴いてやると息まきながらついて行くと宣言した。

 その後にモスラが他について行く気がある者はいるかと問うたら彼ら3人が立候補したのだ。

 雫はいざと言う時光輝を止めるために。鈴は恵理ともう一度話をするために、龍太郎は自分や仲間を守るために神代魔法を欲し、その為にミレディから話を聞きたいと言って。

 ハジメが彼らを運ぶための入れ物としてブリーゼを貸してくれたおかげでモスラとしては大した手間にもならないため同行を許可したのだ。

 

 「それで、モスラさん。大迷宮はどこに?」

 「待ちなさい。確か………」

 

 せわしなく周囲を見渡す光輝を制しながらモスラは断崖の影を覗き込んでいき、

 

 「ああ、あったあった。ここよ」

 

 とある岩場の影で目的のものを見つけたのか光輝達に手招きをする。

 光輝はすぐには向かわず大きく息を吐き、拳を強く握りしめる。まるで大迷宮に挑もうとするかのような気迫にモスラは小さく息を吐き、

 

 「話をしに行くだけなのになんでそんなに気合を入れてるのよ……言っておくけど、ミレディの所にはこの攻略の証を使ってショートカットするから」

 

 モスラが神羅から預かった攻略の証を見せると、光輝はえ、と勢いをそがれたように呆けた声を発する。

 

 「当たり前じゃない。そんな事に一々時間をかけてはいられないわ」

 「そ、そんな事って……」

 

 光輝は困惑した表情を浮かべるが、モスラは小さく肩をすくめるとそれ以上何も言わずそのまま影の向こうに歩いていってしまう。

 

 「……光輝。今回は話を聞くだけと言うのは事前に言われてたことでしょう?」

 「で、でも迷宮をショートカットなんてそんな卑怯な……」

 「話を聞くだけで攻略する予定なんてないんだから当然でしょ?それとも、モスラさんに口添えしてもらってタダで神代魔法を貰うつもりなの?」

 

 うぐっ、と光輝は小さく言葉をつまらせると、少しして分かったと言うように小さく頷いてモスラの後を追って岩場の影に向かう。雫、龍太郎、鈴もそれに続いていき、

 

 〝おいでませ! ミレディ・ライセンのドキワク大迷宮へ♪〟

 

 やたらと!や♪が妙に強調された丸っこい女の子っぽい文字で彫られた看板を前にありえない物を見たと言わんばかりに固まる。

 

 「な、なんだよこれ………」

 

 龍太郎が絞り出すように呟くと、

 

 「書いてある通りよ。ここが大迷宮の一つ。ライセン大迷宮の入り口よ」

 

 モスラが何を言っているんだと言うように看板を指さす。

 

 「ふ、ふざけないでください!大迷宮には、世界を救うために必要な神代魔法があるはず!その大迷宮がこんな……こんなふざけた看板を掲げるはずがありません!」

 

 光輝は怒声を張り上げるとモスラは小さく息を吐き、

 

 「この看板はミレディが作った物だから私に言われても困るわ。そのミレディ曰く、看板は大迷宮の顔なんだから分かりやすくしないと、だって。まあ、見つけてもらわないと挑戦してもらえないんだし、そう考えてると理にかなってるわよね」

 

 確かにそう言われるとそうなのだが、それにしたってもう少しましな造形があったはずではと雫も思わないではない。

 だが、モスラにふざけた雰囲気はなく、至って真面目な表情を浮かべている。ミレディの言葉に本心から納得したと言わんばかりの表情だ。

 もしかしてこの人天然では、と雫が考えた所でモスラは看板に向けて攻略の証を掲げる。

 すると、鈍い振動が周囲に響き渡る。光輝達が何事かと身構えている間も振動は続き、やがて収まっていく。

 

 「……よし、これでショートカットは開いたわ。それじゃあ、行くわよ」

 

 そう言ってモスラが看板の下の岩に手を触れると、忍者屋敷の隠し扉のように岩が回転し、モスラはその向こうに消えて行ってしまう。

 光輝はモスラの説明を聞いても納得できないと言わんばかりに拳を震わせるが、その肩を龍太郎が叩く。

 

 「光輝、とりあえずそのミレディって奴に会いに行こうぜ。いつまでもここで時間を喰う訳にはいかないしよ……」

 

 龍太郎の言葉に光輝は顔を歪めるが、大きく息を吐きながら頷くと、回転扉に手をやり向こう側に消える。その意気だぜと言わんばかりに龍太郎は頷いてその後に続く。

 その二人を見て雫は疲れたようにため息をつきながら目頭を揉む。

 

 「雫っち……大丈夫?」

 「ええ、大丈夫よ、鈴。私達も行きましょう」

 

 雫と鈴は一緒に回転扉に手をやり、向こう側に回る。

 

 「全員来たわね。それじゃあ行くわよ」

 

 同行者が全員来たことを確認してモスラが再び証をかざすと、突然部屋全体がガタンと揺れ、光輝達を押されるようなGが襲う。

 

 「な、なんだっ!?何が起こっている!?」

 「ミレディの所に向かって部屋が動いてるだけよ」

 

 光輝達がバランスを崩す中、全く微動だにせずモスラが言う。

 しばらく何度か方向を変えながら部屋は移動していたが、不意に急停止する。

 

 「ん、ついたわね」

 

 部屋の停止を確認すると、モスラは壁に向かって歩いていき、証をかざす。すると、壁の一角が静かに開く。

 

 「さ、この先にミレディがいるわ。話が聞きたいならついてきなさい」

 

 そう言ってモスラが開いたところから先に進み、光輝達もその後に続いていき、中央に魔法陣が刻まれた白い部屋に入った瞬間、

 

 「モスモスゥゥゥゥゥゥゥ、久しぶりぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

 

 白髪が交じった金髪の少女がモスラ目掛けて飛び込んでそのまま抱きついてくる。モスラは驚いたように目を丸くするが、それでも少女を柔らかく受け止める。

 

 「久しぶりね、ミレディ」

 「会いたかったよぉ、モスモス………うへへ、相変わらずたまらん感触ですなぁ……」

 

 だらしない笑みを浮かべながら少女はモスラの豊満な胸に顔を埋め、ウリウリと頬ずりをする。

 その様をモスラは薄く唇の端を曲げながらも柔らかく見つめながら、頭を撫でる。

 対し光輝達は呆然とした様子でその光景を見つめていた。

 ひとしきり感触を堪能したのかミレディは満足げに息を吐きながら自分より高い所にあるモスラの顔を見上げる。

 

 「満足した?」

 「うん、そりゃもうね!相変わらず大きさ、張り、弾力全て最高だったよ!」

 

 明らかなセクハラ発言に、だがモスラは気分を害した様子もなくそれはよかった、と頷く。

 だらしない笑みを浮かべていたミレディだったが、小さく頷くと同時に表情を一変させ、

 

 「………それで、モスモス。ちゃんと会えた?君の王に」

 

 友人の願いの行く末を問いかける。

 

 「ええ。ちゃんと再会できたわ。私の王にね」

 

 幸せにあふれた笑みを浮かべるモスラにミレディはそっか、と安心したように頷いた後、モスラの後ろで固まっている光輝達に視線を向ける。

 

 「それで、モスモス。何かあったの?それにあの子たちは?ハジメ君や神羅君と似た顔立ちだけど……」

 「ああ、その前にちょっと頼みたいことがあるの」

 

 モスラがミレディにここに来た目的を説明すると、ミレディはしばし考えるように顎に手をやり、

 

 「なるほど………そう言う事か………うん、分かったよ、モスモス。そのハイリヒ王国って言う所に行くよ」

 「提案したのは私だけど、いいの?」

 「うん。あの偽王を動かしたって事は奴が本格的に動き出す前兆だと思うし、その時に状況を素早く判断できるところにいたほうがいいと思うしね。それに、解放者としてもその国を放っておけないしね」

 「そう……ありがとう、ミレディ。これで憂いなく旅に出れるわ」

 「うんうん、私の方は気にしないでのんびり神羅君との逢瀬を楽しんできなよ………それで、彼らについてだけど……」

 「ああ、それなんだけど………」

 

 モスラが光輝達の事を、彼がここに来た理由を話した瞬間、ミレディは和やかな雰囲気を一転させ、静かな表情で光輝に視線を向ける。その視線に光輝は怯むように呻く。

 

 「ハジメ君たちがズルをした?ふざけないで。私は彼らの様子をずっと見てたけど、彼らは神羅君の力を借りずに大迷宮に挑んだ。彼らは決してズルなんかしていない」

 

 ミレディがそう断言するも、光輝は納得できないと言うように唇を噛み、

 

 「で、でも南雲神羅も一緒に迷宮に挑んだのでしょう!?だったら奴だって……」

 「そうだね。確かに神羅君も迷宮に挑んだのだから、攻略の際に協力はしたよ」

 「だったら……!」

 「でも、それは常識の範囲内。彼らは決して神羅君に頼りきりじゃなかったし、神羅君も過剰に手を貸さなかった。なによりも最後の試練、私との勝負において、神羅君は一切手を出していない。彼が危険を感じて手を出そうとするたびに彼らはその手を払いのけて自分の力で困難を退けた。彼らは自らの意地だけで私に喰らい付いてきたよ」

 

 今でも鮮明に思い出す事ができる。自らが築いた力の全てをねじ伏せられようと、それでもと歯を食いしばりながら立ち上がり続けた姿を。

 光輝は言葉に詰まる様に顔を歪めるが、その視線は未だ納得できないと訴えていると、モスラが口を開く。

 

 「これではっきりしたでしょ。彼等はズルなんてせず、正々堂々と試練を突破して神代魔法を獲得したって実際に戦ったミレディが言うんだから、それが事実なのよ」

 「でもモスラさん、あいつ等は人殺しなんですよ!?これから神代魔法で多くの人を傷つけるかもしれない!そんなの許される事では……!」

 

 光輝がそう言うとミレディはふう、と大きく息を吐き、

 

 「そう………なら、私も許されない側だね。元処刑人として多くの人を殺してきたしね」

 

 へ、と光輝は目を見開く。雫たちも同様に言葉を失っている。

 

 「ど、どう言う意味……」

 「そのままだよ。私は元々処刑人の一族として生まれ、神代魔法を使って多くの人を殺してきた。罪人と連れてこられたものばかりだったけど………無実の罪を着せられた人たちもいただろうね。でも私は殺してきた。淡々と、連れてこられた人たちの事情も何も知ろうともせずに」

 「そ、そんな………なんで………」

 「全部勝手にあきらめて、投げ出して、逃げた結果さ。そのせいで、私は大切な恩人を失った。でも私は託された。だから私は戦う道を選んだんだよ。だからこそ断言できる。彼らは決して私欲で力を振りかざすようなことはしない。無辜の人たちを傷つけることに力は使わないって」

 

 ミレディが断言すると、光輝は何か言おうと口を動かそうするが、その意志に反して何も言う事ができずにいると、

 

 「それじゃあ今度は私が聞いてもいいかな。アマノカワ君」

 「な、何ですか……」

 「君はなんで神代魔法を求めているの?何のためにその力を使うつもりなの?」

 

 そう問われた瞬間、光輝は先ほどまでの狼狽え等どこかへ吹き飛んだかのように堂々とした表情を浮かべて告げる。

 

 「それはもちろん人々を救うためです!この世界の暮らす人々全てを!力があるのに見捨てようとしている奴らとは違う!俺は誰一人見捨てない!そのために力が必要だからです!」

 

 そこに先ほどまでの狼狽っぷりは無く、堂々とした様子で宣言する。

 その様子を見て、ミレディはそう、と呟きながらじっと光輝を見つめ、

 

 「じゃあ、ちょっと質問。君は怪獣を見たことはある?」

 「え?え、ええ……はい」

 「その時、君は何を感じた?怖いと思った?」

 

 その瞬間、光輝の脳裏に空を震わせるような凄まじい咆哮が蘇り、体が強張る。だが、次の瞬間、それを振り払うように彼は首を振り、

 

 「何を言ってるんですか。俺は勇者ですよ。勇気を持つ俺は何も恐れません。神代魔法ですべての怪獣を打ち破り、人々を救うんです」

 

 そう引きつった笑みを浮かべて告げる。

 それを見て、ミレディは小さく頷き、

 

 「未熟も未熟……だけど、恐怖を感じているならまだ大丈夫かな」

 「は………?ま、待ってください!恐怖を感じてる?何を言ってるんですか!俺は恐怖なんて感じてない!俺は何も恐れたりしないって言ったでしょう!?」

 

 ミレディの評価が納得できなかったのか光輝が食って掛かると、ミレディは穏やかな視線を向け、

 

 「一つアドバイスをしてあげる。恐怖を感じることは決して恥じゃない。むしろ当然なんだよ。逆に恐怖を感じない奴なんてもっとも信用できないよ」

 

 光輝は絶句したように顔を引きつらせ、何か言おうと口を開くが、喉が引きつったように何も言う事ができない。

 それを何も言わずにミレディは見ていたが、その彼女の前に雫が申し訳なさそうな顔で出てくる。

 

 「す、すいません……お話を聞くだけだったのにこんな……光輝にはあとで言って聞かせますから……」

 

 それを見たミレディはすっ、と目を細めて問いかける。

 

 「なんで君が謝るの?」

 「え?」

 「なんで君が謝ってるのって聞いてるの。今回騒いだのは彼だけ。なら謝るのは彼だ。君が謝らなきゃいけない理由はないと思うけど?」

 「そ、それは……私が光輝の幼馴染だから………それに、光輝は弟みたいな存在で………」

 

 雫がそう言うとミレディはふ~~ん、と小さく頷く。

 

 「つまり、君は彼のお姉ちゃんのような立場にいるって事?」

 「え?ま、まぁ……そうですね………小さいころから……一緒にいたので………」

 「そっか、なるほどねぇ………確かに、解放者にいたすぐお姉ちゃん風を吹かせる人と雰囲気が少し似てるね」

 「そ、そうですか……?」

 「うん。その人……メル姉も事あるごとにすぐにお姉さん風を吹かせて、世話を焼きたがるんだよね」

 「私でもお構いなしにお姉さんぶってたわね。私のほうが遥かに年上なのに」

 

 懐かしそうに思い出話を語る二人に雫も釣られるように口元を緩める。

 

 「だから………惰性でお姉ちゃんをやってる人はすぐに分かるよ」

 

 その言葉に雫の表情が凍り付く。それを覗き込みながらミレディは続ける。

 

 「お姉ちゃんなら、叱らないといけない。ダメな事はダメだって、どうしてダメなのかって、ちゃんと叱らないといけない。それをなぁなぁで済ませるなんて、惰性だと思うけど?」

 

 ミレディの問いかけに雫はあ、う、と呻き声を漏らしながら後ずさると、その背を光輝が支え、

 

 「ちょっと待ってください!雫が惰性?何を意味の分からない事を言っているんですか!?」

 「そ。そうだぜ!雫はそんな無責任な奴じゃなぇよ!」

 「そうですよ!シズシズは凄く責任感が強くて面倒見がいいんですよ!?私も何度も助けてもらって……」

 

 龍太郎と鈴が慌てて捲し立てるが、ミレディは小さく息を吐き、

 

 「悪いけど、私にはそうは見えなかった。この子は何と言うか………しぶしぶ姉をやっているようにしか見えなかったな」

 「バカを言わないでください!雫はいつだって俺たちを助けてくれていた強い女の子です!

 

 光輝がはっきりそう言うとミレディ目を細めて雫の顔を覗き込み、

 

 「まぁ、とにかく……君がどうするか、どうしたいのか、決めるのは君だ。自分を大切にして、後悔のない選択をしてね」

 「あ、う………」

 

 ミレディの言葉に雫は何か言おうとするが、口から洩れるのは引きつった声ばかりで、何も言う事ができない。その雫を守る様に光輝は前に立ち、ミレディに避難の眼差しを向ける。

 だが、ミレディは特に気にするそぶりは見せず、その場からモスラの元に軽く歩き出し、

 

 「それじゃあ、モスモス、行こっか。ハイリヒ王国に」

 「私が言うのもなんだけど、あれ、いいの?」

 「これ以上私が言っても何も変わらないよ。変われるのは、変わろうとする人だけだから……さ」

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