ありふれた職業で世界最強 魔王の兄は怪獣王   作:夜叉竜

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 ちょい短いですが、キリがいいので投稿します。

 ではどうぞ!


第30話 ゴーレム戦

 ゴーレム騎士たちは見た目にそぐわない機敏な動作でハジメたちに襲い掛かるが、先頭のゴーレム騎士をハジメのドンナーとシュラークが撃ち抜く。

 半減しているとはいえ、並みの破壊力ではない射撃は先頭のゴーレムを弾き飛ばす。だが、後続のゴーレムたちはそのゴーレムをよけながらハジメたちに襲い掛かる。

 だが、それを迎え撃つようにシアが最前列に立つとドリュッケンを腰だめに構え、

 

 「おりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 雄たけびと共に横薙ぎに振るう。その一撃はゴーレム騎士を何体もまとめてひしゃげさせながら吹き飛ばす。さらにそこからショットシェルを激発させてその勢いを使ってもう一回転して更にもう一撃を叩きこみ、更にゴーレム騎士を吹き飛ばす。

 そこでシアは一度勢いを殺して攻撃の手を緩めるが、そこを待ってたようにゴーレム騎士が殺到してくる。

 だが、シアは最前列のゴーレム騎士の攻撃を回避するとその腹部をぶん殴る。

 およそ鎧を殴ったとは思えない轟音と共にゴーレム騎士の胴体がひしゃげ、後方に吹き飛び、後続のゴーレム騎士を巻き込んでいく。シアは即座に跳躍すると、上空からドリュッケンを振り下ろし、防御しようとしたゴーレム騎士をそのまま粉砕する。更にそのまま射撃を敢行、反動でドリュッケンを跳ね上げるとそのまま一回転して再びドリュッケンを横薙ぎに繰り出し、ゴーレムをまとめて吹き飛ばす。

 その戦果にシアは小さく笑みを浮かべる。戦えている。ちゃんとハジメやユエ、神羅と共にいけるのだと言う実感が生まれ、思わず気が緩んでしまう。

 その隙をゴーレム騎士は見逃さない。何と一体のゴーレム騎士の体がまるで砲弾のように勢いよく射出、シアに襲い掛かったのだ。

 

 「はいっ!?」

 

 その光景に度肝を抜かれたシアは慌てて体を投げ出して回避する。そこに別のゴーレム騎士が襲い掛かるが、横合いから飛んできた水流がゴーレム騎士を切り裂き、倒す。

 

 「……油断大敵」

 「す、すいません!」

 「……まあ、あれは私も予想外……っと!」

 

 そのユエ目掛けて投げつけられた剣が豪速で接近する。ユエはそれを回避すると手にした水筒内の水を用いた破断でゴーレム騎士を切り裂く。

 さらに別の場所からもゴーレム騎士が突っ込んでくるが、今度はそれをシアがドリュッケンで逆に撃ち返す。

 シアすぐさま別のゴーレムの頭上に回り込み、ドリュッケンを振り下ろすが、その前にひときわ巨大なゴーレムが回り込む。だが、シアはそんなの関係ないと言わんばかりにまとめて叩き潰そうとする。

 だが、ドリュッケンがゴーレム騎士に直撃した瞬間、凄まじい轟音と衝撃波がほとばしるが、ゴーレム騎士はその一撃を受け止めきる。

 

 「うそっ!?」

 

 シアは驚愕に目見開いてゴーレム騎士を見つめる。そのゴーレム騎士は巨体なだけではなかった。兜が鬼のような様相なのだが、それよりも目を引くのは背中の20本の腕だ。多腕はその腕をいくつかひしゃげさせながらも受け止めきっていたのだ。

 シアが驚いている間にその多腕はシアを思いっきり壁に向かって放り投げる。

 ユエがすかさず破断で多腕に攻撃を仕掛けるが、多腕はその多数の腕を使って防ぐとユエとの距離を詰め、多腕を振り回す。それだけで反則と言っていいほどの攻撃範囲を誇る。ユエは即座に回避するが、すぐさま別の腕がユエに振り下ろされる。

 

 「くっ!」

 

 ユエはとっさに宝物庫から黒盾を取り出すとその陰に隠れる。次の瞬間、腕が黒盾に直撃し、ユエごと吹き飛ばす。

 多腕は即座にユエに襲い掛かろうとするが、その後ろからゴーレム騎士の残骸が直撃し、バランスを崩す。

 

 「どっせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇい!!」

 

 その背後からシアがドリュッケンを構えながら襲い掛かる。

 多腕は振り返ろうとするが、その足をハジメのレールガンが撃ち抜き、その場に崩れ落ちてしまう。その隙にシアは渾身の力を籠め、激発の反動も利用した一撃を叩きつける。今度は耐えることなどできず、轟音と共に多腕の体は叩き潰されてしまう。

 

 「ハジメさん、ありがとうございます!」

 

 シアはハジメに礼を言いながらも即座にユエの援護に向かう。

 

 「二人とも気をつけろ。このゴーレムども、核を持ってない。代わりに感応石で操っているみたいだ」

 「……つまり、この部屋もまだ通過点」

 「分かりました!」

 

 二人の返事を聞きながらハジメは自分を包囲しているゴーレム騎士の一団を睨みつける。

 一体のゴーレム騎士が大剣を振り下ろしてくるが、それをドンナーで受け流してシュラークで頭を吹き飛ばす。更にそのまま背後のゴーレム騎士を撃ち抜き、両サイドからの攻撃を回避すると即座に同時に撃ち抜く。

 すると、別のゴーレム騎士がその体を弾丸として勢いよく突っ込んでくるが、ハジメは即座にドンナーの銃撃でその体を吹き飛ばすが、

 

 「なに!?」

 

 その身体は失速などせず、そのまま勢いを保ちながらハジメ目掛けて襲い掛かる。ハジメは即座に回避するが、そこに別のゴーレム騎士が剣を投げつけてくる。ハジメはその剣を蹴りで迎撃するが、その真後ろに続くようにゴーレム騎士本体が弾丸となって襲い掛かる。

 ハジメは足一本で宙に飛び上がって回避するが、その着地際を狙ってゴーレム騎士が襲い掛かってくるが、ハジメは空中でドンナーとシュラークを発砲、頭部を撃ち抜く。

 その瞬間、崩れ落ちるはずのゴーレム騎士の体がバラバラになりながらハジメ目掛けて凄まじい勢いで跳び上がってくる。

 

 「っ!」

 

 ハジメはとっさに明後日の方向にドンナーとシュラークを最大の纏雷を纏わせて連射。レールガンの反動で強引に体制を変えて襲撃を回避する。

 そのまま地面にぶつかるがそのまま転がって態勢を整えると即座にリロードして構える。

 

 「ふう……なかなかやるじゃないか……」

 

 流石は大迷宮と言ったところか。全く油断ができない。だが、いくら核を持たないと言えど所詮はゴーレム。あのキングヒュドラに比べれば敵ではない。あの時の地獄に比べればこの程度、何の問題もない。

 だが、流石に面倒になってきた。まだまだいるゴーレム騎士を見てハジメは息を吐くと、宝物庫からオルカンを取り出して構える。

 

 「二人とも耳を塞げ!」

 「……ん!」

 「え!?なんですか!?」

 

 その瞬間、オルカンが火を噴き、6発のミサイルがゴーレム騎士の一軍に直撃し、凄まじい轟音と共にと爆炎と衝撃波がゴーレム騎士を飲み込み、吹き飛ばしていく。

 

 「……すごい火力」

 「うさ耳が~~~!私のうさ耳が~~~!」

 

 ユエがその破壊力に目を見開く中、シアはその優れた聴覚が仇になり、涙目で絶叫を上げている。

 だが、その戦果は上々だ。ゴーレム騎士はその数を大きく減らし、残りは十数体ぐらいしか残っていない。

 このまま一気に、とハジメが構えた瞬間、

 

 「ふうむ……流石にここらで動かないと攻略者として認識されないかもしれんな……」

 

 そう言いながら今までずっと通路で待機していた神羅が腕を解きながら歩いてくる。

 

 「兄貴?」

 「すまんが皆。残りは我に任せてもらう。流石にこのまま見てるだけと言う訳にはいかないであろうよ」

 「まあ……それはそうかもしれませんが……」

 

 シアが戸惑った声を上げる中、ゴーレム騎士は神羅に気がついたのか、一斉に視線を向けると、そのまま大挙して襲い掛かる。

 

 「……失せろ」

 

 そう呟くと神羅は右腕を真っ直ぐにひく。それを見たハジメたちは慌てて神羅の前から退避する。そしてゴーレム騎士の戦闘が剣を振り下ろした瞬間、神羅は拳を繰り出す。

 それだけ。たったそれだけ動作で、まず先頭のゴーレム騎士が爆散する。更にその余波は後方のゴーレム騎士の一団に襲い掛かると、残らずその存在を粉砕せしめる。更にそれだけで終わりではなく、衝撃はそのまま床を吹き飛ばしながら奥の扉に襲い掛かると、まるで紙屑のように扉を粉々にする。

 ふう、と神羅が拳を引きながら残心を取っている中、ハジメ達は引きつった笑みを浮かべていた。なにせたった拳一発でゴーレム騎士十数体を粉砕し、更に拳の延長線上の床を砕き、奥の扉も丸ごとぶち抜いたのだ。やはりと言うべきか、神羅だけで事が済んでしまった。後方に控えてもらっていて正解だった。

 

 「……もう本当、神羅さんだけでいいんじゃないでしょうか……」

 「……でも、そんなことしたら多分攻略者に認定されない。それこそ挑み損」

 「それだけは絶対に勘弁だな……特にこの迷宮は……」

 

 ハジメの言葉にユエとシアは同意するように頷いている。

 

 「よし、道は空いた。先に行くぞ」

 

 神羅の言葉に3人は頷くと、そのまま破壊された通路を進んでいく。

 その先にあったのは四角い部屋だった。特に何かあるわけでもなく、本当にがらんどうった感じだ。

 

 「これは……あれか?それっぽそうに見せておいて本当は何もありませんでしたってか?」

 「……あり得る……」

 「となると、最初の部屋まで戻らなければならないが……」

 

 すると次の瞬間、部屋自体がガタンと揺れ、横向きのGが襲い掛かる。突然の事態にハジメたちは目を見開く。

 

 「こいつは……部屋自体が移動しているのか!?」

 「恐らくな。不用意に動かんほうがいいだろう」

 「……ん」

 「は、はい!?」

 

 ユエは即座にハジメにしがみつき、ハジメもスパイクで体を固定。シアはゴロゴロと転がっていたので仕方なく神羅がつかんで回転を止める。

 部屋はそのまま何度か方向を変えながら移動していくが、しばらくすると急停止する。

 

 「止まったな……ここが終着か?」

 「そうだといいんだが……はてさて、何が出てくるのやら……」

 「……大丈夫。何が来ても私がハジメを守る。神羅とシアも」

 「神羅さん……」

 「そういうものなのだろう。へこたれていては話にならんぞ」

 

 そう言いながら神羅は扉に向かい、3人もそれに続く。

 扉をくぐった先には……

 

 「……何か見覚えないか?この部屋。」

 「……物凄くある。特にあの石板」

 

 扉の先の部屋は中央に石板が設えられていた。それを見た瞬間、4人の胸中に嫌な予感が駆け巡る。

 

 「最初の部屋に見えるのですが………」

 「そうだな……」

 

 4人がそろそろと石板の元に向かうと文字が浮かび上がる。

 

 〝ねぇ、今、どんな気持ち?〟

 〝苦労して進んだのに、行き着いた先がスタート地点と知った時って、どんな気持ち?〟

 〝ねぇ、ねぇ、どんな気持ち?どんな気持ちなの?ねぇ、ねぇ〟

 

 その文字にハジメたちは無表情になり、あろう事か神羅でさえ頬がひきつる。

 

 〝あっ、言い忘れてたけど、この迷宮は一定時間ごとに変化します〟

 〝いつでも、新鮮な気持ちで迷宮を楽しんでもらおうというミレディちゃんの心遣いです〟

 〝嬉しい?嬉しいよね?お礼なんていいよぉ!好きでやってるだけだからぁ!〟

 〝ちなみに、常に変化するのでマッピングは無駄です〟

 〝ひょっとして作ちゃった?苦労しちゃった?残念!プギャァー〟

 

 次の瞬間、ハジメ達は何かを堪えるような壊れた笑い声を発し、次の瞬間には迷宮全体を揺らすような絶叫を上げる。

 

 「…………あれだ。戻る手間が省けたと。そう考えれば得だ、うん……」

 

 一方神羅は自分に言い聞かせるようにそう呟いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その様子を彼女はしっかりと見ていた。

 

 「いや~~、本当に全部に悉く引っかかってくれるね~~~リアクションも最高だし、久しぶりだよ、こんなに楽しいのは!」

 

 そう言いながら彼女は楽しそうに体を揺らす。だが、次の瞬間、真面目そうな雰囲気で神羅を見つめる。

 

 「しかし彼は本当に規格外だね。まあ、あいつらの頂点だから当然かもしれないけどさ……本当ならこのまま直通でもよかったんだけど、そう言うわけにもいかないからね。一緒にいる仲間の力を見ておきたいし……私もなまってる身体をほぐさないといけないし……」

 

 そう呟いた瞬間、部屋の中にくぅ~~~という気の抜けた音が響く。

 

 「おっと、これはいけない。すぐに準備しないとね……あ~~~あ、お腹空いた」

 

 そう言うと彼女はお腹をさすりながら部屋から移動を始める。




 道中で出てきた多腕のゴーレムは零3巻ででてきた黒騎士・百手戦鬼のゲート無しバージョンです。
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