昨日、2回目を見に行きましたが、やはり素晴らしかった。今まで、自分はDVDはレンタルで済ませてきたが、今回は買おうかなぁ。
ハジメとユエが神羅と合流してから二人の迷宮攻略は劇的に楽になった。
何せありとあらゆる魔物の攻撃が神羅には通用しない。どれほど魔物が噛み付こうが爪を叩きつけようが焼こうが何をしようが神羅にはダメージは入らなかった。それでいて神羅の攻撃は一撃必殺。殴ったり蹴ったりするだけで魔物はもれなく肉塊になる。ここまでの道中、ハジメとユエの二人だけでも無双だったのに神羅はそれすら超える。何といえばいいのか分からないが、とにかく一方的過ぎた。
更に言えば技能もかなり規格外だ。巨神は言わずもがな、前世の力を使えるというもので、部分巨神化は字の通り神羅の一部が前世のゴジラの姿になるもの。見せてもらったところ、右手が黒い鱗と表皮でかたどられた四つ指の異形の腕に変わった。巨神化もそのままで完全に前世の姿に戻るとのことだが、流石にそれは無理なので見せてもらっていない。魔力炉心はどうやら神羅の心臓が魔力を無尽蔵に生み出す炉心として機能しているらしい。ユエが羨ましがっていた。まあ、そうだろう。つまり神羅は無尽蔵に魔力を生み出せると言う事なのだから。
だが、それよりも凶悪なのが魔壊だった。これは何と魔力その物を破壊する技能らしい。つまり、神羅は最上級魔法だろうとなんだろうと問答無用で無力化すると言う事だ。まさに魔法を使うもの……否、魔力を使うものにとって天敵である。
ほかにも優れた直感である超直感、様々な環境に時間をかけて適応する適応進化等々、もはやチートと言う言葉すら陳腐に思える能力に優れた戦闘能力。なるほど、勝てないわけである。
そして、道中の戦闘があまりにも一方的過ぎて途中から二人で神羅には後ろで控えてもらう事にした。楽ができる事にハジメもユエも異論はないが、いくらなんでもこれでは寄生すぎて情けなさすぎる。なので、神羅にはもしもの時のための備えとなってもらうことにする。
そんなこんなで3人で迷宮攻略に勤しんでいた。そして遂に、次の階層でハジメと神羅が最初にいた階層から百階層目になるところまで来ていた。その一歩手前の階層で、ハジメは装備の確認と補充にあたっていた。ユエは作業するハジメを飽きもせずに見つめており、神羅は外で警戒にあたっている。ここ最近の3人の準備中の光景だ。
そしてそう言ったとき、神羅が見張りで外にいるときはユエは必ずと言っていいほどハジメに密着している。横になる時も腕に抱きついて眠るし、(神羅はユエに気を使ってかハジメの反対側で横になる)、座っていれば背中から抱きつく。吸血させるときは正面から抱き合う形になるが、終わった後も中々離れようとせず、ハジメの胸元に顔をグリグリと擦りつけて、満足げな表情でくつろぐのだ。
では神羅との仲が悪いかと言われるとそうでもない。神羅が休憩しているときはよく彼と話をしている。内容はほとんどハジメの事なのだが、神羅の今生や前世の事も話題に上がる。肉体的接触はないが、それでも仲は良好といっていいだろう。ちなみにその時はハジメの理性の休憩タイムでもあるので本当に助かっている。
ハジメが入念に弾や装備を補充していると、
「ハジメ……いつもより慎重……」
「うん?ああ、次で百階層だからな。もしかしたら何かあるかもしれないと思ってな。兄貴がいるとはいえ、準備しておくに越したことはねえ」
確かに神羅は現時点で全くの無傷だ。だが、神羅は自分が無敵ではないと言う事を知っている。ここは自分がゴジラであった時の地球よりも格下の世界かもしれないが、もしかしたら、自分でも苦戦する何かがいてもおかしくはないとは神羅の弁だ。
ハジメとて、神羅がいるからと言って油断はしない。油断なんてものは神羅と合流するまでの迷宮攻略ですり切れた。だからこそ入念に準備する。
「よし、これでいい。兄貴、行こう」
「ん?そうか。次で地上に戻る手掛かりが見つかればいいが……」
神羅のつぶやきに二人で同意しながら階下に続く階段を進んでいく。
その階層は、無数の強大な柱に支えられた広大な空間だった。柱の一本一本が直径五メートルはあり、一つ一つに見事な彫刻が彫られている。柱の並びは規則正しく一定間隔で並んでいる。天井までは五十メートル以上はありそうだ。地面も荒れたところはなく綺麗なもので、どこか荘厳さを感じさせる空間だった。だが、その空間に入った瞬間、神羅は背筋がぴりつくような感覚を覚え、眉を顰める。
そんな神羅に気づかずにハジメ達が、しばしその光景に見惚れつつ足を踏み入れる。すると、全ての柱が淡く輝き始めた。ハッと我を取り戻し警戒する3人。柱はハジメ達を起点に奥の方へ順次輝いていく。
3人はしばらく警戒していたが特に何も起こらないので先へ進むことにした。ハジメが感知系の技能をフル活用しながら歩みを進める。四百メートルも進んだ頃、前方に巨大な扉を見つけた。全長十メートルはある巨大な両開きの扉が有り、これまた美しい彫刻が彫られている。特に、七角形の頂点に描かれた何らかの文様が印象的だ。
「……これはまた凄いな。もしかして……」
「……反逆者の住処?」
「ここが我らの目的地か……」
反逆者とは神代の時代に神に逆らい世界を滅ぼそうとした者たちの事。ユエはこの迷宮は反逆者の一人が作った物と聞いた事があるらしい。3人はその住処に地上に戻る手掛かりがあると考えている。
そんな中、神羅は明らかに険しい表情で門を睨みつける。
「兄貴、どうした?」
「………なんであろうな、この空間……妙にぴりつくと言うか……なんと言うべきか……」
神羅は難し気な表情で門を睨む。合流してから兄のこんな顔は見たことがない。兄が警戒するほどの敵がいると言う事なのだろうか……
だが、ハジメは小さく笑みを浮かべる。
「上等だよ。何が来ようと薙ぎ払ってやる……!」
「……ん!」
その言葉にユエも同じように頷く。その様子に神羅は小さく息を吐くと、
「……くれぐれも油断するなよ」
その言葉と共に3人は歩き出す。
その瞬間、扉と神羅達の間に巨大な魔法陣が現れた。赤黒い光を放ち、脈打つようにドクンドクンと音を響かせる。
ハジメと神羅は、その魔法陣に見覚えがあった。あの日、二人が奈落へと落ちた日に見た自分達を窮地に追い込んだトラップと同じものだ。だが、ベヒモスの魔法陣が直径十メートル位だったのに対して、眼前の魔法陣は三倍の大きさがある上に構築された式もより複雑で精密なものとなっている。
「おいおい、なんだこの大きさは? マジでラスボスかよ」
「……大丈夫……私達、負けない……」
「………なんだ?この違和感……」
ハジメが顔を引きつらせるも、ユエは決然とした表情でハジメの裾を握る。対し、神羅は険しい表情を浮かべながら魔法陣を睨む。妙だ。ここに来てから感じる無視できない感覚。だが、その出所が分からない。少なくとも、目の前のこいつではない。
魔法陣はより一層輝くと遂に弾けるように光を放った。咄嗟に腕をかざし目を潰されないようにするハジメとユエ。光が収まった時、そこに現れたのは体長三十メートル、4足歩行に六つの頭と長い首、鋭い牙と赤黒い眼の化け物。例えるなら、神話の怪物ヒュドラだった。
「「「「「「クルゥァァアアン!!」」」」」」
不思議な音色の絶叫をあげながら六対の眼光がハジメ達を射貫く。その瞬間、常人ならそれだけで心臓を止めてしまうかもしれない壮絶な殺気がハジメ達に叩きつけられるが、三人は決して臆さない。
赤い紋様が刻まれた頭部が口を開くと、火炎放射を放つ。それはもはや炎の壁と言うにふさわしい質量だ。だが、ハジメとユエが飛びのいて回避したのに対し、神羅はそのまま真っ向から炎の壁に突っ込み、そのまま飲み込まれる。
だが、ハジメもユエも気にしない。神羅なら大丈夫だからと信じているから。ハジメは即座にドンナーを抜いてレールガンを放つ。それは赤頭を吹き飛ばし、まず一つとハジメがガッツポーズをとっていると、白頭が咆哮を上げる。すると、吹き飛んだ赤頭が見る見るうちに再生し、復活する。それと同時に神羅が炎の壁を突き破って飛び出す。
「兄貴!白が回復役だ!」
ハジメの言葉に神羅はすぐに頷いて白頭に向かって跳ぶ。そうはさせないと緑頭が神羅に攻撃しようとするが、ユエが氷弾で吹き飛ばす。
白頭がすぐに再生させようとするが、その前に神羅が飛び出し、拳を振りかぶる。その間に黄頭が割り込み、頭を一瞬で肥大化させ、淡く黄色に輝く。
だが、神羅はお構いなしに拳を叩きつける。もしかしたら、黄頭は盾役だったのかもしれないが、それはもう誰にも分からない。神羅の拳は容赦なく黄頭を吹き飛ばし、そのまま後ろの白頭に襲い掛かり、回し蹴りで引きちぎってしまったのだから。
その事実に残った頭は茫然としたが、その隙にハジメは焼夷手榴弾を取り出し、放り投げ、神羅はヒュドラの背中を踏み砕き、地面に叩きつけながら離脱する。
「嵐帝」
神羅が離脱した直後、焼夷手榴弾が爆発し、摂氏3000度の炎がヒュドラを襲い、更にそこに巨大な竜巻を発生させる風魔法を放つ。瞬間、その場に現れたのは巨大な炎の竜巻。呑み込んだすべてを焼き尽くす様な業火の嵐にさらされ、残った頭部が絶叫を上げ、胴体ごと消し炭になっていく。
その光景を神羅は油断なく見ていたが、ふいにん?と首を傾げながら柱を見やる。その柱は変わらずに光っているのだが、なぜかその色が金色になっているのだ。よく見れば奥の方の柱が漏れなく金色になっており、更に現在進行形でこちらに向かって柱が金色に光っていく。それもなかなかの速さだ。このままだと一分もしないうちに門の前の柱も金色に光輝くだろう。
何だあれはと神羅が睨んでいると、炎の竜巻が消失する。そこに残っていたのは全身のほとんどが焼け爛れたヒュドラだった。頭部は全て焼き尽くされてどれがどの頭か判別がつかなくなっている。
「………やったか……?」
「……ん、恐らく………」
ハジメとユエが恐る恐ると言うように呟く。神羅もまた油断なく睨みつけていたが、ヒュドラはピクリとも動かない。やったのだ。そう判断すると同時にユエは満足げに息を吐き、ハジメもユエにサムズアップをしてユエの元に歩き出した瞬間、
「ハジメ!」
ユエが叫び、ハジメが思わずと言うようにユエの視線を追うと、音もなく七つ目の頭が胴体部分からせり上がり、そのまま口を開き、二人を飲み込むように極光を放ち……
「させんよ」
その前に神羅が割り込むと極光に拳を叩きつける。それだけで極光は明後日の方向に吹き飛ばされ、壁を粉砕する。
その光景にヒュドラが驚いたように叫んだ瞬間、神羅が眼前に飛び出し、銀頭にかかと落としを叩きこむ。
轟音と共に銀頭は爆散。ヒュドラの巨体がぐらりと今度こそ傾ぎ、地響きと共に崩れ落ちる。
神羅が着地すると同時にハジメとユエはようやく状況を把握し、慌てて神羅に走り寄る。
「兄貴!大丈夫だったか!?」
「うむ、大丈夫だ」
「……ごめんなさい。油断したばっかりに……」
ユエがしょぼんとした様子で謝り、ハジメもバツが悪そうに頭を掻いている。
「気にするな。だが、今度は気をつけろ。確実に息の根を止めるまで油断するな」
神羅の言葉に二人は小さく頷き、周囲を見渡す。
「とりあえず、今度こそ倒したけど……何も起きないな?」
「……ん。扉が開く気配もない」
ハジメとユエが首を傾げていると、
「そう言えば、柱の光の方はどうだ?何やら色が変わっていたのだが……」
神羅の言葉に二人がえ?と首を傾げて柱を見やった瞬間、全ての柱が一斉に金色に光輝く。
その光景に三人が一斉に警戒すると、
『規定時間内の試練の突破を確認…………獣級試練、開始………』
そんな機械的なアナウンスと同時に空間の中央付近に再び魔法陣が出現する。
3人はすぐに振り返って構えるが、ハジメとユエはあんぐりと口を開ける。
なぜなら魔法陣の大きさは先ほどのヒュドラよりもでかく、五〇メートルはある。しかもそこに書かれている構築式はもはや何と書いてあるか分からないほどに複雑で精緻であり、ユエですら意味が分からない。
「な、なんだこれ……さっきのはラスボスじゃないってか……!?」
「こいつは…………」
ハジメとユエが驚愕している中、神羅は息を呑んだ様子で目を見開いていた。なぜなら魔法陣からある気配を感じ取ったから。それは隣に居るのが当たり前だったのに、今は居ない気配。そして、ずっと、地球で自分が探し続けてきた気配。
「………!」
そして魔法陣が光り輝いた瞬間、ずん、と鈍い音と共に光の中から現れたのは巨大な前足。そして光が収まったそこにいたのは巨大に過ぎるヒュドラだった。基本的な姿は先ほどのヒュドラと変わらないが、大きさはさらに巨大になっており、五〇メートル以上はある。黒い鱗で覆われた体だが、所々から青い光が漏れ出ており、頭部は七つ全てが露出している。
そして周囲に全てを粉砕するかのごとき圧が放たれる。それを受けた瞬間、ハジメとユエは理解した。してしまった。自分たちがいかに身の程知らずだったかを。
今まで自分たちは何が来ようと負けない。薙ぎ払って進む。自分たちならどんな困難も乗り越えられると思っていた。だが、目の前のこれを見た瞬間、理解した。自分たちはこの奈落と言う水たまりの中で調子に乗っていただけ。その水たまりの外で生きている本当の化け物を、捕食者を知らなかっただけの虫けらだと。
これまで経験してきた絶望すら超える圧に二人は完全に呑まれていた。
そんな二人に対し、神羅は静かに目を細め、呟く。
「そうか………道理で見つからぬはずだ……お前は、ずっとここにいたのだな………」
「「「「「「「ルゥオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」」」」」」」
空間全体を揺るがすような凄まじい咆哮を上げ、ヒュドラ……否、ギガヒュドラは三人を睨みつける。
トータスの大陸のどこかの洞窟。頭上から光が差し込むその広間の中央にそれは有った。
青い巨大な球形のそれは卵のようだ。表面には無数の枝のようなものが纏わりついている。
その卵の下の魔法陣がほのかに光った瞬間、卵もほのかに青く光る……
他の修正が終わった話も順次投稿していきます。今日中には済ませたいですね……
それで、最近厄介な衝動が……コングを映画のコングにしようかなっって考えが……
だって、あのゴジラとコングを見ていたらさぁ……滾るんですよ。間違いなく今考えている物よりも色々と書けるし、他のキャラも動かしやすくなったし……まさかあそこまで考えさせられる関係だったとは……どうすっぺ。
追記 改訂したものは消してあり、予約投稿されます。5時には投稿は終わりますので。