ところで、この作品、もうちょいでお気に入りが1000超えそうなんですが……何気に自分の作品の中で最速だと思う。と言っても、行ったのは以前連載していたデートだけなんですが……でも、2000超えてたあれもこんなに早くなかったしなぁ……
ではどうぞ!
ウサミミ四十二人をぞろぞろ引き連れて峡谷を行く。
当然、数多の魔物が絶好の獲物だと襲おうとするのだが、神羅が放つ圧に怯えてしまい、それが叶うはずがない。様子をうかがうようにこちらを覗き込んでくるのだが、神羅が睨めばすぐさま引っ込んでしまう。
そんな感じで平和に大峡谷を歩いていくと、視線の先に立派な階段が見えてくる。壁を切り出して作った階段のようで、その先の岸壁から樹海が見える。かなり高い木も生えているようで、よく見える。
「帝国兵はまだいるでしょか?」
「ん?どうだろうな。もう全滅したと諦めて帰ってる可能性も高いが……」
「そ、その、もし、まだ帝国兵がいたら……ハジメさん達は……どうするのですか?」
「?どうするって何が?」
ハジメと神羅が首を傾げながら問いかけると、意を決したように尋ねる。
「今まで倒した魔物と違って、相手は帝国兵……人間族です。ハジメさん達と同じ。……敵対できますか?」
「残念ウサギ、お前、未来が見えていたんじゃないのか?」
「はい、見ました。帝国兵と相対するお二人を……」
「ふむ。では……何が疑問なのだ?」
「疑問というより確認です。帝国兵から私達を守るということは、人間族と敵対することと言っても過言じゃありません。同族と敵対しても本当にいいのかと……」
その言葉に神羅は軽く肩をすくめ、ハジメはあっさりと口にする。
「それがどうかしたのか?」
「えっ?」
「だから、人間族と敵対することが何か問題なのかって言ってるんだ」
「そ、それは、だって同族じゃないですか……」
「そう言うお前らも同族に追い出されているであろう?それに、同族同士であろうと、戦争関係なしに殺し合いをしているしなぁ。気にするだけ無意味だろうよ」
「それは、まぁ、そうかもしれませんが……」
「大体、根本が間違っている」
「根本?」
さらに首を捻るシア。周りの兎人族も疑問顔だ。
「いいか? 俺は、お前等が樹海探索に便利だから雇った。んで、それまで死なれちゃ困るから守っているだけ。まあ、ついてないな、とは思っているが、それだけだ。それをどうにかして、故郷に帰してやろうとか、まして、今後ずっと守ってやるなんてのは不可能だ。俺たちには俺たちの目的があるからな。分かるだろう?」
「うっ、はい……それは……」
「だが、樹海案内の仕事が終わるまでは守る。それが交わした契約だからだ。それを邪魔するヤツは魔物だろうが人間族だろうが関係ない。ぶっ潰す。それだけのことだ」
「そもそも、我は家族や友以外の人間に対する同族意識は薄い。赤の他人を殺そうが死のうが気にはしない」
「な、なるほど……」
そう言いながら一行は階段にたどり着き、登っていく。そして階段を登りきり、ライセン大峡谷を抜けた先にいたのは、
「おいおい、マジかよ。生き残ってやがったのか。隊長の命令だから仕方なく残ってただけなんだがなぁ~こりゃあ、いい土産ができそうだ」
三十人の帝国兵がたむろしていた。周りには大型の馬車数台と、野営跡が残っている。全員がカーキ色の軍服らしき衣服を纏っており、剣や槍、盾を携えており、ハジメ達を見るなり驚いた表情を見せた。
だが、それも一瞬のこと。直ぐに喜色を浮かべ、品定めでもするように兎人族を見渡した。
「小隊長! 白髪の兎人もいますよ! 隊長が欲しがってましたよね?」
「おお、ますますツイテルな。年寄りは別にいいが、あれは絶対殺すなよ?」
「小隊長ぉ~、女も結構いますし、ちょっとくらい味見してもいいっすよねぇ? こちとら、何もないとこで三日も待たされたんだ。役得の一つや二つ大目に見てくださいよぉ~」
「ったく。全部はやめとけ。二、三人なら好きにしろ」
「ひゃっほ~、流石、小隊長! 話がわかる!」
帝国兵は、兎人族達を完全に獲物としてしか見ていないのか戦闘態勢をとる事もなく、下卑た笑みを浮かべ舐めるような視線を兎人族の女性達に向けている。兎人族は、その視線にただ怯えて震えるばかりだ。
帝国兵達が好き勝手に騒いでいると、兎人族にニヤついた笑みを浮かべていた小隊長と呼ばれた男が、ようやくハジメと神羅の存在に気がついた。
「あぁ? お前等誰だ? 兎人族……じゃあねぇよな?」
「ああ、俺たちは人間だ」
「はぁ~? なんで人間が兎人族と一緒にいるんだ? しかも峡谷から。あぁ、もしかして奴隷商か? 情報掴んで追っかけたとか? そいつぁまた商売魂がたくましいねぇ。まぁ、いいや。そいつら皆、国で引き取るから置いていけ」
まるで自分に従うのが当たり前、と言うような言い草にハジメたちは軽く呆れながら口を開く。
「断る」
「……今、何て言った?」
「断ると言ったんだ」
「彼らの身は我らが保証している。悪いが彼らの事は諦めて国に帰ってもらいたい」
二人の言葉に小隊長の表情が消え、周りの兵士たちが剣呑な雰囲気を放つ。が、ハジメの後ろからユエが顔を出すと、その美しさに一瞬呆けるが、次の瞬間には下碑た笑みを浮かべる。
「あぁ~なるほど、よぉ~くわかった。てめぇらが唯の世間知らず糞ガキだってことがな。ちょいと世の中の厳しさってヤツを教えてやる。くっくっく、そっちの嬢ちゃんえらい別嬪じゃねぇか。てめぇらの四肢を切り落とした後、目の前で犯して、奴隷商に売っぱらってやるよ」
その言葉にハジメは眉をピクリと動かし、ユエは無表情でありながら誰でも分かるほど嫌悪感を丸出しにし、神羅は小さく唸り声を上げる。
「………なるほど。帝国兵云々関係なしにクズか………」
「だな……」
「あぁ!? まだ状況が理解できてねぇのか! てめぇらは、震えながら許しをこッ!?」
ドパンッ!と言うと共に小隊長の頭が吹き飛ぶ。その体はそのまま後ろに倒れ込む。
何が起きたのかも分からず、呆然と倒れた小隊長を見る兵士達に神羅が追い打ちを掛ける。
前に出て勢いよく拳を横薙ぎに振るう。それだけですさまじい衝撃波が放たれ、兵士を10人まとめて潰す。
突然隊長と仲間がやられたにもかかわらず他の兵士たちはすぐさま武器を二人に向ける。人格はくそだが、そこは帝国兵士。大した練度だ。ただし、対峙しているのは王と化け物。
前衛が飛び出し、後衛が詠唱を始めるが、その後衛にハジメの早撃ちが襲い掛かり、前衛は神羅に切りかかるが、剣を叩きつけた瞬間、その剣のほうがバキンと音を立てて圧し折れる。
それを兵士は何とも間抜けな顔で見ていたが、次の瞬間、神羅の回し蹴りが直撃する。それだけで兵士の身体は爆散し、そのまま降りぬかれた足は隣の兵士同じように爆散させる、そのままついでに3人ほど爆散させる。だがその肉片や血は風圧で吹き飛ばされ、神羅にはかかりもしない。
「やっぱり、人間相手だったら纏雷はいらないな。通常弾と炸薬だけで十分だ」
「銃ならば当然だと思うがな」
ハジメがドンナーで肩を叩き、神羅が首を回していると、ひぃ!と言う声が聞こえる。顔を向ければそこには生き残りの兵士がしりもちをついていた。
二人が歩み寄っていくと、兵士はを恐怖で歪ませ、股間を湿らせてしまう。
「た、頼む! 殺さないでくれ! な、何でもするから! 頼む!」
「……他の兎人族がどうなったか教えてもらおうか。結構な数が居たはずなんだが……全部、帝国に移送済みか?」
もしも近くにいるならば助けに行くこともできる。流石に帝国移送済みではそうもいかないが。
「……は、話せば殺さないか?」
「質問に質問で返すな。とっとと答えろ」
「ひ、ひぃ!……多分、全部移送済みだと思う。人数は絞ったから……」
人数を絞った。それは、つまり老人など売れそうにない兎人族は殺したということだろう。兵士の言葉に、悲痛な表情を浮かべるハウリア族。それにちらりと視線を向けた後、ハジメは兵士に殺意を向ける。
「待て! 待ってくれ! 他にも何でも話すから! 帝国のでも何でも! だから!」
「そう言った奴に、お前は慈悲を与えたか?」
それだけ言うと、ハジメはドンナーを発砲、兵士を射殺する。
ハジメは静かにドンナーをホルスターに納める中、神羅はふん、と軽く鼻を鳴らす。
「あ、あのさっきの人は見逃してあげても良かったのでは……」
後ろから聞こえてきたシアの声に神羅が首を傾げながら振り返ると、ハウリア族たちが恐怖を滲ませながらこちらを見ていた。
「何を言っている。仮に奴を逃がしたとすると、お前たちが一番不利益を被るぞ。お前たちが樹海から逃げ出したと言う情報が帝国に漏れれば、必然ルートも絞り込まれ、逃亡先に追っ手を差し向けられてもおかしくないぞ」
その言葉にハウリア族は一斉にう、とうめき声を上げ、その状況が容易く想像できたのか顔を俯かせる。
「……そもそも、守られているだけのあなた達がそんな目をハジメ達に向けるのはお門違い」
そこにユエが追撃と言わんばかりに怒りを宿しながら彼らを睨みつける。
「お二方、申し訳ない。別に、貴方に含むところがあるわけではないのだ。ただ、こういう争いに我らは慣れておらんのでな……少々、驚いただけなのだ」
「すいません、ハジメさん、神羅さん」
「いや、我は別に気にしてないが……って、ハジメ?さっきからどうした?黙って」
神羅がハジメに目を向けると、彼は自分の手をじっと見つめていた。
「あ、いや……初めての人殺し……特に何も感じなかったなぁっと思ってな。我ながら、随分と変わっちまったと思って……」
今回、ハジメはいくつか確認したいことがあった。一つは自分の装備の破壊力。人に対し、レールガンなどオーバーキルもいいところだ。それこそ、後方にまで甚大な破壊をもたらすだろう。そんなもの市街地などで放ったら建物を破壊してしまうし、最悪無関係な人間まで殺めてしまう。それはもはや狂人だ。そんなものになるつもりは一切ない。なので銃の威力が適切か実地で計る必要があったのである。
そしてもう一つは自分が殺人に躊躇いを覚えないかどうかだ。すっかり変わってしまったハジメだが、人殺しの経験はない。神羅に銃をぶっ放したが、それは魔物だと思っていたから。本当に人を人と認識して殺しをためらうかどうか、今後のためにも知る必要があった。結果は殺す前も殺した後も何も感じなかっただ。
感傷にひたるハジメを神羅はじっと見つめていたが、
「……本当か?」
「え?」
「本当に何も感じなかったのか?奴らに殺意を覚えたきっかけも?」
「あ、ああ……本当に………あ、いや。最初の男がユエを犯して奴隷商に売るって言ったとき、ふざけんな、とは思ったけど………」
「ならばそれでいい」
その言葉にハジメはえ?と首を傾げて神羅の顔を見る。その目はこちらの内心を見透かしているようだ。
「何も感じていなかったわけではないであろう。そうしてちゃんと、怒りを感じていた。それはお前が本当にユエを大切に思っている証拠だ。我もモスラを殺された時は奴を怒りのままに嬲り殺しにしたものだ」
「そ、そうなのか……」
「お前にとっては、兵士共の命より、ハウリア族とユエの命のほうが重かったからお前はハウリアを守るため、ユエを守るために奴らを殺した。そうするだけの理由があったと言う事だ。これは我の持論だが、外道とは無関係な人間を殺す者、そして何の理由も、意味もなく命を奪い、命を奪う事に愉悦を感じるものだ。そんなもの、獣にも劣る畜生よ………だからハジメ。命を奪うな、殺しをするなとは言わん。だが、畜生にだけはなるな。決して超えてはならない一線だけは絶対に超えるな。己を血に汚してでも守りたいものがあることを、決して忘れるな………いいな?」
「…………おう」
ハジメが神妙な表情で小さく頷くと、神羅はよし、と言うように頭をくしゃくしゃと撫でる。ハジメは照れたように顔を赤くするが、振り払おうとはせず、ただ撫でられるがままだ。
その光景をちょっと後ろでユエ達はじ~~、と見ていたが、不意にシアがユエに近づき、
「あの……ユエさん。もしかしてですが、ハジメさんって……ブラコンでしょうか?」
「………………多分そうかも」
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