ありふれた職業で世界最強 魔王の兄は怪獣王   作:夜叉竜

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 さて、今回は書きたい場面でした。ではどうぞ!


第31話 神代の解放者

 神羅達がライセン大迷宮に挑んでから一週間。迷宮内の一室で、神羅達は休憩をしていた。

 見張りとして起きているのは神羅で、その後ろでは壁にもたれる形でハジメとユエとシアが眠っている。

 この一週間でずいぶんと罠に絞られ、ミレディのウザい文字の数々に苛立ち、幾度もスタート地点に戻されてきた。その結果ハジメたちも神羅のように文字に対してあんまり過剰な反応を示さなくなった。もっとも、それは神羅のように受け流しているのではなく、もうどうでもいいや~!と投げやりになったようなものだが。

 前を見ていた神羅がちらりと後ろに目をやれば、ハジメを挟み込むようにユエとシアが腕を取って肩を枕に眠っている。

 一応危険な大迷宮にも拘わらず、随分と気を緩めていると、神羅は小さく苦笑を浮かべる。どうやってここまで気を緩められるのか……と呆れてしまう。

 もっとも、その理由は大体想像がつく。ハジメはまあ、自分を信頼してくれているのだろうが、ユエとシアはハジメと一緒というのが大きいだろう。やはり、愛する者と一緒というのはそれだけで安心するものだ。

 家族として、弟がそれほど想いを寄せられているというのは嬉しい物だ。だが、だからこそ……羨ましいとも思う。

 地球に生まれた時、彼女の気配がしなかった時、彼女はいないのかと思った。もちろん、その場合は彼女を諦めず、探し回っただろう。だが、もしもそうだった場合、自分は誰かと結ばれることはなく、彼女を探し回り続けながら息絶えただろう。元々怪獣である自分にはどうにも人間をそういう(・・・・・)対象としてみることは難しかった。

 そして今、この世界に彼女がいる。ずっと探していた彼女が。

 本音を言えば、今すぐにでも彼女を探しに行きたい。だが、奴がおり、そして強化されている可能性があるのならば、こちらもそれ相応の準備をしなければならない。自分が死ねばそれこそ奴を止めることができる者はいなくなる。ならば、奴が活動していない今のうちに神代魔法を集めきり、こちらも力をつけることを優先しなければならない。

 その判断に間違いはないと思うし、それで揺れるほど柔くはない。だが、それでも彼女たちを見ていると、羨ましいと感じてしまう。

 

 「……我ながら、なんとも女々しいものだ」

 

 苦笑しながらそう漏らし、彼女との思い出に思いを馳せていると、

 

 「ん~、ん?んぅ~!?んんーー!!んーー!!ぷはっ!はぁ、はぁ、な、何するんですか!寝込みを襲うにしても意味が違いますでしょう!」

 

 後ろからシアの声が聞こえ、なんだ?と振り返れば起きたハジメと彼に抗議するシアが見えた。

 

 「起きたか……しかし、なんだ。起き抜けぐらいもう少し穏やかにできんのか」

 「あ、兄貴……いや、しかしこいつがな……」

 「あ、神羅さん!ハジメさん酷いんですよ!寝ていたら急に鼻と口を塞いできたんですよ!」

 「それはまた……一体何をやられた?」

 「この色ボケウサギが俺を変態に仕立て上げたんだよ……」

 

 ハジメが冷めた目でシアを見ていると、ユエが一拍遅れて目を覚ましたのだが、ユエはそのまま寝ぼけ眼でハジメに甘え、身だしなみを整える。

 

 「うぅ……神羅さん、ユエさんの女子力がヤバいですぅ……」

 

 しょげているシアを見て神羅は小さく苦笑を浮かべる。

 

 「お前も家事能力でユエをこえているからあまり気にしすぎるのもよくないと思うがな……まあいい。準備を整えたら出発しよう」

 

 神羅の言葉にハジメたちはおう、と声を上げて迷宮攻略を再開する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 迷宮攻略を再開したと言うが、それはすぐさま新しい展開を見せる。

 部屋を出てすぐにあのゴーレム騎士の部屋にたどり着いたのだが、その奥の扉はすでに開いており、その先には通路が見える。更に言えば、部屋の中にはあれだけいたゴーレム騎士が一体たりとも存在していない。

 

 「これは……どう言う事だ?」

 「……何でゴーレムがいない?」

 「あれ~~?もしかしてですけど、この前の戦いでついに全部壊しちゃったんですかねぇ?」

 

 このゴーレム騎士の部屋はここまでに何度も訪れ、ゴーレム騎士と戦ってきた。最初は変幻自在のゴーレム騎士の攻撃に翻弄されていたハジメ達だったが、それももう過去の話。今ではどれほど予想外の動きをしようとハジメ達は問題なく対処できている。そうやってこの大迷宮でのうっ憤を晴らすがごとくゴーレム騎士を蹂躙し続けてきた結果かもしれない。

 

 「油断はするなよ。気を抜いたところで一気に現れるのかもしれん」

 

 神羅の言葉にハジメたちは頷くと、部屋の中に突入。そのまま進んでいくが、いくら進んでも何も変化は起きない。ゴーレムは襲ってこないし、罠が発動したという感じもない。本当に襲撃も何もない。そのまま通路にたどり着いてしまう。

 その事にハジメたちは首を傾げる。まさか本当に罠もゴーレムも破壊しつくしてしまったのだろうか……。

 それでも油断せずに通路を歩いていくと、ついに通路の終わりが見えてくる。通路の先は巨大な空間が広がっているようで、道は途切れており、十メートルほど先に正方形の足場が浮かんでいるのが見える。

 4人はそのまま通路の縁に立ち、空間に目を向ける。

 

 「こいつは……一体……」

 「あはは、常識って何でしょうね。全部浮いてますよ……」

 

 ハジメ達が入ったこの場所は超巨大な球状の空間だった。直径十キロはありそうな広大な空間で、そんな空間には、様々な形、大きさの鉱石で出来たブロックが浮遊してスィーと不規則に移動をしているのだ。完全に重力を無視した空間である。

 

 「いかにもな場所だが……ここが終着点って事か?」

 「……可能性は高い」

 

 ハジメ達はじッと周囲を睨みつけていたが、このままでは埒が明かないと目の前に来た足場に飛び乗り、改めて周囲を見渡す。

 そのまま足場が通路から離れた瞬間、

 

 「逃げてぇ!!」

 「「っ!?」」

 

 シアが発した警告にハジメとユエは素早く反応し、弾かれるように飛び退き、その先の足場に着地するが、神羅は動かず、顔を上げる。そこに赤熱する巨大な何かが落下するが、神羅は無言で片手を持ち上げる。

 次の瞬間、何かと神羅の腕が直撃し、凄まじい轟音と共に足場が崩壊し、神羅はそのまま落下し、最下層に叩きつけられる。

 普通に考えれば原形も破片も残さず消し飛んでいるだろうが、

 

 「いきなりとは……なかなかご挨拶ではないか」

 

 しっかりと両足で立ち、片手で何かを受け止めていた。そしてそのまま振りかぶると、勢いよく上空に向かって投げ返す。凄まじい勢いで天井に向かって飛んでいく何かだったが、叩きつけられる前にその勢いが唐突に消え、そのまま浮遊する。その前の足場にはハジメ達がいたはずだ。

 神羅は一回かがむと、ドゴォッ!という轟音と共に床を蹴り砕きながら跳び上がり、そのままハジメたちがいる場にたどり着き、着地する。

 

 「全員無事か?」

 「やっぱり無事だったか、兄貴……ああ、問題ない」

 「……大丈夫」

 「わ、私もです……しかし、本当にすごいですね、神羅さん……あれ、未来視が発動したから私が死ぬ威力だったんですけど……」

 

 神羅が問うと、ハジメ達は目の前の敵から目を離さずに答える。神羅はハジメ達の無事を確認すると何かに目を向ける。

 それは宙に浮く超巨大なゴーレム騎士だった。全身甲冑はそのままだが、全長が二十メートル弱はある。右手はヒートナックルとでも言うのか赤熱化しており、左手には鎖がジャラジャラと巻きついていて、フレイル型のモーニングスターを装備している。

 こいつがボスか……と眺めていると、

 

 『いや~~~、流石は怪獣王だね!あの一撃を片手で受け止めきるとは、お見事!』

 

 どこか興奮した様子で目の前の巨大ゴーレムが声を発する。

 

 「「「「「……は?」」」」」

 『それじゃあ改めて……はじめまして~、みんな大好きミレディ・ライセンちゃんだよぉ~』

 

 そんな軽い感じで挨拶をしてくるが、四人ともポカンと、口を半開きにしている。

 

 『あのねぇ~、挨拶したんだから何か返そうよ。最低限の礼儀だよ?全く、これだから最近の若者は……もっと常識的になりたまえよ』

 

 ゴーレムがやれやれと首を横に振っている。それに対しいち早く復帰した神羅が口を開く。

 

 「ああ、いや、すまん。予想外の事過ぎてな。しかし、ミレディ・ライセンは人間のはずだ。モスラから聞いている。もう死んでいるはずだが……もしやそれが概念魔法と言うやつか?」

 『おお、流石は王様。礼儀正しいね……それは違うよ。これは神代魔法だよ』

 「神代魔法?それはいったいどんな魔法だ?とっとと教えろよ。モスラは色々教えてくれたぞ」

 『おうおう、食いついてくるねぇ君……でももうちょい礼儀をさ……それはさておき、それはまだ教えられないね。知りたければ、私を倒す事だね。そうすればどんな神代魔法か分かるよ』

 「教えてくれねえのかよ……」

 『あはは、そりゃそうだよ。攻略前に情報をあげるわけないじゃん。まあ、モスモスのは例外だよ。ゴジラに出会えて、本当に嬉しかったんだと思うよ。暇あらば会いたいって言ってたからさ………』

 「……そうか………本当に随分と待たせてしまったな……」

 

 神羅が目を伏せながら呟き、その様子を見たミレディはほっとしたような雰囲気を漏らす。

 

 「さて、我の事は知っているようだが一応自己紹介をしておこう。確かに我はゴジラだ。今生での名前は南雲神羅だ。モスラが世話になったようだ」

 『いやいやそんな……むしろ私たちの方がいつも助けてもらっちゃってたよ。本当にいい子だね。』

 

 神羅は軽く頭を下げ、ミレディは折り目正しく頭を下げている。その様はご近所付き合いのようでなかなかにシュールだ。

 

 『さてさて、ゴジラ君にはいろいろと聞きたいことがあるけど、それは置いといて、まずは君たちかな」

 

 そう言ってミレディはハジメ達に顔を向ける。

 

 「俺達?」

 『そう。君たちはゴジラ君の仲間みたいだけど……どうしてここに?知っているみたいだけど、この世界には奴がいる。それもあのクソ神側にね。君たちの目的が元の世界に帰ると言うのもモスモスから聞いている。でも、このままあいつらと事を構えるとなると、何の比喩でもなく、命の保証はできない。こう言っちゃなんだけど、ゴジラ君に任せておいたほうが安全だと思わなかった?わざわざその危険を冒して、どうしたいのかな?』

 

 言い方は少々あれだが、その声色には嘘偽りは許さず、ふざけた様子もなく問いかける。彼女は知っている。怪獣と戦うと言うのがどういうことなのか。どれほど危険で、凄まじいのか。わざわざそれを避けるすべがあるのになぜその道を選んだか。ゴジラを都合よく利用しようとしているだけではないのか。そうやって得た神代魔法をどうするつもりなのか。もしもその通りなら決して許しはしない。そう言われているような気がした。

 初対面であるにもかかわらずここまで彼の事を考えているのは、仲間であるモスラの大切な人だからか、それとも彼女から様々な話を聞き、こうして出会い、その印象を確かなものとしたからか。

 とにもかくにも、自分が兄を利用しているだけと思われるのは不快極まりない。ハジメはミレディを睨みながら口を開く。

 

 「なんてことはない。ただ兄貴に全部押し付けたくないだけだ。いつまでも背中を見ているだけなんてのは絶対にごめんだ」

 『そのために命をかける?』

 「少なくとも、見ず知らずの世界に命を懸けるよりは全然かけられる」

 「……私も。私を裏切ったこの世界に愛着はない。私はハジメのために命を懸ける」

 「あ、え、えっと……私は……その……」

 

 シアはしどろもどろになりながら言葉を選ぶように指を動かすが、意を決すると、

 

 「わ、私もハジメさんと一緒にいたいので!」

 

 3人の言葉を聞きながらミレディはじっとしていたが、少しすると、そっか、と小さく呟く。

 

 『なるほどなるほど。乙女してるね~~。若い若い……よし、ならば戦争だ! 見事、この私を打ち破って、神代魔法を手にするがいい!』

 「いきなり過ぎないか……まあ、最初っからそのつもりだが……つまり、お前がこの迷宮の最後の試練って事でいいんだな?」

 『そうだよ~~。そしてもちろん、獣級試練も用意してあるよ。両方クリアできれば、豪華賞品をプレゼント!』

 「そうか……なら……とっとと落ちろ」

 

 そう言うと同時にハジメはオルカンを取り出して発射。ミサイルがミレディに殺到し、直撃。凄まじい轟音と共に爆炎と爆煙が立ち込める。

 

 「やりましたか!?」

 「……シア、それはフラグ」

 

 シアにユエがツッコミを入れた瞬間、その通りだと言わんばかりに煙の中から赤熱化した右手が煙を薙ぎ払いながら繰り出されてくるが、それを神羅が真っ向から受け止める。凄まじい衝撃が周囲を襲うが、ハジメ達はその衝撃をやり過ごし、即座に動く。

 シアがドリュッケンを神羅が受け止めている腕に勢い良く叩きつける。轟音と共に右手が粉砕される。

 そのシアを狙ってモーニングスターが勢いよく射出されるように放たれるが、それをハジメはドンナーの連射で弾き飛ばす。

 

 『やるね~~、でもその程度できて当然「ガシッ!」へ?』

 

 その音にミレディが目をやれば、弾かれたモーニングスターを神羅が受け止めていた。ハジメが神羅に向けて弾いていたのだ。神羅はそのままモーニングスターの鎖を引きちぎると大きく振りかぶる。

 

 『ヤバっ!?』

 

 そして勢いよく投擲されたそれをミレディは勢いよく横に移動して回避する。ボバッ!という音と共にモーニングスターはそのままいくつもの足場を破壊しながら吹っ飛んでいく。

 ミレディの両眼が光ると神羅のいる足場目掛けて上空から無数のブロックが降り注ぐ。

 それを見た神羅はすぐにその場から飛びのく。先ほどまで神羅がいた足場がブロックで吹き飛ばされる。神羅はそのまま別の足場に着地する。

 

 「兄貴!ミレディには核がある!心臓の位置だ!」

 『ちょ!?なんでわかったの!?』

 

 ミレディが驚愕の声を発する中、神羅は視線をミレディに向け、なるほど、と呟くと宝物庫からハジメ手製の投げ槍を取り出すと、振りかぶり、勢いよく投擲する。

 音速を超えた槍だがミレディは下に急激に移動することで回避する。なるほど、伊達に怪獣とやり合っていたと言うわけではなさそうだ。判断に迷いがない。

 

 『ひ~~、本当にヤバいね。ミレディちゃんドキドキが止まらないよ。はっ!まさかこれが恋!?』

 「……その余裕、すぐになくしてあげる」

 

 頭上から聞こえてきた声にミレディが顔をあげると、目に飛び込んできたのはオルカンを構えたユエ。ユエは魔法専門だが、いざというときに備えてハジメ製の武装をいくつも所持している。

 オルカンからいくつものミサイルが解き放たれる。ミレディはそれも回避しようとするが、

 

 「させねぇよ。いい加減ワンパターンだしな!」

 

 そこにハジメのレールガンの連射が直撃、その巨体を吹き飛ばすことはできなかったが、行動を遅らせることはできた。そこにミサイルが直撃し、その体を更に破壊する。だが、その身体はいまだ健在だ。

 

 『ぐぅぅぅぅ!なんのまだまだ!天才美少女のミレディちゃんはまだいける!』

 「自分で天才とか美少女とか……自意識過剰ですぅ」

 

 盛大なブーメランを呆れと共に呟きながら煙を引き裂いてミレディの前にドリュッケンを振りかぶったシアが飛び出し、激発の反動も利用した一撃を繰り出す。

 ミレディはとっさに左手で防御するが、左腕はそのままひしゃげてしてまう。

 

 『この程度……!』

 

 ミレディがそれでもなお動こうとした瞬間、シアが素早く離れ、それと入れ替わるかのように音速を超えた投槍が上部からミレディの左胸付近に直撃、空気が破裂するような音と共に槍が砕け、その代わりにミレディの胸部装甲を粉砕、その巨体を吹き飛ばし、地面に叩きつけ、放射状に破壊をもたらす。

 

 『あ、あっぶなぁ~~~!というか本気出してない投擲で複合式アザンチウムをぶち破りかけるって本当にぶっ飛びすぎでしょ!?』

 

 だがまだ、ミレディは健在だった。装甲の下のアザンチウムをベースに様々な鉱石との複合製の装甲に無数のひび割れができている。その強度と靭性はアザンチウムをも超えているのだが、それを突破されかけた。モスラも人型の時は十全に力を発揮できなかったから彼もきっと全力ですらない。それでこれだ。

 

 「本当だよな」

 

 その声にミレディがはっとして自身の胸部に目を向ければ、そこには対物ライフル、シュラーゲンを傷口に押し当てたハジメがいた。

 

 『い、いつの間っ!?』

 「こいつで決まりだ」

 

 シュラーゲンから赤いスパークを発しながらドゴガァ!という轟音と共に放たれた弾丸がミレディの胸部に直撃。内部深くまで亀裂が走っていた装甲にそれを耐えられる道理はない。弾丸は装甲をぶち破り、核に直撃、粉砕する。その衝撃で地面が更に破壊される。

 ハジメの目の前でミレディの目から光が消える。それを確認したハジメはふう、と息を吐きながらシュラーゲンを担ぎ上げる。そこに神羅達が合流してくる。

 

 「やった……と言う事でいいのか?」

 「恐らくな」

 「ふわぁ……なんか……予想以上に簡単に勝てちゃいましたが……」

 「……神羅もいたし、これは普通の試練だから。獣級試練はどうなるか分からないけど」

 

 ユエの言葉にハジメはそうだな、と頷く。確かに神羅がいたと言うのは本当に大きい。でも、オルクスの試練の時に比べれば自分たちの動きが格段に良くなったと言うのもあると思う。ユエもそこら辺は思ってるのか油断はしていなくとも、自分達なら大丈夫という自信がある。

 

 『いや~~~、全く大したもんだよ。まさかゴジラがいたとはいえこうも一方的にやられるとはね』

 

 その声に振り返れば、ミレディの目に光が灯るが、それは弱弱しく明滅している。

 

 「どうだ。俺たちの実力は分かっただろう?分かったらさっさと獣級試練を開始しろよ」

 「うぅ……初めてでいきなりそんな高難易度で大丈夫でしょうか……」

 

 シアが初めての獣級試練に不安を滲ませていると、ユエが口を開く。

 

 「……問題ない。シアは十分に戦えてた。だから安心して……私たちは最強」

 「ユエさん……はい!シア・ハウリア、何が来ても全力で行かせていただきます!」

 『せっかちだね~~~でも、そうだね。君たちの力も、そのほかにも色々と分かった。だから………

 

 

 

『「ここからは私も本気で行かせてもらうよ」』

 

 

 

 

 その最後の言葉に全員が違和感を覚えた。なぜなら、その声は二重に重なって聞こえたのだ。まるで、別々の場所から声が聞こえてきたように。そしてもう一つ、むしろこっちの方が大きな違和感だ。その声のうち一つは………明らかな肉声だった。

 そしてミレディの目から完全に光が消える。それから少しして、とっ、と背後から何かが降り立つような音が聞こえる。ハジメたちがその音に反応して振り返ると、

 

 

 

 

 そこには一人の少女が立っていた。

 

 年の頃は14か15歳ぐらい。フワフワの柔らかそうな金髪。もみあげは伸ばされ、カールを巻いている。その瞳はまるで蒼穹の空をそのまま写し込んだかのように鮮やかな碧眼。ニーソックスにに包まれた足は細く長く、両腕は華奢、身に着けているのはノースリーブのフリルがついたワンピースタイプの服に、その上から天女の羽衣のようなものを纏っている。

 あまりにもこの場に場違いなその少女にハジメたちが訝しげな表情を浮かべた瞬間、少女は目元に横ピースを添え、キラッとエフェクトが散りそうなウィンクをしながら笑顔で、告げる。

 

 「皆さっきぶり!美少女天才魔法使い、ミレディ・ライセンちゃんただいま参上だぜぃ!」




 という訳でミレディ・ライセン、出現です。どうしてこうなったのか、そしてどうなるのかは次回ですね。

 後、活動報告にアンケートがあります。答えていただけたら嬉しいです。答える場合は活動報告でお願いします。万が一ここに回答があっても統計はしません。
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