ありふれた職業で世界最強 魔王の兄は怪獣王   作:夜叉竜

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 連投しますね。


第3話 ステータスプレート

 翌日から早速訓練と座学が始まった。

 訓練施設に集められた生徒たち(愛子先生も一緒)に手のひら大の銀色のプレートが配られた。不思議そうに配られたプレートを眺める生徒たちに騎士団長、メルド・ロギンスが説明を始める。

 騎士団長が訓練につきっきりでいいのかとハジメは思ったが対外対内の双方において勇者様一行を半端者に預けるわけにはいかないのだろう。

 もっとも、メルド団長本人も「面倒な雑事を副団長に押し付ける理由ができて助かった!」と豪快に笑っていたので大丈夫なのだろう。副団長は大丈夫ではないだろうが。

 

 「よし、全員に配り終わったな?このプレートはステータスプレートと呼ばれている。文字通り自分の客観的なステータスを数値化してくれるものだ。もっとも信頼のある身分証明書でもある。これがあれば迷子になっても平気だから失くすなよ?」

 

 非常に気楽なしゃべり方をするメルド団長。彼は豪放磊落な性格のようで、「これから戦友になるのにいつまでも他人行儀に話せるか!」と他の騎士団員たちにも普通に接するように忠告するぐらいだ。ハジメたちもそのほうが気楽なので助かったが。

 

 「プレートの一面に魔法陣が刻まれているだろう。そこに一緒に渡した針で指に傷をつけて魔法陣に血を垂らしてくれ。それで所有者が登録される。ステータスオープンと言えば表に自分のステータスが表示されるはずだ。ああ、原理とか聞くなよ?そんなもの知らないからな。神代のアーティファクトの類だ」

 「アーティファクト?」

 

 初めて聞いた単語に光輝が質問する。

 

 「アーティファクトっていうのは現代じゃ再現できない強力な能力を持った魔法の道具の事だ。まだ神やその眷属たちが地上にいた神代に作られたと言われている。そのステータスプレートもその一つでな、昔からこの世界に普及している唯一のアーティファクトだ。普通はアーティファクトは国宝になるんだが、これは一般市民にも流通している。量産できるし、便利だからな」

 

 説明に生徒たちはなるほどと頷きながら魔法陣に血を垂らしていく。ハジメも同様に垂らしていく。すると、ハジメのステータスプレートが一瞬淡く輝き、全体が空色に変化して、生徒たちは瞠目する。

 メルド団長曰く魔力とは人それぞれで違う色をしており、ステータスプレートの色はその色をになるらしい。

 

 (僕の魔力は水色……いや、空色なのかな?他は……)

 

 確認した限り、光輝は純白、龍太郎は深緑色、香織は白菫、雫は瑠璃色。そして神羅は……

 

 (あれは……何色だ?)

 

 神羅のステータスプレートはハジメの色に似た水色なのだが、全体的にぼんやりとして、少し濃いめに見える。

 その色はハジメの知識にはないがもしも知識ある者が名をつけるなら……チェレンコフ色だろうか。

 その色をなじみ深そうに神羅は見つめ、内容に視線を落とす。

 

 南雲神羅 ---------歳 男 レベルーーーーーーーー

 

 天職 ■■■ 

 

 筋力:--

 

 体力:--

 

 耐性:--

 

 敏捷:--

 

 魔力:--

 

 魔耐:--

 

 技能:言語理解

 

 表示すると言っておきながらほとんど何も分からない。それともこれが普通なのだろうか。視線を動かせばほかの面子もまじまじとステータスに注目している。

 メルド団長からステータスの説明がなされる。

 

 「全員見られたか? 説明するぞ? まず、最初に〝レベル〟があるだろう? それは各ステータスの上昇と共に上がる。上限は100でそれがその人間の限界を示す。つまりレベルとは、その人間が到達できる領域の現在値を示しているというわけだ。レベル100ということは、自分の潜在能力を全て発揮した極致ということだからな。そんな奴はそうそういない」

 

 どうやらゲームのようにレベルが上がるからステータスが上がるわけではないらしいとハジメは思う。

 

 「ステータスは日々の鍛錬で当然上昇するし、魔法や魔法具で上昇させることもできる。また、魔力の高い者は自然と他のステータスも高くなる。詳しいことはわかっていないが、魔力が身体のスペックを無意識に補助しているのではないかと考えられている。それと、後でお前等用に装備を選んでもらうから楽しみにしておけ。なにせ救国の勇者御一行だからな。国の宝物庫大解放だぞ!」

 

 メルド団長の言葉から推測するに、魔物を倒しただけでステータスが一気に上昇すると言う事はないらしい。

 

 「次に〝天職〟ってのがあるだろう? それは言うなれば〝才能〟だ。末尾にある〝技能〟と連動していて、その天職の領分においては無類の才能を発揮する。天職持ちは少ない。戦闘系天職と非戦系天職に分類されるんだが、戦闘系は千人に一人、ものによっちゃあ万人に一人の割合だ。非戦系も少ないと言えば少ないが……百人に一人はいるな。十人に一人という珍しくないものも結構ある。生産職は持っている奴が多いな」

 

 神羅は自分の天職と技能のところに視線を向け首を傾げる。これだと自分には天職はなく、何かの才能もないと言う事になるが……

 そこまで考えて神羅はまあ、いいかと思考を切り替える。才能がないからと言ってそれで弱いと言う事はない。弱いのは死んだ物の事を言い、生き残った物が強いのだ。才能がないなら他の物を使って補えばいいだけだ。それに、表示されているのが全てではない。自分の身体の事は自分がよく分かっている。だからこそわかる。この身には生まれた時から人間の身には不相応な力が宿っているのを。どうしてステータスプレートに表示されないのか疑問だがまあ気にすることもないだろう。。

 一方ハジメも自分のステータスに視線を落とす。

 

 南雲ハジメ 17歳 男 レベル:1

 

 天職:錬成師

 

 筋力:10

 

 体力:10

 

 耐性:10

 

 敏捷:10

 

 魔力:10

 

 魔耐:10

 

 技能:錬成・言語理解

 

 どうやらハジメは錬成というものに才能があるようだ。その事実にハジメは思わず口の端が緩んでしまう。兄から言われたことを忘れたわけではないが、それでも自分に才能があると言われれば嬉しいものだ。

 が、メルド団長の次の言葉を聞いて真顔になる。

 

 「後は……各ステータスは見たままだ。大体レベル1の平均は10くらいだな。まぁ、お前達ならその数倍から数十倍は高いだろうがな! 全く羨ましい限りだ! あ、ステータスプレートの内容は報告してくれ。訓練内容の参考にしなきゃならんからな」

 

 この世界のレベル1のステータスの平均は10とのこと。その言葉通りならハジメは完全に平均値だ。

 

 (あれ~~どう見ても平均値だよね………まあ、やっぱり最初はこんな感じでしょ。だって今まで戦ったことなんてないんだから……ほかのみんなは?)

 

 ハジメは若干ショックを受けながら周囲に視線を巡らせるが、ハジメのようにショックを受けた人間はいない。

 メルド団長の元にさっそく光輝が報告に行くが、そのステータスは……

 

 天之河光輝 17歳 男 レベル:1

 

 天職:勇者

 

 筋力:100

 

 体力:100

 

 耐性:100

 

 敏捷:100

 

 魔力:100

 

 魔耐:100

 

 技能:全属性適性・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・剣術・剛力・縮地・先読・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解

 

 チートの権化だった……異様なほどに。

 

 (な、何あのチートの権化と言ってもいいステータスは……あ、あれが勇者なの……?)

 

 ある種異様な表示にハジメが戦慄の表情を浮かべるが、光輝とメルドはそんなの気にしたふうもない。ちなみにメルド団長のレベルは62.ステータスは平均300前後。この世界でもトップクラスの強さだ。しかし光輝はレベル1の時点で3分の一に迫っている。

 そんな感じでハジメが戦慄の表情を浮かべていると、

 

 「ハジメ。お前のステータスはどうだった?」

 

 神羅がプレートをひらひらとさせながら歩いてくる。

 

 「あ、うん、こんな感じだったけど兄さんはどうだった?」

 

 少なくとも自分よりは上だろうとハジメは思う。神羅は自分よりも身体能力は高いし、喧嘩だって強い。

 神羅はハジメのステータスプレートを覗き込み、

 

 「ほう、表示されている数値は俺よりも上だな」

 

 その言葉にハジメはえ?と目を丸くして慌てて神羅のステータスプレートを覗き込み、

 

 「えぇ!?なんで!?」

 

 思わず大声を上げてしまい、メルド団長にステータスプレートを見せていた生徒たちは一斉に何事か言わんばかりに顔を向ける。

 

 「ど、どうした?なにか妙なものがあったのか?」

 「あ、いや、えっと………」

 

 しどろもどろになるハジメを後目に神羅はハジメを連れてメルドの前に立つと自分たちのステータスプレートを見せる。

 メルド団長はうん?と首を傾げてハジメのステータスプレートと神羅のステータスプレートを叩いたり、光にかざしてみたりする。それから困惑した表情のハジメと気にしたそぶりもない様子の神羅に返し、

 

 「ああ、その、なんだ……まず錬成師というのはまあ、言ってみれば鍛冶職の事だ。鍛冶するときに便利だとか……」

 「つまり……ハジメは後方支援職と言う事か」

 「ま、まあそうなるな……しかし神羅は……これはどういう事だ?天職がないのはいるが、ステータスもレベルも表示されないとは………これではどう鍛えればいいのか……」

 

 ハジメはますます困惑した表情を浮かべる。兄は少なくとも自分よりも戦えるはずだ。なのにどうして……

 するとそこにハジメたちを目の敵にしている男子たちでその筆頭である檜山大介がにやにやとしながら声を張り上げる。

 

 「おいおい南雲。もしかしてお前非戦系か?鍛冶職でどうやって戦うんだよ?それに兄のほうは天職すらねえじゃん。そんなんで戦えるわけ?ステータスはどうなってんだよ」

 

 檜山がうざい感じでハジメと肩を組む。周りの生徒たちは止めることもなく、特に男子はにやにやと嗤っている。それを取り巻きの3人もはやし立て、それに対して香織と雫、そして一部の女子生徒が不快そうに眉をひそめている。

 香織に惚れているくせになぜそれに気づかないのか。ハジメは呆れたようにため息を吐きながらステータスプレートを見せ、神羅はもまたステータスプレートを差し出す。

 二人のステータスプレートを見て檜山は爆笑し、他の連中も内容を見て爆笑なり嘲笑なりをしていく。

 

 「ぶっははははっ~何だこれ!完全に一般人じゃねえか!」

 「むしろ平均が10なんだから場合によっちゃその辺の子供より弱いかもな!」

 「と言うかこいつ見ろよ!天職どころかステータスもないじゃねえか!ハジメよりも弱いんじゃねえか!?こいつらすぐ死ぬんじゃねえの!?」

 

 次々と笑い出す生徒に香織が憤然と動き出すが、神羅は軽く目を細めるとその場を蹴る。瞬間、神羅の体は複数の生徒を飛び越えるとそのまま神羅とハジメのステータスプレートを持つ斎藤良樹、近藤礼一の元にたどり着く。

 神羅はそのまま二人の手からステータスプレートを取り返すと先ほどと同様に地を蹴って生徒たちを飛び越えて戻ってくる。その光景を生徒たちは茫然と眺めていた。メルドも同様だ。何せ複数の人間を、軽々と飛び越えたのだ。凄まじい跳躍力だ

 神羅はそんな視線など知ったことかと言うようにハジメにステータスプレートを返すと、

 

 「まあ、数字を信じたいなら信じろ。それがお前らの能力に直結していると思うならばな」

 

 そう言うと神羅はもう興味はないと言わんばかりに視線を外す。




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